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第5章 長い一ヵ月のはじまり
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太陽が真上に昇った頃、辺りに軽快な音楽が流れ始めサーカスの開幕を告げる花火が打ち上げられた。それと共にたくさんの風船が一斉に空中に舞い上がった。赤、青、黄色、白、オレンジの色とりどりの風船は風に流されてふわりふわりと遥かなる天上をめざして飛んでいく。レイピアはそれを視界の片隅に捕らえつつ、ステージのあるテントとは逆方向に走り出した。
リグにサーカスを見てはどうかと勧められたものの、そんな気にはなれなかった。
軽快な音楽と楽しそうな雰囲気に心が躍らなかったと言えば嘘になる。親子連れや恋人同士の嬉しそうな顔を見るたびにサーカスとはどんなものかしら? そんなに楽しいものなのかしら? という思いが胸に生まれる。
ううん、わざわざ盗賊達のサーカスを見なくたっていつか違うサーカスを見ればいい。
レイピアはそう思うことによって、もやもやとした気持ちを振り払った。
それよりも今はダイヤを探すことの方が先だ。
レイピアが目指したのはスキルのテントだった。
彼は今、ステージに上がるためにテントにはいない。
まさかステージ上にまでダイヤを持っていくわけにはいかないだろうから、どこかに隠してある可能性が高かった。そしてその可能性はやはりスキルのテントだとレイピアは考えている。
団員のほとんどはステージに詰めているので、テント街には人影が見当たらない。レイピアにはそれがありがたかった。
朝の宣戦布告をしてからというもの彼女に対する風当たりがいっそう厳しくなったからだ。団員の視線がいっそう冷たくなったのだ。
団員のみんなはスキルを心から慕っているというリグの意見を聞いていたから覚悟はしていたけれど、やはり冷たい視線があるよりもない方が動きやすかった。
スキルのテントに着くと辺りを確認してからすばやく忍び込む。
中には誰もおらず、きちんと整理された荷物と簡易ベッドが最初にレイピアの目に飛び込んだ。
注意深くテント内を見回すと、天井付近にワイヤーが張りめぐらされてそこに衣装がいくつも掛けられていて、他にも棚の上にコーヒーセットや簡易コンロがあった。
全体的に置かれているものが少なくて簡素なイメージを持った。すぐにまた別の地へ移動するため物をあまり置かないようにしているのかもしれない。
まずは棚から探すことにした。上から順に引き出しを開けて行くが、目当てのものはない。そのためレイピアは次に荷物、衣装のポケット、目につくところを端から順に探して行った。
しばらく探し回ったところで、そろそろサーカスの終わる時間だと気がつきあきらめて自分のテントに戻ることにした。
それから夕方の公演の時間もレイピアはスキルのテント内をうろうろと探し回ったものの、結局見つけることはできなかった。
***
深夜。
レイピアはベッドに横にしていた体をむくりと起こすと、上着を羽織って外へ出た。
この時期の日中は暖かいが夜になると冷え込むため、ぶるると身震いをした。このテントが建てられている空き地は街の外れにあることと風を防ぐ木々がほとんどないことも重なり夜間は特に冷え込んだ。
辺りを見渡したが、人影はない。団員達は朝が早かったため、夜も比較的寝静まるのが早かった。
まだ起きている人がいるのか、ところどころテントから明かりが漏れている場所もあったが、真っ暗に近い状態で月明かりだけが頼りだ。
昼間の賑やかな雰囲気とは異なった顔を見せる夜のテント街はある種幻想的であると言えた。
しばしためらったが、覚悟を決めると忍び足でスキルのテントに向かった。
