【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
9 / 177

きゅー

しおりを挟む
「落ち着け勇者よ…我らも最初はそのつもりだった…しかしお前達が旅立った後に魔方陣を動かして見たが…」

王が言葉を詰まらせる

「どうなった」

カズキが先を促すと

「結論から言うと勇者達…お前らを帰す事は出来ない…」

王は目を逸らした。

「なんだって…」

「うそ…」

カズキは唖然とすると横ではナナミが口を覆っていた…

「そこでだ我らは勇者をこの国に迎えたいと思っている…」

そう言うと王は側近に合図を出すと…側近が綺麗な女の子を連れてきた。

「誰だ…」

カズキがいきなり現れた女の子を見ると

「わしの娘のメアリーだ、勇者には娘と結婚してもらいこの国の住人となって頂きたい」

「はぁ?何言ってんだあんた…」

カズキは思わず素で喋る。

「君らは異国から来た者だ、だがメアリーと結婚すればこの国の者と認めよう。そうすればわしの息子としてこの城に住まわすことを許す」

「許す?」

あまりの言い分に呆れていると…ふとナナミの事を思う。

「俺はそうなったとして…ナナミはどうなるんだ?」

カズキが隣のナナミを見ると

「彼女にも結婚をしたいと言う貴族が何人か声をかけてきた…その中からランドール侯爵が是非と言ってきたので彼と結婚せよ」

「ランドール侯爵…」

ナナミが呟くと…

「あれだよ!旅立つ前に君の体をじろじろと見てたハゲ親父…」

フールがナナミとカズキにそっと呟く…

「あんな倍以上歳の離れたオヤジとナナミを!ふざけるな!」

カズキがダンッ!と足を踏みつけると地面に亀裂が走る…

「もういい…俺達は出ていく。お前らともう関わる事は無いだろう、ナナミ行こう」

カズキがナナミに手を差し出す…

「でも…カズキあなただけでもお姫様と結婚すればこの国で幸せになれるかも…」

ナナミがカズキの手を掴むことを怯んでいる。

「あんなはじめて見た女どうでもいいよ…俺は…ナナミが好きなんだ」

カズキがナナミを見ると…

「お!ようやく言ったな!」

ラルクがニヤニヤと笑う。

「カズキ…」

「元の世界に帰りたかったのも…そこで告白しようと決めてたからさ…でももう帰れないなら今言う!ナナミ!お前に会った時からずっと好きだった!」

差し出した手をそのままにカズキは頭を下げた…

すると小さな柔らかい手がカズキの手を掴む。

「私も…カズキが好き…ずっと好きだった…」

カズキはバッと顔を上げると、目の前には目をうるませて笑う美しいナナミの顔があった…

「やっとくっついたか…」

「見てるこっちが焦れったかったもんな」

フールとラルクの二人だけが想いが通じたカズキとナナミの事を喜んでいると…

「何を馬鹿な事を…そんな事をすればこの国には居られなくなるぞ」

王が冷たく勇者達を睨みつける。

「それがこの国を救った勇者に向ける顔ですか?」

「それはそれ、これはこれだ。どうするんだ選べ、今ならまだ許してやろう。メアリーを選ぶならずっとこのこの国の為に働くだけで許してやろう」

「俺はナナミを選ぶ」

「だよな」

「当たり前だ!姫を選んだとしたら俺がこいつを殴る」

フールとラルクが頷き合うとカズキに拳を向けた。

「わかった…どうやら魔王の討伐に向かった勇者達は魔王の力によって気を狂わされていたようだ…残念だが…これより勇者…いや反逆者を殺すんだ!」

王が命令を下すと部隊兵達が剣を構えた!

「フール、ラルクお前達は手を出すな!こいつらは関係ない!」

カズキがナナミを背に庇うとフール達に声をかける。

「はっ!何を今更…もう俺達だってこの国にはいれねぇよ!」

ラルクが剣を抜く。

「本当ですよ…どう責任取ってもらおうか、……」

フールが魔法の為に呪文を唱える。

「すまない、みんな…」

カズキがフール達に謝ると

「「気にすんな」」

二人は心底嬉しそうに笑って答えた。

しおりを挟む
感想 210

あなたにおすすめの小説

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

処理中です...