【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩

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95.ダン視点

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私はこの国の護衛隊長である父の息子として生まれた。

父は誰からも尊敬される凄い人だ…私はそんな父を誇りに思い憧れていた。

そしていつか父の様な強い男になりたいと思うようになり、父と共に鍛錬を欠かさず行ってきた。

そして鍛える楽しさや自分に自信もついてきた頃、初等部に上がる10才の年に父に頼み込み騎士になる為の訓練所に入れてもらった。

物心つく頃から剣を握っていた事と父の息子である事に私は自惚れていた…

私の醜い心は訓練所にいた年上の先輩達にズタズタに打ちのめされた。

「はっ!護衛隊長のソルト様の息子だと言うからどんな奴かと思ったが大した事ないな!」

「調子に乗るからこういう事になる…これに懲りたら俺達の事に口を出すな!」

私は上の先輩達が下の者達に道具の掃除から準備までやらせていることに腹をたててつい楯突いてしまった…その事で目をつけられある時試合を申し込まれたのだ。

私の剣は年上の相手には届かなかった…

自分なら勝てると慢心した心が招いのだと思った。

それから私は人の事に口を出すことを恐れるようになった。

どうせ自分のような者が言ったところで何も変わらない。

最初は仲のよかった友人達も陰気な雰囲気の自分に嫌気がさしたのだろう徐々に離れていき、今では誰も寄ってこない。

そうしてるうちに人と剣を交わすことが出来なくなってしまった。

父はこの事を知らない…父にまで自分の醜い心を見られる訳には行かなかった。

そんな事情の知らない父は私にもっと他の者達と関われと言う。

わかってはいるが他の者のあの目が怖い…自分に向ける怪訝なあの瞳が…

そんな時に父からグレイ王子に会えと言われた。

グレイ王子は自分とは正反対で明るく活発で周りにいつも人が集まる、強い光のような人だ。

そんな自分とは年ぐらいしか接点のない王子がなんの用があるというのか…

しかしこの度中等部に上がり見習い騎士となれた自分に護衛隊長である父の命令に拒否権などない。

しかもあったこともないマリー様と言う方が自分に会いたいと言っていると言う。

父から知っているかと聞かれるがまるで身に覚えもない。

言われるがまま、とりあえず王子と会うと興味深く自分を観察するように見られて同行を許可された。

王子は私と言うよりそのマリー様に興味があるようだ…

なら私はいつも通り目立たないようにいよう、王子もそれを望んでいるようだった。

こんな人の様子を気にするあまり人の負の感情を読み取るのだけは上手くなってしまっていた…

いざ私に会いたと言ったマリー様と対面してまずはその小ささに驚いた。

てっきり同じくらいの年か年上だと勝手に勘違いをしていた。

そして彼女の向ける眼差しにも戸惑う…

今までに感じたことの無い熱い眼差しに私の胸はいつになくざわついていた。
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