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第8章 戸惑い
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子供達の笑い声が広場に響き渡る。
いつだって子供達は元気だ。あの事件―ライの処分によって団員達が暗く沈んでいる中からいちはやく抜け出したのも子供達だった。まだ生き物の死というものについてあまり理解していないのかもしれない。けれどもその明るい声につられるように大人達が立ち直りつつあるのも事実だ。
スキルはテント街の外れにひっそりと造られたライの墓の前に足を運んでいた。
土が盛られたその上に小さい墓石が置かれただけの簡素な造りの墓だった。
スキルはそこに膝を折ると墓石の隣に今朝手に入れたばかりの一輪の白い花をたむける。
人の手によって処分されてしまった若い雄ライオン。ライのことを考えると胸が痛んだ。ライを処分したことはスキルとて辛いことだったのだ。団長である父の意見に従って最終的に判断を下したのはスキルだったが、ライを処分せずに済むのならどれほど良かったか。
スキルのいるサーカス団は曽祖父が最初に始めたもので、古くから続いているものだった。
今のように有名になって興行収入が上がったのはごく最近のことで、曽祖父の時代には思うように収入を得られない時期が続いた。
その曽祖父の時代に同じようにライオンが人を噛んだ事件が起こった。その時は調教師がライオンを叱り付けただけで処分はされなかったのだが、数日後に人を噛むことを覚えてしまったライオンはその調教師を噛み殺してしまった。猛獣を相手にするというのは犬や猫を相手にするのとは違うということを改めて思い知らされる事件だった。
それ以来サーカス団では1度でも人を噛んだライオンは処分することに決めた。これは曽祖父の代から続いているルールなのだ。
団員達の安全を考えた上での処分だった。
「ごめんな、ライ」
ライに対して謝罪の言葉を口にした後、立ち上がる。
「若君何してるの~?」
先程までテント街の方で走り回っていた子供達3人がいつの間にかスキルを囲むようにして、不思議そうな顔をして首を傾げていた。
「祈っていたんだよ、ライの魂が安らかになりますようにってね。お前達も祈ってくれるか?」
子供達はスキルの言葉に大きく頷くと、ぎゅっと目をつぶって手を合わせた。その一生懸命な姿に思わず顔をほころばせると、くしゃくしゃと子供達の頭を撫でた。
「ありがとう。さ、向こうに行って遊んでおいで」
「あのね、僕達これ取って来たの」
男の子は小さい手にいっぱい握りしめていた草をスキルに差し出した。その新緑色の草は薬草で、煎じて飲むことも絞り汁を塗り薬として使用することもできるものだった。
「どうしたんだい? これ」
「僕達が取ってきたの! お嬢さんにー!」
「…お嬢さんに?」
「うん!」
誇らしげに顔を上気させて頷く子供達。
子供というのはいつだって大人の口調を真似したがるものだ。
周りの大人達がスキルのことを「若君」と呼ぶから自然と子供達もスキルのことをそう呼ぶようになったし、スキルがレイピアのことを「お嬢さん」と呼んでいるものだから自然と子供達も同じように呼ぶようになった。
「どうして俺に? お前達が直接持って行った方が喜んでくれるんじゃないか?」
スキルの問いかけに子供達は困ったような表情を浮かべてもじもじと体を揺らす。
「あのね、あのね、僕達若君とお嬢さんに仲良くなってもらいたいの。だって若君ってばお嬢さんをいじめてるんだもん」
「い、いじめて…?」
確かに怪我をしているレイピアに対してもスキルは一切手加減をしなかった。
隙を狙ってはダイヤを奪おうと手を伸ばすレイピアの腕を掴んでは引き倒す。そもそもゲームについて詳しく内容を知らされていない子供達からしてみればその様子が彼女をいじめているようにも見えるのかもしれない。
思わず苦笑してスキルは降参の形に両手を上げた。
「わかったよ。これは俺からお嬢さんに渡しておくから」
「本当? 仲良くしなくっちゃ駄目だよ」
「ああ、努力はしてみるよ」
薬草を受け取り、そのままレイピアのテントに向けて歩き出した。
「…まさか子供達にまで言われるとはね」
スキルもレイピアについては少しやりすぎかと後悔している部分がある。しかし手を抜いたらレイピアに怒られることは容易に想像がついたし、スキルもつい彼女の顔を見ると本気で相手をしてしまう。
彼女を前にすると何だか調子が狂うのだ。
***
「君は案外不器用なんだね」
レイピアのテントに入ったスキルがそうつぶやいたのは、レイピアが右手に巻かれた包帯を取るのに悪戦苦闘している姿を目にしたからである。
