3 / 177
さん
しおりを挟む
その日、あまり寄り付かない村に下りたのは必然だったのか…
俺は魔法で姿を変えると村に買い物に行った…国から追われる身としてはあまり人前に出たくないが食料が無くてはどうにもならない。
見た目を変えているからまぁバレる事は無いだろうが…
無事誰にも気付かれることなく買い物を終えて家に帰ろうとしていると、橋の下に何かうずくまるのを見つけた…
動物か魔物か?
チラッと見ると、それは年端もいかない子供だった…
髪はボサボサでこの寒い雨の中肌着一枚で震えていて、靴も履かずにいたであろう足の裏は血で滲んでいた…
その子は泣く事もなく何かを我慢するように唇を噛み締め震えている…
(いや…俺が拾ってもこの子が困るだけだ…)
そう思って通り過ぎる…しかし道半分来たところでくるっと向きを変えて早足で戻ってしまっていた。
するとそこには先程と同じ格好でその子が倒れていた…しかしもう震えは止まっている。
近くには死体に群がる魔鳥が子供をじっと見つめていた…
俺は持っていた布でその子を包んで抱き上げると…
魔鳥が不服そうにギャーギャーと騒ぎ出す。
飯を持っていくなとでも言うように…
俺はギロっと人睨みして殺気を飛ばすと…バサァッ!
魔鳥が逃げるように飛び去っていった…
俺は見た目以上に軽い子供を連れて帰路についた。
家についた俺を待っていたのは最愛の妻だった…彼女は俺の手元を見るなり
「まぁ!どうしたのその子!」
驚きの声をあげた
「道で倒れていた…あのままだと死んでしまいそうで思わず連れてきてしまった…」
俺が連れてきた事がよかったのか悩んでいると
「あなたのした事は正しいと思うわ、いつでもね…」
妻は俺が考えている事を見透かすようににっこりと笑うと俺達を笑顔で迎え入れた。
子供を空いている部屋のベッドに寝かせると布団をかけてあげる…時折苦しそうにうなされる子供の頭を撫でるとほっとしたように顔を緩める…その姿が愛おしく感じた…
「起きたらきっとお腹が空いてるわよね、私今のうちに何か作っておくわ!いきなりお肉とかよりはスープみたいな優しいのがいいわよね!」
妻は久しぶりの客人が来たようにウキウキしていた。
子供をベッドに寝かせてながら時折様子を見に行った。
何度目かに部屋に行くと子供が起き上がり布団に顔を埋めていた…
声をかけると怯えた顔でこちらを見る…その目には光を感じない…
こんな小さな子供がもう生を諦めた様な顔をしていた…
俺はなるべく刺激しないように優しく話しかけた…
気分は?痛いところは?
近づいて顔を見ると髪に隠れていたおでこの辺りが赤黒くなっている…
痛そうな怪我を心配して手を伸ばすと…ビクッと肩を動かし怯えるように体を強ばらせた…
(なんだ、この反応は…まるで叩かれるのを恐れてる?こんな小さな子が?)
少し迷ったがそっと頭に手を乗せて回復魔法をかける…やはり怪我だけは治してやりたかった。
怯える子に安心させるように声をかけ腹は減ってないかと聞くと、正直な腹の虫が鳴って答えた。
思わず笑うと、子供は拒否するように首を振って自分の腹を殴りだした。
鳴るな!とでも言うように腹をギュッと押さえていた…
なんて痛々しいんだ…
子供の叩く手を止めるとなり続ける腹に子供が気まずそうにする…俺は笑って誤魔化してやると子供の肩にそっと手を置くと優しく背中を撫でていた…
俺は魔法で姿を変えると村に買い物に行った…国から追われる身としてはあまり人前に出たくないが食料が無くてはどうにもならない。
見た目を変えているからまぁバレる事は無いだろうが…
無事誰にも気付かれることなく買い物を終えて家に帰ろうとしていると、橋の下に何かうずくまるのを見つけた…
動物か魔物か?
チラッと見ると、それは年端もいかない子供だった…
髪はボサボサでこの寒い雨の中肌着一枚で震えていて、靴も履かずにいたであろう足の裏は血で滲んでいた…
その子は泣く事もなく何かを我慢するように唇を噛み締め震えている…
(いや…俺が拾ってもこの子が困るだけだ…)
そう思って通り過ぎる…しかし道半分来たところでくるっと向きを変えて早足で戻ってしまっていた。
するとそこには先程と同じ格好でその子が倒れていた…しかしもう震えは止まっている。
近くには死体に群がる魔鳥が子供をじっと見つめていた…
俺は持っていた布でその子を包んで抱き上げると…
魔鳥が不服そうにギャーギャーと騒ぎ出す。
飯を持っていくなとでも言うように…
俺はギロっと人睨みして殺気を飛ばすと…バサァッ!
魔鳥が逃げるように飛び去っていった…
俺は見た目以上に軽い子供を連れて帰路についた。
家についた俺を待っていたのは最愛の妻だった…彼女は俺の手元を見るなり
「まぁ!どうしたのその子!」
驚きの声をあげた
「道で倒れていた…あのままだと死んでしまいそうで思わず連れてきてしまった…」
俺が連れてきた事がよかったのか悩んでいると
「あなたのした事は正しいと思うわ、いつでもね…」
妻は俺が考えている事を見透かすようににっこりと笑うと俺達を笑顔で迎え入れた。
子供を空いている部屋のベッドに寝かせると布団をかけてあげる…時折苦しそうにうなされる子供の頭を撫でるとほっとしたように顔を緩める…その姿が愛おしく感じた…
「起きたらきっとお腹が空いてるわよね、私今のうちに何か作っておくわ!いきなりお肉とかよりはスープみたいな優しいのがいいわよね!」
妻は久しぶりの客人が来たようにウキウキしていた。
子供をベッドに寝かせてながら時折様子を見に行った。
何度目かに部屋に行くと子供が起き上がり布団に顔を埋めていた…
声をかけると怯えた顔でこちらを見る…その目には光を感じない…
こんな小さな子供がもう生を諦めた様な顔をしていた…
俺はなるべく刺激しないように優しく話しかけた…
気分は?痛いところは?
近づいて顔を見ると髪に隠れていたおでこの辺りが赤黒くなっている…
痛そうな怪我を心配して手を伸ばすと…ビクッと肩を動かし怯えるように体を強ばらせた…
(なんだ、この反応は…まるで叩かれるのを恐れてる?こんな小さな子が?)
少し迷ったがそっと頭に手を乗せて回復魔法をかける…やはり怪我だけは治してやりたかった。
怯える子に安心させるように声をかけ腹は減ってないかと聞くと、正直な腹の虫が鳴って答えた。
思わず笑うと、子供は拒否するように首を振って自分の腹を殴りだした。
鳴るな!とでも言うように腹をギュッと押さえていた…
なんて痛々しいんだ…
子供の叩く手を止めるとなり続ける腹に子供が気まずそうにする…俺は笑って誤魔化してやると子供の肩にそっと手を置くと優しく背中を撫でていた…
21
お気に入りに追加
2,051
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる