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美味しい!

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メリルは友人や婚約者を見つける為のお茶会だと言うのに人と喋らずにひたすらご飯を食べた。

家で食べるのとはまた違った味に全ての料理を食べたいと思っていた。

「んー!あれも美味しいし、これも美味しい…向こうも気になるし…」

次はどれにしようかと食べながらも考えていた。

「よかったらこれもどうぞ…」

「え?」

まだ食べた事のない料理を差し出されてメリルは目を輝かせる。

「ありがとうございます…あっ!」

それは先程挨拶をしたジェノス様だった。

「メリル様は美味しそうに食べますね、私も隣で食べてもいいですか?」

「もちろんです!」

料理をくれる人に悪い人は居ない!

それがメリルの価値観だった。

しかしジェノスは料理を手に座っていてもほとんど食べることなくメリルが食べるのをニコニコと見ていた。

「ジェノス様は食べないんですか?」

メリルは気になり聞いてみる。

「なんか君を見てるとお腹いっぱいで、よかったら私の分もどうぞ。まだ手をつけてませんから」

「やった!ありがとうー」

実は狙ってた料理にメリルはありがたく料理の皿を受け取った。

「メリル様はその…男の人に興味とかないんですか?」

ジェノスからそう言われてメリルは口にお肉を頬張りながら考える。

モグモグと口を動かしてゴックンと飲み込むとジェノスの方を見た。

「興味ありますよ、今一番好きなのはジョルノさんですね」

「ジョルノ…それは何処のご子息でしょう?」

ジェノスが真剣に聞いてくる。

「ジョルノさんは私の屋敷の料理長です。ジョルノさんが作るサンドイッチは本当に美味しいの…」

なんだが思い出したら食べたくなってきた。

「そ、そうですか…それは男性と言うよりは料理を作る人として気になるってことですか?」

「え?それ以外に男性と何するの?」

メリルは心底わかんないと首を傾げる。

「あっ…そうですね」

ジェノス様は頬を赤らめて恥ずかしそうに席を立つ。

「で、では私はこれで…」

ジェノス様はそそくさと人集りの方へといってしまった。

変なの?

メリルは少し気になったがそれよりも今は目の前の料理を片付けないといけないと手と口を動かし出した。

そんなメリルを見て王子の周りの人集りでは笑いがおきていた。

「見ましたー」

「クスクス、本当に酷い姿ですね」

「王子はどう思います?」

「あれは…ちょっとないな。君達みたいな細くて可愛い子が俺は好みだな」

そう言って微笑む姿に令嬢達はため息をついたり頬を赤らめたりしていた。

「ですが…食べる姿は可愛らしいですよ」

戻ってきたジェノスは庇うように答える。

「ジェノス!?お前は目は確か!?」

王子はジェノスがおかしくなったのかと見つめる。

「ジェノス様はお優しいんですね」

「本当に、あんな子まで褒めてくださるなんて」

令嬢達はジェノスに擦り寄ると上目遣いに見つめる。

「いえ、そんな事は…」

ジェノスはそれをやんわりと断りその場から逃げ出した。

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