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50.教育

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その日の勉強が終わるとそそくさとラクター先生はジェラートお父様の元に向かった。

残された私とシリルはお礼を言う暇もなく置いてけぼりにされる。

「行っちゃったね」

シリルにあははと笑いかけると

「僕…あの先生嫌い」

シリルがじっと先生が消えた先を見つめていた。

「なんで?シリルあんなに褒められてたのに、それにあの先生お兄様も教えてるんだからきっと優秀だよ」

心配ないよと慰める。

確かに少し怖そうに見えるけどシリルに優しく接してくれてたし…

そう思っていると

「だって…マリーを怒ったよ」

シリルが怒る理由は私を叱ったから?優しい子だなぁ~

理由を聞いてほっこりすると

「それは私が字が読めないのがいけなかったからだからね。でもシリルは偉いねちゃんと勉強してて…私は遊ぶ方が好きだなー」

「マリーの方が凄いし偉いよ…この御屋敷のみんなはマリーが大好きだよ…も、もちろんぼ、僕も…」

シリルが頬を赤くして顔を逸らしながら嬉しい事を言ってくれた。

恥ずかしがりながらも気をつかってくれて…

「ありがとう~私もシリル大好きだよ!もちろん御屋敷のみんなも!」

シリルはぱぁーと顔をあげて嬉しそうにしたと思ったら…苦笑して頷いた。

まぁ御屋敷のみんなのBL事情を確認しにいってただけなんだけど…

こんな事優しいシリルには言えないな…

私はぐっと唇を閉じた。

次の日から先生はお父様に相談したが私達の勉強の時間を変える必要はないと言われたらしい…

そのことで朝から先生がカリカリと怒っていた。

「全く…全然わかってない…落ちこぼれと一緒に勉強したらシリル様のせっかくの才能が潰れてしまうわ…」

部屋に来るなりブツブツ怒りながら何かつぶやくと…クルッとこちらを向いた。

「お二人共おはようございます。これから勉強を致しますが…机を離して勉強致しましょう…シリル様はこちらに…マリー様は…そうねそこら辺で」

ラクター先生が私達の机を持って移動させる。

シリルは陽の当たる窓際に私はその反対の壁側に机を移動させられた。

「では先にシリル様に勉強をお教えしますので…マリー様は字の勉強をこの本を丸写ししてくださいませ。出来たら呼んで下さいね」

ニコリと笑ってそういうと…五センチほどありそうな本を渡された。

「え?これ?」

どう見ても一日で終わるようには見えなかった。

「ええ、何か問題でも?出来ないなら宿題に致します。そしてその事はジェラート様に報告しますが?」

うっ…お父様に…こんな事も出来ないのかと呆れられちゃうかな…

私は仕方なくコクリと頷いた。

まぁ字を覚える為だ!頑張ろう!

私はペンを持つと本のページをめくった!

私が勉強に集中すると…それをラクター先生が蔑んだ目で見下ろしていた。

ふん…なんでこんな落ちこぼれを優秀な私が見ないといけないのよ…

ラクターはマリーを見下ろすともう用はないとシリルの元に向かった。
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