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「どうだ?なんか作れそうか?」
俺は少し屈んでリコに話しかけた。
「それは……できるけど……」
リコは自信なさげに答えた。
「別に出来なくてもいいんだ、そしたらちゃんと本当の親を探せばいいだけだからな」
「うん」
リコにそういうとわかったと頷きしょうがを手に取った。
「しょうが料理ならなんでもいいんですか?」
リコはジンジャー様に声をかける。
「ほぅ……しょうが焼き以外も作れるのかな?」
リコはこくっと頷いた。
その行為にここにいるリコ以外は驚いた。
こんな小さな子が他にもレシピを知っている事に驚いていた。
「好きなようにやりなさい」
リコは頷き俺の服をつんつんと引っ張った。
「ラウルさん、手伝って」
「それはダメだ。彼にレシピを教えてはいけない」
ジンジャー様がそれを止める。
しかしそれも当然だと思った、レシピは財産で人に教えるものではないからだ。
「リコ、一人で出来るか?」
「うーん、じゃあ一人でも作れそうなのにする」
リコはしばらくしょうがと食材を眺めていて黄金色に輝く瓶を手に取った。
「味見しても?」
ジンジャー様が笑顔で頷く。
リコは瓶の中身をスプーンで少しすくい舐めた。
そして頷くとそれをひとすくいしてコップに入れる。
「お湯を貰えますか?」
お湯を沸かしてもらいそれもコップに入れてスプーンで混ぜる。
しょうがの皮をよく洗って細かくすりおろしてそれもコップに入れた。
「はい、出来ました」
リコはコップを置いた。
「え?終わりなのか?」
俺は見ててあっという間に終わった事に驚いた。
「それ何かの途中じゃないのか?」
「これで終わりだよ。はちみつしょうが湯です」
ジンジャー様はコップを手に取って一口飲んだ。
「うん、しょうががいい味を出しているな」
「レモンを入れても美味しいですよ」
リコがそう付け足すと執事に指示を出してレモンを持ってこさせた。
そして絞るとコップに入れて飲んでいた。
「これは誰に聞いたのかな?」
「誰に?記憶にあるだけです、誰に聞いたとか覚えてません」
リコは正直に答えた。
「なるほど……もうひとつお願いしてもいいかな?」
なんですかとリコはうかがうように顔をあげる。
「食堂で作ったしょうが焼きを作って欲しいんだ」
「でも、私はお肉を切れないしフライパンも扱えません。あれを作ったのはラウルさんなんです」
リコはそう言うと俺を見た。
「今の話は本当か?」
ジンジャー様が厳しい顔でこちらを見つめる。
「本当です」
「わかった……では君と一緒でいいから作ってくれるかな?」
「はい!」
ラウルと一緒にと言われてリコは先程とは違い嬉しそうに返事をした。
その後リコとラウルはしょうが焼きを作ってジンジャー様に出した。
なんか緊張するなら彼が食べるのをじっと見つめていた。
そして食べ終えるとゆっくりと口を拭いて考え込む。
「ま、不味かったでしょうか?」
ラウルは思わず心配になってそう聞いた。
「いや、美味しかったよ……でもね……ちょっと二人で話してもいいかな?」
「え、俺ですか?」
ジンジャー様はラウルに声をかけてきた。
俺は少し屈んでリコに話しかけた。
「それは……できるけど……」
リコは自信なさげに答えた。
「別に出来なくてもいいんだ、そしたらちゃんと本当の親を探せばいいだけだからな」
「うん」
リコにそういうとわかったと頷きしょうがを手に取った。
「しょうが料理ならなんでもいいんですか?」
リコはジンジャー様に声をかける。
「ほぅ……しょうが焼き以外も作れるのかな?」
リコはこくっと頷いた。
その行為にここにいるリコ以外は驚いた。
こんな小さな子が他にもレシピを知っている事に驚いていた。
「好きなようにやりなさい」
リコは頷き俺の服をつんつんと引っ張った。
「ラウルさん、手伝って」
「それはダメだ。彼にレシピを教えてはいけない」
ジンジャー様がそれを止める。
しかしそれも当然だと思った、レシピは財産で人に教えるものではないからだ。
「リコ、一人で出来るか?」
「うーん、じゃあ一人でも作れそうなのにする」
リコはしばらくしょうがと食材を眺めていて黄金色に輝く瓶を手に取った。
「味見しても?」
ジンジャー様が笑顔で頷く。
リコは瓶の中身をスプーンで少しすくい舐めた。
そして頷くとそれをひとすくいしてコップに入れる。
「お湯を貰えますか?」
お湯を沸かしてもらいそれもコップに入れてスプーンで混ぜる。
しょうがの皮をよく洗って細かくすりおろしてそれもコップに入れた。
「はい、出来ました」
リコはコップを置いた。
「え?終わりなのか?」
俺は見ててあっという間に終わった事に驚いた。
「それ何かの途中じゃないのか?」
「これで終わりだよ。はちみつしょうが湯です」
ジンジャー様はコップを手に取って一口飲んだ。
「うん、しょうががいい味を出しているな」
「レモンを入れても美味しいですよ」
リコがそう付け足すと執事に指示を出してレモンを持ってこさせた。
そして絞るとコップに入れて飲んでいた。
「これは誰に聞いたのかな?」
「誰に?記憶にあるだけです、誰に聞いたとか覚えてません」
リコは正直に答えた。
「なるほど……もうひとつお願いしてもいいかな?」
なんですかとリコはうかがうように顔をあげる。
「食堂で作ったしょうが焼きを作って欲しいんだ」
「でも、私はお肉を切れないしフライパンも扱えません。あれを作ったのはラウルさんなんです」
リコはそう言うと俺を見た。
「今の話は本当か?」
ジンジャー様が厳しい顔でこちらを見つめる。
「本当です」
「わかった……では君と一緒でいいから作ってくれるかな?」
「はい!」
ラウルと一緒にと言われてリコは先程とは違い嬉しそうに返事をした。
その後リコとラウルはしょうが焼きを作ってジンジャー様に出した。
なんか緊張するなら彼が食べるのをじっと見つめていた。
そして食べ終えるとゆっくりと口を拭いて考え込む。
「ま、不味かったでしょうか?」
ラウルは思わず心配になってそう聞いた。
「いや、美味しかったよ……でもね……ちょっと二人で話してもいいかな?」
「え、俺ですか?」
ジンジャー様はラウルに声をかけてきた。
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