20 / 107
20.養子
しおりを挟む
「お母様、お父様。マリーを連れてきました」
テオドールお兄様が扉をノックして声をかけると…
「どうぞ…」
トーマスさんが中から扉を開けてくれる。
「あいとー」
私はトーマスさんに笑顔でお礼を言うと、
「恐縮です、マリー様」
トーマスさんがニコッと微笑んだ。
うんうん朝から美形揃いで癒される。
しかし部屋に入るとパパとママが何やら難しい顔をして私達を迎えた。
「何かありましたか…?」
テオドールお兄様も両親の顔色に何か感じ取り不安そうな顔を見せた。
パパはママと頷き合うと私達に目線を合わせるように屈んで話し出した…
「実は私の叔父に当たる家の息子に子供が居ることがわかってな…」
うん?パパの叔父…って事はおじいちゃんの兄弟かな?それの息子…って事はパパの従兄弟か…
テオドールお兄様もわかっているようでコクリと頷いている。
「その馬鹿息子がその子供をどうも虐待していたようで…使用人の内部告発で初めてその子の存在がわかったんだ…その子はマリーと同じ3歳で…ずっと地下に隠されて暮らしていたらしい可哀想な子なんだ…それでこの話をフローラにしたところうちで養子として引き取らないかと言う話になって…」
「それは…」
テオドールが難しい顔をすると
「おとうとー!」
私は思わず叫んだ!
これは弟ができるイベントでは!?
確か小さい頃に引き取られた同じ歳の弟がいた!その子は姉にいじめられて寂しい少年時代を過ごす…そしてそれを癒してくれたのが主人公!!
弟は主人公に会うことで自分は生まれてきても良かったんだと自分と自信を取り戻していくんだ!
またこの弟くんが女の子みたいで可愛いんだ!
テオドールお兄様は髪の毛サラサラの正統派美青年!弟くんは目がクリクリで大きく、髪の毛もくせっ毛の美少年!
下手をすれば女性より可愛い男の娘だ!
妄想にふけっていると…
「マリーよく弟だとわかったね?」
まだ性別を言ってなかったパパが驚いていると
「おとうとほしかったの~」
アハハと笑って誤魔化した…不味い不味い、うっかり自分の欲が強くてバレるところだった。
「テオドールはどうかな?テオドールが反対するならこの話は無かった事にしようと思ってる…私達はお前の気持ちを無視してまで引き取ろうとは思ってないからね」
この数年でだいぶ優しくなったパパが伺うようにテオドールお兄様に聞くと…
「マリーは弟が欲しいの?」
何故かテオドールお兄様が私に確認してくる…なのでうん!と頷く。
弟が来ないと主人公と出会えないからね!
「私以外の兄弟が出来ても…私を好きでいてくれる?」
そんな事を聞いてきた。
あー、なるほど。仲のいい友達を取られちゃう様な気分になってるんだな…
しっかりとしたお兄様だと思ったが、まだ10歳…甘えたい年頃だよね。
私はウンウンと頷くと、テオドールを安心させるように抱きつく。
「マリー…お兄しゃまだいしゅきよ!ずっとずっとだいしゅき!」
兄を安心させるように抱きついてあげた。
それに大丈夫、もう少しすれば王子様に会えるからね!
そうすればお兄様…ふふ…寂しいことなんて無くなるよ!唯一無二の存在が出来るからね!
