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第3話
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案内された先には、成人男性が2人入ってもまだ余裕がありそうな大きな浴槽が置かれた広い風呂場だった。隣には透明なガラスで区切られたトイレも見える。
王宮内の兵舎に隣接された風呂場は兵士であれば自由に使えるとあって、ウィリアムも仕事終わりに良く使う。多少古くはあるが王宮の設備とあって高価な魔石が使われており、シャワーから出るお湯が途中で水に変わるということもない。宿屋の風呂場などそれこそ安価な魔石が使われていることもあり、タイミングが悪ければ冷たい水を浴びることもあった。
王宮でしか見たことがない透明なガラスが使われた風呂場ともなれば、魔石もおそらく相当魔力量の大きな高価な代物を使っているはずだ。平民である自分が逆立ちしたところで立ち入ることができない高級娼館にいることに、人生何があるか分からないものだ。
「服を全て脱いでください」
にっこりと笑う男に、ウィリアムは無言で上着を脱ぎ捨てる。恥じらいもなくズボンも脱ぎだしたウィリアムに、男は呆気に取られる。
「なんだ?」
「恥じらいというものはないんですか?」
「あんたが全て脱げと言ったんだろう」
兵士として働くウィリアムにとって、裸を他人に見られることは別段恥ずかしいことではなかった。学園に通っていた頃に使っていた寮の風呂場も、王宮にある兵士用の風呂場も、どちらも大浴場だった。他人の裸も、自分の裸を見られることも最早日常と化していた。
下着も全て脱ぎ捨てて素っ裸になったウィリアムに、男はむすっとふて腐れる。
「随分と鍛えてるんですね」
「兵士として勤めているからな。それに」
「それに?」
「いや、なんでもない。それより、このあとどうするんだ? あまりディーノを待たせて怒らせたくない」
「……呼び捨てなんですね」
「あ? ディーノのことか?」
なんのことだと考えて、そういえば酒場から付いてきた男はディーノを様付けしていた。酒場で呼び捨てにしたとき怒った素振りもなく、むしろどこか楽しげだったディーノに敬称を付けることなど欠片も頭に浮かばなかった。そういう意味ではディーノは変わった貴族とも言える。
「ええ、そうです。大方の身分は分かっているのでしょう」
「大貴族様らしいってことぐらいは。本人に向かってディーノと呼び捨てにしたが、あいつ喜んでたぞ」
「よ……っ」
絶句した男は、気を取り直すように軽く咳き込む。
「あのお方がよろしいのなら、こちらからとやかく言うつもりはありません」
言っていたくせにと、ウィリアムは心中で突っ込む。言いたいことは色々あったが、ここで言ってしまえば無駄に時間を消費することになる。数える暇もなくカウンターに置かれた金貨をポケットにねじ込まれたが、7,8枚はあった。そんな大金を平民にポンッと払えてしまう相手を無駄に時間を消費して怒らせるのは得策ではない。
「まずはお腹の中のものを全て吐き出してもらいます」
淡々と言い切った男にこの後、ウィリアムはこれまで体験したことのない酷い目に遭わされた。
「…………ひどい目にあった」
男の許可が下りてようやく風呂場から出られたウィリアムは、よろよろとソファーへと横になる。この部屋に連れてこられたときソファーになど絶対に横たわれないと思っていたが、疲労困憊した今はそんな感情などどこかに行ってしまった。今はただ横たわりたいという一心でソファーへと縋るように横たわった。椅子に座りながら1人お酒を呑んでいたディーノは、そんな様子のウィリアムにくつりと笑う。
「隅から隅まで奇麗に洗われたようだな」
腹の中のものを全て吐き出してもらうというその言葉通り、人肌に温められたぬるま湯を後孔に入れられては吐き出すということを、吐き出したぬるま湯に何も残らなくなるまで繰り返した。ようやく終わったと思えば、今度は体を温めろと湯船に浸からせられ、その間に耳の後ろなども丁寧に髪を洗われた。気休めの休息にほっと息をついて間もなく、体が解れた頃合いを見定めたように湯船から出ろと言われた後がまた大変だった。
四つん這いになりながらドロリとしたオイルを後孔に塗られ、男の指を3本呑み込むまで拡張された。後孔を拡張されている間は、とにかくただ不快だった。奥歯を噛み締めて不快感をやり過ごすウィリアムに、せめてもと前も少し刺激されたが、後ろの不快さに少しも立ち上がる気配がなかった。
これまで抱いた男たちは誰もが後孔の刺激で気持ちよさそうに喘いでいたが、圧迫感と違和感に対する不快感しかなかった。気持ちよさそうにしていたのは演技か、それとも自分には抱かれる素質が皆無なのか。妹の治療費という目的がなければ、絶対に耐えられなかった。
「……あんたも風呂に入ったんだな」
脱いだ服はいつの間にか回収されガウン姿の自分と同じく、ディーノもまたガウン姿だった。いつの間にか風呂に入ったのか、髪もしっとりと濡れていた。
「ここには風呂場が2カ所ある」
平民が利用する宿屋にも風呂場はあるが、どこもたらいのような浅い風呂桶に安い魔石しか設置されていない簡易風呂しかない。大きな宿場以外は風呂場は1カ所しかなく、宿代とは別に使用料を払わなくてはいけないというシステムだ。裸を見られたくなかったり、夜遅くなったという理由がない限り、宿泊客の大半は公営浴場を使う。借家住まいのウィリアムの妹もまた、借家に風呂場がないために公営浴場を使っている。
貴族や豪商の屋敷にしかなさそうな風呂場が一部屋に2カ所。規格外過ぎる贅沢な部屋に、ウィリアムは呆れてしまう。
「呑むか?」
鮮やかな赤い液体がまだ残っているワイングラスをディーノは揺らす。酒場で軽く酒を呑んだとはいえ、色々ありすぎてすでにアルコールは抜けていた。風呂上がりとあって喉の渇きを覚えていたウィリアムは寝そべっていたソファーから立ち上がると、ディーノが手に持っていたワイングラスを取り上げた。残っていた赤ワインを全て飲み干したウィリアムの迷いのない行動に、ディーノは口元に笑みを深くする。
「お代わりは?」
「いらない。ベッドに行くぞ」
目的はそれだろうと、ウィリアムは椅子に座っているディーノを見下ろす。
「……なんだ?」
笑みを浮かべたまま隣の寝室に移動する素振りも見せないディーノに、ウィリアムは不審がる。
「こうして見下ろされるのは初めてだなと思ってな」
「そうかよ。ご希望なら、いつだって見下ろしてやるぜ」
高位貴族を見下ろすという行為は案外と気分が良い。絶対にあり得ないと思っていた出来事の連続に、人生とは分からないものだ。
「そうか。だがその前に、お前にはベッドの中で啼いてもらおうか」
伸びてきた手が頬から喉を撫でる。
「言っただろう。お前のような小生意気な男をベッドで啼かせたいと。声は抑えるな」
少し調子に乗りすぎたと後悔したところですでに遅い。椅子から立ち上がったディーノに腕を取られ、半ば無理矢理歩かされる。隣の寝室へと移動し、突き飛ばされるようにベッドへと押し倒されたウィリアムは、痛みこそなかったが思わず顔をしかめた。
ギシリと音を立てながらベッドへと乗り上げたディーノは、ウィリアムのガウンの腰紐を抜き去る。あらわになった裸体をじっくりと眺めてから、腹部へと触れた。それは淫靡なものではなく、しっかりと鍛え上げられた体を確認しているようだった。
「思ったよりも鍛えているな」
「兵士ならこんなもんだろう」
言いながら風呂場で見た同僚の体を思い出し、そうではないかもと思い直す。
「うつ伏せになって尻を上げろ」
体を軽く起こしたウィリアムは言われたとおりにうつ伏せになり、尻を少し高く上げる。先ほど風呂場でさせられた姿勢だとはいえ、屈辱的な姿勢であることには変わりはない。唇を噛み締めるウィリアムとは対照的に、ディーノは舌なめずりする。
「どこまで慣らした?」
「指3本で終わった」
ディーノの手がスルリとウィリアムのお尻を撫でる。そのまま散々慣らされた後孔へとゆっくりと指先が入った。
「濡れてるな」
「最後に何か入れられたから、多分それだ」
「ああ、あれか」
体温でゆっくりと溶けると言われて押し入られたものを知っているのか、ディーノは無遠慮に指2本を押し入れた。ぐちゅりと音を立てながらかき混ぜるように指を動かす。散々慣らされた甲斐あって痛みは全くなかったが、異物に対する不快感は消えない。ぐちゅぐちゅと自分の後孔から聞こえてくる音もまた不快だった。
王宮内の兵舎に隣接された風呂場は兵士であれば自由に使えるとあって、ウィリアムも仕事終わりに良く使う。多少古くはあるが王宮の設備とあって高価な魔石が使われており、シャワーから出るお湯が途中で水に変わるということもない。宿屋の風呂場などそれこそ安価な魔石が使われていることもあり、タイミングが悪ければ冷たい水を浴びることもあった。
王宮でしか見たことがない透明なガラスが使われた風呂場ともなれば、魔石もおそらく相当魔力量の大きな高価な代物を使っているはずだ。平民である自分が逆立ちしたところで立ち入ることができない高級娼館にいることに、人生何があるか分からないものだ。
「服を全て脱いでください」
にっこりと笑う男に、ウィリアムは無言で上着を脱ぎ捨てる。恥じらいもなくズボンも脱ぎだしたウィリアムに、男は呆気に取られる。
「なんだ?」
「恥じらいというものはないんですか?」
「あんたが全て脱げと言ったんだろう」
兵士として働くウィリアムにとって、裸を他人に見られることは別段恥ずかしいことではなかった。学園に通っていた頃に使っていた寮の風呂場も、王宮にある兵士用の風呂場も、どちらも大浴場だった。他人の裸も、自分の裸を見られることも最早日常と化していた。
下着も全て脱ぎ捨てて素っ裸になったウィリアムに、男はむすっとふて腐れる。
「随分と鍛えてるんですね」
「兵士として勤めているからな。それに」
「それに?」
「いや、なんでもない。それより、このあとどうするんだ? あまりディーノを待たせて怒らせたくない」
「……呼び捨てなんですね」
「あ? ディーノのことか?」
なんのことだと考えて、そういえば酒場から付いてきた男はディーノを様付けしていた。酒場で呼び捨てにしたとき怒った素振りもなく、むしろどこか楽しげだったディーノに敬称を付けることなど欠片も頭に浮かばなかった。そういう意味ではディーノは変わった貴族とも言える。
「ええ、そうです。大方の身分は分かっているのでしょう」
「大貴族様らしいってことぐらいは。本人に向かってディーノと呼び捨てにしたが、あいつ喜んでたぞ」
「よ……っ」
絶句した男は、気を取り直すように軽く咳き込む。
「あのお方がよろしいのなら、こちらからとやかく言うつもりはありません」
言っていたくせにと、ウィリアムは心中で突っ込む。言いたいことは色々あったが、ここで言ってしまえば無駄に時間を消費することになる。数える暇もなくカウンターに置かれた金貨をポケットにねじ込まれたが、7,8枚はあった。そんな大金を平民にポンッと払えてしまう相手を無駄に時間を消費して怒らせるのは得策ではない。
「まずはお腹の中のものを全て吐き出してもらいます」
淡々と言い切った男にこの後、ウィリアムはこれまで体験したことのない酷い目に遭わされた。
「…………ひどい目にあった」
男の許可が下りてようやく風呂場から出られたウィリアムは、よろよろとソファーへと横になる。この部屋に連れてこられたときソファーになど絶対に横たわれないと思っていたが、疲労困憊した今はそんな感情などどこかに行ってしまった。今はただ横たわりたいという一心でソファーへと縋るように横たわった。椅子に座りながら1人お酒を呑んでいたディーノは、そんな様子のウィリアムにくつりと笑う。
「隅から隅まで奇麗に洗われたようだな」
腹の中のものを全て吐き出してもらうというその言葉通り、人肌に温められたぬるま湯を後孔に入れられては吐き出すということを、吐き出したぬるま湯に何も残らなくなるまで繰り返した。ようやく終わったと思えば、今度は体を温めろと湯船に浸からせられ、その間に耳の後ろなども丁寧に髪を洗われた。気休めの休息にほっと息をついて間もなく、体が解れた頃合いを見定めたように湯船から出ろと言われた後がまた大変だった。
四つん這いになりながらドロリとしたオイルを後孔に塗られ、男の指を3本呑み込むまで拡張された。後孔を拡張されている間は、とにかくただ不快だった。奥歯を噛み締めて不快感をやり過ごすウィリアムに、せめてもと前も少し刺激されたが、後ろの不快さに少しも立ち上がる気配がなかった。
これまで抱いた男たちは誰もが後孔の刺激で気持ちよさそうに喘いでいたが、圧迫感と違和感に対する不快感しかなかった。気持ちよさそうにしていたのは演技か、それとも自分には抱かれる素質が皆無なのか。妹の治療費という目的がなければ、絶対に耐えられなかった。
「……あんたも風呂に入ったんだな」
脱いだ服はいつの間にか回収されガウン姿の自分と同じく、ディーノもまたガウン姿だった。いつの間にか風呂に入ったのか、髪もしっとりと濡れていた。
「ここには風呂場が2カ所ある」
平民が利用する宿屋にも風呂場はあるが、どこもたらいのような浅い風呂桶に安い魔石しか設置されていない簡易風呂しかない。大きな宿場以外は風呂場は1カ所しかなく、宿代とは別に使用料を払わなくてはいけないというシステムだ。裸を見られたくなかったり、夜遅くなったという理由がない限り、宿泊客の大半は公営浴場を使う。借家住まいのウィリアムの妹もまた、借家に風呂場がないために公営浴場を使っている。
貴族や豪商の屋敷にしかなさそうな風呂場が一部屋に2カ所。規格外過ぎる贅沢な部屋に、ウィリアムは呆れてしまう。
「呑むか?」
鮮やかな赤い液体がまだ残っているワイングラスをディーノは揺らす。酒場で軽く酒を呑んだとはいえ、色々ありすぎてすでにアルコールは抜けていた。風呂上がりとあって喉の渇きを覚えていたウィリアムは寝そべっていたソファーから立ち上がると、ディーノが手に持っていたワイングラスを取り上げた。残っていた赤ワインを全て飲み干したウィリアムの迷いのない行動に、ディーノは口元に笑みを深くする。
「お代わりは?」
「いらない。ベッドに行くぞ」
目的はそれだろうと、ウィリアムは椅子に座っているディーノを見下ろす。
「……なんだ?」
笑みを浮かべたまま隣の寝室に移動する素振りも見せないディーノに、ウィリアムは不審がる。
「こうして見下ろされるのは初めてだなと思ってな」
「そうかよ。ご希望なら、いつだって見下ろしてやるぜ」
高位貴族を見下ろすという行為は案外と気分が良い。絶対にあり得ないと思っていた出来事の連続に、人生とは分からないものだ。
「そうか。だがその前に、お前にはベッドの中で啼いてもらおうか」
伸びてきた手が頬から喉を撫でる。
「言っただろう。お前のような小生意気な男をベッドで啼かせたいと。声は抑えるな」
少し調子に乗りすぎたと後悔したところですでに遅い。椅子から立ち上がったディーノに腕を取られ、半ば無理矢理歩かされる。隣の寝室へと移動し、突き飛ばされるようにベッドへと押し倒されたウィリアムは、痛みこそなかったが思わず顔をしかめた。
ギシリと音を立てながらベッドへと乗り上げたディーノは、ウィリアムのガウンの腰紐を抜き去る。あらわになった裸体をじっくりと眺めてから、腹部へと触れた。それは淫靡なものではなく、しっかりと鍛え上げられた体を確認しているようだった。
「思ったよりも鍛えているな」
「兵士ならこんなもんだろう」
言いながら風呂場で見た同僚の体を思い出し、そうではないかもと思い直す。
「うつ伏せになって尻を上げろ」
体を軽く起こしたウィリアムは言われたとおりにうつ伏せになり、尻を少し高く上げる。先ほど風呂場でさせられた姿勢だとはいえ、屈辱的な姿勢であることには変わりはない。唇を噛み締めるウィリアムとは対照的に、ディーノは舌なめずりする。
「どこまで慣らした?」
「指3本で終わった」
ディーノの手がスルリとウィリアムのお尻を撫でる。そのまま散々慣らされた後孔へとゆっくりと指先が入った。
「濡れてるな」
「最後に何か入れられたから、多分それだ」
「ああ、あれか」
体温でゆっくりと溶けると言われて押し入られたものを知っているのか、ディーノは無遠慮に指2本を押し入れた。ぐちゅりと音を立てながらかき混ぜるように指を動かす。散々慣らされた甲斐あって痛みは全くなかったが、異物に対する不快感は消えない。ぐちゅぐちゅと自分の後孔から聞こえてくる音もまた不快だった。
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