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37.勘違い

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ほわあああああああああ~!!

私はテオドールお兄様がシリルを自分の布団に引き寄せて二人で寄り添うようにして寝るところを見てしまいひとり興奮していた。

ちょっと前…寝ていたところ近くでボソボソと話し合う声に目を覚ますとテオドールお兄様がシリルとコソコソと話し合っていたのだ…

いつの間にかすごく仲良くなってる!

邪魔をしてはいけないと寝たフリをしながら二人をチラッと見ていると…言葉はよく聞こえないが真剣な顔をして見つめ合っていた。

お兄様とシリルが…確かそんな夢を見ていたような…

どんな会話だろ?

私は集中して聞き耳を立てた。

     ◆

「シリル…可愛いね」

「おにいちゃま…かっこいいです」

「こんなに可愛いと他の奴らがほっとかないな…シリルの事は私が守るよ」

「ぼくもおにいちゃまにみとめられるようにがんばる」

「そんなことしなくてもシリルはそのままでいいんだよ…ほらおいで…」 
(妄想)

まるでそんな会話でも聞こえて来そうだ!

すると眠そうなシリルをテオドールお兄様が布団をかけて引き寄せた…

グッハ!

マリーは興奮しすぎてそのまま意識を失った…



「マリー…マリー…」

心配そうな声が頭の上から聞こえてきた。

うーん…

動こうとすると…

いたっ!頭が痛む、それになんか熱いし息がしずらい…

はぁはぁと息が荒くなり目を開けると…

「マリー…」

心配そうなテオドールお兄様とお父様達の顔が見えた…

「……」(お父様…)

口を動かして声を出そうとしたが声が出ない…口がパクパクと動くだけだった。

すると頭に冷たい布が置かれる、ひんやりとして気持ちがいい…フーっと息を吐くと

「マリー、大丈夫?お熱があるみたいなの…無理して喋らなくていいからゆっくり休みなさい」

優しいお母様の声が今は心配そうに沈んでいた。

目を開こうとするが上手く開かない…そのままスーッとまた眠ってしまった。


「マリー…」

苦しそうなマリーの寝息に見守っていたジェラート達はため息をついた。

いつも周りを明るくしてくれるマリーが寝込んだだけで家は明かりが消えたように沈んでいた…

「ジェラート様!医師が見えました!」

するとトーマスが慌てて呼んだ医師を引っ張って連れたきた!

「トーマス!でかした!早く!早く見てください先生!」

ジェラート達は医師をマリーの前に座らせてその周りを囲むと…

「す、すみませんが離れて貰えます?そんなに見られていると診察出来ませんから…」

医師の男が困惑すると…

「嫌です!マリーのそばを離れるなんて出来ません」

「マリー…」

「お医者様…どうか、どうかマリーを助けて下さい」

「金ならいくらでもだす!今すぐマリーを治してくれ!」

全然話を聞かない家の者に医師はため息をついて諦めると…目の前で顔を赤くしている小さな女の子を見た。

髪をかきあげておでこを触ると少し熱い…確かに熱がある。

近くにいたメイドに頼んで抱き起こして貰うと目と喉の様子を確認する。

「先生…どうでしょうか?」

ジェラートが医師に聞くと…

「ただの風邪ですね」

あっさりとそう診断した。
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