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39.おかしな人達
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「はいはい!他の方は仕事に戻りなさい。旦那様のお世話は他の者達で分担するように…」
トーマスさんが手を叩いて皆を動かし指示を出すと
「「「はい…」」」
他のメイドや従者達がガックリと力なく頷く。
「旦那様も仕事が溜まっておりますよ、マリー様の事は私達におまかせ下さい。逐一報告だけは致しますから」
「絶対だぞ!」
「トーマス!私達にも頼む」
テオドールとシリルが懇願するようにトーマスを見上げるとトーマスは二人の前に膝を着いて目線を合わせた。
「マリー様は大丈夫です。大好きなお二人を悲しませたりしませんからね」
トーマスさんが二人の頭をそっと手を置いた。
そんな感動的な場面をしらけた気持ちでセドリックは見ていた…
本当にただの風邪なんだけどなぁ…
まるで今生の別れのように悲しむ屋敷の人達をどうにか部屋から遠ざけると、トーマス、リアズ、カミールと子供の寝る部屋に戻り様子をもう一度しっかりと説明する事にした。
「いいですか!ただの風邪ですからね!安静にして栄養のある物を食べさせればすぐに良くなりますから、それよりも変に構ったりうるさくする方がよくありません!」
少し強めに声をかけた。
「わかりました、あの方達を部屋から出したのは正解のようですね」
トーマスが頷くとセドリックもそれには同意する。
よかったこの人はまともそうだとセドリックはほっとすると
「まだ小さい子供なので様子は常に見ておく方がいいと思います。では私はこの辺で…」
そう言って部屋を出ていこうと立ち上がると
「どちらへ?」
肩をガシッと掴まれた。
「え?診察も終えたので…帰ろうかと…」
セドリックがトーマスの行動に驚いていると
「先生それは困ります。もしマリー様にこの後何かあったらどうするのですか!?」
「いや…もう私に出来ることは…」
何も無いと言おうとすると…
「う、うん…」
マリーが苦しそうに声を出した。
「「「マリー様!!」」」
三人がマリーのそばにすぐに駆けつけると…
「苦しそうです…顔が赤い…」
「小さいのに…お可哀想です…変わってあげられたら…」
リアズとカミールが顔を顰めてマリーの熱くなった手を握りしめた。
「先生!何かマリー様に出来ることは?」
「あ、汗をかいているので水分をあげてみては…」
トーマスさんの真剣な顔にタジタジになりながらそんな事を言ってみると…
「カミール!水を!」
「はい!」
水差しを様子するとマリーの口に当て、少し頭をあげて水を飲ませた…すると少し楽になったのかフーっと息を吐いてまた眠り出した。
「よかった…少し楽そうに見ます」
「本当ですね!」
リアズとカミールがほっと胸をなで下ろすと…
「やはり先生にはここに居てもらわないといけないようです…」
トーマスさんがニコリと笑うと先生の荷物を持ち上げた。
「これは大切に部屋にしまっておきますね、先生の部屋はマリー様の休まれる部屋の隣にご用意致します。何かあればなんなりと申し付けて下さいませ」
「え…いや…私は帰ろうかと…」
「駄目です」
「いや…ほら私も仕事しないと食べていけませんから…」
「大丈夫です。その分のお給料は払わせていただきます」
「し、しかし他にも行かないと行けないところがあるので…」
「おや?先生の予定をお聞きしたところ今日は他の患者はいないと聞いておりますが?」
ギクッ…
セドリックは冷や汗をかくと…
「今お部屋にご案内しますね」
有無を言わせぬ笑顔にセドリックは仕方なくトーマスさんの後を俯きながらついて行った。
トーマスさんが手を叩いて皆を動かし指示を出すと
「「「はい…」」」
他のメイドや従者達がガックリと力なく頷く。
「旦那様も仕事が溜まっておりますよ、マリー様の事は私達におまかせ下さい。逐一報告だけは致しますから」
「絶対だぞ!」
「トーマス!私達にも頼む」
テオドールとシリルが懇願するようにトーマスを見上げるとトーマスは二人の前に膝を着いて目線を合わせた。
「マリー様は大丈夫です。大好きなお二人を悲しませたりしませんからね」
トーマスさんが二人の頭をそっと手を置いた。
そんな感動的な場面をしらけた気持ちでセドリックは見ていた…
本当にただの風邪なんだけどなぁ…
まるで今生の別れのように悲しむ屋敷の人達をどうにか部屋から遠ざけると、トーマス、リアズ、カミールと子供の寝る部屋に戻り様子をもう一度しっかりと説明する事にした。
「いいですか!ただの風邪ですからね!安静にして栄養のある物を食べさせればすぐに良くなりますから、それよりも変に構ったりうるさくする方がよくありません!」
少し強めに声をかけた。
「わかりました、あの方達を部屋から出したのは正解のようですね」
トーマスが頷くとセドリックもそれには同意する。
よかったこの人はまともそうだとセドリックはほっとすると
「まだ小さい子供なので様子は常に見ておく方がいいと思います。では私はこの辺で…」
そう言って部屋を出ていこうと立ち上がると
「どちらへ?」
肩をガシッと掴まれた。
「え?診察も終えたので…帰ろうかと…」
セドリックがトーマスの行動に驚いていると
「先生それは困ります。もしマリー様にこの後何かあったらどうするのですか!?」
「いや…もう私に出来ることは…」
何も無いと言おうとすると…
「う、うん…」
マリーが苦しそうに声を出した。
「「「マリー様!!」」」
三人がマリーのそばにすぐに駆けつけると…
「苦しそうです…顔が赤い…」
「小さいのに…お可哀想です…変わってあげられたら…」
リアズとカミールが顔を顰めてマリーの熱くなった手を握りしめた。
「先生!何かマリー様に出来ることは?」
「あ、汗をかいているので水分をあげてみては…」
トーマスさんの真剣な顔にタジタジになりながらそんな事を言ってみると…
「カミール!水を!」
「はい!」
水差しを様子するとマリーの口に当て、少し頭をあげて水を飲ませた…すると少し楽になったのかフーっと息を吐いてまた眠り出した。
「よかった…少し楽そうに見ます」
「本当ですね!」
リアズとカミールがほっと胸をなで下ろすと…
「やはり先生にはここに居てもらわないといけないようです…」
トーマスさんがニコリと笑うと先生の荷物を持ち上げた。
「これは大切に部屋にしまっておきますね、先生の部屋はマリー様の休まれる部屋の隣にご用意致します。何かあればなんなりと申し付けて下さいませ」
「え…いや…私は帰ろうかと…」
「駄目です」
「いや…ほら私も仕事しないと食べていけませんから…」
「大丈夫です。その分のお給料は払わせていただきます」
「し、しかし他にも行かないと行けないところがあるので…」
「おや?先生の予定をお聞きしたところ今日は他の患者はいないと聞いておりますが?」
ギクッ…
セドリックは冷や汗をかくと…
「今お部屋にご案内しますね」
有無を言わせぬ笑顔にセドリックは仕方なくトーマスさんの後を俯きながらついて行った。
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