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「シド、まだ準備は出来ないのか…」
フレッドはロレッタに会えない日々の寂しさから準備を急がせていた。
「フレッド様、ロレッタ様に相手にされないからって私に当たらないで下さい。余裕のない男は嫌われますよ」
「わかっている!わかっているから何も言わないで待ってるんじゃないか」
フレッドははぁ…とため息をつく。
その様子にシドは笑いながら答えた。
「ロレッタ様からご連絡がありまして、ご用意は終わったようですよ。こちらもあとは兵士達の選別が残ってますのでそれが済めばすぐにでも…ロレッタ様は時間があると思うので声をかけてみればいかがですか?」
「そうか!すまんなシド!」
フレッドは顔を輝かせるとお礼を言って足早にロレッタの部屋へと向かった。
シドはそんなフレッド様の後ろ姿を苦笑しながら眺めていた。
「ロレッタは居るか?」
フレッドは部屋の前の護衛に声をかけると、護衛達は慌てて扉の前から退いた。
「はい、先程エミリーさんとお二人で部屋へと戻られました」
「わかった。声をかけてくれ」
護衛が中のエミリーに声をかけると扉が開く。
そしてフレッド様の顔を見ると、笑って中へと促した。
「エミリー、ロレッタは…」
「しっ!」
エミリーにロレッタの事を聞こうとするとエミリーが指。口に当てて黙れと目で合図をする。
フレッドは疑問に思いながらもエミリーに従った。
フレッドが黙るとエミリーは手招きしてフレッド様を中へと誘導する。
そして中を眺めて笑いながら指をさした。
「エミリーさん、誰か来たのですか?」
久しぶりに聞くロレッタの声に胸が踊る。
ロレッタは何かしているのか後ろを振り向かずに声をかけた。
「いえ、なんでもありません。それよりも調子はどうですか?」
エミリーはフレッドに黙ってる様に口に手を当てながらロレッタと会話を始めた。
「はい、どうにか上手くいきそうです…」
ロレッタは何かを作っているようで真剣な様子で手を動かしていた。
エミリーがそばに行くとロレッタの手元を覗き込む。
「さすがロレッタ様です。大変お上手に出来てますよ」
「本当ですか?よかった…」
ほっとしたように作っている物を大事そうに抱きしめた。
「ええ、きっとフレッド様も喜んで下さいますよ」
え?
自分の名前が出てきて驚きエミリーを見るもニコニコと笑うばかりで黙っていろと口を押さえている。
「そうでしょうか…フレッド様に迷惑にはならないですよね?」
「ええ、大丈夫です」
エミリーは力強く頷いた。
「ロレッタ様にそれを作りたいと言われた時は驚きましたが…どうにか間に合いそうですね」
「はい…」
ロレッタの嬉しそうな声にフレッドはそれが何か気になって仕方なかった。
フレッドはロレッタに会えない日々の寂しさから準備を急がせていた。
「フレッド様、ロレッタ様に相手にされないからって私に当たらないで下さい。余裕のない男は嫌われますよ」
「わかっている!わかっているから何も言わないで待ってるんじゃないか」
フレッドははぁ…とため息をつく。
その様子にシドは笑いながら答えた。
「ロレッタ様からご連絡がありまして、ご用意は終わったようですよ。こちらもあとは兵士達の選別が残ってますのでそれが済めばすぐにでも…ロレッタ様は時間があると思うので声をかけてみればいかがですか?」
「そうか!すまんなシド!」
フレッドは顔を輝かせるとお礼を言って足早にロレッタの部屋へと向かった。
シドはそんなフレッド様の後ろ姿を苦笑しながら眺めていた。
「ロレッタは居るか?」
フレッドは部屋の前の護衛に声をかけると、護衛達は慌てて扉の前から退いた。
「はい、先程エミリーさんとお二人で部屋へと戻られました」
「わかった。声をかけてくれ」
護衛が中のエミリーに声をかけると扉が開く。
そしてフレッド様の顔を見ると、笑って中へと促した。
「エミリー、ロレッタは…」
「しっ!」
エミリーにロレッタの事を聞こうとするとエミリーが指。口に当てて黙れと目で合図をする。
フレッドは疑問に思いながらもエミリーに従った。
フレッドが黙るとエミリーは手招きしてフレッド様を中へと誘導する。
そして中を眺めて笑いながら指をさした。
「エミリーさん、誰か来たのですか?」
久しぶりに聞くロレッタの声に胸が踊る。
ロレッタは何かしているのか後ろを振り向かずに声をかけた。
「いえ、なんでもありません。それよりも調子はどうですか?」
エミリーはフレッドに黙ってる様に口に手を当てながらロレッタと会話を始めた。
「はい、どうにか上手くいきそうです…」
ロレッタは何かを作っているようで真剣な様子で手を動かしていた。
エミリーがそばに行くとロレッタの手元を覗き込む。
「さすがロレッタ様です。大変お上手に出来てますよ」
「本当ですか?よかった…」
ほっとしたように作っている物を大事そうに抱きしめた。
「ええ、きっとフレッド様も喜んで下さいますよ」
え?
自分の名前が出てきて驚きエミリーを見るもニコニコと笑うばかりで黙っていろと口を押さえている。
「そうでしょうか…フレッド様に迷惑にはならないですよね?」
「ええ、大丈夫です」
エミリーは力強く頷いた。
「ロレッタ様にそれを作りたいと言われた時は驚きましたが…どうにか間に合いそうですね」
「はい…」
ロレッタの嬉しそうな声にフレッドはそれが何か気になって仕方なかった。
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