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話し合い
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ヒャトの一言で、今の現状の理由を思い出しました。
みんなをこの『テント』こと『家』に招いたのは、色々なことを説明するためでした。
「これは、大変失礼致しました。どうぞそのままこちらのリビングまでお越し下さいませ」
ギザンが、そつなくみんなを誘導する。
朝『家』を出た時は、確か椅子は一つしか無かった筈なのに、今はちゃんと人数分の椅子が用意されていた。
不思議だ。
「凄いわね。もうこれって『テント』どころじゃなくて『家』でしょう」
サアラが感心して机と椅子をなでなでしています。ちらっと見たダイアンは、どこか洗練された佇まいで、ギザンの件の物語ウサギ族についてからも窺い知ることができますが、冒険者ですが多分貴族か何かでもあるのかもしれません。
ガイはあまり気にする程でもないのでスルーですが、ヒャトは斥候という職業からかとっても鋭いですし、油断してると全てゲロさせられそうなので要注意です。なんといっても、私が以前男だったことは知られるわけにはいきません。
さてさて、どこまで話すか迷います。
悩んでいると、ギザンが美味しい香りとともに戻ってきます。
「そろそろお昼でしたので、軽いお食事を用意させていただきました。どうぞ、熱いうちにお召し上がりくださいませ」
出て来たのは、なすののったミートスパゲティーです。それと、柑橘系の果実水です。飲み物には、もちろん氷が入っていて、いろんなラノベの小説のようにぬるくてまずいものではなく、酸味のきいたさっぱりした美味しいものでした。
思わずいっきに飲み干してしまい、ギザンとダイアンにクスリと笑われてしまいました。でもサアラも咽喉が乾いていたのかあっという間に飲み干して、ギザンにお代わりを要求していたので、セーフのはずです。
私は朝ごはんをしっかり食べていましたが、みんなは例の事で食べていなかったようで、ガイはとくに美味しい美味しいといいながら、ミートスパゲティーを平らげて御代りをしています。
みんなのお腹が満たされて、お茶タイムになると、ついに説明タイムです。
食べながらいろいろ考えましたが、もともとそんなに頭が良くなかったのに加えて、考え事自体余りしたことがなかったので、キャパオーバーで、頭が痛くなってきました。結局出たとこ勝負になります。
「実は、かくかくしかじかで、それでかくかくしかじかになって・・・」
「ほー。それで、そのかくかくしかじかとは?」
はは、やはりヒャトは誤魔化されませんね。ダイアンは、無理に話さなくてもいいですよといった感じで、サアラは他の部屋が気になっているようで他の部屋の扉をジーと見ています。
「えっと。この『家』は、女神様に貰いました。この服も女神様からです」
「なるほどね」
へっ? こんな荒唐無稽な話を、あっさり信じるのですか?
自分で言ってみてもあれなんだけど。
「ああ。おれの家系は物語ウサギ族の件があるからな。女神様とは親密な関係にあり、生まれた女の子の中には女神様と交信が出来る巫女が生まれやすい。だから、おれの今使っているこの盾、先祖の1人が女神様から頂いたものだ。そして、女神様から頂いた物は、例外なくレアなアーティファクトで性能が物凄く良い」
「ついでに言うと、俺たちはみな幼馴染だ。だから、ダイアンの特異性もよく知っているし、女神様関連のことでいろいろあったから、納得できたんだ。普通の人ならお前の言うように、頭の変な奴と思うだろうさ」
あっ!やっぱりそうなんですね。だから、女神様も話しても大丈夫なんて言ったのですね。
『たまたまなんて言って、私を焦らせてからかったんですか?』
『ええ。面白かったですよ』
『ぶぅ~』
「ねえねえ。女神様からということは、ここってお風呂ある?」
いきなりなんでしょう?
取り敢えずは、
「はい、ありますよ」
「お願い、入らせて~。もう何日も入っていないから、生活魔法で綺麗にしてもなんだかざわざわするのよ~」
そうですよね、女の子ですもの当然です。私は昨日ゆっくり入ったので申し訳ないです。
「いいですよ」
「やった!! ぜひ一緒に入りましょう!!」
えっ? でも、サアラさんってレズじゃなかったですっけ・・・?
「入るなら、1人で入れ。それともガイと一緒にどうだ?」
「もう意地悪ねヒャト。いいわよ、1人で入るから。イリーナちゃん、いいかしら」
ふう、助かりました。内心ひやひやしました。
「どうぞ。ギザン案内お願いね」
「畏まりました。では。サアラ様こちらへどうぞ」
「ありがとう。じゃあちょっくら行ってきま~す」
右手を軽く振って、サアラがギザンについて行きます。
サアラがお風呂に入っている間、どうしましょう。
「話は変わるが、あの盗賊をどうする?」
そういえば、すっかり忘れていました。あのままほっとらかしにしていますが、大丈夫でしょうか?
