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20.養子
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「お母様、お父様。マリーを連れてきました」
テオドールお兄様が扉をノックして声をかけると…
「どうぞ…」
トーマスさんが中から扉を開けてくれる。
「あいとー」
私はトーマスさんに笑顔でお礼を言うと、
「恐縮です、マリー様」
トーマスさんがニコッと微笑んだ。
うんうん朝から美形揃いで癒される。
しかし部屋に入るとパパとママが何やら難しい顔をして私達を迎えた。
「何かありましたか…?」
テオドールお兄様も両親の顔色に何か感じ取り不安そうな顔を見せた。
パパはママと頷き合うと私達に目線を合わせるように屈んで話し出した…
「実は私の叔父に当たる家の息子に子供が居ることがわかってな…」
うん?パパの叔父…って事はおじいちゃんの兄弟かな?それの息子…って事はパパの従兄弟か…
テオドールお兄様もわかっているようでコクリと頷いている。
「その馬鹿息子がその子供をどうも虐待していたようで…使用人の内部告発で初めてその子の存在がわかったんだ…その子はマリーと同じ3歳で…ずっと地下に隠されて暮らしていたらしい可哀想な子なんだ…それでこの話をフローラにしたところうちで養子として引き取らないかと言う話になって…」
「それは…」
テオドールが難しい顔をすると
「おとうとー!」
私は思わず叫んだ!
これは弟ができるイベントでは!?
確か小さい頃に引き取られた同じ歳の弟がいた!その子は姉にいじめられて寂しい少年時代を過ごす…そしてそれを癒してくれたのが主人公!!
弟は主人公に会うことで自分は生まれてきても良かったんだと自分と自信を取り戻していくんだ!
またこの弟くんが女の子みたいで可愛いんだ!
テオドールお兄様は髪の毛サラサラの正統派美青年!弟くんは目がクリクリで大きく、髪の毛もくせっ毛の美少年!
下手をすれば女性より可愛い男の娘だ!
妄想にふけっていると…
「マリーよく弟だとわかったね?」
まだ性別を言ってなかったパパが驚いていると
「おとうとほしかったの~」
アハハと笑って誤魔化した…不味い不味い、うっかり自分の欲が強くてバレるところだった。
「テオドールはどうかな?テオドールが反対するならこの話は無かった事にしようと思ってる…私達はお前の気持ちを無視してまで引き取ろうとは思ってないからね」
この数年でだいぶ優しくなったパパが伺うようにテオドールお兄様に聞くと…
「マリーは弟が欲しいの?」
何故かテオドールお兄様が私に確認してくる…なのでうん!と頷く。
弟が来ないと主人公と出会えないからね!
「私以外の兄弟が出来ても…私を好きでいてくれる?」
そんな事を聞いてきた。
あー、なるほど。仲のいい友達を取られちゃう様な気分になってるんだな…
しっかりとしたお兄様だと思ったが、まだ10歳…甘えたい年頃だよね。
私はウンウンと頷くと、テオドールを安心させるように抱きつく。
「マリー…お兄しゃまだいしゅきよ!ずっとずっとだいしゅき!」
兄を安心させるように抱きついてあげた。
それに大丈夫、もう少しすれば王子様に会えるからね!
そうすればお兄様…ふふ…寂しいことなんて無くなるよ!唯一無二の存在が出来るからね!
私はそんな未来を想像してとびっきりの笑顔で笑いかけた。
テオドールお兄様が扉をノックして声をかけると…
「どうぞ…」
トーマスさんが中から扉を開けてくれる。
「あいとー」
私はトーマスさんに笑顔でお礼を言うと、
「恐縮です、マリー様」
トーマスさんがニコッと微笑んだ。
うんうん朝から美形揃いで癒される。
しかし部屋に入るとパパとママが何やら難しい顔をして私達を迎えた。
「何かありましたか…?」
テオドールお兄様も両親の顔色に何か感じ取り不安そうな顔を見せた。
パパはママと頷き合うと私達に目線を合わせるように屈んで話し出した…
「実は私の叔父に当たる家の息子に子供が居ることがわかってな…」
うん?パパの叔父…って事はおじいちゃんの兄弟かな?それの息子…って事はパパの従兄弟か…
テオドールお兄様もわかっているようでコクリと頷いている。
「その馬鹿息子がその子供をどうも虐待していたようで…使用人の内部告発で初めてその子の存在がわかったんだ…その子はマリーと同じ3歳で…ずっと地下に隠されて暮らしていたらしい可哀想な子なんだ…それでこの話をフローラにしたところうちで養子として引き取らないかと言う話になって…」
「それは…」
テオドールが難しい顔をすると
「おとうとー!」
私は思わず叫んだ!
これは弟ができるイベントでは!?
確か小さい頃に引き取られた同じ歳の弟がいた!その子は姉にいじめられて寂しい少年時代を過ごす…そしてそれを癒してくれたのが主人公!!
弟は主人公に会うことで自分は生まれてきても良かったんだと自分と自信を取り戻していくんだ!
またこの弟くんが女の子みたいで可愛いんだ!
テオドールお兄様は髪の毛サラサラの正統派美青年!弟くんは目がクリクリで大きく、髪の毛もくせっ毛の美少年!
下手をすれば女性より可愛い男の娘だ!
妄想にふけっていると…
「マリーよく弟だとわかったね?」
まだ性別を言ってなかったパパが驚いていると
「おとうとほしかったの~」
アハハと笑って誤魔化した…不味い不味い、うっかり自分の欲が強くてバレるところだった。
「テオドールはどうかな?テオドールが反対するならこの話は無かった事にしようと思ってる…私達はお前の気持ちを無視してまで引き取ろうとは思ってないからね」
この数年でだいぶ優しくなったパパが伺うようにテオドールお兄様に聞くと…
「マリーは弟が欲しいの?」
何故かテオドールお兄様が私に確認してくる…なのでうん!と頷く。
弟が来ないと主人公と出会えないからね!
「私以外の兄弟が出来ても…私を好きでいてくれる?」
そんな事を聞いてきた。
あー、なるほど。仲のいい友達を取られちゃう様な気分になってるんだな…
しっかりとしたお兄様だと思ったが、まだ10歳…甘えたい年頃だよね。
私はウンウンと頷くと、テオドールを安心させるように抱きつく。
「マリー…お兄しゃまだいしゅきよ!ずっとずっとだいしゅき!」
兄を安心させるように抱きついてあげた。
それに大丈夫、もう少しすれば王子様に会えるからね!
そうすればお兄様…ふふ…寂しいことなんて無くなるよ!唯一無二の存在が出来るからね!
私はそんな未来を想像してとびっきりの笑顔で笑いかけた。
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