17 / 23
第16話
しおりを挟む
「喜んでいるところ悪いが、群生地に山落ちが現れて、ナワバリにしている」
「はっ? 山落ちだと?」
山落ちとは、龍のことだ。各地に龍峰と呼ばれる高い山がいくつも存在する。一つの山に支配者は一体、争いに敗れた龍は山を下る。そして、低い山に雌伏する。元支配者の手負いの龍を示す隠語だ。
「だから、今回、『異界の勇者』たちに調査を依頼した。……したんだが」
「あの、そこからは、わたしが話します」
ギルマスに視線で促された少女が喋り出した。
「赤い龍でした」
「赤い龍? 見たのか? よく無事だったな」
赤い龍は気性が荒い。下級種なら、異世界チート持ちにとってなら美味しい素材モンスター枠になる。しかし、上位種なら話は別になる。実質、魔王なんかより強い存在である。
「はい、その龍は、言葉を解し、私たちは逃がされました。
「喋る龍か……」
「?? ろくでなし? なんの話をしてるです?」
「あっ? あぁ、すまない。山落ちがしゃべるらしい」
征士郎は、ノイエンスの頭を撫でると、重要なことだけを伝えた。
「しゃべるですか、かなりの古代種です」
「しかも、赤いらしい」
「そういえば、最初にそんなこと言ってましたです」
そう言って、顎に手を当て考え込むような仕草をするノイエンス。一方、征士郎の表情はすぐれない。
「赤くて、しゃべるとは、かいしょうなしみたいです」
笑うように言うノイエンス。征士郎の表情がかたまった。
「はっ? 山落ちだと?」
山落ちとは、龍のことだ。各地に龍峰と呼ばれる高い山がいくつも存在する。一つの山に支配者は一体、争いに敗れた龍は山を下る。そして、低い山に雌伏する。元支配者の手負いの龍を示す隠語だ。
「だから、今回、『異界の勇者』たちに調査を依頼した。……したんだが」
「あの、そこからは、わたしが話します」
ギルマスに視線で促された少女が喋り出した。
「赤い龍でした」
「赤い龍? 見たのか? よく無事だったな」
赤い龍は気性が荒い。下級種なら、異世界チート持ちにとってなら美味しい素材モンスター枠になる。しかし、上位種なら話は別になる。実質、魔王なんかより強い存在である。
「はい、その龍は、言葉を解し、私たちは逃がされました。
「喋る龍か……」
「?? ろくでなし? なんの話をしてるです?」
「あっ? あぁ、すまない。山落ちがしゃべるらしい」
征士郎は、ノイエンスの頭を撫でると、重要なことだけを伝えた。
「しゃべるですか、かなりの古代種です」
「しかも、赤いらしい」
「そういえば、最初にそんなこと言ってましたです」
そう言って、顎に手を当て考え込むような仕草をするノイエンス。一方、征士郎の表情はすぐれない。
「赤くて、しゃべるとは、かいしょうなしみたいです」
笑うように言うノイエンス。征士郎の表情がかたまった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる