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62.心配…
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先生が辞めたと聞いてから数時間後にお客さんがやってきた。
トーマスさんも様子を見てくると怖い顔で出ていくと…代わりにテオドールお兄様が部屋に駆けつけてきた。
「マリー!シリル!大丈夫か!?」
入ってくるなり心配そうに私の顔を見つめた。
ん?何が大丈夫?
あっ!頭か?確かに私の頭は悪いがそんなに心配される程だったのか…
「ん…多分大丈夫。少しは良くなったんだよコレでも」
へへっと笑うとテオドールお兄様の顔が悲しみに歪んだ。
そしてギュッと私を抱きしめた。
「そんな辛い思いをしていたなんて…気づけなくてごめん」
「お兄様…く、苦し…だ、大丈夫だよ。シリルが(勉強教えて)助けてくれたから」
「本当か!?シリル」
お兄様が抱きしめていた腕を緩めるとシリルを見た。
「お兄様が居ないから僕が守らないとって思って…」
「よくやった!」
テオドールお兄様が誇らしそうにシリルの頭を撫でるとシリルは嬉しそうに笑った!
はあああぁぁァァ!!!
見た?見ましたか!?あの天使の笑顔!そしてお兄様のそれを見つめる優しい眼差し!!
私は一週間はご飯食べないで暮らせそうです!
手を合わせて点を仰ぎ猫神様にお祈りをすると…
パァー!
曇っていた空が一気に晴れた!
急に明るくなった空にテオドールお兄様とシリルが驚いている。
でも私にはわかるよ!猫神様も見てたんだね!
うん!尊いねー
空に向かってウンウンと嬉しそうに笑うマリーを見てテオドールとシリルは顔を見合わせて首を傾げていた。
「しかしシリル…本当によくやったな。私が居ない間、マリーを守ってくれて助かったよ」
「いえ、でもお兄様…なんであんな人ほっておいたのですか?聞けばお兄様の元家庭教師だとか…」
「いや…すまない。なんかよく喋るおばさんの置物だと思うようにしていたから…まさかマリーに酷い態度をとるやつだとは…」
「お兄様は誰に聞いたんですか?」
「屋敷中のみんなが言っていた。帰ってきて怒っているみんなにおかしいなと思って聞いてみたら…」
「ですよね。マリーは今や屋敷中のみんなの天使ですからね」
「本人は絶対に気づいてないんだろうな…いつもなんか的外れな事言ってるから…でもそこが可愛いんだけどな」
「はい」
二人はなんだか楽しそうに空に拝むマリーを笑いながら見つめていた。
◆
その頃、ジェラートの部屋では…
「この度は…娘がご息女様に無礼を働き、申し訳ございませんでした!」
ビルド伯爵は目を瞑り腕を組むジェラートと冷淡な視線を送るトーマスの前で土下座をしていた。
「ただでさえ教師としての役目も果たせていないのに…マリー様を侮辱ししかもジェラート様との関係を迫るなど…首が飛ぶのも覚悟の上ですよね?」
トーマスの言葉にビルド伯爵は冷や汗を流す。
恐ろしくて顔をあげることが出来なかった。
「ど、どうか寛大なご処置をお願いできませんでしょうか…」
「寛大なご処置ね…ビルドくん、私が命より大切にしているものがあるんだけど知っているかな?」
ジェラートは優しい声でビルドに語りかけた。
トーマスさんも様子を見てくると怖い顔で出ていくと…代わりにテオドールお兄様が部屋に駆けつけてきた。
「マリー!シリル!大丈夫か!?」
入ってくるなり心配そうに私の顔を見つめた。
ん?何が大丈夫?
あっ!頭か?確かに私の頭は悪いがそんなに心配される程だったのか…
「ん…多分大丈夫。少しは良くなったんだよコレでも」
へへっと笑うとテオドールお兄様の顔が悲しみに歪んだ。
そしてギュッと私を抱きしめた。
「そんな辛い思いをしていたなんて…気づけなくてごめん」
「お兄様…く、苦し…だ、大丈夫だよ。シリルが(勉強教えて)助けてくれたから」
「本当か!?シリル」
お兄様が抱きしめていた腕を緩めるとシリルを見た。
「お兄様が居ないから僕が守らないとって思って…」
「よくやった!」
テオドールお兄様が誇らしそうにシリルの頭を撫でるとシリルは嬉しそうに笑った!
はあああぁぁァァ!!!
見た?見ましたか!?あの天使の笑顔!そしてお兄様のそれを見つめる優しい眼差し!!
私は一週間はご飯食べないで暮らせそうです!
手を合わせて点を仰ぎ猫神様にお祈りをすると…
パァー!
曇っていた空が一気に晴れた!
急に明るくなった空にテオドールお兄様とシリルが驚いている。
でも私にはわかるよ!猫神様も見てたんだね!
うん!尊いねー
空に向かってウンウンと嬉しそうに笑うマリーを見てテオドールとシリルは顔を見合わせて首を傾げていた。
「しかしシリル…本当によくやったな。私が居ない間、マリーを守ってくれて助かったよ」
「いえ、でもお兄様…なんであんな人ほっておいたのですか?聞けばお兄様の元家庭教師だとか…」
「いや…すまない。なんかよく喋るおばさんの置物だと思うようにしていたから…まさかマリーに酷い態度をとるやつだとは…」
「お兄様は誰に聞いたんですか?」
「屋敷中のみんなが言っていた。帰ってきて怒っているみんなにおかしいなと思って聞いてみたら…」
「ですよね。マリーは今や屋敷中のみんなの天使ですからね」
「本人は絶対に気づいてないんだろうな…いつもなんか的外れな事言ってるから…でもそこが可愛いんだけどな」
「はい」
二人はなんだか楽しそうに空に拝むマリーを笑いながら見つめていた。
◆
その頃、ジェラートの部屋では…
「この度は…娘がご息女様に無礼を働き、申し訳ございませんでした!」
ビルド伯爵は目を瞑り腕を組むジェラートと冷淡な視線を送るトーマスの前で土下座をしていた。
「ただでさえ教師としての役目も果たせていないのに…マリー様を侮辱ししかもジェラート様との関係を迫るなど…首が飛ぶのも覚悟の上ですよね?」
トーマスの言葉にビルド伯爵は冷や汗を流す。
恐ろしくて顔をあげることが出来なかった。
「ど、どうか寛大なご処置をお願いできませんでしょうか…」
「寛大なご処置ね…ビルドくん、私が命より大切にしているものがあるんだけど知っているかな?」
ジェラートは優しい声でビルドに語りかけた。
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