私はそんな未来を想像してとびっきりの笑顔で笑いかけた。
テオドールお兄様が扉をノックして声をかけると…
「どうぞ…」
トーマスさんが中から扉を開けてくれる。
「あいとー」
私はトーマスさんに笑顔でお礼を言うと、
「恐縮です、マリー様」
トーマスさんがニコッと微笑んだ。
うんうん朝から美形揃いで癒される。
しかし部屋に入るとパパとママが何やら難しい顔をして私達を迎えた。
「何かありましたか…?」
テオドールお兄様も両親の顔色に何か感じ取り不安そうな顔を見せた。
パパはママと頷き合うと私達に目線を合わせるように屈んで話し出した…
「実は私の叔父に当たる家の息子に子供が居ることがわかってな…」
うん?パパの叔父…って事はおじいちゃんの兄弟かな?それの息子…って事はパパの従兄弟か…
テオドールお兄様もわかっているようでコクリと頷いている。
「その馬鹿息子がその子供をどうも虐待していたようで…使用人の内部告発で初めてその子の存在がわかったんだ…その子はマリーと同じ3歳で…ずっと地下に隠されて暮らしていたらしい可哀想な子なんだ…それでこの話をフローラにしたところうちで養子として引き取らないかと言う話になって…」
「それは…」
テオドールが難しい顔をすると
「おとうとー!」
私は思わず叫んだ!
これは弟ができるイベントでは!?
確か小さい頃に引き取られた同じ歳の弟がいた!その子は姉にいじめられて寂しい少年時代を過ごす…そしてそれを癒してくれたのが主人公!!
弟は主人公に会うことで自分は生まれてきても良かったんだと自分と自信を取り戻していくんだ!
またこの弟くんが女の子みたいで可愛いんだ!
テオドールお兄様は髪の毛サラサラの正統派美青年!弟くんは目がクリクリで大きく、髪の毛もくせっ毛の美少年!
下手をすれば女性より可愛い男の娘だ!
妄想にふけっていると…
「マリーよく弟だとわかったね?」
まだ性別を言ってなかったパパが驚いていると
「おとうとほしかったの~」
アハハと笑って誤魔化した…不味い不味い、うっかり自分の欲が強くてバレるところだった。
「テオドールはどうかな?テオドールが反対するならこの話は無かった事にしようと思ってる…私達はお前の気持ちを無視してまで引き取ろうとは思ってないからね」
この数年でだいぶ優しくなったパパが伺うようにテオドールお兄様に聞くと…
「マリーは弟が欲しいの?」
何故かテオドールお兄様が私に確認してくる…なのでうん!と頷く。
弟が来ないと主人公と出会えないからね!
「私以外の兄弟が出来ても…私を好きでいてくれる?」
そんな事を聞いてきた。
あー、なるほど。仲のいい友達を取られちゃう様な気分になってるんだな…
しっかりとしたお兄様だと思ったが、まだ10歳…甘えたい年頃だよね。
私はウンウンと頷くと、テオドールを安心させるように抱きつく。
「マリー…お兄しゃまだいしゅきよ!ずっとずっとだいしゅき!」
兄を安心させるように抱きついてあげた。
それに大丈夫、もう少しすれば王子様に会えるからね!
そうすればお兄様…ふふ…寂しいことなんて無くなるよ!唯一無二の存在が出来るからね!
私はそんな未来を想像してとびっきりの笑顔で笑いかけた。
22
お気に入りに追加
2,518
あなたにおすすめの小説
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
あなたの運命になりたかった
夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。
コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。
※一話あたりの文字数がとても少ないです。
※小説家になろう様にも投稿しています
悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました
黒木 楓
恋愛
旧題:悪役令嬢に転生するも魔法を使えることの方が嬉しかったから自由に楽しんでいると、王子に溺愛されました
乙女ゲームの悪役令嬢リリアンに転生していた私は、転生もそうだけどゲームが始まる数年前で子供の姿となっていることに驚いていた。
これから頑張れば悪役令嬢と呼ばれなくなるのかもしれないけど、それよりもイメージすることで体内に宿る魔力を消費して様々なことができる魔法が使えることの方が嬉しい。
もうゲーム通りになるのなら仕方がないと考えた私は、レックス王子から婚約破棄を受けて没落するまで自由に楽しく生きようとしていた。
魔法ばかり使っていると魔力を使い過ぎて何度か倒れてしまい、そのたびにレックス王子が心配して数年後、ようやくヒロインのカレンが登場する。
私は公爵令嬢も今年までかと考えていたのに、レックス殿下はカレンに興味がなさそうで、常に私に構う日々が続いていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる