【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩

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100.反省

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お兄様達は三人で少し自己紹介した後にとりあえず私を連れて屋敷に帰ることになった。

「またな、マリー」

「次に会えるのを楽しみにしてる」

王子とダン様が見送りに来てくれだが、挨拶はお兄様にしてくれていいのに…恥ずかしがり屋だなぁ~

それともツンデレ?私のいない所でデレているのかもしれない。

「はい!今度はちゃんと来ますので。皆様はこれから学園ですね…きっととても充実した日々になると思いますので楽しんでくださいね!」

私の言葉に二人は苦笑していた。

「さぁマリーもういいだろ」

お兄様は私の手を引くと馬車に押し込む、もう二人に会わせたくないからって…大丈夫です!

お兄様の相手を取るなんてことしませんから!

私はお兄様に安心させるようににっこりと笑いかけた。

「その笑顔は私だけに見せて欲しいものだな…はぁ…」

お兄様は私の笑顔にため息を吐いた、そりゃ王子の笑顔じゃないけどため息をつかれるとは…やはり成長すると共に私への兄と妹関係は悪化しお兄様は王子達に…

ズキッ…

望んでいた事だったはずなのに私の胸は何故か少し痛んだ。


屋敷に戻るとそこはさらに大変な騒ぎとなっていた。

お父様は知らせを受けて勝手に兵士を使って私を見つける為に捜索隊を結成している最中だったという…よかった…早く見つかって。

お父様そんな事したら国から追い出されちゃうよ…

馬車の御者のおじさんが私の行動におかしいと思って屋敷に連絡してくれて居場所がわかったらしい。

そういうことで私はお父様に部屋にお呼び出しを受けていた。

「マリー…とりあえず無事でよかった…」

お父様は私を見つめると真剣な顔で抱きしめてきた。

「お父様…ごめんなさい」

私は自分の事でこんなにも騒ぎになるとは思ってもみなかった。

そりゃ小さい子が家から居なくなったら騒ぎになるか…しかも貴族の子供となれば誘拐とかだって有り得る。

「マリーが自由に楽しく過ごす姿はお父様は大好きだ、でもあまり遠くに行っては心配してしまう。どうかまだお父様のそばに居てくれないか?」

お父様…

いつもなら甘々なお父様が悲しそうにみつめてお願いしてくる。

「はい!私ずっと一緒にお父様のそばに居ます!もう離れません!」

ごめんなさい…だから泣かないで!

私は久しぶりに涙を流しそうな顔のお父様に抱きついた。

お父様は反省した私の様子に優しく抱きしめて持ち上げる。

お父様の温かいぬくもりは疲れた体を優しく包み込む。

いつの間にか私はその温もりに目を閉じて眠りについてしまっていた。



「あなた…マリーどうですか?」

フローラは心配そうにジェラートに近づいた。

今回は私がいるとマリーに甘くなってしまうとジェラート様が一人マリーを怒る役を買ってでてくれた。

あの人の真剣な言葉にマリーは深く反省したようで泣きながら謝り、そのまま腕の中で眠ってしまった。

目を赤く腫らしながら眠るマリーの頬を撫でると気持ちよさそうに口を動かしている。

そんなマリーを見つめでジェラート様が心配そうに呟いた。

「これでマリーに嫌われていたらどうしよう…」

「まさか、マリーはちゃんとわかっていますよ」

私は安心させるようにジェラート様の肩に頭を付けた。

ジェラート様はマリーを軽々と片手で抱き上げると空いた手で私も抱きしめる。

ジェラート様と私は二人でマリーの温もりを確かめあった。
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