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第2章 トーキョー編 目指せ! モンスター・ゼロ!
第19話 もえちゃんの過去
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第19話 もえちゃんの過去
僕たちが、フナバシ・タウンでノダ町長の屋敷に泊めてもらった次の日。
午前中は、爆弾低気圧による暴風雨がまだ続いていたので、僕は屋敷の中で読書をしていた。ただし、読書と言っても紙の本を読んでいるのでは無く、ステータス画面の『ライブラリ』機能から読むことができる、日本で言えば電子書籍のようなものである。
1ヶ月程度の特別講義では学びきれなかった、『アマツ法学概論』『現代アマツの会計と税法』『モンスター学中級編』などといったスキル関係の書籍のほか、『現代のアマツ政治がよく分かる本』『一度読んだら忘れない地球史』『知らないと損する冒険者向け物理学』『現代の魔法研究はこんなに面白い』といった、一般向けの興味深い文献もある。
こうした読書は、これまでも暇を見つけては続けていたのだが、昨夜もえちゃんとの初体験で精液を出し尽くしたせいか、これまでに無くすっきりした気分で読書に臨むことが出来た。それでも、僕の股間は相変わらず勃起しているけど、特に例のオナニー防止ポーションを飲まされてからは、何回射精しても僕の愚息は、一定以上には小さくなってくれない。最近は、僕の股間は勃起しているのが通常なのだと割り切って諦めている。
爆弾低気圧による暴風雨はお昼頃に止み、その後は快晴となったのだが、間もなく屋敷とその周囲が、にわかに慌ただしくなってきた。
「奥さん、一体何が起きているんですか?」
「今、城門の前に盗賊団が押し寄せているんです。フナバシ・タウンと、金目の物をすべて明け渡せ、さもないと皆殺しにしてやるなどと、叫んでいるようです」
「そんな連中、放置しておいて良いんですか?」
「良いんです。最近のフナバシ・タウンでは、盗賊団による威嚇は、もう年中行事のようになっていますから。もっとも、あの盗賊団たちには、フナバシ・タウンの城壁を破る力はありませんし、包囲戦を続ける気力もありません。こちらが何も反応しなければ、そのうち飽きて帰って行くでしょう。最近は、ずっとそんなことの繰り返しです」
間もなく、外の様子を見ていた上水流さん、じゃなくてもえちゃんが戻ってきた。みなみちゃんや瑞穂と違って、もえちゃんのことは1ヶ月以上『上水流さん』と呼び続けてきたので、急に頭を切り替えるのは難しいし、あのおっかない上水流さんを『もえちゃん』と呼ぶのは、まだちょっと心理的に抵抗がある。
「きよたん、城壁の前に現れた盗賊たちが生意気なこと言ってるわよ!」
「生意気って、どんなこと?」
「なんか、『俺たちはユッキーナ組だ! 死にたくなければ、さっさと城門を開けて俺たちの前に降伏しろ!』とか叫んでるのよ。今すぐ出撃して、あいつらをしばき倒してやりましょ!」
「敵の数はどのくらい?」
「2千ちょっとくらい。特に強そうな奴もいないし、あたしたちなら楽勝よ!」
「ちょっと待って。出撃するなら、みなみちゃんと瑞穂も呼ばないといけないし、僕たちだけで勝手なことをするのもまずいから、出撃して良いかノダ町長に相談しないと」
こうして、僕たち4人は、出撃の許可を求めるため、ノダ町長に面会することになった。
「盗賊団を倒すために出撃する? そんな必要は無い。こちらが出撃して来なければ、盗賊団の連中は、そのうち諦めて帰って行く。下手に出撃して損害を出せば、フナバシ・タウンの防衛力はさらに低下して、むしろ奴らの思う壺だ」
「町長さん。別に、ここの兵士さんに手伝ってもらうわけじゃないわよ。あんな連中、あたしたち4人だけで十分よ!」
「・・・・・・上水流君。敵の盗賊団は、2千人以上もいるんだぞ。それを、君たちたった4人で蹴散らせると言うのかい?」
「僕も、一応外の様子を見てきましたけど、出来ないことはないと思いますよ」
「きよたかさんともえさんなら、たぶんそのくらい楽勝だと思います」
「あんな雑魚相手に負けるモエ姉ではなかろう」
僕の言葉に、みなみちゃんと瑞穂も同意したものの、もえちゃんがいつも以上に元気いっぱいなのに対し、今日のみなみちゃんと瑞穂はいまいち機嫌が悪い。明らかに僕のせいなので、後で何とかフォローしないと。
「・・・・・・まあ、そこまで自信があるのなら、出撃を許可しよう。君たちの戦いぶり、とくと拝見させてもらうよ」
こうして、僕たちは4人だけで、城外で気勢を挙げている盗賊団たちに向かって出撃することになった。
「僕ともえちゃんで、敵に突撃を掛ける。みなみちゃんと瑞穂は、いつものように支援頼む」
「はい!!」
「あたしに任せておきなさい!」
「ふっ。偉大なる魔眼の女王、バロール様の力を見せてやろう」
愛馬カーヒラ君に乗り、アテナイス・ソードを方天画戟モードに変えた僕が指示を出すと、3人から元気な返事が返ってきた。
「行くぞ! みんなで力を合わせれば、絶対大丈夫!!」
僕が味方を『鼓舞』すると、瑞穂が僕とカーヒラ君に『ヘイスト』の魔法を掛ける。城門が開けられると、僕は真っ先に、気勢を挙げている盗賊団の首領に向かって突撃した。
「お? 俺たちに刃向かおうっていうのか? 叩き潰しごふううううっ!?」
首領らしき男は、台詞を言い終わる前に、僕の馬上突撃を受けてあえなく絶命した。僕は間髪入れず、周辺にいた盗賊団の連中を、方天画戟でまとめてなぎ倒して行った。
続いて、同じく『ヘイスト』で行動速度を大幅に挙げたもえちゃんも、走りながら怒濤の連続パンチを繰り出し、一撃で何人もの敵をまとめて吹っ飛ばしていく。僕や上水流さんの攻撃を免れた盗賊たちも、みなみちゃんや瑞穂の『フリーズ』で、次々と倒されていく。
盗賊団の連中は瞬く間に総崩れとなり、その後は戦いというより、僕たちによる一方的な虐殺劇と化した。RPGなどの世界と違い、少なくともこの世界におけるモンスターや盗賊たちは、勝ち目がないと分かっている敵に向かって、味方が全滅するまで戦おうなどとは考えず、とても勝ち目がないと分かれば、恐怖に駆られて我先にと逃げ出すのが常である。いくら数が多くても、弱くて統率も取れていない相手なら、僕たち4人だけでまとめて蹴散らすのは、そんなに難しいことでは無い。
「きよたん。若干遠くまで逃げちゃった敵が数十人くらいいるけど、追撃する?」
「まあ、その程度ならいいや。一旦帰還しよう」
ちなみに、上水流さんは僕と異なり、『索敵』の上位スキルである『偵察』を習得済みなので、敵兵の数なども察知できる。僕も、スキルポイント・・・・・・面倒だからこれからはSPと呼ぶことにするか・・・・・・に余裕があれば習得したいんだけど、今後パーティーが危機に陥ったときに、生存率を飛躍的に上げる『テレポート』『リザレクション』『エヴァキュエイト』の魔法を最優先で習得したいので、少なくとも当面の間、『偵察』はもえちゃんに任せることになりそうだ。
ちなみに、ドラ○エシリーズに詳しい人なら、『テレポート』はルーラ、『リザレクション』はザオラル、『エヴァキュエイト』はリレミトに相当する魔法だと理解して頂いて差し支えない。
盗賊団を蹴散らし、フナバシ・タウンに戻った僕たちは、住民や兵士たちから大きな歓声をもって出迎えられた。
「おお、これがジェノサイド・キヨタカ・・・・・・。まさにアマツの英雄だ」
「なんという強さ・・・・・・。ノブナガ公の再来という噂は本当だったのか」
「キヨタカ様! サインください!」
「・・・・・・え? これは一体何事?」
あまりの熱烈歓迎ぶりに、出迎えられた僕たちの方が困惑してしまった。
そしてノダ町長も、僕たちの戦いぶりを手放しで絶賛した。
「村上君、そして上水流君、栗林君、山中君。皆、私の予想を遙かに上回る、見事な戦いぶりであった! 正直、私もこの目で見てみるまでは半信半疑だったが、君たちなら数千の敵をまとめて倒すことなど、確かに造作もないことだろう! 村上君と上水流君の武勇も凄かったが、栗林君と山中君も、前方の二人を魔法で上手くサポートし、『ヘイスト』で二人の戦闘力を最大限に引き出すと共に、二人が打ち漏らした敵を攻撃魔法で倒し、敵に立ち直る隙を与えなかった。これほど上手く連携が取れている冒険者のパーティーは、私もこれまで見たことがないくらいだよ」
「おお、貴殿はなかなか見所があるな。この賢き魔眼の女王、バロール様の実力を即座に見抜くとは」
「こら瑞穂、褒められたからって調子に乗らない!」
「まあまあ、村上君。山中君も賢いとは言え、まだ子供だ。そういうお遊びをしたい年頃なんだろう」
「どうもすみません、ノダ町長」
瑞穂の中二病発言にここまで寛容な姿勢を示してくれたのは、ノダ町長が初めてだった。
ノダ町長の取りなしもあって何とか騒ぎが収まった後、僕たちが屋敷に戻ると、町長の奥さんも僕たちを出迎えてくれた。
「皆さん、ご苦労様です。私は家を守っていたので見ていませんでしたけど、凄い戦いぶりだったそうですね。今はフナバシ・タウンの町中、皆さんの噂で持ちきりですよ」
「一体何で、あんな雑魚どもを蹴散らしただけで、あんな騒ぎになるのかしらね?」
「上水流さん。このフナバシ・タウンでは、これまで盗賊団たちの群れに挑発されても、ひたすら城門の中に閉じこもって耐えているしかなかったんですよ。その盗賊団を、たった4人でほぼ全滅させたなんて話を聞いたら、みんな大喜びするのは当然ではありませんか」
奥さんの説明を聞いて、ようやく僕は状況が飲み込めてきた。
