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神への勧誘

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 なんとも言えない気まずい状況の中、突然女神は、突飛なことを言った。



 『ねえ、私に代わってこの世界の女神にならない?』



 えっ? 行き成り何・・・・? 

 急な展開に私、着いていけません。

 神様になるって、そんなに気軽に言ったり決めたり出来るものなの?

 それに、続いたセリフは、どこの安売り販売の店員よっ!!ってなものだった。
 

 『今なら、一杯特典付いて、なんと女神様からのアドバイス付き』


 ふふふっ メリットしか言わない、デメリット排除の悪質商法ね。

 そんなのに引っかかる私ではありません!!



 もしかして、この過剰なまでのチート能力の数々は、それが狙いだった!?

 
 『・・・・・・・・・・・・』

 女神は、口を閉ざしていてなんか怪しい。

 神なんてめんどくさいだけだ。平々凡々が一番安心だよ。

 『私は、神になる時、この世界に降臨するつもりがなかったの。直接会わなくても神託すればいいやって。だから、今回直接手出し出来ないことが歯がゆかった。神託は、エルフだけでなく、人間側にもしてたけど、一向に効果がなく、それどころか信仰が落ちて行って、自身の力も弱まって、このままだと消えてしまう』

 ええー! 女神が消えたらどうなるの?

 『このまま緩やかに滅びて行くかもしれないし、別の神が生まれるかもしれない』

 その別の神って私の事?

 『ううん。貴方かもしれないし、他の神かもしれない。ただ言えるのは、滅びの世界に生まれる神は、間違いなく邪神系になる』

 
 出た――――――! 邪神!

 あれ・・・? 滅び行く世界に生まれる神は、邪神??

 それって、私が神になった場合、邪神になるってこと!?

 『そんな訳ないでしょう!! ああ、私の言い方が悪かったのね。この世界の自然から、つまりこの世界の生き物のさまざまな思い・感情から生まれる神は、負のモノが元になるから邪神になる確率が高くなるの。でも貴方の場合は、私が加護を付けて異世界から連れて来たから、そんなことにならないの』

 良かった! 邪神は嫌だよね、やっぱり。

 あっっ! でも主人公が邪神から、善神に変わってハッピーエンドの小説があったっけ。

 まあ要らん苦労はしたくない。基本なまけものだから! えっへん!!

 って、威張ることじゃないか・・・・・・。




 異世界小説定番の悪役、魔王と邪神。

 邪神が生まれた場合、私って狙われる?

 『そりゃ~、狙われるでしょう。貴方いたら邪魔だもの』

 おわっち、邪魔もの扱いかい。でも当然か。これは、何か対策をねる必要があるかな?


 『それなら、女神になりましょう』

 それはもういいって、怪しい勧誘は止めて。

 『でも、それが確実に助かる方法よ』

 でも女神だって今死にかけてるんでしょう? にっちもさっちも行かなくなって。

 『それは、神になる時の宣言に、世界への直接関与しないを入れていたせいだし、その辺を気を付ければ、神様って究極の引きこもりよ』

 へっ! 神になる時に宣言なんかするんだ。それって、引きこもり宣言ってありなの?

 『駄目!! 引きこもり宣言はしたらダメ!! それは、私の二の舞。宣言しなくても、別に引きこもっちゃいけないわけではないから!! 宣言なしで、好きに引きこもりなさい』

 凄い剣幕で返って来たよ~。しかも、引きこもり公認? 

 でもね、神ってことは、全てに平等でなくてはいけないのよね?

 『ないない。不平等オッケー! バッチ来い。そもそも、神として信仰して無い者まで面倒みるひとようなしし、そのつど助けてたら、自分たちで解決する能力がなくなって、なんでも神様のせいになって邪神落ちになるわよ。ほっといていいの』

 そんなの有り?

 『ありあり。意外とそんなものなの。神様だって自分の都合なのよ。ほら、貴方の大好きな異世界もの小説なんかでもそんなもんでしょ』

 そう言われてみれば、そうかも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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