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「確か…勇者カズキは死んだって噂が流れているわよね…それにあの手配書とは全然違う…」

昨日見た顔を思い出すと

「魔法で姿を変えているのさ、この国のおかげでカズキは自由に出歩けなくなったからな」

「そんな…でも…なんであなたは手を貸しているの…国に言えば一生…いえ…何代も先までゆうゆう暮らせる金が手に入るのに」

「カズキは仲間だ、それに…カズキはなんにも犯罪なんか犯していない…悪いのは全部この国と国王達だ」

ラルクが声を荒らげると

「まぁ確かにこの国の国王ならやりかねないわね…」

ダレンが頷くと

「でもいいの?私にそんな事話して…私が国に言ったらどうするつもり?」

「その時は俺がお前を殺す…まぁカズキも黙っちゃいないだろうがな…」

ラルクが笑うと

「それは怖いわね…」

ダレンはクスッと笑った。

「まぁ誰にも言わないわよ。言う相手もいないしね。私が言ったところで誰も信じないだろうし」

ダレンが肩をすぼめると、片付けを終えたエイトが近づいてきた。

「師匠片付け終わったよ~」

笑顔で話している二人を見つめると

「おつかれ、ありがとうな」

ラルクが立ち上がってエイトの頭を撫でる。

「師匠、これからどうするの?」

「そうだな…もう一度森と村に行って現状確認してたら依頼終了だな」

「えっ!?終わったの?」

「ああ、コイツの話で大体の事はわかったからな」

「村に行くなら…ちょっと寄りたいところあるんだけど…」

エイトはモジモジしながらラルクを見つめると

「可愛いわぁ~!私が付き合ってあげましょうか?」

ダレンがエイトにギュッと抱きついた!

「えっいいの?」

エイトがパァと顔を明るくすると

「なんでお前が行くんだ!行くなら俺が付き合う」

エイトからダレンを引き離すと

「何よ~ケチねぇ」

ダレンがブツブツと文句を言う。

エイトは、クスクス笑いながら二人を見つめていた。

四人は様子を伺いながら村に向かうが…町は静まり返っていた…

「誰もいないね」

エイトが村を見つめるが武装した男もいない。

「とりあえず村に入ってみるか、襲われてもいいように警戒だけは怠るなよ」

「はい!」

エイトはジャックと並んでラルクの後ろを歩いていくと…

「あっ!おはよう。お前村に泊まらなかったんだな」

門番のライトがエイトに気がついて声をかけてきた。

「お、おはようございます」

エイトがペコッと頭を下げると

「昨日素材と肉を取りに来なかっただろ?もう用意されてるはずだぜ」

「肉?」

ラルクがエイトを見ると

「あー…」

エイトが思い出した。

「昨日依頼受けて肉を後で取りに行く予定だったんだ。あと討伐のお金も貰ってた!」

カバンをゴソゴソとあさると…

「あった!」

お金をラルクに渡す。

ずっしりと思いお金を受け取るとラルクは

「これはお前が受け取った報酬だろ?ならお前のもんだ。ちゃんと自分で管理できるか?」

「えっ!いいの」

報酬を返されてエイトはラルクを見ると優しそうな顔で頷いている。

「じゃその素材も取りにいくか、ついでにギルドにも話を聞きたいしな」

ラルク達はとりあえずギルドに向かった。
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