「そういえば、僕たちの戦いぶりを大勢の人に直接見てもらったのって、今回が初めてだったね。僕たちとすれば、もうあんな光景は当たり前のようになってしまったけど、初めてみた人からすれば、凄い戦いぶりだったのかも」
「・・・・・・皆さん、いつもそのような戦い方をされているんですか?」
「そうよ。タマキ先生が見張りに付いているときや、他のパーティーに連れてもらっていたときは、あたしも思うように実力が出せなかったけど、この4人で戦うようになってからは、あたしも思う存分暴れられるようになったわ」
「まあ、こういう戦い方を始めたのは、1週間くらい前の最終模擬クエストのときで、昨日なんかはミスもありましたけど、みんな戦うたびに連携が上手くなって、今では僕がいちいち指示しなくても、ほとんど阿吽の呼吸で動いてくれるようになりました」
「はい! きよたかさんの指導もありまして、今では私や瑞穂ちゃんも、戦いになれば自然と身体が動くようになりました! ちょうど今の戦いで、一昨日のクエスト開始から倒した敵の数は、ええと、30,502匹になりましたね」
「はあ・・・・・・。それは凄いですね・・・・・・」
喜ぶみなみちゃんから、僕たちが倒した敵の数を知らされた奥さんは、あまりのことに掛ける言葉が見つからないという様子だった。
◇◇◇◇◇◇
その後、僕はフナバシ・タウンの住民たちに、タマキ先生からもらった例のマジックオルガンで『地上の星』や『糸』の演奏を披露したり、サインを書いてあげたりと、一種の胃ファンサービス(?)みたいなことをしていたのだが、それも一段落付いた夕方頃になると、僕は深刻な心と下半身の葛藤にに苦しんでいた。
うう・・・・・・。今夜も、もえちゃんとえっちしたい・・・・・・。でも、さすがに2日連続でもえちゃんとえっちしたら、さすがにみなみちゃんや瑞穂が怒るだろうから、今夜は我慢しないと・・・・・・。でも、気持ち良すぎるもえちゃんのおま○こを味わってしまった今、もう素股では満足できる気がしない・・・・・・。どうしよう・・・・・・。
僕が、そんなことを考えながら悩んでいると、もえちゃんが声を掛けてきた。
「あれ? きよたん、何を悩んでるの?」
「い、いや、別に。大したことじゃ無いよ」
「そう? それで、今夜もあたしとえっちする?」
「え、えーと・・・・・・」
ま、まずい。今夜はさすがに断らないと。一昨日が瑞穂で、昨日がもえちゃんだったから、順番的に今日はみなみちゃんにしないと。・・・・・・でも、みなみちゃんのあそこはまだ小さくて、今夜挿入できるかどうかは分からないし、仮に挿入できても、もえちゃんみたいに満足できるまでえっちできるとは思えないし・・・・・・。
「どうしたのよ、きよたん? きよたんのおちん○んは、あたしとえっちしたいって必死に訴えてるわよ。もっと、自分に正直になりなさいよ」
もえちゃんに指摘されたとおり、僕の愚息は、明らかにもえちゃんとのえっちを強く望んでいた。
「きよたん、あと5秒以内に返事しないと、今夜はえっちしてあげないわよ。5・・・、4・・・、3・・・、2・・・、1・・・」
「こ、今夜もお願いします!」
「良く言えました、きよたん」
僕の答えを聞いたもえちゃんが、ニッコリと微笑んだ。
一方の僕は、自分の理性が性欲にあっさり負けてしまったことに、強い罪悪感と敗北感を覚えていた。
夕食を終えた後、僕はもえちゃんの部屋に行き、当然のようにえっちを開始。もえちゃんの方も期待していたようで、最初のうちはすぐに挿入して、ひたすら腰を振って性欲をぶつけるだけのえっちを続けていたのだが、5回くらい連続で射精してひとまず休憩に入った後、僕はもえちゃんに、挨拶代わりの軽いキスをしただけで、まともな前戯をろくにやっていないことに気がついた。
「・・・・・・もえちゃん」
「なあに、きよたん? またしたくなっちゃった?」
「いや、まだそれは余裕があるんだけど、これまでもえちゃんに、前戯をろくにやってこなかったから、こんな挿入するだけのえっちだと、もえちゃんが満足出来ないんじゃ無いかと思って」
「・・・・・・前戯って何よ?」
「だから、お互いに舌を入れてディープキスをしたり、もえちゃんの首筋や髪を撫でたり、胸を触ったりとか」
「・・・・・・別に、あたしにはそんなことしなくて良いわよ。きよたんがあたしに挿れて腰を振って、ビューって何度も射精するだけで、あたしとしては十分気持ち良いから」
「もえちゃんは、キスしたり胸を触られたりするのって、嫌いなの?」
「嫌いっていうか、そういうことをされると・・・・・・、昔の嫌なことを思い出しちゃうのよ」
「嫌なこと?」
「うーん、このことは、タマキ先生なんかにも話したこと無かったんだけど、きよたんになら話してもいいかな」
そう前置きして、もえちゃんは自分の過去について話し始めた。
◇◇◇◇◇◇
「あたし、日本ではまともな恋愛なんかしたこと無かったけど、えっちはしたことあるってことは、きよたんも知ってるでしょ?」
