上 下
2 / 28

お茶会!

しおりを挟む
私はお茶会に出るためにお父様が用意してくれたドレスに着替えメイドに髪を整えて貰った。

「はい、メリル様ご用意出来ました。何かお気に召さないところはありますか?」

メイドに聞かれてお腹辺りをさする。

「少しお腹がキツいわ。これだとあんまり食べられない…」

「ですがお茶会は王子様や将来の伴侶を探す場ですよ?食事ばかりしていては…」

困ったようにメイドが眉を下げた。

「シーラ…駄目?」

メイドのシーラを上目遣いで見つめて両手を合わせてお願いした。

「もう、仕方ありませんね」

シーラは困ったように笑うとお腹に巻いていたリボンを少し緩めて私に聞いてくる。

「これでどうでしょうか?」

「うん、ちょうどいいわ!ありがとうシーラ」

私の満足した笑みにシーラは微笑んだ。

「お嬢様の笑顔が一番ですからね」

支度を終えるとちょうど馬車が用意できたと声がかかり私は屋敷の外に向かった。

外では馬車が屋敷の目の前に用意され、いつでも王宮へと向かえる準備が整っていた。

屋敷の前にはお父様とお母様が心配そうに立って待っていた。

「お父様、お母様。行ってきます」

私のドレス姿にお父様はうっすらと涙を浮かべる。

「メリルが嫁に行く時もこの様な気持ちになるのかな…」

寂しそうにそっと涙を拭った。

「あなたったら、メリルはお茶会に行くだけですよ。でも心配だわ…メリル何か嫌な事があったらすぐに帰ってきていいのですからね」

「はい、お母様!でも私ちゃんと食事を終えてから帰ってきますわ」

いつも通りの様子に二人は笑って私を送り出した。

私は父と母に手を振り王都への道をワクワクしながら向かっていった。



「わぁすごい…子供がいっぱいいるわ」

王宮に着くと馬車の中から外の様子を眺めた。

外にはもう既に着いている令嬢や貴族のご子息がソワソワと会場に入っている。

「あそこにいる人達みんなが今日招待されてる人達なの?」

唯一、付いてきているメイドのシーラに問いかけた。

「はい、皆様メリル様と同じお年のご子息ご令嬢の方達です」

私はそう…と不安になる。

その様子にシーラは心配になり私の顔を覗き込んだ。

「お嬢様、何か不安な事でも?」

「ええ、あんなにいたら料理は足りるかしら…」

「えっ…」

「だってあんなにいたらかなりの量が必要になるわ」

真剣に悩む私にシーラはいつも通りだと安心したように笑っているが私にとっては大きな問題だ!

「大丈夫ですよ、皆様それほど食べませんし、きっとそれどころではありませんから。ですからお嬢様も慌てずによく噛んでお召し上がりくださいね」

「わ、わかってるわ」

シーラの言葉に私は少しほっとして会場をもう一度眺める。

会場に馬車が停りシーラが先に降りると続いて私も馬車を降りた。

すると会場が私の登場に一瞬シーンとなる。

しかしそんな様子に気がつく事無く私は料理が並んでいるテーブルに一直線に向かって早足で歩いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました

小倉みち
恋愛
 公爵令嬢へテーゼは、苦労人だった。  周囲の人々は、なぜか彼女にひたすら迷惑をかけまくる。  婚約者の第二王子は数々の問題を引き起こし、挙句の果てに彼女の妹のフィリアと浮気をする。  家族は家族で、せっかく祖父の遺してくれた遺産を湯水のように使い、豪遊する。  どう考えても彼らが悪いのに、へテーゼの味方はゼロ。  代わりに、彼らの味方をする者は大勢。  へテーゼは、彼らの尻拭いをするために毎日奔走していた。  そんなある日、ふと思った。  もう嫌だ。  すべてが嫌になった。  何もかも投げ出したくなった彼女は、仲の良い妖精たちの力を使って、身体から魂を抜き取ってもらう。  表向き、へテーゼが「死んだ」ことにしようと考えたのだ。  当然そんなことは露知らず、完全にへテーゼが死んでしまったと慌てる人々。  誰が悪い、これからどうするのか揉めるうちに、自爆していく連中もいれば、人知れず彼女を想っていた者の復讐によって失脚していく連中も現れる。  こうして彼女が手を出すまでもなく、すべての問題は綺麗さっぱり解決していき――。  

狂犬を手なずけたら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
気がつくと知らない国に生まれていたラーミア、この国は前世で読んでいた小説の世界だった。 前世で男性に酷い目にあったラーミアは生まれ変わっても男性が苦手だった。

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

私、侯爵令嬢ですが、家族から疎まれ、皇太子妃になる予定が、国難を救うとかの理由で、野蛮な他国に嫁ぐことになりました。でも、結果オーライです

もぐすけ
恋愛
 カトリーヌは王国有数の貴族であるアードレー侯爵家の長女で、十七歳で学園を卒業したあと、皇太子妃になる予定だった。  ところが、幼少時にアードレー家の跡継ぎだった兄を自分のせいで事故死させてしまってから、運命が暗転する。両親から疎まれ、妹と使用人から虐められる日々を過ごすことになったのだ。  十二歳で全寮制の学園に入ってからは勉学に集中できる生活を過ごせるようになるが、カトリーヌは兄を事故死させた自分を許すことが出来ず、時間を惜しんで自己研磨を続ける。王妃になって世のため人のために尽くすことが、兄への一番の償いと信じていたためだった。  しかし、妹のシャルロットと王国の皇太子の策略で、カトリーヌは王国の皇太子妃ではなく、戦争好きの野蛮人の国の皇太子妃として嫁がされてしまう。  だが、野蛮だと思われていた国は、実は合理性を追求して日進月歩する文明国で、そこの皇太子のヒューイは、頭脳明晰で行動力がある超美形の男子だった。  カトリーヌはヒューイと出会い、兄の呪縛から少しずつ解き放され、遂にはヒューイを深く愛するようになる。  一方、妹のシャルロットは王国の王妃になるが、思い描いていた生活とは異なり、王国もアードレー家も力を失って行く……

王太子に婚約破棄されたら、王に嫁ぐことになった

七瀬ゆゆ
恋愛
王宮で開催されている今宵の夜会は、この国の王太子であるアンデルセン・ヘリカルムと公爵令嬢であるシュワリナ・ルーデンベルグの結婚式の日取りが発表されるはずだった。 「シュワリナ!貴様との婚約を破棄させてもらう!!!」 「ごきげんよう、アンデルセン様。挨拶もなく、急に何のお話でしょう?」 「言葉通りの意味だ。常に傲慢な態度な貴様にはわからぬか?」 どうやら、挨拶もせずに不躾で教養がなってないようですわね。という嫌味は伝わらなかったようだ。傲慢な態度と婚約破棄の意味を理解できないことに、なんの繋がりがあるのかもわからない。 --- シュワリナが王太子に婚約破棄をされ、王様と結婚することになるまでのおはなし。 小説家になろうにも投稿しています。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?

あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」 結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。 それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。 不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました) ※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。 ※小説家になろうにも掲載しております

処理中です...