52 / 58
第14章 消えた領主の娘
2
しおりを挟む
2
サーカス団を出たレイピアはそのままの足でホットリープの自分の屋敷へと戻ってきた。
ダイヤが盗まれた日、レイピアは屋敷の者に何も告げずすぐにスキルを追った。そのためレイピアが行方不明になったとして屋敷では騒がれていたのだ。屋敷に帰ると、使用人達は駆けより口々に「無事だったのですか!?」「今まで一体どこにいたんです!?」と言った。レイピアはそのことに関しては適当に言葉を濁して足早に父のいる書斎へと向かった。
「レイピア、お前」
驚き、目を見開いてレイピアを凝視する父親の目の前にダイヤを突きつける。
「盗まれたピンクダイヤモンド、盗賊から取り戻して来ました」
「これは……。今まで行方不明だったのはこれを探していたのか?」
レイピアは頷く代わりに冷たく言葉を放った。
「あなたのためではないわ。これは、お母様の思い出を守るためにやったこと。あなたにしてみれば……単なる宝石にしかすぎないのでしょうけど」
レイピアの父の瞳が微かに寂しそうな色を帯びて揺らめく。やがてしばらくの沈黙の後、ポツリポツリと語り始める。
「このダイヤはな…私があれに送った唯一のもので、あれも生涯大事にしていたものだ」
母を思い出し、懐かしむように父は目を細めた。
自分がダイヤを母の思い出として大切にしていたように、父もまた同じ思いを抱えていたというのか。
信じられないという思いでまじまじと父の顔を見る。
だが、そこにあったのはまぎれもなく母への愛情に溢れている父の姿だった。母が亡くなってから初めて見る姿でもあった。
思わず息を呑む。
「この宝石だけは、どうしても盗まれるわけにはいかなかったのだよ……」
そう言って、とても大切そうに宝石を握りしめる。レイピアは混乱を隠し切れず言葉も出せない。その心情を察しているように、父は言葉を続けた。
「今さら信じてもらえないかもしれないが……」
「当たり前じゃない。今さらよ! あなたは1度だってお母様のお墓参りに行かなかった」
怒りで肩を震わせる。
「それどころか毎日毎日仕事ばかりでお母様のことすら口に出さなかった。まるで存在すらしてなかったように……っ」
「すまない。だが、私も辛かったのだ。あれのことを思い出さないように仕事に逃げることしかできなかった」
そうすることでしか孤独感を紛らわすことができなかった、そう父は語る。
そこにはいつもの気難しい顔の父の姿はなく、代わりに人間らしい弱々しさが垣間見えた。レイピアはそんな父から顔を背ける。
「……あなたはこの2年、私を探しにすら来なかった」
屋敷を飛び出してから、父からは一度も音沙汰がなかった。その気になれば財力でも何でも使ってレイピアの行方を探すことなど容易にできたであろうに。それをしなかったのだ。
そのことは少なからずレイピアの心に悲しみを与えていた。
「私の存在なんて、どうでもいいようなものだったんでしょう?」
そのレイピアの言葉を聞き、彼はハッとしたように目を見開く。
「探さなかったのは少し冷却期間を置いたほうがいいと思ったからだ。お前は私の顔など見たくないだろうと思っていた。だが、それが余計にお前を傷つけていたとはな……すまなかった」
戸惑いながらも、撫でるようにレイピアの頭にそっと手を置いた。
父に、こんな風に触れられたのは何年ぶりだろうか……。
「……盗賊から予告状が来た時、お前を呼び戻すいい機会だと思った」
けれど実際2年ぶりに会うとどう接したらいいのか、どう声を掛けていいのかわからなかった。
無口な男は何度も言葉を途切れさせながらも、レイピアに自分の気持ちを伝えていく。
「これだけはわかって欲しい。お前が旅に出てからは、毎日無事でやっているのか不安でたまらなかった」
レイピアはわずかに顔を父の方に振り向かせた。
家を飛び出した時、本当はずっと探してもらいたかった。「家に帰ろう」と、たった一言父の口から聞きたかった。
「あなたの愛情はわかりづらいわ。私は、鈍いから今みたいに言葉にしてもらわないとわからないのよ」
「私達は……少し、話し合う機会が少なかったのかもしれないな。すまない、レイピア」
途切れ途切れながらも、言葉にしてもらってようやくわかった。
父はちゃんと母のことを愛していた。そして、自分のことも。