「うん。そういう話は聞いた覚えがあるけど、実際にもえちゃんとえっちしてみると、たぶん1度や2度じゃなくて、まだ16歳なのにかなり経験しちゃってるって感じだった。でも、もえちゃんの性格からして、日本で中学生の頃から男遊びをしていたとは思えないし、どうしてそんなにえっちに慣れてるのか、不思議に思ってたんだけど」
「あたしは、日本ではボクシング一筋で、彼氏を作ったり男遊びをしたりなんてことは、一切してないわよ。でもね、顧問の教師に、色々とされちゃってたの」
「中学の先生に?」
「女子ボクシング部の、顧問の教師よ。あたしが中1の頃、お前の悩みを解消してやるとか言って、あたしの胸を触ってきたりするくらいだったけど、やることがどんどんエスカレートして、最後までされるようになっちゃって、そんなことがずっと続いてたのよ」
「・・・・・・それって、明らかに性的虐待じゃない! 両親には相談しなかったの!?」
「あたしも、次第にこんなことされるのはおかしいって思い始めて、両親には相談したわよ。でも、その教師はボクシングの世界では結構有名な人で、その人のスキャンダルが発覚すると、ボクシング業界全体が大変なことになって、ボクシングの選手たちが東京オリンピックに出場できなくなるかも知れないし、あたしのボクシング人生も台無しになっちゃうから、我慢しなさいって言われるだけで・・・・・・」
「何!? そのひどい親! 僕のお父さんだったら、たぶん話を聞いた途端に怒り狂ってすぐに訴訟を起こすよ!」
「きよたんのお父さんがどういう人かは知らないけど、うちのお父さんは元々ボクシングをやっていて、あたしにボクシングを教えてくれたのもお父さんなんだけど、目上の人には絶対服従っていう性格だったのよ。あたしのお母さんも、事なかれ主義って感じの人だったわ。それに、あたしはスポーツは得意だったけど勉強がダメダメだったから、高校に入るにはスポーツ推薦で入れてもらうしかなくて、それもあの教師に逆らえなかった理由の一つなんだけど」
「・・・・・・」
「それで、無事推薦をもらって高校に進学して、これでやっとあの教師とも縁が切れると思ったら、高校に入った後も度々呼び出されてえっちされて・・・・・・。結局、ようやくあの教師と縁が切れたのは、あたしが死んでこの世界に転生したときだったのよ」
「・・・・・・もえちゃん、ごめん。もう、掛ける言葉が思いつかない」
「でもね、この世界に転生して、これからは戦いに専念しようと思っていたけど、あたしの身体はえっちがしたくなって疼いちゃって・・・・・・。特にきよたんが来てからは、きよたんとえっちすることばかり考えるようになっちゃって・・・・・・。あたしって、元々そういうダメな女の子だから、あの教師に良いように弄ばれちゃったのかなって。でも、あの教師にされていたみたいに、キスされたり胸を触られたりすると、あの頃の嫌な思い出が蘇ってきちゃって・・・・・・」
「それは、別にもえちゃんが悪いわけじゃないと思うよ」
「え?」
「これは、僕のお父さんから聞いた話なんだけど、女の子の身体っていうのは、えっちなことをされればされるほど、身体がえっちに慣れてきちゃって、特に若い頃からえっちなことをされ続けていると、えっち無しではいられない身体になっちゃうんだって。それは、相手が自分の好きな人でも、嫌いな人でも基本的には変わらないみたいで、例えばもえちゃんと似たような感じで、学校の教師とか、あるいは自分の父親とかに性的虐待を受け続けてきたような女の子は、やっとのことでそんな悪い男から逃げ出せても、身体は自然とえっちを求めちゃうんだって。でも、僕みたいな男の子は、成長すると自分の意思とは関係なく性欲がどんどん高まってきて、自然と心と身体は別なんだって割り切るようになるけど、女の子はそういう風には考えないみたいで、そういう性的虐待を受け続けてきた女の子は、心ではもうえっちなんかしたくないのに、身体がえっちを求めてしまうのは、自分が悪い子だからだって勝手に思い込んで、一人で悩みを抱えこんじゃう例が多いんだって。話を聞かせてもらった僕から見れば、悪いのはもえちゃんをえっちな身体にしちゃったその酷い教師で、もえちゃん自身は何も悪くないと思うよ」
「・・・・・・そうなんだ。でも、きよたんって、そういう心と身体の違いに悩んだことってあるの?」
「あるどころか、今でも悩んでるよ! 僕は、もともとえっちなことばかり考えず、真面目に生きようって思っているのに、特にこの世界へ転生してからは、性欲ばかりがどんどん高まってきちゃって、1日に何度も射精しないと収まりが付かなくなっちゃったし、可愛い女の子をみたら、節操なく股間が疼いてきて、えっちなことしか考えられなくなっちゃうし、女の子とえっちなことをする快感を覚えてしまったら、もう女の子無しではいられない身体になっちゃうし! 本当は、こんなスケベな男になんてなりたくないし、そんな男だと思われるのは嫌なのに・・・・・・」
