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次の日ラウルは一人でいるのに耐えられなくなり昼間っから酒場に向かった。
「すまん、なんかツマミと酒を……」
ドカッと席に座ると昨日の面子が声をかけてきた。
「なんだラウル?あの子は一緒じゃないのか?」
「昼から酒なんて珍しいな」
隣に座り込んだ。
なんとなく話したくなくて無視していると料理が運ばれてきた。
一口食べてグイッと酒を飲み込む。
嫌なことを忘れたいのに美味いものを食べるとリコの顔が浮かんできた。
「リコ……」
思わず呟くと隣の席の男に聞かれてしまった。
「おい、リコってあの子だろ?なんでそんなになってるんだ!」
酒を取り上げられてわけを聞かれた。
酒の力もありリコが貴族に引き取られた事を話してしまった。
「あの子、貴族になったのか……」
「すげぇな!」
「でもさなんでそんなすぐに貴族になれたんだ?結構貴族になるのってテストやらあって大変だよな」
「たしかに……」
ラウルはそう聞いて落ち着いて考えて見た。
貴族になるには食材の知識と実技を数名の審査員にみてもう必要があるのだ。
「でも養子として引き取るって言ってたから料理は関係ないのかも」
「そうか?貴族が料理なしで養子を取るなんて聞いた事ないぞ」
「もしかしてリコちゃんの腕目当てで無理やり引き取ったんじゃないのか?」
「え?」
ラウルは一気に酔いがさめてしまった。
「腕目当てって……あんな一瞬でわかるもんか?」
ジンジャー家で料理を作ったがたった二品で判断できたとは思えなかった。
「そういや、ここで対決した事も知ってたな……」
昨日の今日であんなに早く情報が行くものか?
貴族ということにビビって頭がまわっていなかった。
「それってなんかおかしくねーか?」
「誰か昨日の事をその貴族に言ったんじゃねーか?」
そう言われると思い当たる人物は一人しかいなかった。
「ウバか?」
「そうとしか思えない、ずっと俺達の事を疑っていたし負けたのが悔しかったみたいだからな」
するとちょうど機嫌のいいウバが店に入ってきた。
そしてラウルに気がつくとニヤリと笑ってそばによってきた。
「対決の勝者様がなーんでこんなしょぼくれた顔してるんだ?なにかあったのか?あれ、そういやそばにいたチビが消えてるな!」
わざとらしく驚いた顔を見せる。
「お前……やっぱりジンジャー家に何か言ったのか!」
「はぁ?俺は別に勝負に負けた事を話しただけだ。まさかジンジャー家以外でしょうがを使いこなせる奴がいるとは思わなかったからな。それに見たところあのチビは貴族に引き取られたんだろ?なら感謝して欲しいくらいだぜ」
ウバは何も悪くない、むしろいい事をしたと胸を張っている。
「俺だってリコが幸せならいい、でも最後に別れた時にリコは笑ってなかったんだよ」
「そんなの知るか」
ウバは関係ないと酒を頼みに行ってしまった。
「確かにウバの言うことも一理あるぜ、ようはあの子が笑ってればいいんだろ?ならジンジャー家にもう一度行って話して来いよ」
仲間に背中を押されて俺は重い足取りでジンジャー家へと向かった。
「すまん、なんかツマミと酒を……」
ドカッと席に座ると昨日の面子が声をかけてきた。
「なんだラウル?あの子は一緒じゃないのか?」
「昼から酒なんて珍しいな」
隣に座り込んだ。
なんとなく話したくなくて無視していると料理が運ばれてきた。
一口食べてグイッと酒を飲み込む。
嫌なことを忘れたいのに美味いものを食べるとリコの顔が浮かんできた。
「リコ……」
思わず呟くと隣の席の男に聞かれてしまった。
「おい、リコってあの子だろ?なんでそんなになってるんだ!」
酒を取り上げられてわけを聞かれた。
酒の力もありリコが貴族に引き取られた事を話してしまった。
「あの子、貴族になったのか……」
「すげぇな!」
「でもさなんでそんなすぐに貴族になれたんだ?結構貴族になるのってテストやらあって大変だよな」
「たしかに……」
ラウルはそう聞いて落ち着いて考えて見た。
貴族になるには食材の知識と実技を数名の審査員にみてもう必要があるのだ。
「でも養子として引き取るって言ってたから料理は関係ないのかも」
「そうか?貴族が料理なしで養子を取るなんて聞いた事ないぞ」
「もしかしてリコちゃんの腕目当てで無理やり引き取ったんじゃないのか?」
「え?」
ラウルは一気に酔いがさめてしまった。
「腕目当てって……あんな一瞬でわかるもんか?」
ジンジャー家で料理を作ったがたった二品で判断できたとは思えなかった。
「そういや、ここで対決した事も知ってたな……」
昨日の今日であんなに早く情報が行くものか?
貴族ということにビビって頭がまわっていなかった。
「それってなんかおかしくねーか?」
「誰か昨日の事をその貴族に言ったんじゃねーか?」
そう言われると思い当たる人物は一人しかいなかった。
「ウバか?」
「そうとしか思えない、ずっと俺達の事を疑っていたし負けたのが悔しかったみたいだからな」
するとちょうど機嫌のいいウバが店に入ってきた。
そしてラウルに気がつくとニヤリと笑ってそばによってきた。
「対決の勝者様がなーんでこんなしょぼくれた顔してるんだ?なにかあったのか?あれ、そういやそばにいたチビが消えてるな!」
わざとらしく驚いた顔を見せる。
「お前……やっぱりジンジャー家に何か言ったのか!」
「はぁ?俺は別に勝負に負けた事を話しただけだ。まさかジンジャー家以外でしょうがを使いこなせる奴がいるとは思わなかったからな。それに見たところあのチビは貴族に引き取られたんだろ?なら感謝して欲しいくらいだぜ」
ウバは何も悪くない、むしろいい事をしたと胸を張っている。
「俺だってリコが幸せならいい、でも最後に別れた時にリコは笑ってなかったんだよ」
「そんなの知るか」
ウバは関係ないと酒を頼みに行ってしまった。
「確かにウバの言うことも一理あるぜ、ようはあの子が笑ってればいいんだろ?ならジンジャー家にもう一度行って話して来いよ」
仲間に背中を押されて俺は重い足取りでジンジャー家へと向かった。
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