【完結】売られた令嬢

三園 七詩

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その後…三人

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「おとうさま!はやくおしごとにいかないとちこくしますよ!」

フレッドとロレッタの娘のアナイスはなかなか部屋を出ていこうとしないとフレッドに頬をふくらませて怒っていた。

「アナイス、部屋ではパパと呼んでくれないか?」

フレッドは怒られた事も嬉しくてニコニコと笑いながらアナイスを抱こうと手を伸ばす。

「おとうさま、わたくしはもう4才です!レディーなんです。だからもうパパとは呼びません」

ぷいっと横を向かれてフレッドはこの世の終わりのようにショックを受けた。

「ふふ、アナイスそのくらいにしてお父様に行ってらっしゃいのキスをしてあげて」

しょうがないなぁ~とアナイスはフレッドの服を引っ張って引き寄せると頬にキスをする。

「いってらっしゃいませ」

「はい、いってきます」

フレッドはコロッと機嫌を直して笑顔を見せた。

そして立ち上がると後ろで慈愛に満ちた顔で笑うロレッタに手を伸ばす。

ロレッタはフレッドの手を受け止めて顔を見ると

「あなた、気をつけて行ってらっしゃいませ」

「うむ」

顔が引き寄せ合うように近づくと、いつものキスをする

アナイスがそれをじっと見上げていた。

「おとうさまとおかあさまはいつもなかよしですね…」

少し拗ねたように唇を尖られせたアナイスがフレッドに文句を言った。

「お母様とは仲良しだがアナイスとだって負けてないぞ」

フレッドはたまらずにアナイスを抱き上げる。

「じゃあアナイスも一緒に」

ロレッタはそう言うとアナイスの頬にキスをする、フレッドはその逆の頬に。

二人に挟まれるようにキスをされて満足そうななアナイスはご機嫌でフレッドを送り出した。

「いってらっしゃいませ!」

フレッドが見えなくなるまで廊下で大きく手を振る。

フレッドは角を曲がるまで何度も何度も振り返っていた。

父親の姿が見えなくなると元気に手を振っていたアナイスの手が寂しそうにシュンと落ちた。

「いっちゃった…」

ボソッと呟き消えた先の廊下をいつまでも見ている。

「きっとアナイスに会いたくてすぐに帰ってくるわ、だからそれまでお母様と一緒にいい子に待っていましょう」

「はい」

アナイスはロレッタの手をとると部屋へと入った。

そして、ロレッタの読み通りフレッドは早々と仕事を終えて帰ってきた。

「ただいま!アナイスいい子にしてたかな?」

アナイスは顔を輝かせてフレッドに駆け寄った!

「もちろんです!おかあさまとおべんきょうしたり、はなつみしたり…あとは…」

「お絵描きもしたわよね」

「そう!おえかきも!」

アナイスは思い出したと描いた紙を持ってきてフレッドに見せる。

そこにはフレッドとロレッタ、間に小さなアナイスが仲良さそうに並んでいる絵だった。

「上手だな!アナイスは画家になれるな!」

フレッドはすごいと沢山褒めてアナイスを抱きしめた。

「がか?」

「絵を描く仕事よ、アナイスも可愛く描いてもらった事があるでしょ」

「いすにすわってかいてもらった…」

アナイスは思い出したあと顔を曇らせる。

「わたし、がかならない…」

「あら、どうして?」

ロレッタが理由を聞く。

「だって、かくときずっとじっとしてなきゃいけないんだもの…かわいそう」

どうもモデルの人が動けない事が大変だからと言う理由らしい。

自分の時大変だった時の事を思い出したようだ。

可愛い理由にフレッドとロレッタは顔を見合わせて笑い合う。

「優しいなアナイスは、君は将来何になるのかな…」

少し寂しそうにフレッドがアナイスの将来を想像する。

「わたし、おかあさまみたいになる!パパとけっこんする!あっ…パパじゃなくておとうさま…」

しまったと口を隠した。

「アナイス、お部屋ではパパでもいいのよ」

ロレッタが優しく頭を撫でた。

一方フレッドは目頭を抑えて声を押し殺して悶えていた。

アナイスはそんなフレッドの様子には気が付かず顔を覗き込む。

「やっぱり、パパってよんでもいい?」

朝に言った手前少し恥ずかしそうに確認する。

「もちろんだ、いつまでもアナイスが嫌だと思うまでパパはパパだよ」

「えへへ…うん。パパだいすき」

フレッドは一日の疲れが全て吹き飛んだ。

その後食事を一緒にすると湯浴みをさせてベッドに連れていく。

フレッドが一緒に添い寝をしているとアナイスは眠くないと目を開いた。

「わかった、眠らなくていいから目を閉じてパパの話を聞いてくれるかな?」

「うん、わかった。じゃあママとパパがあったときのおはなしして!」

アナイスは素直に目を閉じて耳を傾ける。

フレッドは笑ってロレッタとの出会いを話し始めた。

「……………こうしてパパはママへの気持ちに気がついたんだ…」

「スー…スー…」

話を途中にアナイスは可愛い寝息を立てた。

ロレッタが様子を見に来ると気持ちよさそうにねるアナイスの寝顔を幸せそうに見つめるフレッドがいた。

フレッドはアナイスにシーツをかけて灯りを落とすと部屋を出ていく。

「アナイスを寝かしつけてくれてありがとうございます。お仕事が忙しいのにすみません」

「なんて事はない、アナイスとの時間は私にとっても心休まる時間だ」

そう言ってロレッタの腰に手を回すとグイッと引き寄せた。

「もちろん…君との時間も…アナイスも早く寝た事だ。これからは二人の時を楽しもう」

「はい」

ロレッタは嬉しそうに微笑む。

ロレッタの返事にフレッドは腰に回した手をそのままに足に手をかけてロレッタを抱き上げた。

「あ、あなた!重いですよ」

「アナイスで鍛えている、ロレッタなんて軽いものだ」

フレッドは構わずにそのままロレッタをベッドに横たえた。

「あなた…」

ロレッタは潤んだ瞳でフレッドを見つめる。

「ここでは名前で呼んでくれ」

「フレッド…」

フレッドは満足そうに笑うとその唇を言葉ごと塞いだ。


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