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6.トラウマ
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助けてもらった日からナディアはルシファーの家に厄介になる事になった。
ルシファーは掃除も洗濯も料理もプロ並みだった。
ナディアも少しは手伝おうと声をかけるがかえって邪魔になるばかりだった。
「ナディアはラビと食材でも探してきて」
しかしナディアがどんなに失敗や迷惑をかけてもルシファーは怒ったり呆れたりする事は決してなかった。
ラビと森の中を歩き食べられそうな物を探す。
「ねぇラビ、人間達は魔族や魔物の事を誤解してるんじゃないかな…あなた達は私があったどんな人より親切で素敵だわ」
ナディアの中で魔族の誤解は完全に解けていた。
ラビは話を聞いているのかいないのか目の前の木の実に夢中だった。
「ルシファーの問いにはしっかりと反応するくせに!」
ナディアはラビのフリフリと揺れる可愛いお尻をツンとつついた。
するとラビの大きな耳がピンッ!と立ちナディアの方を睨みつける。
「あっ、ごめんねやりすぎた?」
ナディアが謝るがラビの注意はその後ろに向いていた。
ラビがじっと睨みつける先をナディアもそっとうかがう。
垣根の間に隠れながら様子をうかがう。
するとそこには町の近くでナディアを襲った男達がいた。
「くそ、あの娘どこに消えたんだ」
「もういいじゃんか、死んだんだよ。きっとあの魔物に食われたんだよ」
適当に周りの草や木を叩きながら歩いてきた。
「ボブロスキー様にはしっかりと殺したと報告するか、アレだけ脅したんだもう町に寄り付く事もないだろ」
「そうだな」
男達は笑いながら来た道を引き返して行った。
「はぁー」
ナディアは思いっきり息を吸い込むとパタッと地面に突っ伏した。
無意識に息を止めて気配を消していたようで一気に力が抜けた。
「あいつ…」
口では強かって見るが体は正直だった。
震えが止まらずにナディアは自分を抱きしめて落ち着こうとする。
するとラビが心配そうにそばに擦り寄ってきた。
「ラビ、来て」
手を差し出すとラビはいいよと言うように体を預ける。
ナディアはラビを抱きしめてその場にうずくまった。
どのくらいの時間そうしていたかわからないが辺りが暗くなってしまった。
帰ろうと思うのに体が動かない。
ナディアはラビのふわふわな毛に顔を埋めていた。
「ここにいたのか」
すると頭の上からルシファーの声が聞こえる。
ナディアは顔をあげるとルシファーが見下ろしていた。
「何があった?」
ナディアの怯えた様子にルシファーは聞いてきた。
淡々と一言ずつナディアは男達の事を説明した。
「もう諦めたと思ったけど…やっぱり人の方が怖いね。あはは…」
笑ってみるが力が出ない、思う様に笑えずに顔を背けるとルシファーからの返事はなかった。
呆れているのかと顔を見れずにいると…
「よいしょ」
ルシファーはナディアをだき抱えた。
「る、ルシファーさん?」
「腰を抜かしてるんだろ、黙って抱かれてな」
ルシファーは平気な顔でナディアを抱えながら来た道を戻る。
「お、重いから下りるよ。ちゃんと歩けるから」
ナディアが下ろしてと頼むがルシファーは聞いてくれなかった。
ルシファーに抱かれ、胸元にはラビが…二人に挟まれるとなんかほっとする。
ナディアは下りるのを諦めて身を預ける事にした。
ルシファーは掃除も洗濯も料理もプロ並みだった。
ナディアも少しは手伝おうと声をかけるがかえって邪魔になるばかりだった。
「ナディアはラビと食材でも探してきて」
しかしナディアがどんなに失敗や迷惑をかけてもルシファーは怒ったり呆れたりする事は決してなかった。
ラビと森の中を歩き食べられそうな物を探す。
「ねぇラビ、人間達は魔族や魔物の事を誤解してるんじゃないかな…あなた達は私があったどんな人より親切で素敵だわ」
ナディアの中で魔族の誤解は完全に解けていた。
ラビは話を聞いているのかいないのか目の前の木の実に夢中だった。
「ルシファーの問いにはしっかりと反応するくせに!」
ナディアはラビのフリフリと揺れる可愛いお尻をツンとつついた。
するとラビの大きな耳がピンッ!と立ちナディアの方を睨みつける。
「あっ、ごめんねやりすぎた?」
ナディアが謝るがラビの注意はその後ろに向いていた。
ラビがじっと睨みつける先をナディアもそっとうかがう。
垣根の間に隠れながら様子をうかがう。
するとそこには町の近くでナディアを襲った男達がいた。
「くそ、あの娘どこに消えたんだ」
「もういいじゃんか、死んだんだよ。きっとあの魔物に食われたんだよ」
適当に周りの草や木を叩きながら歩いてきた。
「ボブロスキー様にはしっかりと殺したと報告するか、アレだけ脅したんだもう町に寄り付く事もないだろ」
「そうだな」
男達は笑いながら来た道を引き返して行った。
「はぁー」
ナディアは思いっきり息を吸い込むとパタッと地面に突っ伏した。
無意識に息を止めて気配を消していたようで一気に力が抜けた。
「あいつ…」
口では強かって見るが体は正直だった。
震えが止まらずにナディアは自分を抱きしめて落ち着こうとする。
するとラビが心配そうにそばに擦り寄ってきた。
「ラビ、来て」
手を差し出すとラビはいいよと言うように体を預ける。
ナディアはラビを抱きしめてその場にうずくまった。
どのくらいの時間そうしていたかわからないが辺りが暗くなってしまった。
帰ろうと思うのに体が動かない。
ナディアはラビのふわふわな毛に顔を埋めていた。
「ここにいたのか」
すると頭の上からルシファーの声が聞こえる。
ナディアは顔をあげるとルシファーが見下ろしていた。
「何があった?」
ナディアの怯えた様子にルシファーは聞いてきた。
淡々と一言ずつナディアは男達の事を説明した。
「もう諦めたと思ったけど…やっぱり人の方が怖いね。あはは…」
笑ってみるが力が出ない、思う様に笑えずに顔を背けるとルシファーからの返事はなかった。
呆れているのかと顔を見れずにいると…
「よいしょ」
ルシファーはナディアをだき抱えた。
「る、ルシファーさん?」
「腰を抜かしてるんだろ、黙って抱かれてな」
ルシファーは平気な顔でナディアを抱えながら来た道を戻る。
「お、重いから下りるよ。ちゃんと歩けるから」
ナディアが下ろしてと頼むがルシファーは聞いてくれなかった。
ルシファーに抱かれ、胸元にはラビが…二人に挟まれるとなんかほっとする。
ナディアは下りるのを諦めて身を預ける事にした。
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