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24.テオドール視点5

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お父様は私達の返事がわかっていたのか…既に用意してあった荷物を持つとトーマスとその子供を迎えに行った。

その夜のうちには帰れなかったようで、寂しがったマリーはお母様と私と一緒に寝たいと言い出した。

マリーと寝る…その寝顔をずっと見ていたことはあるが一緒に寝た事はない…そんな事をすれば…自分の気持ちを抑えきれなくなりそうだったからだ。

そんな私の気持ちを知らないマリーは私の精一杯張った壁を乗り越えて顔を覗き込む…

そんな可愛い顔を向けられたら、抱きしめたくなる…こんな小さくてか弱いこの子を力いっぱいこの腕に留めておきたい…何処にもいかないように…

そんな事は出来ないので私は笑ってやはり自分の部屋で寝ようとすると、マリーの顔がみるみる寂しさで変わっていってしまった。

その様子にマリーには可哀想だが嬉しくなる。そんなにも私と寝たいと思ってくれていることに…

マリーに負けてもう一度ベッドに入る…ここは前向きに考えよう…マリーと寝れる。

こんな事お父様がいたら恥ずかしくて出来ない…この時を楽しもう…

ふーと息を吐いて落ち着くとマリーが手を握ってきた…顔を見るとにっこりと笑ってその手を離す気は無いようだ…

どうしてこの子はこんなにも私の事を幸せにしてくれるのだろう…

私もマリーのふわふわな手をそっと握り返した…

そのうちにマリーからは規則正しい寝息が聞こえてきた…私みたいに緊張などはしないのだろう…苦笑して月明かりに照らさるマリーの寝顔を見つめた。

くすくすと笑い寝言で私の名前をつぶやくマリーの温もりと共に私も幸せな眠りにつくことが出来た。


お母様の起きる音に目が覚めると…

「あっテオドールさんごめんなさいね起こしてしまって…もう少し寝ててくれる?マリーがどうやらあなたの手を離さないみたいだから…」

お母様が優しく微笑んでそう言うと、私は自分の手を見る。

すると寝た時と同じように私とマリーはずっと握りしめ合いながら寝たようだ…

私は頷くと、ベッドに横になって寝ているマリーを見つめる。

マリーはうっすらとヨダレを垂らしながらプープーと息を吐いて幸せそうに寝ている…その寝顔をずっと見ていると視線に気がついたのか目を覚ます。

ポーっと呆けてこちらを見ている、その顔は可愛いがあまりにじっとしているので心配になり話しかけると慌てて返事が返ってくる。

挨拶をするとまだ眠そうな感じのままベッドの上で着替え出した…

まだ小さいのに一人で着替えるのか?

いや…小さい以前に侯爵家の令嬢になる子が一人で着替え?

驚いて手伝ってやろうとすると自分でやるからと拒否される…マリーは年の割にしっかりとしている。

メイドのリアズも全然手がかからないと言っていた…マリーは甘えるのが苦手なようだ…でも甘やかせてあげたいなぁ…

そこで私は寂しそうな顔をして手伝ってあげたいと言うとマリーが慌てて伺うように手伝って欲しいと頼んできた。

可愛い…

私は喜んでその着替えを手伝った。

リアズに頼んでマリーの服を用意して貰う、マリーに合わせて仕立てた服は何を着てもマリーに似合いそうだった…その中から黄色い可愛らしい服と青い清楚な服を選ぶ…マリーに何気なくどっちがいいか聞いてみると…

「お兄しゃまとおしょろいのこっち…」

そう言って青い服を指さした…

そう…確かに私は青い服を着ることが多い…まさかマリーがそんな事に気がついていたとは、しかもお揃いにしたいと…

固まる私にマリーが近づき心配そうに見上げる…

なんでこの子は…

私は溢れる嬉しさを抑える事が出来ずにマリーを抱きしめた。
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