9 / 9
第1章.地上界はスローライフで Ⅱ
第009話.大きな蕾、ココに。
しおりを挟む
べりんとスティルが、たまたま隠し部屋で見つけたモノ。それは明らかに何かを隠し、覆いかぶせているビニールです。
べりんは、スティルにニッと笑います。
「コレは、アタシ達に……剥ぎ取れ!って言ってるんでしゅね♪」
べりんとスティルでビニールの両端を持ち合って……せーのっ!
ガサガサガサっ!!!
ビニールを勢い良く捲る迄は良かったんですけど、つい勢い余って……ころころ、ころんっ!
一度勢いが付いたら止まれない、べりんとスティル。そのまま真っ直ぐ隠し部屋の壁に、ころころ……ごっつんこ!
そのまま、2人ともキュ……とナルト目になってしまったんです。
……ペチ!
……ペチペチ!
……むにぃぃ~っ!
「わひゃひひょ、ひゅひひゃ……ひゃあぁぁ~~~っ!!!」
べりんは今、スティルにひざ枕され、口角に人差し指を2本突っ込まれて、みょ~ん♪と伸ばされ遊ばれています! 思わず手足、バタバタです!
スティル、あっひゃっひゃと大笑い! べりん、ぷんすかとふくれっ面!
「んも~、アタシの顔で遊ばないででしゅ!」
強制ニッコリフェイスの次は、手のひらの母指球をほっぺに当ててむにゅむにゅしています。
「ペチペチ叩いても起きないからだろ! だから、お嬢の口で遊んでたんだよ♪」
でも、このむにゅむにゅは気持ちイイからチャラにしてあげるね!
「見ろよ、今のでビニールが全部剥がされて……って何じゃ、こりゃぁ?」
何と、ビニールの下から出て来たのは……隠し部屋の床から突き破って出て来てる、巻き巻きした巨大な蔓だったんです。
何で、こんなトコに巨大な蔓が顔を出してんだ? 何で上からビニール被せてんだよ? 分かんねー事だらけじゃねーか!
わたわたと、慌てる事しか出来ないスティル。でも、べりんは……
でも……こーゆー時こそ冷静にならなくっちゃね! ぱーぱも、そうアタシに言ってたもん!
「スティルくん、この踊る花達を見て元気を貰おーよー!」
巨大な蔓を取り囲む様に、壁には色とりどりの花達が咲き誇って居て。頭を揺らして、ダンシン♪ダンシン♪しています。
「その通りだよなっ、お嬢!」
揺れる花達を眺めながら、べりんとスティルはまったりと癒やされます。癒やされます…… 癒やさ……れ……
ん~っ、ダンシン♪ダンシン♪
ん~っ、ダンシン♪ダンシン♪
癒やされるだけでは飽き足らず、とうとう2人ともガマン出来ずに花達と一緒にくねくねと腰を振って踊り出してしまったんです。
すみません……訂正します! 2人とも、やっぱりノー天気でした♪
そして踊る花達の中央、巨大な蔓に一際大きく膨らんだ花の蕾が……でも、べりんは気付いてしまったんです。
踊る花達とは対象的に、隠し部屋を色鮮やかに彩るはずの大きく膨らんだ花の蕾だけが元気無く萎れている事を。
「大きな蕾しゃん……元気無いでしゅ」
スティルは、細心の注意を払って花びらを捲ります。花びら本来のしなやかさが失われ、ベリベリベリベリ……と硬い音がします。
「これ以上は止めておこう、花びらがへし折れちまうぜ」
しかも注意深く見てみると、大きな蕾の先端から黒い粒子が蒸発する様に上へ向って発散してます。
「む、この黒い粒子はもしや……お嬢、この大きな蕾は瘴気にヤられているみたいだぞ!」
大昔……天界の神気と冥界の瘴気って元々ひとつ、表裏一体だったんですって。神樹イグドラシルが天界と冥界の両方に根を堕ろしてる、と云う言い伝えもそこから来てるそうです。
だから神樹は、例え瘴気にヤられたとしても……本当なら神気の力で自然治癒出来るって考えられてはいるんですけどね。
それでも、べりんはそっと優しく大きな蕾を抱き締めてます。
「お嬢の気持ちも分かるけど、この大きな蕾はやっぱりもう……」
そう言ってガックリと肩を落とすスティルに、べりんは……
べりんは、スティルにニッと笑います。
「コレは、アタシ達に……剥ぎ取れ!って言ってるんでしゅね♪」
べりんとスティルでビニールの両端を持ち合って……せーのっ!
ガサガサガサっ!!!
ビニールを勢い良く捲る迄は良かったんですけど、つい勢い余って……ころころ、ころんっ!
一度勢いが付いたら止まれない、べりんとスティル。そのまま真っ直ぐ隠し部屋の壁に、ころころ……ごっつんこ!
そのまま、2人ともキュ……とナルト目になってしまったんです。
……ペチ!
……ペチペチ!
……むにぃぃ~っ!
「わひゃひひょ、ひゅひひゃ……ひゃあぁぁ~~~っ!!!」
べりんは今、スティルにひざ枕され、口角に人差し指を2本突っ込まれて、みょ~ん♪と伸ばされ遊ばれています! 思わず手足、バタバタです!
スティル、あっひゃっひゃと大笑い! べりん、ぷんすかとふくれっ面!
「んも~、アタシの顔で遊ばないででしゅ!」
強制ニッコリフェイスの次は、手のひらの母指球をほっぺに当ててむにゅむにゅしています。
「ペチペチ叩いても起きないからだろ! だから、お嬢の口で遊んでたんだよ♪」
でも、このむにゅむにゅは気持ちイイからチャラにしてあげるね!
「見ろよ、今のでビニールが全部剥がされて……って何じゃ、こりゃぁ?」
何と、ビニールの下から出て来たのは……隠し部屋の床から突き破って出て来てる、巻き巻きした巨大な蔓だったんです。
何で、こんなトコに巨大な蔓が顔を出してんだ? 何で上からビニール被せてんだよ? 分かんねー事だらけじゃねーか!
わたわたと、慌てる事しか出来ないスティル。でも、べりんは……
でも……こーゆー時こそ冷静にならなくっちゃね! ぱーぱも、そうアタシに言ってたもん!
「スティルくん、この踊る花達を見て元気を貰おーよー!」
巨大な蔓を取り囲む様に、壁には色とりどりの花達が咲き誇って居て。頭を揺らして、ダンシン♪ダンシン♪しています。
「その通りだよなっ、お嬢!」
揺れる花達を眺めながら、べりんとスティルはまったりと癒やされます。癒やされます…… 癒やさ……れ……
ん~っ、ダンシン♪ダンシン♪
ん~っ、ダンシン♪ダンシン♪
癒やされるだけでは飽き足らず、とうとう2人ともガマン出来ずに花達と一緒にくねくねと腰を振って踊り出してしまったんです。
すみません……訂正します! 2人とも、やっぱりノー天気でした♪
そして踊る花達の中央、巨大な蔓に一際大きく膨らんだ花の蕾が……でも、べりんは気付いてしまったんです。
踊る花達とは対象的に、隠し部屋を色鮮やかに彩るはずの大きく膨らんだ花の蕾だけが元気無く萎れている事を。
「大きな蕾しゃん……元気無いでしゅ」
スティルは、細心の注意を払って花びらを捲ります。花びら本来のしなやかさが失われ、ベリベリベリベリ……と硬い音がします。
「これ以上は止めておこう、花びらがへし折れちまうぜ」
しかも注意深く見てみると、大きな蕾の先端から黒い粒子が蒸発する様に上へ向って発散してます。
「む、この黒い粒子はもしや……お嬢、この大きな蕾は瘴気にヤられているみたいだぞ!」
大昔……天界の神気と冥界の瘴気って元々ひとつ、表裏一体だったんですって。神樹イグドラシルが天界と冥界の両方に根を堕ろしてる、と云う言い伝えもそこから来てるそうです。
だから神樹は、例え瘴気にヤられたとしても……本当なら神気の力で自然治癒出来るって考えられてはいるんですけどね。
それでも、べりんはそっと優しく大きな蕾を抱き締めてます。
「お嬢の気持ちも分かるけど、この大きな蕾はやっぱりもう……」
そう言ってガックリと肩を落とすスティルに、べりんは……
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる