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「そんな…馬鹿な…」
ペストンは王子の行った意味を考える。
「いや、嘘でしょ。そう言って俺から何か言わせようと…」
「バレたか…」
フレッドはにやりと笑う。
「だが容態が悪いのは本当らしいぞ…」
シドから渡された資料を眺めてそう言うと
「そうですか、まぁ可哀想だが仕方ない。妹は器量もいいし、そのうちに見初められて治療費も出して貰えるかもしれないから」
「だがな、治療には特殊な薬が必要なんだろ?それを作れるのはルフレシア嬢の家だけみたいだな」
「へぇ…すごい偶然だな…」
ペストンは驚いたフリをする。
「だが残念だ…ルフレシアが捕まった今薬の開発も止めねばなるまい」
「なっ!なぜだ!ルフレシア様は何もしていない!それに薬を作っているのはルフレシア様では無い…関係ないだろう」
「そうもいかないんだよ、ルフレシアは王族しか使えないあの部屋の使用に君をここに招き入れた罪がある。重い罪にならなくても罪は罪…しばらくは出られないぞ」
「ルフレシア様はなんて…」
「概ね罪を認めている」
「クソっ!」
ペストンは床を拳で叩きつけた。
「妹の事だが…良かったらこちらで治療を引き受けようか?」
「え?」
フレッドの言葉にペストンは驚いて顔をあげた。
「今回の事を洗いざらい正直に話せ、そうすれば妹は助けてやる」
「本当か?病気が治ってその後の面倒まで見てくれるのか?」
「その後…はどうかな?」
「……なら俺が知ってる貴族達の秘密を全て教える…あんたの近くにいる奴らも腹では色々と企んでるのが多いんだぞ」
フレッドとシドは顔を見合わせた。
「よし、交渉成立だな。シド早速こいつの妹を王宮の病院に…」
「はい」
「じゃあお前は全て話せよ」
「わかった…」
ペストンが素直に頷くのを見届けてフレッドは牢屋を出ていった。
王子達と入れ替わるように話を聞く尋問官が中へと入った。
「これでルフレシア嬢の事も捌けますね」
シドに言われて頷くが、ロレッタがなんというか不安だった。
嫌われたくは無いがやはりロレッタにした事を思えば国の為、王子としても裁かない訳にはいかなかった。
フレッドはその足で再びロレッタの元に戻ってくると、ちょうど手紙を書き終えたロレッタが待っていた。
「フレッド様、ちょうど書き終えました」
可愛らしい便箋で無くて真っ白な無地の便箋を手渡される。
「これでいいのか?」
「はい、それで…もうこの一枚だけに思いのたけを書きました」
「わかった…必ず渡す、だけど言わなくてはならない事がある。ルフレシアのした事はやはり許されることでは無い…もちろん私の過失もある、それは国王に報告の後に裁いてもらうつもりだ」
「わかりました」
ロレッタは思いの外傷ついた様子を見せずに頷いた。
フレッドはロレッタにもう少し休んでいるように言うとそっと抱きついて頬にキスをした。
「行ってくる」
「い、行ってらっしゃい…ませ…」
ロレッタは驚いた様子を見せながら反射的に返事を返した。
名残惜しげにその髪を触ってフレッドはエミリーに声をかけて部屋を出ていった。
ペストンは王子の行った意味を考える。
「いや、嘘でしょ。そう言って俺から何か言わせようと…」
「バレたか…」
フレッドはにやりと笑う。
「だが容態が悪いのは本当らしいぞ…」
シドから渡された資料を眺めてそう言うと
「そうですか、まぁ可哀想だが仕方ない。妹は器量もいいし、そのうちに見初められて治療費も出して貰えるかもしれないから」
「だがな、治療には特殊な薬が必要なんだろ?それを作れるのはルフレシア嬢の家だけみたいだな」
「へぇ…すごい偶然だな…」
ペストンは驚いたフリをする。
「だが残念だ…ルフレシアが捕まった今薬の開発も止めねばなるまい」
「なっ!なぜだ!ルフレシア様は何もしていない!それに薬を作っているのはルフレシア様では無い…関係ないだろう」
「そうもいかないんだよ、ルフレシアは王族しか使えないあの部屋の使用に君をここに招き入れた罪がある。重い罪にならなくても罪は罪…しばらくは出られないぞ」
「ルフレシア様はなんて…」
「概ね罪を認めている」
「クソっ!」
ペストンは床を拳で叩きつけた。
「妹の事だが…良かったらこちらで治療を引き受けようか?」
「え?」
フレッドの言葉にペストンは驚いて顔をあげた。
「今回の事を洗いざらい正直に話せ、そうすれば妹は助けてやる」
「本当か?病気が治ってその後の面倒まで見てくれるのか?」
「その後…はどうかな?」
「……なら俺が知ってる貴族達の秘密を全て教える…あんたの近くにいる奴らも腹では色々と企んでるのが多いんだぞ」
フレッドとシドは顔を見合わせた。
「よし、交渉成立だな。シド早速こいつの妹を王宮の病院に…」
「はい」
「じゃあお前は全て話せよ」
「わかった…」
ペストンが素直に頷くのを見届けてフレッドは牢屋を出ていった。
王子達と入れ替わるように話を聞く尋問官が中へと入った。
「これでルフレシア嬢の事も捌けますね」
シドに言われて頷くが、ロレッタがなんというか不安だった。
嫌われたくは無いがやはりロレッタにした事を思えば国の為、王子としても裁かない訳にはいかなかった。
フレッドはその足で再びロレッタの元に戻ってくると、ちょうど手紙を書き終えたロレッタが待っていた。
「フレッド様、ちょうど書き終えました」
可愛らしい便箋で無くて真っ白な無地の便箋を手渡される。
「これでいいのか?」
「はい、それで…もうこの一枚だけに思いのたけを書きました」
「わかった…必ず渡す、だけど言わなくてはならない事がある。ルフレシアのした事はやはり許されることでは無い…もちろん私の過失もある、それは国王に報告の後に裁いてもらうつもりだ」
「わかりました」
ロレッタは思いの外傷ついた様子を見せずに頷いた。
フレッドはロレッタにもう少し休んでいるように言うとそっと抱きついて頬にキスをした。
「行ってくる」
「い、行ってらっしゃい…ませ…」
ロレッタは驚いた様子を見せながら反射的に返事を返した。
名残惜しげにその髪を触ってフレッドはエミリーに声をかけて部屋を出ていった。
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