僕が思わず本音をぶちまけると、もえちゃんはクスクスと笑い出した。
「きよたんって、自分のことそんな風に思ってたんだ。ある意味、あたしと似たようなものね。おかげで、あたしもいくらか気が晴れたわ」
「まあ、少しでも僕が役に立てたならいいんだけど、ちょっと気になることがあって」
「何? あたし、あの教師ときよたん以外の男とは、えっちしたことないわよ」
「そういう話じゃ無くて。もえちゃん、たしか僕と同い年って言ってたよね?」
「確かに言ったわよ」
「まあ、以前ステータス画面を見たときは、僕ももえちゃんも16歳だったから、そうかなって思ってたんだけど、もえちゃんって高校1年生のときに事故で亡くなって、その後このアマツで半年以上も訓練生をしていたわけだから、もし日本で生きていれば、高校2年生になってたわけだよね? そうだとしたら、僕よりもえちゃんの方が、1学年上になると思うんだけど」
「確かにそうだけど、あたし、4月1日生まれなのよ」
「ああ、極端な早生まれなんだ」
「そうなのよ。あたしが小学校に入学するとき、両親がてっきり4月1日生まれから新しい学年になるのかと思ってたら、実は4月2日生まれから新しい学年になるってことが分かって、思ってたより1年早く、小学校に入学することになっちゃったのよ! あたしが勉強苦手だったのは、きっとそのせいだわ!」
「・・・・・・いや、さすがに高校生にもなって九九の存在自体も覚えてないっていうのは、それ以前の問題じゃ無いかって気がするけど」
しかし、もえちゃんは僕の突っ込みに耳を貸さず、さらにまくし立てた。
「そもそも、どうして3月31日生まれと4月1日生まれの間じゃ無くて、4月1日生まれと4月2日生まれの間で学年が分かれるのよ!? あまりにも分かりにくいし、理不尽じゃ無いの!」
「もえちゃん、日本には『年齢計算に関する法律』ってものがあって、年齢の計算にあたっては出生の初日から計算することになっているから、法律上は誕生日の前日に、年齢が1歳加算されるんだよ。だから、4月1日生まれのもえちゃんは、毎年3月31日に法律上の年齢が1つ増えるから、早生まれになるわけ」
「だから、なんでそういう分かりにくい法律になってるのかって聞いてるのよ!」
「それはね、毎年の誕生日に年齢が1つ増えるという仕組みにしてしまうと、閏年の2月29日に生まれた人は、4年に1度しか年齢が増えないってことになっちゃうじゃない。その問題を解決するために、2月29日生まれの人も2月28日に年齢が増えるという制度を採用したから、必然的にみんな、誕生日の前日に年齢が増えるという形になっちゃったみたいなんだけど。
ちなみに、アマツでは日本と違って、年齢の計算方法については『法例』っていう法律の中に規定があって、年齢の計算にあたっては出生の翌日から計算することになっているから、法律上の年齢も誕生日に加算される。ただし、日本からの転生者については、原則としては転生時の年齢をベースにして、その人の日本における誕生日に該当する日に法律上の年齢が加算されるだけど、アマツの暦は1ヶ月が全部30日で、1月31日とか10月31日とかいう日付はないから、そういう日に生まれた人は、前日の30日に年齢が加算されることになっているんだって」
「・・・・・・きよたん、なんか妙に詳しいわね。ちなみに、きよたんの誕生日はいつなの?」
「4月2日生まれ」
「ずるい! あたしと1日しか違わなくて、何気に美味しいポジション占めてるじゃないの!」
「・・・・・・実を言うと、僕が生まれたのは4月1日の深夜くらいで、4月1日生まれか2日生まれか微妙な時間帯でね。それで、僕のお父さんは弁護士やってたから、『年齢計算に関する法律』のことも当然のように知っていて、4月1日生まれだと学校に上がったとき不利になるから、4月2日生まれってことにして出生届を出しちゃったんだ」
「悪知恵にも程があるわよ! ほんとにもう、あたしは運に恵まれない子供だったんだわ。あのエロ教師といい、親といい、誕生日といい、名前といい・・・・・・」
「もえちゃん、名前にも何かあるの?」
「あるのよ。あたしの『もえ』って名前、漢字で書くとなんか違和感が無い?」
「そう言われれば、『萌音』って書いて、どうして『もえ』って読ませるのか、いまいち何を考えているのか分からない名前の付け方だね。『もね』ならまだ分かるけど」
「そのとおり、もともとあたしの名前は、『もね』になる予定だったのよ。ところが、あたしが生まれる直前くらいになって、あたしのおばあちゃんが、『もね』だといまいち呼びにくい、『もえ』の方がいいって言い出したらしくて、結局お父さんは、漢字の方はそのままにして、呼び方だけ『もえ』に変えて出生届を出しちゃったのよ」