愛する者を失って仕事に没頭することしかできなかった父の思いも、今ならわかる。2年前とは違い、レイピアも今は愛する人を失うことの苦しみも悲しみを知っているから。
思い出すのはスキルの顔。
いつも、さりげなくレイピアの心を癒してくれた人。
スキルとユーザが決闘をする時、なぜあなたがそんなことをする必要があるのと問いかけたレイピアに対して彼はこう言った。
それはまるで謎かけのような、言葉。
「なぜ、ね。さあどうしてだろうね? あいつが気に入らないから、ゲームに決着がつかないうちに君を連れて行かせるわけにはいかない、このどちらも当てはまりそうで…実はそうじゃない」
意味がわからなかった。いくら考えてもわからなくて。いや、違う。わからなかったのではない。わかろうとしなかったのだ。その時は、その言葉が表している意味を知ってしまうのが恐かったから。
彼の言った言葉の意味、それは―――。
『君をユーザに渡したくないから』
謎かけのような言葉は、遠まわしだけどレイピアに対する思いが確かに込められている。
スキルはレイピアに対して『愛している』という言葉を一度も言っていないけれど、彼は自分が考えているよりもずっと自分のことを愛してくれていたのかもしれない。
逃げ出してしまわずに、話し合って、きちんと彼の気持ちを確かめるべきだったのかもしれない。
だが、もう遅い。
彼のことを信じることができず、いつか捨てられてしまうのではないかという不安にかられて自ら離れてしまったのだから。
もうサーカス団に、スキルの元になど帰れるはずがない。
「……レイピア?」
不思議そうに自分を見つめてくる父と目が合って、ハッとすると慌てて何でもないという風に首を左右に振る。
「これからどうするんだ……?」
「旅に出ます。お父様のことが嫌いだからとか、そういうことじゃなくて私には冒険者が合っているみたいなんです。今更縁談の話もないでしょうが……結婚してこの屋敷を継ぐことはできません。私は外の世界で生きて行きます」
2年前に持ち上がった縁談話のことに触れて、それはできないと伝える。もはや一度家を出た貴族令嬢などに持ち込まれる縁談の話などないだろうが。
少し寂しげに父の瞳が揺れる。
「そうか……。お前の好きにするといい。屋敷のことは気にするな」
無言でレイピアは頭を下げる。
「でも、いつかはお父様の顔を見に、立ち寄ろうと思っています」
「いつでも歓迎する」
2年間、見ないうちに増えてしまった顔のしわをさらに深くして父は笑った。レイピアも微笑する。2人の間に深く、修復のきかないほどに広がっていた溝がゆっくりと埋まっていった瞬間でもあった。
遠慮するレイピアに父は旅の資金としてかなりの金額を援助してくれた。そのため馬車を1台借り切ることができた。それほど大きくない馬車だったが、レイピアと荷物を乗せてもまだ余裕がある。
「お嬢さん。どちらへ?」
御者に問われ、レイピアは顎に手を当てて考え込む。
まだ具体的にどの街に行こうか考えていない。
「そうね……。これから暑くなるから北へ」
「北? 具体的な場所などは?」
「どこでもいいわ。ホットリープを離れた場所なら、どこでも」
レイピアのことを自由気ままな旅人だと理解したのだろう。御者の男はそれ以上深く尋ねず、思いついた考えを提案する。
「それじゃあここから馬車で3日ほど行ったところにあるアクアクリスの街はどうですかね? 水の都って呼ばれていてこれからの季節にはうってつけですよ」
「うん! 決まり。そこがいいわ」
ゆっくりと馬車が動き出す。
遠ざかっていくホットリープののどかな景色を見ながら、レイピアはスキルのこと、そしてサーカス団の仲間達のことを思い出していた。
色々あった1ヵ月。楽しかったことも辛いこともあった。でもやはり思い出すのは楽しかった思い出の方が多いかもしれない。
たぶんこの先どんなことがあってもあそこにいた1ヵ月ほど印象深いことはだろうと思う。
知らずのうちに涙が頬を伝い落ちてきた。御者に不審がられないように慌てて拭うと、荷物を枕がわりにして眠りについた。
眠ってしまえば泣いてしまうこともないから。
馬車はゴトゴトと揺れながらホットリープの北――アクアクリスの街を目指して進んでいく。
サーカス団を出たレイピアはそのままの足でホットリープの自分の屋敷へと戻ってきた。
ダイヤが盗まれた日、レイピアは屋敷の者に何も告げずすぐにスキルを追った。そのためレイピアが行方不明になったとして屋敷では騒がれていたのだ。屋敷に帰ると、使用人達は駆けより口々に「無事だったのですか!?」「今まで一体どこにいたんです!?」と言った。レイピアはそのことに関しては適当に言葉を濁して足早に父のいる書斎へと向かった。
「レイピア、お前」
驚き、目を見開いてレイピアを凝視する父親の目の前にダイヤを突きつける。
「盗まれたピンクダイヤモンド、盗賊から取り戻して来ました」
「これは……。今まで行方不明だったのはこれを探していたのか?」
レイピアは頷く代わりに冷たく言葉を放った。
「あなたのためではないわ。これは、お母様の思い出を守るためにやったこと。あなたにしてみれば……単なる宝石にしかすぎないのでしょうけど」
レイピアの父の瞳が微かに寂しそうな色を帯びて揺らめく。やがてしばらくの沈黙の後、ポツリポツリと語り始める。
「このダイヤはな…私があれに送った唯一のもので、あれも生涯大事にしていたものだ」
母を思い出し、懐かしむように父は目を細めた。
自分がダイヤを母の思い出として大切にしていたように、父もまた同じ思いを抱えていたというのか。
信じられないという思いでまじまじと父の顔を見る。
だが、そこにあったのはまぎれもなく母への愛情に溢れている父の姿だった。母が亡くなってから初めて見る姿でもあった。
思わず息を呑む。
「この宝石だけは、どうしても盗まれるわけにはいかなかったのだよ……」
そう言って、とても大切そうに宝石を握りしめる。レイピアは混乱を隠し切れず言葉も出せない。その心情を察しているように、父は言葉を続けた。
「今さら信じてもらえないかもしれないが……」
「当たり前じゃない。今さらよ! あなたは1度だってお母様のお墓参りに行かなかった」
怒りで肩を震わせる。
「それどころか毎日毎日仕事ばかりでお母様のことすら口に出さなかった。まるで存在すらしてなかったように……っ」
「すまない。だが、私も辛かったのだ。あれのことを思い出さないように仕事に逃げることしかできなかった」
そうすることでしか孤独感を紛らわすことができなかった、そう父は語る。
そこにはいつもの気難しい顔の父の姿はなく、代わりに人間らしい弱々しさが垣間見えた。レイピアはそんな父から顔を背ける。
「……あなたはこの2年、私を探しにすら来なかった」
屋敷を飛び出してから、父からは一度も音沙汰がなかった。その気になれば財力でも何でも使ってレイピアの行方を探すことなど容易にできたであろうに。それをしなかったのだ。
そのことは少なからずレイピアの心に悲しみを与えていた。
「私の存在なんて、どうでもいいようなものだったんでしょう?」
そのレイピアの言葉を聞き、彼はハッとしたように目を見開く。
「探さなかったのは少し冷却期間を置いたほうがいいと思ったからだ。お前は私の顔など見たくないだろうと思っていた。だが、それが余計にお前を傷つけていたとはな……すまなかった」
戸惑いながらも、撫でるようにレイピアの頭にそっと手を置いた。
父に、こんな風に触れられたのは何年ぶりだろうか……。
「……盗賊から予告状が来た時、お前を呼び戻すいい機会だと思った」
けれど実際2年ぶりに会うとどう接したらいいのか、どう声を掛けていいのかわからなかった。
無口な男は何度も言葉を途切れさせながらも、レイピアに自分の気持ちを伝えていく。
「これだけはわかって欲しい。お前が旅に出てからは、毎日無事でやっているのか不安でたまらなかった」
レイピアはわずかに顔を父の方に振り向かせた。
家を飛び出した時、本当はずっと探してもらいたかった。「家に帰ろう」と、たった一言父の口から聞きたかった。
「あなたの愛情はわかりづらいわ。私は、鈍いから今みたいに言葉にしてもらわないとわからないのよ」
「私達は……少し、話し合う機会が少なかったのかもしれないな。すまない、レイピア」
途切れ途切れながらも、言葉にしてもらってようやくわかった。
父はちゃんと母のことを愛していた。そして、自分のことも。