もちろん目的はダイヤ奪還だ。
いくらスキルが素早くて隙が見つからなくても、寝ているときなら懐からダイヤを抜き取ることができるかもしれないと考えたのである。
昼と同じようにスキルのテントの前に立つと、辺りを注意深く見回してからすばやく入り込んだ。
暗闇に目が慣れてきたため、ぼんやりとベッドの上に眠るスキルの姿が見える。規則正しく聞こえる寝息に合わせて忍び足で近づいて行く。
サラサラの髪の毛を投げ出して眠っているスキルが視界に入った。いつものからかうような憎たらしくてたまらない瞳も閉じられている。眠っているときは無防備なのね、とそんなことを考える。
…馬鹿みたい、何を考えているの―――。
軽く頭を振って馬鹿馬鹿しい考えを振り払うとスキルの懐に手を伸ばした。
ところが。
眠っていたはずのスキルがいきなりパチリと目を開けた。スキルは口元を笑いの形に歪めた後、ささやくようにレイピアの耳元で呟く。
「夜這い?」
「きゃあ!?」
その突然耳にかかった低い声に驚き、悲鳴を上げたレイピアは1メートルくらい飛びすさった。
その様子にスキルは寝転がった姿勢のままにやにやと悪戯っぽい笑みを見せる。明らかに今さっき目覚めたとは言い難い。まるでレイピアがテントに入って来たときから気がついていたような―――そんな様子である。
「た、狸寝入りしてたわね!?」
破裂しそうなほど早鐘をうつ心臓を押さえてレイピアは抗議の声を上げた。
対するスキルは体を起こし、涼やかな顔をして心外だな、とばかりに肩をすくめる。
「たった今起きたところさ」
「うそばっかり! ずっと起きていたくせに」
レイピアは顔を真っ赤にしながら怒鳴って、ベッドに詰め寄る。
「お探しのものはこれ?」
しゃらりと音を立ててスキルは右手に持っていたピンクダイヤを掲げた。
あっと息を呑んでレイピアは手を伸ばすが、むなしく空を切った。その手を逆にスキルに掴まれてしまい、いとも簡単にベッドに組み敷かれてしまった。
「手癖の悪いお嬢さんだね、お仕置きが必要かな?」
スキルの顔を間近に感じてレイピアは慌てふためいた。
恐いくらいに真面目なスキルと目が合う。
「ちょっ…、離しなさいよ! 離して」
半ば悲鳴に近い恐怖に引きつった声を上げる。
逃げ出そうにも華奢なレイピアには、覆い被さるようにのしかかってきたスキルを押し返すだけの力がなかった。捕らえられた両手はスキルの右手によって難なく押さえ込まれてしまって、外れることがない。沈み込んだベッドは逃げ道を与えてはくれない。やわらかいはずのベッドなのに、ひどく背中に冷たく固く感じられた。
スカートの裾をたくし上げられ、肌に触れるスキルの手の冷たさにビクリと体を震わせる。
「やだっ! 何するの!?」
羞恥心に顔を真っ赤にして叫んだ。太股の辺りを探るようにして撫でられレイピアはいやいやと首を振って顔を背けた。
いやだ、こんなのは嫌!
今にも泣き出してしまいそうに目を潤ませたレイピアを見つめて、スキルは口元に笑みを浮かべるとからかうようにして耳元で囁いた。
「傷はふさがったみたいだな」
その言葉と同時にパッとレイピアの両手を解放すると、スキルは体を起こしてベッドの端に腰掛けた。
ゆったりと足を組んでから、再び意地悪くにやにやとした笑みをレイピアに向けた。
「はっ? な……!」
ベッドに横たわったままの体勢で体を固くしていたレイピアは、わけがわからずにパクパクと口を動かすことしかできなかった。
一体どういうことなのか。
「俺は傷の具合を確かめただけなんだけど。それとも違うことを期待した?」
レイピアはハッとして右の太股についた傷の存在を思い出した。パーティーの際にスキルとやりあった時についた傷―――。
けれど先ほどの行為は絶対に、わざとやったとしか思えない。
何ていう悪質ないたずら!