「ありゃまあ」
「そういう変な名前のせいで、あたしはしょっちゅう名前を読み間違えられて迷惑してるのに、その話を聞いたお父さんは、『もえ』って名前にするんだったら、漢字の方も『おと』の字を『え』に変えて『萌絵』とかにしとけばよかったなあなんて、まるで他人事みたいに・・・・・・」
「まあ、それを言うなら、僕の名前もちょっといわく付きだから」
「どんな?」
「お父さんが僕の名前を決めるとき、将来総理大臣になってもおかしくない立派な名前を付けようって考えて、それでお父さんの名前が『智隆』で、ちょうど第2代の内閣総理大臣に黒田清隆って人がいたから、その人から取って僕の名前は『清隆』になったんだけど」
「立派な名前じゃないの。その名前のどこがいわく付きなのよ?」
「それで、僕が小学生のとき、僕の名前の由来になった黒田清隆ってどんな人だったんだろうと思って調べてみたら、黒田清隆は明治政府の重鎮で、人身掌握術には長けていたと言われているんだけど、政策立案能力はイマイチで、総理大臣としては目立った業績を残せなかった人なんだ。それだけじゃなく、黒田清隆は酒を飲むと大暴れする酒乱の癖があって、船に乗っていたとき酔った勢いで大砲を誤射して住民を殺してしまったり、酒の席で暴れて木戸孝允に取り押さえられ、全身を毛布と紐で縛られて簀巻きにされたまま自宅へ送り返されたり、自分が推進した条約改正案に反対した井上馨という人物が気に食わず、酒に酔ったまま井上邸内に侵入する事件を起こし、結局それが原因で総理大臣を辞任することになったり、さらには酒に酔った勢いで自分の奥さんを殺してしまったという疑いもあって、仲間の人がそれを強引にもみ消したり・・・・・・」
「・・・・・・確かに、ちょっとお手本にはしたくない人ね」
「それでお父さんに、なんで僕にそんな人の名前を付けたのって問い詰めたら、『すまん。そこまで深く調べてなかった』って答えが返ってきて・・・・・・。仕方ないから、僕は大人になっても、生涯お酒は一切飲まないって決めたんだ。もし、僕が酒に酔って暴れるような人間だったら、『やっぱり名前は争えない』とか色々言われそうだから」
「ふふっ。きよたんも優等生のように見えて、裏では結構苦労してるのね」
「まあね。僕のお父さんも、普段は優しい感じだけど、怒り出すと雷のように怖い人になって、僕もお母さんも手が付けられないくらいになっちゃうんだよ。以前、テレビでどこかの元事務次官が、自ら出来損ないの息子を殺して自首したっていうニュースを観たとき、僕に向かって『間違っても、清隆はあんな、父親の肩書きを笠に着て威張り散らすような大人にになるな! もし清隆があんな大人になってしまったら、私はこの手で清隆を殺し、私も死ぬ!』って言われちゃって」
「なんか、きよたんのお父さんって、まさしくきよたんそっくりじゃないの。きよたんも、普段は大人しそうに見えるけど、実はすっごく正義感が強くて、気性も激しくて、しかも法律にやたら詳しくて。きよたんと最初に会ったときは、きよたんがあたしと一緒になって、モンスターや盗賊たちを殺しまくるような子になるなんて、想像もしてなかったわよ」
「・・・・・・そう?」
もえちゃんの感想に、僕は若干心外だと思ったものの、当のもえちゃんがクスクス笑いながら話しているので、強く反論する気にもなれなかった。
◇◇◇◇◇◇
「ところできよたん、そろそろえっちの続きがしたくなったんじゃない? おちん○んがまた大きくなって、ビクンビクンしてるわよ」
「・・・・・・うん」
雑談で話が盛り上がっていたが、今は僕ももえちゃんも素っ裸。おまけにもえちゃんは、大事なところを隠そうともしないので、僕の目線はどうしても、もえちゃんのえっちな花弁に向いてしまうのだ。
「じゃあ、そろそろえっちの続き、始める?」
「うん。でも、えっちで嫌な思い出が蘇って来ちゃうんなら、やり方を変えてみない?」
「やり方? どんな風に変えるのよ?」
「たとえば、僕が下になって、もえちゃんが上から僕にまたがってえっちするとか。その悪い教師にやられたのと違うやり方のえっちなら、嫌な記憶が蘇ることも無いかも」
「確かに、そういうえっちはあたしもやったこと無いけど・・・・・・。じゃあ、試してみよっか?」
こうして、僕がベッドの上に横たわり、もえちゃんが上から僕のおちん○んを挿入するという、いわゆる騎乗位のえっちを試してみることになった。
「ううん、こ、これ、上手くいくかしら・・・・・・?」
当のもえちゃんは、最初のうちこそ戸惑っていたものの、しばらくするとコツを掴み、自分から腰を激しく動かし始めた。
「こ、これ、いい・・・・・・。まるであたしが、きよたんを犯してるみたい」
「もえちゃん、そ、そんなに激しくされたら、すぐにイっちゃう・・・・・・、はうっ!」
びゅるるるるるるるっ!!
「ああん、きよたんの熱いのがあたしの中に入ってくる・・・・・・。きよたんをイカせるのって気持ち良いわ・・・・・・」
もえちゃんは、艶めかしい声でそんなことを呟きながら、休むこと無くなおも腰を振り続ける。提案したのは僕だけど、この騎乗位プレイは、僕にとってかなりきつかった。
正常位で僕が腰を振っていたときは、イクのを我慢するために腰を振る速度を若干緩めたり、射精した直後はペースダウンするなど、自分の都合でえっちのペース配分をすることが出来たけど、騎乗位でもえちゃんに腰を振らせると、僕の都合などお構いなしに、僕が射精した直後で刺激に弱くなっているときでも、全力で腰を振り続ける。
僕が日本にいたときもそうだったように、通常の男性であれば、射精して性欲を満足させればおちん○んは小さくなり、それ以上えっちを続けられなくなると思うのだが、このアマツに転生してから、特に例のオナニー防止ポーションを飲まされてからは、僕の愚息は何回射精してもあまり小さくならず、抜かずにそのまま挿入えっちを続けようと思えば出来てしまう。
もえちゃんはそれを良いことに、僕のおちん○んを玩具にして好き放題に挿入えっちを楽しんでいるみたいだけど、僕の方としては、射精直後の強すぎる刺激から逃れる方法が無く、強制的に連続でイカされてしまう。挿入えっちもここまで来ると、もはや気持ち良いを通り越して、一種の拷問になってしまう。
「も、もえちゃん。これ以上は、もう、やめて・・・・・・」
僕は、何とか声を絞り出したものの、当のもえちゃんは騎乗位えっちの快感で夢中になってしまい、僕の声など聞こえていない様子だった。
どうしよう。このまま、もえちゃんからされるがままになっていると、僕の身体が持たない。幸い、騎乗位だと僕の両手を自由に使えるから、このえっち地獄から解放されるには、両手を使ってもえちゃんをイカせるしかない!
そう心に決めた僕は、もえちゃんが腰を振るのに夢中になっている隙を突いて、両手でもえちゃんの乳首を触り始めた。
「ひあああああああああああああんっ!?」
突然の刺激に、もえちゃんが言葉になっていない嬌声のような悲鳴を上げる。今まで触ったことは無かったが、どうやらもえちゃんは、胸への刺激には意外と弱いらしい。
僕は両手の指を使って、乳首だけではなく、乳房周辺の敏感そうなところにも愛撫を始めた。
「いやあああああん! きよたん、そこ、らめえええええ・・・・・・」
胸への愛撫は、みなみちゃんや瑞穂を相手に結構やってきたが、もえちゃんにも有効らしい。もえちゃんの態度から、みるみる余裕が無くなっていく。
僕は、もえちゃんに何度もイカされて、もはや射精しようにも出すものが無いほど空っぽになっていたが、最後の力を振り絞って腰を振り、下からもえちゃんを突き上げる。
「あああああああああああああああああっ!」
もえちゃんが、これまでに無いくらい大きな喘ぎ声を上げ、全身を激しく震わせた。この夜、もえちゃんは既に3回ほどイッたはずだが、今回はこれまでとは比較にならないほどの絶頂に達したようだ。
それでも、僕は手や腰の動きを止めることなく、今度は左手を使って、もえちゃんのクリトリスに触ってみた。
「いやあああああ! 今イッてるから、らめええええ!」
もえちゃんの、何とか言葉を紡ぎ出したという感じの哀願を敢えて無視し、僕がもえちゃんを責め続けると、間もなくもえちゃんは、再びの絶頂を迎えた。
もえちゃんが、イキ過ぎて身体がクタッとなった頃合いを見計らって、
「もえちゃん。そろそろ終わりにしようか?」
「・・・・・・うん」
僕の言葉に頷いたもえちゃんは、何とか腰を上げて僕の愚息を引き抜くと、そのまま力尽きたように、僕の横へ倒れ込んでしまった。
やっと終わった・・・・・・。
僕は、内心で安堵したものの、地獄えっちで僕の身体も疲れ果てていたため、倒れ込んだもえちゃんに声を掛ける余裕も無く、そのまま眠りに就いてしまった。
(第20話に続く)
僕たちが、フナバシ・タウンでノダ町長の屋敷に泊めてもらった次の日。
午前中は、爆弾低気圧による暴風雨がまだ続いていたので、僕は屋敷の中で読書をしていた。ただし、読書と言っても紙の本を読んでいるのでは無く、ステータス画面の『ライブラリ』機能から読むことができる、日本で言えば電子書籍のようなものである。
1ヶ月程度の特別講義では学びきれなかった、『アマツ法学概論』『現代アマツの会計と税法』『モンスター学中級編』などといったスキル関係の書籍のほか、『現代のアマツ政治がよく分かる本』『一度読んだら忘れない地球史』『知らないと損する冒険者向け物理学』『現代の魔法研究はこんなに面白い』といった、一般向けの興味深い文献もある。
こうした読書は、これまでも暇を見つけては続けていたのだが、昨夜もえちゃんとの初体験で精液を出し尽くしたせいか、これまでに無くすっきりした気分で読書に臨むことが出来た。それでも、僕の股間は相変わらず勃起しているけど、特に例のオナニー防止ポーションを飲まされてからは、何回射精しても僕の愚息は、一定以上には小さくなってくれない。最近は、僕の股間は勃起しているのが通常なのだと割り切って諦めている。
