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45.勘違い

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「さぁ召し上がれ」

私達はテーブルに座らされると目の前にはあっという間に食事の用意がされた。

私の前にはお粥の様なもの…テオドールお兄様とシリルにはパンとサラダにスープ、それにソーセージとスクランブルエッグが並ぶ。

「おにいちゃまたちいいなぁ…」

グー

腹の虫も同意するように鳴き出した。

「マリー様は今日はパン粥にしておきましょうね。先生の許可がおりれば明日から同じメニューに致しますから」

お粥を用意してくれたリアズが申し訳なさそうにしている。

私は先生に懇願するようにチラッと顔を見上げた。

「そんな顔をしても駄目だよ、今日はそれで我慢しようね」

先生は苦笑しながらも首を横に振る。

「うー…」

しょうがない…

ガックリと肩を落とす していると

「マ、マリー…ぼくのあげる」

シリルがソーセージをフォークでさして私に差し出してくれる。

「シリル~やさしー」

優しさが嬉しくてシリルに微笑むと

「私のもあげるよ」

テオドールお兄様も同じように差し出した。

「ふたりともありがとー!」

お礼を言うと

「いやいや!駄目ですよ!テオドール様もシリル様も自分の分は自分で食べてください!マリー様は昨日から何も食べてないのでいきなり食べたらお腹がびっくりしてまた寝込む事になりますよ!」

セドリック先生が慌てて二人を止めた。

「マリー…またねちゃう?」

「それは…」

二人はソーセージを急いで引っ込めた…

あっ…私のソーセージ…

美味しそうなソーセージが遠ざかる。

「グッ…マリーのそんな顔は見たくないけど…また寝込んで会えなくなるのも辛い…」

テオドールが眉間にシワを寄せて考え込んでしまった。

「じゃあ…ぼくもたべない…マリーといっしょ」

シリルがフォークを置いて食べるのをやめてしまった。

「おにいちゃまもシリルもありがとう、でもふたりがたべてくれるほうがうれしい!」

食べ盛りの子供がご飯を抜くなんてよくないもんね!

私は二人に食べてと頼むと

「あしたはいっしょにおなじのたべようね」

「ああ!」

「うん!」

二人が嬉しそうに頷き返した。

「あっ…」

するとシリルがサラダを前に手を止めた…

「どうしたの?」

私が顔を顰めるシリルに聞くと

「これ…きらい…」

サラダが嫌だとつんつんとつついている。

「シリル、ちゃんと野菜を食べないと大きく、強くなれないぞ」

テオドールお兄様が見本を見せるようにガブッとサラダを食べて見せた。

「これ…にがい…土ついてるもん」

「土?」

テオドールが首を傾げると…

「あっ…」

まさか地下に閉じ込められてた時に酷い物食べさせられて…

私の顔にテオドールお兄様も同じことを思ったのかシリルに悲しそうな顔を向けた。

「シリル、これは美味しいよ。お前がいた所とは違うからな」

シリルは顔をあげて声をかけてくれたお兄様を見つめた。

みて!

私はセドリック先生の方を振り返る!

セドリック先生は私が振り返った事で驚きながらお兄様とシリルを交互に見ると

「ああ…」

私が何を言いたいのか気が付き失笑した。

えっ?何あの笑い?

これを見てもこの二人の愛に気が付かないのか?

私が首を傾げていると

「マリーはこれすき?」

シリルがサラダが好きかと聞いてきた。

「うん!おにいちゃまがすきなサラダだいすきだよ、シリルもすこしずつたべられるようになるといいね~」

もしくはお兄様があーんして好きになってもいいが…

ニヤリ…

私の笑顔にシリルは覚悟を決めたようにサラダを口に入れた。

「ん!おいちぃ~」

シリルはサラダの美味しさに顔を輝かせた。

シリルの可愛い笑顔に私とお兄様は顔を見合わせ笑いあった。


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