料理の腕が実力主義の世界に転生した(仮)

三園 七詩

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ラウルは別室に通されるとジンジャー様と2人きりになった。

「座ってくれ」

高そうなソファーを指されて落ち着かなく席につく。

「それで話とは……先に言いますがあのレシピは盗んだりしてません」

またレシピを取ったのかと疑われたかと心配になり先に言っておいた。

「いや、そうは思っていない。ただ君とあの子の関係は他人なんだね」

「はい」

「なら、今日限りあの子の事は忘れてくれ。あの子はうちで引き取ることにする」

「引き取る?リコはやっぱりジンジャー様の娘だったって事ですか?」

ジンジャー様は首を振って否定する。

「いや、私の子ではないがうちで引き取ってもいいと判断した。あの料理の知識は貴族にしてもいいと思った」

「それは、リコの親じゃないのに引き取るって事か?」

ラウルの口調が少し荒くなった。

「彼女にとっても悪い話ではないと思うが?貴族の子になれるんだぞ」

「そうだが……リコは本当の親に会いたいはずだ。本当の親が貴族だったら不味いのはあんたじゃないのか?」

「でも親の事も何も覚えていないのだろ?親に会ってもわからないんじゃないかい?」

それは……とぐうの音も出ない。

「まぁ本人に聞いて確かめるがね。あの子が貴族になりたいと言った時に君に反対をして欲しくないだけだ。どうもすり込みなんだか君に懐いてるようだからね」

「それは……本人の望みが一番だけど」

「だろう?君のような将来性のない男のそばにいてあの子が幸せになれると思っているのかい?」

「うっ……」

「あの子を思うならキッパリと離れてやれ」

ここまではっきりと言われてしまい、ラウルは頭をうなだれた。

ジンジャー様の言うことをよく考えると確かにその方がリコの為になる気がした。

ここにいれば衣食住の生活に困らずに料理の食材も大量に用意してもらえる。
こんな着替えも用意してあげられない男の元で親を探すよりいいに決まっている。

ラウルのしょぼくれた様子にジンジャーはわかってくれたかと肩にポンと手を置いた。

そのまま2人で部屋を出るとリコが安心した様子で俺を見て息を吐いた。

そして駆け寄ってくるリコを抱きとめてリコの顔を見つめる。

「ラウルさん?」

俺の真剣な様子にいつもと違う雰囲気を感じ取ったようでさらに不安そうな顔をさせてしまった。

「リコ……話がある」

「なに?」

リコは聞きたくなさそうに返事をした。

「ジンジャー様がリコをこの家の子にしてもいいと言ってくれてるんだ……どうだ?」

「どうだってなに?ここの家の子になれってこと?」

「ちが……」

否定しようとすると後ろでジンジャーがジロっと睨みをきかせた。

余計な事をするなと目が言っている。
ラウルはフーっと息を吐いて落ち着くとリコをみて微笑んだ。

「それはリコが決めることだ」

「私は……」

リコがなにか言おうとするとジンジャーがそばに来てリコの肩に手を置いた。
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