スキルの言葉にカチンときたレイピアは顔を真っ赤にして睨みつける。
「う、うるさいわねっ! 片手で包帯の結び目を解くのって難しいんだから!」
スキルはレイピアの隣の空いている椅子に腰掛けると、先程子供達から受けとった薬草の束をレイピアの前に突き出す。
「この薬草は子供達からもらったものなんだ。傷口に塗ると回復が早くなる…と言ってもその様子じゃあ塗れそうもないみたいだな」
なかなか包帯が取れずに苛立ちはじめたレイピアに苦笑して、スキルが代わりに結び目を解く。
驚いて目を丸くしたレイピアだったが「ありがとう」とぶっきらぼうに言い放つとそれきりスキルに任せる形で大人しく腕を突き出した。
解かれた包帯からは生々しい傷跡が見えた。
縫ったために皮膚が大きく引きつれたようになって痛々しい。一生残る傷跡だが、それでも腕が引きちぎられなかっただけ幸いというべきだろう。
レイピアの手を取って薬草の絞り汁を丁寧に塗りこんでいく。
驚くほど白くてほっそりとした腕だ。
ほんの少し、胸の中に熱が生まれる。
恐らくスキルが少し力を入れて手前に引くだけであっさりとレイピアは体勢を崩して倒れこんでくるだろう。
いっそこの手を思いきり引いてしまおうかという衝動に駆られたその時―――。
「も、もういいからっ! 終わったんでしょう?」
うわずったレイピアの声がスキルの耳をうち、一気に現実に引き戻された。
顔を上げるとレイピアの戸惑うように細められた青い瞳と視線が絡み合い、思わず先程胸に生まれた熱を誤魔化すように口元に笑みを浮かべた。
「あとは…自分でできるわ……っ」
半ば強引にスキルの手を振りほどいて、視線を外す。顔を俯かせた状態のまま自分で包帯を巻いている。必死で。
スキルの態度に戸惑っているような感じにも見える。
「そうかい? ぐるぐる巻きにしてミイラにならないように注意した方がいいよ」
軽口を叩いてスキルはその場から退散する。「そこまで不器用じゃないわ!」そう怒鳴るレイピアの声を背にして。
テントから出たスキルはそのまま天を仰ぎ見てため息を洩らした。
あの時胸に生まれた熱。
今まで何度もレイピアの手に触れる機会はあったし、それ以上のことすらしていたというのに何故今さらになってこんな思いが胸に生じるのか。
不可解だ。
「本当に調子が狂うな……」
誰に言うでもなくポツリとつぶやいてスキルはもう一度ため息を洩らした。
子供達の笑い声が広場に響き渡る。
いつだって子供達は元気だ。あの事件―ライの処分によって団員達が暗く沈んでいる中からいちはやく抜け出したのも子供達だった。まだ生き物の死というものについてあまり理解していないのかもしれない。けれどもその明るい声につられるように大人達が立ち直りつつあるのも事実だ。
スキルはテント街の外れにひっそりと造られたライの墓の前に足を運んでいた。
土が盛られたその上に小さい墓石が置かれただけの簡素な造りの墓だった。
スキルはそこに膝を折ると墓石の隣に今朝手に入れたばかりの一輪の白い花をたむける。
人の手によって処分されてしまった若い雄ライオン。ライのことを考えると胸が痛んだ。ライを処分したことはスキルとて辛いことだったのだ。団長である父の意見に従って最終的に判断を下したのはスキルだったが、ライを処分せずに済むのならどれほど良かったか。
スキルのいるサーカス団は曽祖父が最初に始めたもので、古くから続いているものだった。
今のように有名になって興行収入が上がったのはごく最近のことで、曽祖父の時代には思うように収入を得られない時期が続いた。
その曽祖父の時代に同じようにライオンが人を噛んだ事件が起こった。その時は調教師がライオンを叱り付けただけで処分はされなかったのだが、数日後に人を噛むことを覚えてしまったライオンはその調教師を噛み殺してしまった。猛獣を相手にするというのは犬や猫を相手にするのとは違うということを改めて思い知らされる事件だった。
それ以来サーカス団では1度でも人を噛んだライオンは処分することに決めた。これは曽祖父の代から続いているルールなのだ。
団員達の安全を考えた上での処分だった。
「ごめんな、ライ」
ライに対して謝罪の言葉を口にした後、立ち上がる。
「若君何してるの~?」
先程までテント街の方で走り回っていた子供達3人がいつの間にかスキルを囲むようにして、不思議そうな顔をして首を傾げていた。
「祈っていたんだよ、ライの魂が安らかになりますようにってね。お前達も祈ってくれるか?」
子供達はスキルの言葉に大きく頷くと、ぎゅっと目をつぶって手を合わせた。その一生懸命な姿に思わず顔をほころばせると、くしゃくしゃと子供達の頭を撫でた。
