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第3章 領主の娘と貴族の男
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ホットリープの領主の屋敷では、誕生日という名目の盛大なパーティーが開かれた。親族はもちろんのこと近隣の貴族達も招かれ、庭で行なわれた。
白いテーブルクロスで覆われたテーブルがいくつも並べられての立食形式で、招待客には料理人自慢の肉料理や魚料理やとっておきのワインがふるまわれる。
庭木には電飾がつけられ、華やかな雰囲気を演出していた。
招待された者達はそれぞれ片手にワイングラスを持ち、話に花を咲かせる。
レイピアも領主の娘としてパーティーに参加していた。
レイピアは自分の瞳と同じ色の青いドレスを身にまとっていた。あまり派手すぎずシンプルなデザインのそのドレスは、着ている彼女をほっそりと見せた。
長い銀の髪の毛をアップにして耳元には金のイヤリング。そして首から大粒のピンクダイヤを下げた。ダイヤは眩しく華やかに光輝いている。ダイヤを繋いでいるのは金の鎖。こちらの方はダイヤをよりいっそう引き立たせるために控えめな光を放っていた。
パーティーの招待客は誰もがほうっとため息をもらして彼女の姿を見つめた。
普段の彼女も魅力的だが、ドレスアップした姿はそれより何倍も魅力的だ。月の女神が人間の姿をしていたなら、まさしく彼女のことだろうと思うに違いない。
パーティーの参加者には混乱を防ぐためにも盗賊が侵入することは話していない。
そのため事情を知らない者から見ればレイピアは何の不自然もない姿だ。しかし事情を知っている者から見たらあまりに彼女は無謀な姿をしていた。盗賊に狙われているピンクダイヤモンドをこれ見よがしに胸元に身につけているからである。
明らかにこれは盗賊に対しての挑戦に思える。
さあ、狙ってきなさい。
くすっとレイピアは赤いルージュをつけた唇を笑みの形に歪めた。
盗賊はもう中に入り込んでいるのかもしれない。レイピアはそれとなく会場の中を見回した。
今のところそれらしい動きはない。
先程から代わる代わる貴族の青年達がダンスを誘いに来るのがとても鬱陶しかった。これではまるで父の誕生日パーティーというよりお見合いパーティーではないか。
2年前、縁談の話からも逃げるように家を出たというのに。一度家を出た自分はもう彼らにとって理想の結婚相手ではない。彼らはその噂を知らないのだろうか。
うんざりしつつも口元に笑みを絶やすことなく愛想を振りまいてレイピアはそのダンスに応えていた。もちろん盗賊かどうかを見極めるように目をギラギラと光らせながら。
何人かと踊った後でようやくダンスから開放される。「もっと話をしたい」という誘いは全てすげなく断った。
1時間近く踊っていて、くたくたになったレイピアは会場の片隅に置かれた椅子に腰かけた。
家を飛び出してからはこんなふうにダンスを踊る機会もなければパーティーに出る機会もなかった。疲れが回るのが早いのも当然かもしれない。
しばらくそうして休んでいると、すっと目の前にワイングラスが差し出された。
ちらりと顔を上げて見ると、いつのまにか1人の青年が前に立っている。踊り疲れてくたくたになっていたから気がつかなかったのだろうか。
それにしても気配も、足音すら気がつかせないとは一体―――?
「どうぞ。先程から何も口にされていないようなので」
金髪で、背の高いその男はレイピアを気遣うように碧色の瞳を細めてにっこりと微笑んだ。
その青年はタキシードで正装し、手には白い手袋をはめていた。穏やかだけれど甘い顔立ちに低くて耳に心地よく響く声。まるでどこかの王子様のようだ。
レイピアは青年に微笑み返すとワイングラスを受けとった。
今宵のパーティーにピッタリな、月を思わせるような琥珀色のワイン。
「ありがとう。ちょうど喉が渇いていたところなの」
レイピアは白い喉をこくっと鳴らしてワインを飲んだ後、優雅な仕草で口元をハンカチで拭ってから「おいしいわ」と微笑む。その様子を見守っていた青年は満足げな表情をすると、隣に座ってもいいかどうか尋ねてきた。断る理由がなかったレイピアはすんなりと許可を与える。
「ご挨拶が遅れました。私はグランスフィールド家のランスと申します」
優雅にお辞儀をした後、ランスはレイピアの手をとり甲に口づけた。この美貌の青年にはその仕草がひどくよく似合っていた。
レイピアはにこりと微笑んでそれを受ける。
「私はこの屋敷の娘のレイピアと申します、ランスさん」
「ランス」という言葉を少しだけ強めてレイピアは青年に向かって自己紹介をした。
「貴女のような女性にレイピアという名前は珍しいですね」
青年はそんなことを言い出したのはレイピアの容姿があまりにも剣の名に相応しくないと考えたからだろう。良い身分の娘らしく清楚なドレスに身を包んだ彼女からは剣のような鋭さがどうしても感じられないと。
「まあ、そうかしら。では私にはどんな名前が似合うと思います?」
そう返されるとは思っていなかったらしい青年は少し驚いた表情を見せるが、しかしほんの一瞬考え込むと「シャンナリーという名前はどうでしょう」と答えた。
「素敵な名前。由来は何かしら?」
レイピアが聞くと青年は悪戯っぽく笑って
「私の飼っている猫の名前です」
と答えた。
「まあ、私は猫の名前なんですか、ひどいわ」
レイピアはくすくすと笑って抗議の声を上げた。青年も穏やかに笑って返す。
傍から見ると2人の姿はお似合いの恋人同士のように見えるのだろうか。先程までうんざりするくらいダンスの誘いがあったというのにランスが来てからはピタリと止んでしまった。
とても敵わないと思ったのかもしれない。
しかしやはり彼ら2人のことが気になるのか貴族の男性達は遠巻きにチラチラと視線を投げかけてくる。
レイピアはその視線に気がついていたが、あえて気づかない振りをする。
ランスもおそらく気がついているのだろう。しかし彼はその視線を全く気にとめる様子もなくさっと立ち上がるとレイピアの手をとった。
首を傾げるレイピアに向けて微笑んだ。
「レイピアさん、私と一曲お相手を」
ダンスに誘われている。レイピアは理解すると、肯定の印にドレスの裾を軽く持ち上げてお辞儀をした。そしてランスに手を引かれるままダンスのために設けられた中央の広場に歩いていく。
やわらかな月明かりに照らし出された広場。
その中心では曲に合わせてワルツが踊られていた。輪を描くようにして踊っている男女の中にランスとレイピアも入って行った。
輪の中に入るとランスによって左肩に手を回された。レイピアもそれに合わせて左手でランスの肩に手を回し、そして右手で彼の手を握った。楽師の演奏に合わせて踊りだす。
レイピアがランスの方に顔を向けるたびにパチリと目が合った。彼の熱っぽい視線にレイピアはすぐにさっと恥ずかしそうに目をそらしてばかりだったけれど。
「とてもダンスがお上手なのね」
「実はワルツはあまり踊り慣れていないんですよ。それに魅力的なあなたが相手だと緊張してしまって、いつドレスの裾を踏んでしまわないかひやひやしています」
「まあ」
あまりにもおどけた様子で言うものだから、レイピアはくすくすと笑いが止まらなかった。
ランスはああ言ってはいるけれど、踊り慣れていないどころか彼のリードの上手さは今日踊ったどの貴族の男よりも洗練されているように思えた。ステップは優美で軽やか。
文句のつけようもない。
自然と周囲の視線がレイピアとランスの2人に注がれたのは言うまでもない。
それでもランスの立ち振る舞いが固さを帯びることはない。注目されることに慣れている、そんな風に感じられた。
そうして30分くらい踊っていたところで、急にレイピアの隣で踊っていた男女が倒れた。すぐに異変に気づいた周りの女性達が悲鳴を上げる。しかしその悲鳴を上げていた女性達も数分と経たずにバタバタと次々に倒れていった。
何か会場中に異変が起きたのは誰の目から見ても明らかだった。
ホットリープの領主の屋敷では、誕生日という名目の盛大なパーティーが開かれた。親族はもちろんのこと近隣の貴族達も招かれ、庭で行なわれた。
白いテーブルクロスで覆われたテーブルがいくつも並べられての立食形式で、招待客には料理人自慢の肉料理や魚料理やとっておきのワインがふるまわれる。
庭木には電飾がつけられ、華やかな雰囲気を演出していた。
招待された者達はそれぞれ片手にワイングラスを持ち、話に花を咲かせる。
レイピアも領主の娘としてパーティーに参加していた。
レイピアは自分の瞳と同じ色の青いドレスを身にまとっていた。あまり派手すぎずシンプルなデザインのそのドレスは、着ている彼女をほっそりと見せた。
長い銀の髪の毛をアップにして耳元には金のイヤリング。そして首から大粒のピンクダイヤを下げた。ダイヤは眩しく華やかに光輝いている。ダイヤを繋いでいるのは金の鎖。こちらの方はダイヤをよりいっそう引き立たせるために控えめな光を放っていた。
パーティーの招待客は誰もがほうっとため息をもらして彼女の姿を見つめた。
普段の彼女も魅力的だが、ドレスアップした姿はそれより何倍も魅力的だ。月の女神が人間の姿をしていたなら、まさしく彼女のことだろうと思うに違いない。
パーティーの参加者には混乱を防ぐためにも盗賊が侵入することは話していない。
そのため事情を知らない者から見ればレイピアは何の不自然もない姿だ。しかし事情を知っている者から見たらあまりに彼女は無謀な姿をしていた。盗賊に狙われているピンクダイヤモンドをこれ見よがしに胸元に身につけているからである。
明らかにこれは盗賊に対しての挑戦に思える。
さあ、狙ってきなさい。
くすっとレイピアは赤いルージュをつけた唇を笑みの形に歪めた。
盗賊はもう中に入り込んでいるのかもしれない。レイピアはそれとなく会場の中を見回した。
今のところそれらしい動きはない。
先程から代わる代わる貴族の青年達がダンスを誘いに来るのがとても鬱陶しかった。これではまるで父の誕生日パーティーというよりお見合いパーティーではないか。
2年前、縁談の話からも逃げるように家を出たというのに。一度家を出た自分はもう彼らにとって理想の結婚相手ではない。彼らはその噂を知らないのだろうか。
うんざりしつつも口元に笑みを絶やすことなく愛想を振りまいてレイピアはそのダンスに応えていた。もちろん盗賊かどうかを見極めるように目をギラギラと光らせながら。
何人かと踊った後でようやくダンスから開放される。「もっと話をしたい」という誘いは全てすげなく断った。
1時間近く踊っていて、くたくたになったレイピアは会場の片隅に置かれた椅子に腰かけた。
家を飛び出してからはこんなふうにダンスを踊る機会もなければパーティーに出る機会もなかった。疲れが回るのが早いのも当然かもしれない。
しばらくそうして休んでいると、すっと目の前にワイングラスが差し出された。
ちらりと顔を上げて見ると、いつのまにか1人の青年が前に立っている。踊り疲れてくたくたになっていたから気がつかなかったのだろうか。
それにしても気配も、足音すら気がつかせないとは一体―――?
「どうぞ。先程から何も口にされていないようなので」
金髪で、背の高いその男はレイピアを気遣うように碧色の瞳を細めてにっこりと微笑んだ。
その青年はタキシードで正装し、手には白い手袋をはめていた。穏やかだけれど甘い顔立ちに低くて耳に心地よく響く声。まるでどこかの王子様のようだ。
レイピアは青年に微笑み返すとワイングラスを受けとった。
今宵のパーティーにピッタリな、月を思わせるような琥珀色のワイン。
「ありがとう。ちょうど喉が渇いていたところなの」
レイピアは白い喉をこくっと鳴らしてワインを飲んだ後、優雅な仕草で口元をハンカチで拭ってから「おいしいわ」と微笑む。その様子を見守っていた青年は満足げな表情をすると、隣に座ってもいいかどうか尋ねてきた。断る理由がなかったレイピアはすんなりと許可を与える。
「ご挨拶が遅れました。私はグランスフィールド家のランスと申します」
優雅にお辞儀をした後、ランスはレイピアの手をとり甲に口づけた。この美貌の青年にはその仕草がひどくよく似合っていた。
レイピアはにこりと微笑んでそれを受ける。
「私はこの屋敷の娘のレイピアと申します、ランスさん」
「ランス」という言葉を少しだけ強めてレイピアは青年に向かって自己紹介をした。
「貴女のような女性にレイピアという名前は珍しいですね」
青年はそんなことを言い出したのはレイピアの容姿があまりにも剣の名に相応しくないと考えたからだろう。良い身分の娘らしく清楚なドレスに身を包んだ彼女からは剣のような鋭さがどうしても感じられないと。
「まあ、そうかしら。では私にはどんな名前が似合うと思います?」
そう返されるとは思っていなかったらしい青年は少し驚いた表情を見せるが、しかしほんの一瞬考え込むと「シャンナリーという名前はどうでしょう」と答えた。
「素敵な名前。由来は何かしら?」
レイピアが聞くと青年は悪戯っぽく笑って
「私の飼っている猫の名前です」
と答えた。
「まあ、私は猫の名前なんですか、ひどいわ」
レイピアはくすくすと笑って抗議の声を上げた。青年も穏やかに笑って返す。
傍から見ると2人の姿はお似合いの恋人同士のように見えるのだろうか。先程までうんざりするくらいダンスの誘いがあったというのにランスが来てからはピタリと止んでしまった。
とても敵わないと思ったのかもしれない。
しかしやはり彼ら2人のことが気になるのか貴族の男性達は遠巻きにチラチラと視線を投げかけてくる。
レイピアはその視線に気がついていたが、あえて気づかない振りをする。
ランスもおそらく気がついているのだろう。しかし彼はその視線を全く気にとめる様子もなくさっと立ち上がるとレイピアの手をとった。
首を傾げるレイピアに向けて微笑んだ。
「レイピアさん、私と一曲お相手を」
ダンスに誘われている。レイピアは理解すると、肯定の印にドレスの裾を軽く持ち上げてお辞儀をした。そしてランスに手を引かれるままダンスのために設けられた中央の広場に歩いていく。
やわらかな月明かりに照らし出された広場。
その中心では曲に合わせてワルツが踊られていた。輪を描くようにして踊っている男女の中にランスとレイピアも入って行った。
輪の中に入るとランスによって左肩に手を回された。レイピアもそれに合わせて左手でランスの肩に手を回し、そして右手で彼の手を握った。楽師の演奏に合わせて踊りだす。
レイピアがランスの方に顔を向けるたびにパチリと目が合った。彼の熱っぽい視線にレイピアはすぐにさっと恥ずかしそうに目をそらしてばかりだったけれど。
「とてもダンスがお上手なのね」
「実はワルツはあまり踊り慣れていないんですよ。それに魅力的なあなたが相手だと緊張してしまって、いつドレスの裾を踏んでしまわないかひやひやしています」
「まあ」
あまりにもおどけた様子で言うものだから、レイピアはくすくすと笑いが止まらなかった。
ランスはああ言ってはいるけれど、踊り慣れていないどころか彼のリードの上手さは今日踊ったどの貴族の男よりも洗練されているように思えた。ステップは優美で軽やか。
文句のつけようもない。
自然と周囲の視線がレイピアとランスの2人に注がれたのは言うまでもない。
それでもランスの立ち振る舞いが固さを帯びることはない。注目されることに慣れている、そんな風に感じられた。
そうして30分くらい踊っていたところで、急にレイピアの隣で踊っていた男女が倒れた。すぐに異変に気づいた周りの女性達が悲鳴を上げる。しかしその悲鳴を上げていた女性達も数分と経たずにバタバタと次々に倒れていった。
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