「まだ生きているようなら、盗賊のアジトを突き止めて殲滅しておきたいと思うがどうだろう」
はい、ダイアンの言う通りです。ということで、次にすることは、盗賊のアジトを見つけてお仕置きです。
みんなをこの『テント』こと『家』に招いたのは、色々なことを説明するためでした。
「これは、大変失礼致しました。どうぞそのままこちらのリビングまでお越し下さいませ」
ギザンが、そつなくみんなを誘導する。
朝『家』を出た時は、確か椅子は一つしか無かった筈なのに、今はちゃんと人数分の椅子が用意されていた。
不思議だ。
「凄いわね。もうこれって『テント』どころじゃなくて『家』でしょう」
サアラが感心して机と椅子をなでなでしています。ちらっと見たダイアンは、どこか洗練された佇まいで、ギザンの件の物語ウサギ族についてからも窺い知ることができますが、冒険者ですが多分貴族か何かでもあるのかもしれません。
ガイはあまり気にする程でもないのでスルーですが、ヒャトは斥候という職業からかとっても鋭いですし、油断してると全てゲロさせられそうなので要注意です。なんといっても、私が以前男だったことは知られるわけにはいきません。
さてさて、どこまで話すか迷います。
悩んでいると、ギザンが美味しい香りとともに戻ってきます。
「そろそろお昼でしたので、軽いお食事を用意させていただきました。どうぞ、熱いうちにお召し上がりくださいませ」
出て来たのは、なすののったミートスパゲティーです。それと、柑橘系の果実水です。飲み物には、もちろん氷が入っていて、いろんなラノベの小説のようにぬるくてまずいものではなく、酸味のきいたさっぱりした美味しいものでした。
思わずいっきに飲み干してしまい、ギザンとダイアンにクスリと笑われてしまいました。でもサアラも咽喉が乾いていたのかあっという間に飲み干して、ギザンにお代わりを要求していたので、セーフのはずです。
私は朝ごはんをしっかり食べていましたが、みんなは例の事で食べていなかったようで、ガイはとくに美味しい美味しいといいながら、ミートスパゲティーを平らげて御代りをしています。
みんなのお腹が満たされて、お茶タイムになると、ついに説明タイムです。
食べながらいろいろ考えましたが、もともとそんなに頭が良くなかったのに加えて、考え事自体余りしたことがなかったので、キャパオーバーで、頭が痛くなってきました。結局出たとこ勝負になります。
「実は、かくかくしかじかで、それでかくかくしかじかになって・・・」
「ほー。それで、そのかくかくしかじかとは?」
はは、やはりヒャトは誤魔化されませんね。ダイアンは、無理に話さなくてもいいですよといった感じで、サアラは他の部屋が気になっているようで他の部屋の扉をジーと見ています。
「えっと。この『家』は、女神様に貰いました。この服も女神様からです」
「なるほどね」
へっ? こんな荒唐無稽な話を、あっさり信じるのですか?
自分で言ってみてもあれなんだけど。
「ああ。おれの家系は物語ウサギ族の件があるからな。女神様とは親密な関係にあり、生まれた女の子の中には女神様と交信が出来る巫女が生まれやすい。だから、おれの今使っているこの盾、先祖の1人が女神様から頂いたものだ。そして、女神様から頂いた物は、例外なくレアなアーティファクトで性能が物凄く良い」
「ついでに言うと、俺たちはみな幼馴染だ。だから、ダイアンの特異性もよく知っているし、女神様関連のことでいろいろあったから、納得できたんだ。普通の人ならお前の言うように、頭の変な奴と思うだろうさ」
あっ!やっぱりそうなんですね。だから、女神様も話しても大丈夫なんて言ったのですね。
『たまたまなんて言って、私を焦らせてからかったんですか?』
『ええ。面白かったですよ』
『ぶぅ~』
「ねえねえ。女神様からということは、ここってお風呂ある?」
いきなりなんでしょう?
取り敢えずは、
「はい、ありますよ」
「お願い、入らせて~。もう何日も入っていないから、生活魔法で綺麗にしてもなんだかざわざわするのよ~」
そうですよね、女の子ですもの当然です。私は昨日ゆっくり入ったので申し訳ないです。
「いいですよ」
「やった!! ぜひ一緒に入りましょう!!」
えっ? でも、サアラさんってレズじゃなかったですっけ・・・?
「入るなら、1人で入れ。それともガイと一緒にどうだ?」
「もう意地悪ねヒャト。いいわよ、1人で入るから。イリーナちゃん、いいかしら」
ふう、助かりました。内心ひやひやしました。
「どうぞ。ギザン案内お願いね」
「畏まりました。では。サアラ様こちらへどうぞ」
「ありがとう。じゃあちょっくら行ってきま~す」
右手を軽く振って、サアラがギザンについて行きます。
サアラがお風呂に入っている間、どうしましょう。
「話は変わるが、あの盗賊をどうする?」
そういえば、すっかり忘れていました。あのままほっとらかしにしていますが、大丈夫でしょうか?
「まだ生きているようなら、盗賊のアジトを突き止めて殲滅しておきたいと思うがどうだろう」
はい、ダイアンの言う通りです。ということで、次にすることは、盗賊のアジトを見つけてお仕置きです。
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