愛する者を失って仕事に没頭することしかできなかった父の思いも、今ならわかる。2年前とは違い、レイピアも今は愛する人を失うことの苦しみも悲しみを知っているから。
思い出すのはスキルの顔。
いつも、さりげなくレイピアの心を癒してくれた人。
スキルとユーザが決闘をする時、なぜあなたがそんなことをする必要があるのと問いかけたレイピアに対して彼はこう言った。
それはまるで謎かけのような、言葉。
「なぜ、ね。さあどうしてだろうね? あいつが気に入らないから、ゲームに決着がつかないうちに君を連れて行かせるわけにはいかない、このどちらも当てはまりそうで…実はそうじゃない」
意味がわからなかった。いくら考えてもわからなくて。いや、違う。わからなかったのではない。わかろうとしなかったのだ。その時は、その言葉が表している意味を知ってしまうのが恐かったから。
彼の言った言葉の意味、それは―――。
『君をユーザに渡したくないから』
謎かけのような言葉は、遠まわしだけどレイピアに対する思いが確かに込められている。
スキルはレイピアに対して『愛している』という言葉を一度も言っていないけれど、彼は自分が考えているよりもずっと自分のことを愛してくれていたのかもしれない。
逃げ出してしまわずに、話し合って、きちんと彼の気持ちを確かめるべきだったのかもしれない。
だが、もう遅い。
彼のことを信じることができず、いつか捨てられてしまうのではないかという不安にかられて自ら離れてしまったのだから。
もうサーカス団に、スキルの元になど帰れるはずがない。
「……レイピア?」
不思議そうに自分を見つめてくる父と目が合って、ハッとすると慌てて何でもないという風に首を左右に振る。
「これからどうするんだ……?」
「旅に出ます。お父様のことが嫌いだからとか、そういうことじゃなくて私には冒険者が合っているみたいなんです。今更縁談の話もないでしょうが……結婚してこの屋敷を継ぐことはできません。私は外の世界で生きて行きます」
2年前に持ち上がった縁談話のことに触れて、それはできないと伝える。もはや一度家を出た貴族令嬢などに持ち込まれる縁談の話などないだろうが。
少し寂しげに父の瞳が揺れる。
「そうか……。お前の好きにするといい。屋敷のことは気にするな」
無言でレイピアは頭を下げる。
「でも、いつかはお父様の顔を見に、立ち寄ろうと思っています」
「いつでも歓迎する」
2年間、見ないうちに増えてしまった顔のしわをさらに深くして父は笑った。レイピアも微笑する。2人の間に深く、修復のきかないほどに広がっていた溝がゆっくりと埋まっていった瞬間でもあった。
遠慮するレイピアに父は旅の資金としてかなりの金額を援助してくれた。そのため馬車を1台借り切ることができた。それほど大きくない馬車だったが、レイピアと荷物を乗せてもまだ余裕がある。
「お嬢さん。どちらへ?」
御者に問われ、レイピアは顎に手を当てて考え込む。
まだ具体的にどの街に行こうか考えていない。
「そうね……。これから暑くなるから北へ」
「北? 具体的な場所などは?」
「どこでもいいわ。ホットリープを離れた場所なら、どこでも」
レイピアのことを自由気ままな旅人だと理解したのだろう。御者の男はそれ以上深く尋ねず、思いついた考えを提案する。
「それじゃあここから馬車で3日ほど行ったところにあるアクアクリスの街はどうですかね? 水の都って呼ばれていてこれからの季節にはうってつけですよ」
「うん! 決まり。そこがいいわ」
ゆっくりと馬車が動き出す。
遠ざかっていくホットリープののどかな景色を見ながら、レイピアはスキルのこと、そしてサーカス団の仲間達のことを思い出していた。
色々あった1ヵ月。楽しかったことも辛いこともあった。でもやはり思い出すのは楽しかった思い出の方が多いかもしれない。
たぶんこの先どんなことがあってもあそこにいた1ヵ月ほど印象深いことはだろうと思う。
知らずのうちに涙が頬を伝い落ちてきた。御者に不審がられないように慌てて拭うと、荷物を枕がわりにして眠りについた。
眠ってしまえば泣いてしまうこともないから。
馬車はゴトゴトと揺れながらホットリープの北――アクアクリスの街を目指して進んでいく。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる