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10.パパ陥落

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そんな事があってからパパは毎日の様にママと私の元を訪れる様になった…

暇さえあれば部屋に来てママと私を抱き寄せる日々…私もしょうがないと協力してやり、パパとママが近くにいないとぐするようにしてやった。

ある日、ママとパパが二人っきりで出かけると言うので私はリアズさんとトーマスさんのお世話になる事になった。

「あれ?今日はマリー様は泣きませんね?フローラ様とジェラート様も居ないのに?」

リアズさんが不思議そうに私を抱いて首を傾げる。

「お二人がいないと必ず泣くんですけどね…」

リアズの言葉にトーマスさんは微笑むと

「マリー様は旦那様と奥様の本当の愛の天使キューピットですね…今はお二人共とても幸せそうです」

嬉しそうに笑う姿に私は満足そうに頷いた。

そうだろそうだろ!

「ふふふ、本当にわかってあの二人を引き合わせていたように見えますね」

トーマスさんが笑って言うがリアズさんは疑っている。まぁ普通はそうだよね。

「まさか!まだマリー様は喋れもしない赤ちゃんですよ?」

「そうですが…どうもマリー様からは不思議な感じが致します」

ギクッ…

トーマスさんてば出来る執事だけどそこまで勘が良くなくていいんだよ…

私はリアズの影にそっと顔を隠した。

その夜、パパとママは楽しそうに帰ってくると私を間に挟んでベッドで眠る。

私の上で二人見つめ合いながら今日の楽しかったことなどを話している。ママが笑うとパパがそれを嬉しそうに頷きながら見つめていた…

そんな砂糖を吐きそうな甘い空気に耐えられず私は早々に眠りにつくことにした…

やってやれるか!ラブラブするなら他所でやってくれ!

そうは言いつつ気分はいい私は幸せな気持ちで眠りについた。



マリーが眠ると…

「寝たようだな…」

私はマリーのぷくぷくの頬っぺをそっと触ってつついた。

この頃やっと力加減がわかってきた。

「旦那様は本当にマリーの頬っぺが好きですね…」

フローラが嬉しそうにこちらを見つめている。

「フローラ、私の事は…」

「あっ…ジェ、ジェラート…様…」

恥ずかしそうに名前で呼ばれる。

「様はいらないと言ったじゃないか…」

私がマリーと同じようにフローラの赤くなった頬を優しく撫でる。

「で、ですが…」

「フローラは私の妻だろう?問題ない…」

そっとフローラの髪を掴むとそのふわふわの髪にそっとキスをする。

「私は本当にもったいない時間を過ごした…こんなにも君と娘が可愛いとは…お願いだどうか前の私を許してくれ」

今までの自分を許せずに謝罪する。

「そ、そんな!もったいないお言葉です。私はジェラート様のそばにいられて…妻になれてそれだけでもとても幸せでした…それなのにこんなにも愛してくださって…自分が幸せ過ぎて怖いくらいです…」

ギュッと自分の体を包むと微かに震えている。私は起き上がりフローラのそばに行くとその華奢な体を包み込んだ。

「これからは家族を大切にして君達を愛し抜くことを誓うよ…」

「ありがとうございます…」

フローラはその言葉にスっと涙を落とした。

「私に何か出来ることがあれば言って欲しい。何か欲しいものはないか?宝石か?ドレスか?花が咲き誇る庭園もいいな?」

フローラとマリーがそれを身につけることを想像してジェラートの顔が綻ぶと…

「では…ひとつだけお願いが…」

フローラは優しく私にその身を預けると、そっと耳元で囁いた。
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