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第5章 長い一ヵ月のはじまり
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ブレンは苛立ちを覚えていた。もちろん言うまでもなくレイピアに対してだ。彼もスキルと同じようにリハーサルのためにステージにいたのでレイピアの宣戦布告をバッチリと聞いていた。
(宣言布告だと!? 俺達を煮るなり焼くなり好きにさせてもらうだと。ふざけやがって)
あの小娘がゲームに勝って俺達もスキルも捕まえるっていうのか!?
冗談じゃねえ!
ブレンの苛立ちはピークを迎えて、木に拳を打ちこんだ。鈍く音をたてて打った部分が少しだけめり込む。
確かにブレンはレイピアを見て口笛を吹きたくなるような美人だと思った。けれどそれはスキルに害をなす者ではない場合だ。
レイピアの存在は危険だ。彼女がスキルの正体を知っている限り、スキルには常に捕まるかもしれないという危険性がつきまとう。
スキルはゲームに勝つ自信があると言っていた。もちろんブレンも信じている。しかし万が一ということもある…。
(あの女を追い出すことができればな……)
スキルに知られることなく邪魔な小娘を追い出す方法はないかと、うろうろ自分のテント内を考えながら歩き回る。
同じテントの2人の団員はブレンのいつものくせにたいして迷惑がる様子もなく自主トレーニングを積んでいる。
その時いきなりシャッとテントの幕が開けられ、ひょこりと黒髪の少女が顔を出した。シャンナリーだ。
シャンナリーはテントを見回すが、男だけが3人生活している空間のあまりの荒れ果てた様に顔をしかめると、ブレンに向けて手招きした。
どうやらテントには入って来たくないらしい。
仕方なく、ブレンは外へ出る。
「なんだ、何か用か?」
ブレンはシャンナリーのサーカス団としての腕も、黒のピエロ団としての盗賊の腕も認めていて、仲間として信頼を置いていた。
シャンナリーがスキルに好意を寄せているのはもちろん、彼の前で猫を被っていることも知っているが、あえてスキルに言うようなことはしなかった。もしかしたらスキルはとっくにその辺りは気付いているのかもしれないが。
そこらへんは勝手やりな、という感じだ。リグのように人の恋愛のことについて口を挟むような性分を持ち合わせていないのである。
ところがシャンナリーはたびたびやっかいな問題を押し付けてくることがあって、ブレンはそのことで彼女が少し苦手だったりする。
「ブレン、お願いがあるの」
かわいらしく小首を傾げてお願いのポーズを取るシャンナリー。
彼女の本性さえ知らなければ天使のように愛らしい仕草だと思うかもしれないが、ブレンにとってまさに小悪魔的としか言いようがない。
ああ、またか…とブレンは心の中で呟く。
シャンナリーが言うお願いはいつだってロクなことがない。そんなブレンの心中を無視して、シャンナリーは言葉を続ける。
「あのレイピアって女を追い出したいの!」
その言葉にブレンは初めてシャンナリーの意見に共感を覚えた。
同時にムクムクとからかい心が芽生える。
「はは~ん、お前さてはあのお嬢様に嫉妬してるな? スキルが構うもんだから」
図星だったらしく、シャンナリーは瞳をギラリと光らせてブレンを睨みつけた。まるで射殺しそうなその視線にお~こわ、と肩をすくめるブレン。
「ま、安心しろよ。スキルはあのお嬢様に好意を寄せて1ヵ月間も側に置くわけじゃない」
「そんなの当たり前じゃない! でも…っ」
「それでもスキルの側にいられるのは迷惑ってか。女ってなんでそうワガママかねぇ」
「あんたには女心がわかんないのよっ。あたしだってスキルの心さえ手に入れてれば…こんな不安な思いしないわ!」
体を小刻みに震わせて俯いたシャンナリー。
スキルは親友のブレンから見ても風のような奴で、例えどんな魅力的な言葉を持ってしても彼の心を一ヶ所に止めておくことなんてできなかった。女性関係においても同様で彼が誰か1人の女性に深く心を縛られるところなど見たことがない。
