【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
94 / 107

103.変化

しおりを挟む
穏やかな日常が過ぎて、とうとうお兄様が寮に入る日が来てしまった。

お兄様が王子達と一緒に過ごすのはすごく興味があるし嬉しいがやはりこれからは会えるのが少なくなると思うと少し寂しくもあった。

「お兄様…頑張って下さいね」

でも笑顔で送り出そうと笑ってみるがなんだか上手くいかない…お兄様も私の様子に気がついて苦笑している。

「マリー…大丈夫だよ。週末は帰ってくるからね」

「だ、大丈夫です!そこは王子達と仲良くしてください!それにお兄様の一番大事なものを優先して欲しいです」

「僕の一番優先すべき事は…」

テオドールお兄様は何か考えるとわかったとしっかりと頷いて微笑んだ。

よかった~わかってくれたみたい!

寂しいけどシリルもお父様もいるし!私ももう少し大きくなれば学園に行ってお兄様達の仲の良い様子を拝める。

それを思えば寂しさなんて…少しだけ…

「じゃあ行ってまいります。お父様、シリル…マリーとお母様をよろしくお願いします」

「はい!お兄様も頑張って下さい」

「テオドール、まずは自分の事を優先するんだよ。私も力の限り後押しするからね」

お父様はテオドールお兄様の頭を撫でようとして手を止めた。

「もうテオドールは男だからね、頑張って来なさい」

お父様の大きくて優しい手はお兄様の肩を力強く叩いた。

なんだか男同士の約束でもしてるみたい?

二人とも頷きあって目で会話をしてる感じだった。

「テオドールさん、いつでも帰ってきていいのですからね」

お母様が目を潤ませてテオドールお兄様に声をかけると笑って頷いた。

「じゃあ!」

テオドールお兄様は笑顔で手を上げると寮まで送り出す馬車へと乗り込んだ。

「行ってらっしゃい!お兄様!」

私は馬車が見えなくなるまでシリルと一緒に手を振り続けた。

お兄様も馬車からいつまでも手を振っていてくれたが…とうとう見えなくなると力なく手を下ろした。

お兄様が見えなくなると一気に寂しさが押し寄せた。

数日いないことはあったけど…長く家を開けることなどなかったお兄様がしばらくは帰って来れない。

下手をすれば半年近く会えなくなるかも…

この世界にきて近しい人が離れるのが始めてでなんとも言えない感情が押し寄せる。

「マリー…僕がいるよ…」

するとシリルが隣に立ち私の手を握りしめてくれた。

「だから泣かないで」

シリルの心配する声がするがその顔は涙で見えなかった。

私はいつの間にか涙を溜めて泣いていた…

「うん…」

BLだけが全てだと思っていたが…今はお兄様が少し恋しかった…
しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。 兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。 ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。 私も脳筋ってこと!? それはイヤ!! 前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。 ゆるく軽いラブコメ目指しています。 最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。 小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

転生したので前世の大切な人に会いに行きます!

本見りん
恋愛
 魔法大国と呼ばれるレーベン王国。  家族の中でただ一人弱い治療魔法しか使えなかったセリーナ。ある出来事によりセリーナが王都から離れた領地で暮らす事が決まったその夜、国を揺るがす未曾有の大事件が起きた。  ……その時、眠っていた魔法が覚醒し更に自分の前世を思い出し死んですぐに生まれ変わったと気付いたセリーナ。  自分は今の家族に必要とされていない。……それなら、前世の自分の大切な人達に会いに行こう。そうして『少年セリ』として旅に出た。そこで出会った、大切な仲間たち。  ……しかし一年後祖国レーベン王国では、セリーナの生死についての議論がされる事態になっていたのである。   『小説家になろう』様にも投稿しています。 『誰もが秘密を持っている 〜『治療魔法』使いセリの事情 転生したので前世の大切な人に会いに行きます!〜』 でしたが、今回は大幅にお直しした改稿版となります。楽しんでいただければ幸いです。

処理中です...