「ありがとう。さ、向こうに行って遊んでおいで」
「あのね、僕達これ取って来たの」
男の子は小さい手にいっぱい握りしめていた草をスキルに差し出した。その新緑色の草は薬草で、煎じて飲むことも絞り汁を塗り薬として使用することもできるものだった。
「どうしたんだい? これ」
「僕達が取ってきたの! お嬢さんにー!」
「…お嬢さんに?」
「うん!」
誇らしげに顔を上気させて頷く子供達。
子供というのはいつだって大人の口調を真似したがるものだ。
周りの大人達がスキルのことを「若君」と呼ぶから自然と子供達もスキルのことをそう呼ぶようになったし、スキルがレイピアのことを「お嬢さん」と呼んでいるものだから自然と子供達も同じように呼ぶようになった。
「どうして俺に? お前達が直接持って行った方が喜んでくれるんじゃないか?」
スキルの問いかけに子供達は困ったような表情を浮かべてもじもじと体を揺らす。
「あのね、あのね、僕達若君とお嬢さんに仲良くなってもらいたいの。だって若君ってばお嬢さんをいじめてるんだもん」
「い、いじめて…?」
確かに怪我をしているレイピアに対してもスキルは一切手加減をしなかった。
隙を狙ってはダイヤを奪おうと手を伸ばすレイピアの腕を掴んでは引き倒す。そもそもゲームについて詳しく内容を知らされていない子供達からしてみればその様子が彼女をいじめているようにも見えるのかもしれない。
思わず苦笑してスキルは降参の形に両手を上げた。
「わかったよ。これは俺からお嬢さんに渡しておくから」
「本当? 仲良くしなくっちゃ駄目だよ」
「ああ、努力はしてみるよ」
薬草を受け取り、そのままレイピアのテントに向けて歩き出した。
「…まさか子供達にまで言われるとはね」
スキルもレイピアについては少しやりすぎかと後悔している部分がある。しかし手を抜いたらレイピアに怒られることは容易に想像がついたし、スキルもつい彼女の顔を見ると本気で相手をしてしまう。
彼女を前にすると何だか調子が狂うのだ。
***
「君は案外不器用なんだね」
レイピアのテントに入ったスキルがそうつぶやいたのは、レイピアが右手に巻かれた包帯を取るのに悪戦苦闘している姿を目にしたからである。
スキルの言葉にカチンときたレイピアは顔を真っ赤にして睨みつける。
「う、うるさいわねっ! 片手で包帯の結び目を解くのって難しいんだから!」
スキルはレイピアの隣の空いている椅子に腰掛けると、先程子供達から受けとった薬草の束をレイピアの前に突き出す。
「この薬草は子供達からもらったものなんだ。傷口に塗ると回復が早くなる…と言ってもその様子じゃあ塗れそうもないみたいだな」
なかなか包帯が取れずに苛立ちはじめたレイピアに苦笑して、スキルが代わりに結び目を解く。
驚いて目を丸くしたレイピアだったが「ありがとう」とぶっきらぼうに言い放つとそれきりスキルに任せる形で大人しく腕を突き出した。
解かれた包帯からは生々しい傷跡が見えた。
縫ったために皮膚が大きく引きつれたようになって痛々しい。一生残る傷跡だが、それでも腕が引きちぎられなかっただけ幸いというべきだろう。
レイピアの手を取って薬草の絞り汁を丁寧に塗りこんでいく。
驚くほど白くてほっそりとした腕だ。
ほんの少し、胸の中に熱が生まれる。
恐らくスキルが少し力を入れて手前に引くだけであっさりとレイピアは体勢を崩して倒れこんでくるだろう。
いっそこの手を思いきり引いてしまおうかという衝動に駆られたその時―――。
「も、もういいからっ! 終わったんでしょう?」
うわずったレイピアの声がスキルの耳をうち、一気に現実に引き戻された。
顔を上げるとレイピアの戸惑うように細められた青い瞳と視線が絡み合い、思わず先程胸に生まれた熱を誤魔化すように口元に笑みを浮かべた。
「あとは…自分でできるわ……っ」
半ば強引にスキルの手を振りほどいて、視線を外す。顔を俯かせた状態のまま自分で包帯を巻いている。必死で。
スキルの態度に戸惑っているような感じにも見える。
「そうかい? ぐるぐる巻きにしてミイラにならないように注意した方がいいよ」
軽口を叩いてスキルはその場から退散する。「そこまで不器用じゃないわ!」そう怒鳴るレイピアの声を背にして。
テントから出たスキルはそのまま天を仰ぎ見てため息を洩らした。
あの時胸に生まれた熱。
今まで何度もレイピアの手に触れる機会はあったし、それ以上のことすらしていたというのに何故今さらになってこんな思いが胸に生じるのか。
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