56 / 107
56.再挑戦
しおりを挟む
「はい…」
トーマスは頷くと黙って部屋を出ていった…
顔は平静を装っていたが腹の中は怒りが渦巻いていた。
「あの糞女教師…マリー様にそんな仕打ちをしていたなんて…気が付かないなど不覚…」
トーマスは早足でマリー様の元に向かった!
コンコン!
扉をノックすると声をかけて部屋に飛び込む、するとマリー様は部屋の端に机を置いて何やら真剣に本を読んでいた。
「マリー様?」
声をかけるがあまりに集中して自分の声が届いて無いようだ…
しかし許せない!
マリー様がいる場所は暗く光の届かない本棚の端…まるで邪魔だと言うように追いやられていた。
「あっちがシリル様の席と言うわけですか…なるほど…」
怒りに力が入る体を息を吐いて落ち着かせる。
「マリー様…」
トーマスはもう一度そばにいきマリー様に優しく声をかけた。
「はっ!ト、トーマスさん!いつの間に?」
マリーはそこまできてようやくトーマスの存在に気がついて本をサッと閉じた。
「マリー様…旦那様がお呼びです。一緒に来ていただけますか?」
「お父様が?何の用だろ?」
本をサッと積まれた書物の一番下に隠すと、椅子から降りた。
そしてトーマスさんと並んでお父様の部屋へと向かう。
「マリー様…マリー様は勉強、お嫌ですか?」
歩きながらトーマスさんがそんな事を聞いてきた。
「勉強?うーん…あんまり好きじゃないけど…今は少し楽しいよ!」
ニコッと笑うと、険しかったトーマスさんの顔が少しほころんだ。
「そうですか…あの…糞…いえ、ラクター先生に何か酷いことなどされてませんか?」
「ん?先生に?別にないかなぁ~」
私は考えてみたが思い当たる節が無かった…と言ってもまだ教えてもらって二日しか経ってないし…
「そうですか…」
トーマスさんは私の答えに眉をひそめ…「健気な…」とつぶやくと目を擦った。
そんな訳の分からない様子に首を傾げながらお父様の部屋へとたどり着く。
トーマスさんが扉を叩いて、「マリー様をお連れしました」と言って扉を開くと…そこにはラクター先生とシリルが険しい顔で座るお父様の前に立っていた。
「あれ?先生とシリルここにいたんだ~」
私が笑ってシリルの方へと近づこうとすると
「マリー様!早速ですがもう一度この問題をやっていただきます!」
ラクター先生がその行く手を阻んであの問題用紙を目の前に差し出してきた。
「問題?」
わけがわからずにお父様を見ると無言で頷く。
まぁいいけど…
私は用紙を受け取ると…
「マリー様こちらにどうぞ」
トーマスさんがソファーの方へと誘導してくれてテーブルを近づけてくれた。
「ありがとう~」
トーマスさんにお礼を言うと嬉しそうに頷かれる。
そしてペンを用意され私はこの前撃沈した問題に向き合った。
トーマスは頷くと黙って部屋を出ていった…
顔は平静を装っていたが腹の中は怒りが渦巻いていた。
「あの糞女教師…マリー様にそんな仕打ちをしていたなんて…気が付かないなど不覚…」
トーマスは早足でマリー様の元に向かった!
コンコン!
扉をノックすると声をかけて部屋に飛び込む、するとマリー様は部屋の端に机を置いて何やら真剣に本を読んでいた。
「マリー様?」
声をかけるがあまりに集中して自分の声が届いて無いようだ…
しかし許せない!
マリー様がいる場所は暗く光の届かない本棚の端…まるで邪魔だと言うように追いやられていた。
「あっちがシリル様の席と言うわけですか…なるほど…」
怒りに力が入る体を息を吐いて落ち着かせる。
「マリー様…」
トーマスはもう一度そばにいきマリー様に優しく声をかけた。
「はっ!ト、トーマスさん!いつの間に?」
マリーはそこまできてようやくトーマスの存在に気がついて本をサッと閉じた。
「マリー様…旦那様がお呼びです。一緒に来ていただけますか?」
「お父様が?何の用だろ?」
本をサッと積まれた書物の一番下に隠すと、椅子から降りた。
そしてトーマスさんと並んでお父様の部屋へと向かう。
「マリー様…マリー様は勉強、お嫌ですか?」
歩きながらトーマスさんがそんな事を聞いてきた。
「勉強?うーん…あんまり好きじゃないけど…今は少し楽しいよ!」
ニコッと笑うと、険しかったトーマスさんの顔が少しほころんだ。
「そうですか…あの…糞…いえ、ラクター先生に何か酷いことなどされてませんか?」
「ん?先生に?別にないかなぁ~」
私は考えてみたが思い当たる節が無かった…と言ってもまだ教えてもらって二日しか経ってないし…
「そうですか…」
トーマスさんは私の答えに眉をひそめ…「健気な…」とつぶやくと目を擦った。
そんな訳の分からない様子に首を傾げながらお父様の部屋へとたどり着く。
トーマスさんが扉を叩いて、「マリー様をお連れしました」と言って扉を開くと…そこにはラクター先生とシリルが険しい顔で座るお父様の前に立っていた。
「あれ?先生とシリルここにいたんだ~」
私が笑ってシリルの方へと近づこうとすると
「マリー様!早速ですがもう一度この問題をやっていただきます!」
ラクター先生がその行く手を阻んであの問題用紙を目の前に差し出してきた。
「問題?」
わけがわからずにお父様を見ると無言で頷く。
まぁいいけど…
私は用紙を受け取ると…
「マリー様こちらにどうぞ」
トーマスさんがソファーの方へと誘導してくれてテーブルを近づけてくれた。
「ありがとう~」
トーマスさんにお礼を言うと嬉しそうに頷かれる。
そしてペンを用意され私はこの前撃沈した問題に向き合った。
15
お気に入りに追加
2,526
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる