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幸せ

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 最近、マリエが寝込むことが多くなった。

 結婚して戻った娘が、面倒をみてくれている。

 年を取ったと自分でも感じるようになった。

 旦那は出来たやつで、娘をしっかり支えて手助けをしてくれるので、今後の心配はない。

 

 「お母さんが、お父さんを呼んでいるの」

 娘に呼ばれ、マリエの元に行くと慈愛に満ちた笑みで迎えられた。

 「ふふ。貴方は、余り変わらないわね」

 「変わったさ。すっかりお爺さんだ」

 「そうね。私もお婆さんだわ」

 「・・・」

 「私ね、貴方のこと嫌いだった」

 がーーーーん! 胸が痛い。もしかして、無理やりしょうがなく結婚してくれた?

 「なんでこんなに気になるの!? 物凄く怪しいのに!! って」

 それは、否めない。

 「でもその内気が付いたの、貴方が好きだからって。貴方に助けられて本当に良かった。貴方のおかげで幸せだった。ありがとう・・・・」

 ぼくは、泣いた。それは、ぼくこそだ。

 「マリエに会えて、ぼくこそ幸せだったよ。ありがとう・・・」


 その数時間後、マリエは眠るように息を引き取った。

 そして、マリエの葬式が済んだ頃、凪が声をかけてきた。

 「どうする?」

 「マリエのいないこの世界は寂しすぎる・・・」

 マリエのお墓の前で、ぼくは眠る。そして、凪がぼくをあそこへ連れて行ってくれる。

 ぼくは分かっていた。白雪様の加護で、あの世界で生き「神力」を使っていた自分は、もう純粋な「人」ではないことに・・・。
 
 普通に「人」として生きてこれたのは、多分凪のおかげということに・・・。

 
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