シャンナリーがそのことで不安になる気持ちは痛いくらいに伝わってきた。
さすがに罪悪感が生まれ、ブレンは謝罪をする。
「悪かったよ。さっきはあんなこと言ったけど俺もあんたの意見に賛成だ。あの女を追い出したいと思ってる」
シャンナリーはその言葉に目を輝かせて、パッと顔を上げた。
「本当!? じゃあ協力してくれる?」
ブレンはわかったわかったと頷いた。けれど頷いてしまってから具体的な方法を教えられて口をひくつかせた。
シャンナリーが考えたレイピアを追い出す方法とはどれもが世間一般で「イジメ」と言われているようなものばかりだった。
例えば本人を前に悪口を言うとか、水をぶっかけるとか、靴に画鋲を…とか。ブレンが考えてもいなかったような陰険で悪質極まりない内容のものばかりだった。
よくそんなに考えられるもんだ。
女って恐いな…とブレンはしみじみ思った。
***
一方スキルのテントでは―――。
リグがスキルにお説教(?)をしていた。
「若君…。あなたは何だってそう人を挑発するのが好きなんです?」
ふーっと深いため息を吐いてリグは額を押さえた。
まぎれもなくリグの言う「人」とはレイピアのことを差している。
「何のことだ?」
熱々のコーヒーカップを片手にスキルはわざとらしく首を傾げた。
「また、とぼけて。昨日のことといい、さっきのことといい言葉の端々にからかいと皮肉がたっぷり入っていましたよ。めずらしいですね、あなたが女性にそんな態度をとるなんて。内心煮えくりかえっているからでしょう?」
スキルはリグの言葉に心外だ、とばかりに眉をひそめた。
「まさか。お嬢さんの行動に驚きはしても煮えくりかえってなどいないさ。お前の勘違いだろう」
それは半分本当だった。
最初は腹立たしく思ったものの、今は怒りを持つどころかむしろ興味を覚えていたからだ。彼の周りにはあんなにも無謀すぎるほどの行動をする女性などいなかったから。
けれどそれは恋とかそういった類のものではない。純粋な興味、だ。
次は何をやるのかびっくり箱みたいで面白い。
目が離せない。
「そうですかねぇ」
リグはまだ疑わしそうな顔つきでスキルを見る。
「そうさ。お前だってむさくるしい男に追い掛け回されるよりも、美人なお嬢さんに追いかけられる方が嬉しいだろう? 思わず抱きしめて、キスしたくなるね」
ふふん、と笑いながら言うスキルの本気だか冗談だかわからない言葉に、リグは大きくため息をつく。
「若君…。最初に言っておきますがレイピアさんに手を出してはいけませんよ」
リグの言葉にスキルはおもしろそうに目を見開いた。
「なんだ、惚れたか?」
「はっ!? な、なにを言ってるんです、違いますよ。拉致している上にあなたが手を出したりしたら縛り首どころじゃすまないから言ってるんです!」
リグは両手で自分の首を絞めるジェスチャーをしてみせた。
とたんにスキルはつまらなそうに顔をしかめた。てっきりリグが恋にめざめてそんなことを言い出したのかと思ったからだ。今までスキルが見ている限りリグにはそういった浮いた話の1つも見当たらなかったから。
「なんだ、そんなことか」
「まったくもう、だいたい私とあの方では年齢も身分も違いすぎますよ」
ばからしいと言わんばかりに肩をすくめた。
リグの年齢は26歳、レイピアの年齢は20歳。6歳しか違わない。そのことはたいして問題ではないのだろうが、リグとレイピアではあまりに身分が違いすぎた。片や領主の娘、片や盗賊の一味なのだから。
「そんなことたいした問題ではないだろ? 要は本人同士が愛し合っているかどうかだ」
にやりと笑ってスキルはカップに残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
ブレンは苛立ちを覚えていた。もちろん言うまでもなくレイピアに対してだ。彼もスキルと同じようにリハーサルのためにステージにいたのでレイピアの宣戦布告をバッチリと聞いていた。
(宣言布告だと!? 俺達を煮るなり焼くなり好きにさせてもらうだと。ふざけやがって)
あの小娘がゲームに勝って俺達もスキルも捕まえるっていうのか!?
冗談じゃねえ!
ブレンの苛立ちはピークを迎えて、木に拳を打ちこんだ。鈍く音をたてて打った部分が少しだけめり込む。
確かにブレンはレイピアを見て口笛を吹きたくなるような美人だと思った。けれどそれはスキルに害をなす者ではない場合だ。
レイピアの存在は危険だ。彼女がスキルの正体を知っている限り、スキルには常に捕まるかもしれないという危険性がつきまとう。
スキルはゲームに勝つ自信があると言っていた。もちろんブレンも信じている。しかし万が一ということもある…。
(あの女を追い出すことができればな……)
スキルに知られることなく邪魔な小娘を追い出す方法はないかと、うろうろ自分のテント内を考えながら歩き回る。
同じテントの2人の団員はブレンのいつものくせにたいして迷惑がる様子もなく自主トレーニングを積んでいる。
その時いきなりシャッとテントの幕が開けられ、ひょこりと黒髪の少女が顔を出した。シャンナリーだ。
シャンナリーはテントを見回すが、男だけが3人生活している空間のあまりの荒れ果てた様に顔をしかめると、ブレンに向けて手招きした。
どうやらテントには入って来たくないらしい。
仕方なく、ブレンは外へ出る。
「なんだ、何か用か?」
ブレンはシャンナリーのサーカス団としての腕も、黒のピエロ団としての盗賊の腕も認めていて、仲間として信頼を置いていた。
シャンナリーがスキルに好意を寄せているのはもちろん、彼の前で猫を被っていることも知っているが、あえてスキルに言うようなことはしなかった。もしかしたらスキルはとっくにその辺りは気付いているのかもしれないが。
そこらへんは勝手やりな、という感じだ。リグのように人の恋愛のことについて口を挟むような性分を持ち合わせていないのである。
ところがシャンナリーはたびたびやっかいな問題を押し付けてくることがあって、ブレンはそのことで彼女が少し苦手だったりする。
「ブレン、お願いがあるの」
かわいらしく小首を傾げてお願いのポーズを取るシャンナリー。
彼女の本性さえ知らなければ天使のように愛らしい仕草だと思うかもしれないが、ブレンにとってまさに小悪魔的としか言いようがない。
ああ、またか…とブレンは心の中で呟く。
シャンナリーが言うお願いはいつだってロクなことがない。そんなブレンの心中を無視して、シャンナリーは言葉を続ける。
「あのレイピアって女を追い出したいの!」
その言葉にブレンは初めてシャンナリーの意見に共感を覚えた。
同時にムクムクとからかい心が芽生える。
「はは~ん、お前さてはあのお嬢様に嫉妬してるな? スキルが構うもんだから」
図星だったらしく、シャンナリーは瞳をギラリと光らせてブレンを睨みつけた。まるで射殺しそうなその視線にお~こわ、と肩をすくめるブレン。
「ま、安心しろよ。スキルはあのお嬢様に好意を寄せて1ヵ月間も側に置くわけじゃない」
「そんなの当たり前じゃない! でも…っ」
「それでもスキルの側にいられるのは迷惑ってか。女ってなんでそうワガママかねぇ」
「あんたには女心がわかんないのよっ。あたしだってスキルの心さえ手に入れてれば…こんな不安な思いしないわ!」
体を小刻みに震わせて俯いたシャンナリー。
スキルは親友のブレンから見ても風のような奴で、例えどんな魅力的な言葉を持ってしても彼の心を一ヶ所に止めておくことなんてできなかった。女性関係においても同様で彼が誰か1人の女性に深く心を縛られるところなど見たことがない。
シャンナリーがそのことで不安になる気持ちは痛いくらいに伝わってきた。
さすがに罪悪感が生まれ、ブレンは謝罪をする。
「悪かったよ。さっきはあんなこと言ったけど俺もあんたの意見に賛成だ。あの女を追い出したいと思ってる」
シャンナリーはその言葉に目を輝かせて、パッと顔を上げた。
「本当!? じゃあ協力してくれる?」
ブレンはわかったわかったと頷いた。けれど頷いてしまってから具体的な方法を教えられて口をひくつかせた。
シャンナリーが考えたレイピアを追い出す方法とはどれもが世間一般で「イジメ」と言われているようなものばかりだった。
例えば本人を前に悪口を言うとか、水をぶっかけるとか、靴に画鋲を…とか。ブレンが考えてもいなかったような陰険で悪質極まりない内容のものばかりだった。
よくそんなに考えられるもんだ。
女って恐いな…とブレンはしみじみ思った。
***
一方スキルのテントでは―――。
リグがスキルにお説教(?)をしていた。
「若君…。あなたは何だってそう人を挑発するのが好きなんです?」
ふーっと深いため息を吐いてリグは額を押さえた。
まぎれもなくリグの言う「人」とはレイピアのことを差している。
「何のことだ?」
熱々のコーヒーカップを片手にスキルはわざとらしく首を傾げた。
「また、とぼけて。昨日のことといい、さっきのことといい言葉の端々にからかいと皮肉がたっぷり入っていましたよ。めずらしいですね、あなたが女性にそんな態度をとるなんて。内心煮えくりかえっているからでしょう?」
スキルはリグの言葉に心外だ、とばかりに眉をひそめた。
「まさか。お嬢さんの行動に驚きはしても煮えくりかえってなどいないさ。お前の勘違いだろう」
それは半分本当だった。
最初は腹立たしく思ったものの、今は怒りを持つどころかむしろ興味を覚えていたからだ。彼の周りにはあんなにも無謀すぎるほどの行動をする女性などいなかったから。
けれどそれは恋とかそういった類のものではない。純粋な興味、だ。
次は何をやるのかびっくり箱みたいで面白い。
目が離せない。
「そうですかねぇ」
リグはまだ疑わしそうな顔つきでスキルを見る。
「そうさ。お前だってむさくるしい男に追い掛け回されるよりも、美人なお嬢さんに追いかけられる方が嬉しいだろう? 思わず抱きしめて、キスしたくなるね」
ふふん、と笑いながら言うスキルの本気だか冗談だかわからない言葉に、リグは大きくため息をつく。
「若君…。最初に言っておきますがレイピアさんに手を出してはいけませんよ」
リグの言葉にスキルはおもしろそうに目を見開いた。
「なんだ、惚れたか?」
「はっ!? な、なにを言ってるんです、違いますよ。拉致している上にあなたが手を出したりしたら縛り首どころじゃすまないから言ってるんです!」
リグは両手で自分の首を絞めるジェスチャーをしてみせた。
とたんにスキルはつまらなそうに顔をしかめた。てっきりリグが恋にめざめてそんなことを言い出したのかと思ったからだ。今までスキルが見ている限りリグにはそういった浮いた話の1つも見当たらなかったから。
「なんだ、そんなことか」
「まったくもう、だいたい私とあの方では年齢も身分も違いすぎますよ」
ばからしいと言わんばかりに肩をすくめた。
リグの年齢は26歳、レイピアの年齢は20歳。6歳しか違わない。そのことはたいして問題ではないのだろうが、リグとレイピアではあまりに身分が違いすぎた。片や領主の娘、片や盗賊の一味なのだから。
「そんなことたいした問題ではないだろ? 要は本人同士が愛し合っているかどうかだ」
にやりと笑ってスキルはカップに残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
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