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エイトは山爺の家に着くと
「山爺!大丈夫!?」
扉をノックして返事も待たずに家に入ると、山爺が驚いた顔で椅子に座っていた。
「山爺!なんで歩いてるの!寝てなきゃ駄目だよ!」
「エイトの帰りが遅いから心配だったんだ…よかった…無事だったんだな」
「うん、大丈夫だよ」
エイトは笑って答えるが
「なんかあったのか?」
山爺はいつもより元気がないエイトに気がついた。
「すまんな…やっぱりお前に町に行かせるべきじゃなかった」
山爺が謝ると
「ううん!いつかは行ってたよ、だから大丈夫!」
「そうか…でも素直になってもいいんだからな」
山爺がエイトの肩をトンと叩いた。
エイトは山爺に薬を渡すと
「薬屋のおばあさんがまた近々行くって言ってたよ」
「そうか、あの偏屈ババアに変な事言われなかったか?」
「えっ?ううん!とっても優しかった!また来いって言ってくれたよ」
「そうか…エイトの素直な気持ちにあのババアも落ちたか…」
山爺は笑うと
「さぁもう俺は大丈夫だから母ちゃんのところに帰りな!気をつけるんだぞ」
「うん!大丈夫知り合いのおじさんも一緒だから」
外で待ってるラルクを見ると
「ああ…なるほど」
山爺も納得する。
「じゃあな、エイトありがとうよ」
「うん!山爺のもゆっくり休んでね」
エイトは山爺に手を振ってラルクと家へと向かった。
「ラルクおじさん、ありがとう!」
エイトがラルクにお礼を言うと
「なんだ?いきなり」
「ちゃんとお礼を言ってなかったと思って、山爺の所に寄ってくれて、あと助けてくれて…」
「あんなの助けたうちに入らんだろ?それにお前なら避けられたよな?」
ここまで来る道を走りながらきて、ラルクはエイトがそこそこ戦えると思っていた。
「うん…でもあの時は体が動かなかったから…」
エイトが微妙に笑う。
「やっぱりカズキに育てられただけはあるな、その年でここまで走れるもんでもないだろ?」
「えっ?わかんない…僕じいちゃんとジャックとしか走った事ないから…あの二人には全然敵わないし…」
「当たり前だろ!カズキに勝てるやつなんざ…いるのかこの国に?」
ボソッとつぶやく…
「早くじいちゃんぐらい強くなって僕もお金を稼げるようになりたいなぁ…」
「なんだ?エイトは冒険者になりたいのか?」
「ぼうけんしゃってなぁに?」
エイトは聞いた事のない言葉にききかえす。
「冒険者ってのはギルドに入ってそこにきた依頼をこなして報酬を貰うんだ。カズキだって元冒険者だぞ」
「えっ!そうなの?じいちゃん山で採れた物を売りに行ってるって言ってたけど…」
「まぁ冒険者にならなくてもカズキなら珍しい植物や魔物の肉を取って普通に売ればそこそこ暮らして行けるだろうしな」
「ふーん…ラルクおじさんも冒険者なの?」
「ああそうだ、俺には性にあってるからな。魔物を倒したり護衛で他の町に行ったりしてるぜ」
「へぇー!」
エイトが目をキラキラとさせてラルクを見つめる!
「ここにも依頼で近くを通ったからどうせなら寄って行こうと思ってな」
「そうなんだ!」
ラルクおじさんと話をしながら戻っているとあっという間に家へと辿り着いた。
「ほら、お前の母ちゃんが心配そうに立ってるぞ」
ラルクおじさんが言う方を見るとナナミが祈る様に手を合わせてウロウロと家の周りを歩いていた。
エイトはナナミを見つけると…
「ナナミー!ただいま!」
ナナミに駆け寄った!
「山爺!大丈夫!?」
扉をノックして返事も待たずに家に入ると、山爺が驚いた顔で椅子に座っていた。
「山爺!なんで歩いてるの!寝てなきゃ駄目だよ!」
「エイトの帰りが遅いから心配だったんだ…よかった…無事だったんだな」
「うん、大丈夫だよ」
エイトは笑って答えるが
「なんかあったのか?」
山爺はいつもより元気がないエイトに気がついた。
「すまんな…やっぱりお前に町に行かせるべきじゃなかった」
山爺が謝ると
「ううん!いつかは行ってたよ、だから大丈夫!」
「そうか…でも素直になってもいいんだからな」
山爺がエイトの肩をトンと叩いた。
エイトは山爺に薬を渡すと
「薬屋のおばあさんがまた近々行くって言ってたよ」
「そうか、あの偏屈ババアに変な事言われなかったか?」
「えっ?ううん!とっても優しかった!また来いって言ってくれたよ」
「そうか…エイトの素直な気持ちにあのババアも落ちたか…」
山爺は笑うと
「さぁもう俺は大丈夫だから母ちゃんのところに帰りな!気をつけるんだぞ」
「うん!大丈夫知り合いのおじさんも一緒だから」
外で待ってるラルクを見ると
「ああ…なるほど」
山爺も納得する。
「じゃあな、エイトありがとうよ」
「うん!山爺のもゆっくり休んでね」
エイトは山爺に手を振ってラルクと家へと向かった。
「ラルクおじさん、ありがとう!」
エイトがラルクにお礼を言うと
「なんだ?いきなり」
「ちゃんとお礼を言ってなかったと思って、山爺の所に寄ってくれて、あと助けてくれて…」
「あんなの助けたうちに入らんだろ?それにお前なら避けられたよな?」
ここまで来る道を走りながらきて、ラルクはエイトがそこそこ戦えると思っていた。
「うん…でもあの時は体が動かなかったから…」
エイトが微妙に笑う。
「やっぱりカズキに育てられただけはあるな、その年でここまで走れるもんでもないだろ?」
「えっ?わかんない…僕じいちゃんとジャックとしか走った事ないから…あの二人には全然敵わないし…」
「当たり前だろ!カズキに勝てるやつなんざ…いるのかこの国に?」
ボソッとつぶやく…
「早くじいちゃんぐらい強くなって僕もお金を稼げるようになりたいなぁ…」
「なんだ?エイトは冒険者になりたいのか?」
「ぼうけんしゃってなぁに?」
エイトは聞いた事のない言葉にききかえす。
「冒険者ってのはギルドに入ってそこにきた依頼をこなして報酬を貰うんだ。カズキだって元冒険者だぞ」
「えっ!そうなの?じいちゃん山で採れた物を売りに行ってるって言ってたけど…」
「まぁ冒険者にならなくてもカズキなら珍しい植物や魔物の肉を取って普通に売ればそこそこ暮らして行けるだろうしな」
「ふーん…ラルクおじさんも冒険者なの?」
「ああそうだ、俺には性にあってるからな。魔物を倒したり護衛で他の町に行ったりしてるぜ」
「へぇー!」
エイトが目をキラキラとさせてラルクを見つめる!
「ここにも依頼で近くを通ったからどうせなら寄って行こうと思ってな」
「そうなんだ!」
ラルクおじさんと話をしながら戻っているとあっという間に家へと辿り着いた。
「ほら、お前の母ちゃんが心配そうに立ってるぞ」
ラルクおじさんが言う方を見るとナナミが祈る様に手を合わせてウロウロと家の周りを歩いていた。
エイトはナナミを見つけると…
「ナナミー!ただいま!」
ナナミに駆け寄った!
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