レイピアが慌てふためく様子を見ておもしろがっていたのだと思うと先程の恐怖はどこかへ吹き飛び、代わりに怒りがこみあげてきた。
「バカッ、最低! ドスケベ!!」
怒りにまかせて顎を蹴り上げようとしたところでスキルにひょいと足首を掴まれる。
「夜更けに男の寝所に訪れるお嬢さんの方が悪い。今日は見逃すけど次に来たら襲っていいものと見なすぞ?」
心底楽しそうに言うスキル。
本気とも冗談とも取れないその言葉に、レイピアは頭の中を真っ白にして何も言い返せないでいた。
「それともこのまま続ける?」
スキルの唇が捕らわれたままの足首に降りてきそうになって、レイピアは慌ててスキルを突き飛ばすと脱兎のごとくベッドから飛び出した。
「バカバカバカバカ変態っ! 2度と来るもんですかっ!」
手元にあったコーヒーカップをスキルに投げつけて、真っ赤な顔をしてテントから逃げ出した。
乱れた服と髪の毛すら直さずに。今のレイピアにはそんなことをしている心の余裕が少しもなかった。
背中から聞こえてくるスキルの押し殺した笑い声がなんとも腹立たしかった。
太陽が真上に昇った頃、辺りに軽快な音楽が流れ始めサーカスの開幕を告げる花火が打ち上げられた。それと共にたくさんの風船が一斉に空中に舞い上がった。赤、青、黄色、白、オレンジの色とりどりの風船は風に流されてふわりふわりと遥かなる天上をめざして飛んでいく。レイピアはそれを視界の片隅に捕らえつつ、ステージのあるテントとは逆方向に走り出した。
リグにサーカスを見てはどうかと勧められたものの、そんな気にはなれなかった。
軽快な音楽と楽しそうな雰囲気に心が躍らなかったと言えば嘘になる。親子連れや恋人同士の嬉しそうな顔を見るたびにサーカスとはどんなものかしら? そんなに楽しいものなのかしら? という思いが胸に生まれる。
ううん、わざわざ盗賊達のサーカスを見なくたっていつか違うサーカスを見ればいい。
レイピアはそう思うことによって、もやもやとした気持ちを振り払った。
それよりも今はダイヤを探すことの方が先だ。
レイピアが目指したのはスキルのテントだった。
彼は今、ステージに上がるためにテントにはいない。
まさかステージ上にまでダイヤを持っていくわけにはいかないだろうから、どこかに隠してある可能性が高かった。そしてその可能性はやはりスキルのテントだとレイピアは考えている。
団員のほとんどはステージに詰めているので、テント街には人影が見当たらない。レイピアにはそれがありがたかった。
朝の宣戦布告をしてからというもの彼女に対する風当たりがいっそう厳しくなったからだ。団員の視線がいっそう冷たくなったのだ。
団員のみんなはスキルを心から慕っているというリグの意見を聞いていたから覚悟はしていたけれど、やはり冷たい視線があるよりもない方が動きやすかった。
スキルのテントに着くと辺りを確認してからすばやく忍び込む。
中には誰もおらず、きちんと整理された荷物と簡易ベッドが最初にレイピアの目に飛び込んだ。
注意深くテント内を見回すと、天井付近にワイヤーが張りめぐらされてそこに衣装がいくつも掛けられていて、他にも棚の上にコーヒーセットや簡易コンロがあった。
全体的に置かれているものが少なくて簡素なイメージを持った。すぐにまた別の地へ移動するため物をあまり置かないようにしているのかもしれない。
まずは棚から探すことにした。上から順に引き出しを開けて行くが、目当てのものはない。そのためレイピアは次に荷物、衣装のポケット、目につくところを端から順に探して行った。
しばらく探し回ったところで、そろそろサーカスの終わる時間だと気がつきあきらめて自分のテントに戻ることにした。
それから夕方の公演の時間もレイピアはスキルのテント内をうろうろと探し回ったものの、結局見つけることはできなかった。
***
深夜。
レイピアはベッドに横にしていた体をむくりと起こすと、上着を羽織って外へ出た。
この時期の日中は暖かいが夜になると冷え込むため、ぶるると身震いをした。このテントが建てられている空き地は街の外れにあることと風を防ぐ木々がほとんどないことも重なり夜間は特に冷え込んだ。
辺りを見渡したが、人影はない。団員達は朝が早かったため、夜も比較的寝静まるのが早かった。
まだ起きている人がいるのか、ところどころテントから明かりが漏れている場所もあったが、真っ暗に近い状態で月明かりだけが頼りだ。
昼間の賑やかな雰囲気とは異なった顔を見せる夜のテント街はある種幻想的であると言えた。
しばしためらったが、覚悟を決めると忍び足でスキルのテントに向かった。
もちろん目的はダイヤ奪還だ。
いくらスキルが素早くて隙が見つからなくても、寝ているときなら懐からダイヤを抜き取ることができるかもしれないと考えたのである。
昼と同じようにスキルのテントの前に立つと、辺りを注意深く見回してからすばやく入り込んだ。
暗闇に目が慣れてきたため、ぼんやりとベッドの上に眠るスキルの姿が見える。規則正しく聞こえる寝息に合わせて忍び足で近づいて行く。
サラサラの髪の毛を投げ出して眠っているスキルが視界に入った。いつものからかうような憎たらしくてたまらない瞳も閉じられている。眠っているときは無防備なのね、とそんなことを考える。
…馬鹿みたい、何を考えているの―――。
軽く頭を振って馬鹿馬鹿しい考えを振り払うとスキルの懐に手を伸ばした。
ところが。
眠っていたはずのスキルがいきなりパチリと目を開けた。スキルは口元を笑いの形に歪めた後、ささやくようにレイピアの耳元で呟く。
「夜這い?」
「きゃあ!?」
その突然耳にかかった低い声に驚き、悲鳴を上げたレイピアは1メートルくらい飛びすさった。
その様子にスキルは寝転がった姿勢のままにやにやと悪戯っぽい笑みを見せる。明らかに今さっき目覚めたとは言い難い。まるでレイピアがテントに入って来たときから気がついていたような―――そんな様子である。
「た、狸寝入りしてたわね!?」
破裂しそうなほど早鐘をうつ心臓を押さえてレイピアは抗議の声を上げた。
対するスキルは体を起こし、涼やかな顔をして心外だな、とばかりに肩をすくめる。
「たった今起きたところさ」
「うそばっかり! ずっと起きていたくせに」
レイピアは顔を真っ赤にしながら怒鳴って、ベッドに詰め寄る。
「お探しのものはこれ?」
しゃらりと音を立ててスキルは右手に持っていたピンクダイヤを掲げた。
あっと息を呑んでレイピアは手を伸ばすが、むなしく空を切った。その手を逆にスキルに掴まれてしまい、いとも簡単にベッドに組み敷かれてしまった。
「手癖の悪いお嬢さんだね、お仕置きが必要かな?」
スキルの顔を間近に感じてレイピアは慌てふためいた。
恐いくらいに真面目なスキルと目が合う。
「ちょっ…、離しなさいよ! 離して」
半ば悲鳴に近い恐怖に引きつった声を上げる。
逃げ出そうにも華奢なレイピアには、覆い被さるようにのしかかってきたスキルを押し返すだけの力がなかった。捕らえられた両手はスキルの右手によって難なく押さえ込まれてしまって、外れることがない。沈み込んだベッドは逃げ道を与えてはくれない。やわらかいはずのベッドなのに、ひどく背中に冷たく固く感じられた。
スカートの裾をたくし上げられ、肌に触れるスキルの手の冷たさにビクリと体を震わせる。
「やだっ! 何するの!?」
羞恥心に顔を真っ赤にして叫んだ。太股の辺りを探るようにして撫でられレイピアはいやいやと首を振って顔を背けた。
いやだ、こんなのは嫌!
今にも泣き出してしまいそうに目を潤ませたレイピアを見つめて、スキルは口元に笑みを浮かべるとからかうようにして耳元で囁いた。
「傷はふさがったみたいだな」
その言葉と同時にパッとレイピアの両手を解放すると、スキルは体を起こしてベッドの端に腰掛けた。
ゆったりと足を組んでから、再び意地悪くにやにやとした笑みをレイピアに向けた。
「はっ? な……!」
ベッドに横たわったままの体勢で体を固くしていたレイピアは、わけがわからずにパクパクと口を動かすことしかできなかった。
一体どういうことなのか。
「俺は傷の具合を確かめただけなんだけど。それとも違うことを期待した?」
レイピアはハッとして右の太股についた傷の存在を思い出した。パーティーの際にスキルとやりあった時についた傷―――。
けれど先ほどの行為は絶対に、わざとやったとしか思えない。
何ていう悪質ないたずら!
レイピアが慌てふためく様子を見ておもしろがっていたのだと思うと先程の恐怖はどこかへ吹き飛び、代わりに怒りがこみあげてきた。
「バカッ、最低! ドスケベ!!」
怒りにまかせて顎を蹴り上げようとしたところでスキルにひょいと足首を掴まれる。
「夜更けに男の寝所に訪れるお嬢さんの方が悪い。今日は見逃すけど次に来たら襲っていいものと見なすぞ?」
心底楽しそうに言うスキル。
本気とも冗談とも取れないその言葉に、レイピアは頭の中を真っ白にして何も言い返せないでいた。
「それともこのまま続ける?」
スキルの唇が捕らわれたままの足首に降りてきそうになって、レイピアは慌ててスキルを突き飛ばすと脱兎のごとくベッドから飛び出した。
「バカバカバカバカ変態っ! 2度と来るもんですかっ!」
手元にあったコーヒーカップをスキルに投げつけて、真っ赤な顔をしてテントから逃げ出した。
乱れた服と髪の毛すら直さずに。今のレイピアにはそんなことをしている心の余裕が少しもなかった。
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