爆弾低気圧による暴風雨はお昼頃に止み、その後は快晴となったのだが、間もなく屋敷とその周囲が、にわかに慌ただしくなってきた。
「奥さん、一体何が起きているんですか?」
「今、城門の前に盗賊団が押し寄せているんです。フナバシ・タウンと、金目の物をすべて明け渡せ、さもないと皆殺しにしてやるなどと、叫んでいるようです」
「そんな連中、放置しておいて良いんですか?」
「良いんです。最近のフナバシ・タウンでは、盗賊団による威嚇は、もう年中行事のようになっていますから。もっとも、あの盗賊団たちには、フナバシ・タウンの城壁を破る力はありませんし、包囲戦を続ける気力もありません。こちらが何も反応しなければ、そのうち飽きて帰って行くでしょう。最近は、ずっとそんなことの繰り返しです」
間もなく、外の様子を見ていた上水流さん、じゃなくてもえちゃんが戻ってきた。みなみちゃんや瑞穂と違って、もえちゃんのことは1ヶ月以上『上水流さん』と呼び続けてきたので、急に頭を切り替えるのは難しいし、あのおっかない上水流さんを『もえちゃん』と呼ぶのは、まだちょっと心理的に抵抗がある。
「きよたん、城壁の前に現れた盗賊たちが生意気なこと言ってるわよ!」
「生意気って、どんなこと?」
「なんか、『俺たちはユッキーナ組だ! 死にたくなければ、さっさと城門を開けて俺たちの前に降伏しろ!』とか叫んでるのよ。今すぐ出撃して、あいつらをしばき倒してやりましょ!」
「敵の数はどのくらい?」
「2千ちょっとくらい。特に強そうな奴もいないし、あたしたちなら楽勝よ!」
「ちょっと待って。出撃するなら、みなみちゃんと瑞穂も呼ばないといけないし、僕たちだけで勝手なことをするのもまずいから、出撃して良いかノダ町長に相談しないと」
こうして、僕たち4人は、出撃の許可を求めるため、ノダ町長に面会することになった。
「盗賊団を倒すために出撃する? そんな必要は無い。こちらが出撃して来なければ、盗賊団の連中は、そのうち諦めて帰って行く。下手に出撃して損害を出せば、フナバシ・タウンの防衛力はさらに低下して、むしろ奴らの思う壺だ」
「町長さん。別に、ここの兵士さんに手伝ってもらうわけじゃないわよ。あんな連中、あたしたち4人だけで十分よ!」
「・・・・・・上水流君。敵の盗賊団は、2千人以上もいるんだぞ。それを、君たちたった4人で蹴散らせると言うのかい?」
「僕も、一応外の様子を見てきましたけど、出来ないことはないと思いますよ」
「きよたかさんともえさんなら、たぶんそのくらい楽勝だと思います」
「あんな雑魚相手に負けるモエ姉ではなかろう」
僕の言葉に、みなみちゃんと瑞穂も同意したものの、もえちゃんがいつも以上に元気いっぱいなのに対し、今日のみなみちゃんと瑞穂はいまいち機嫌が悪い。明らかに僕のせいなので、後で何とかフォローしないと。
「・・・・・・まあ、そこまで自信があるのなら、出撃を許可しよう。君たちの戦いぶり、とくと拝見させてもらうよ」
こうして、僕たちは4人だけで、城外で気勢を挙げている盗賊団たちに向かって出撃することになった。
「僕ともえちゃんで、敵に突撃を掛ける。みなみちゃんと瑞穂は、いつものように支援頼む」
「はい!!」
「あたしに任せておきなさい!」
「ふっ。偉大なる魔眼の女王、バロール様の力を見せてやろう」
愛馬カーヒラ君に乗り、アテナイス・ソードを方天画戟モードに変えた僕が指示を出すと、3人から元気な返事が返ってきた。
「行くぞ! みんなで力を合わせれば、絶対大丈夫!!」
僕が味方を『鼓舞』すると、瑞穂が僕とカーヒラ君に『ヘイスト』の魔法を掛ける。城門が開けられると、僕は真っ先に、気勢を挙げている盗賊団の首領に向かって突撃した。
「お? 俺たちに刃向かおうっていうのか? 叩き潰しごふううううっ!?」
首領らしき男は、台詞を言い終わる前に、僕の馬上突撃を受けてあえなく絶命した。僕は間髪入れず、周辺にいた盗賊団の連中を、方天画戟でまとめてなぎ倒して行った。
続いて、同じく『ヘイスト』で行動速度を大幅に挙げたもえちゃんも、走りながら怒濤の連続パンチを繰り出し、一撃で何人もの敵をまとめて吹っ飛ばしていく。僕や上水流さんの攻撃を免れた盗賊たちも、みなみちゃんや瑞穂の『フリーズ』で、次々と倒されていく。
盗賊団の連中は瞬く間に総崩れとなり、その後は戦いというより、僕たちによる一方的な虐殺劇と化した。RPGなどの世界と違い、少なくともこの世界におけるモンスターや盗賊たちは、勝ち目がないと分かっている敵に向かって、味方が全滅するまで戦おうなどとは考えず、とても勝ち目がないと分かれば、恐怖に駆られて我先にと逃げ出すのが常である。いくら数が多くても、弱くて統率も取れていない相手なら、僕たち4人だけでまとめて蹴散らすのは、そんなに難しいことでは無い。
「きよたん。若干遠くまで逃げちゃった敵が数十人くらいいるけど、追撃する?」
「まあ、その程度ならいいや。一旦帰還しよう」
ちなみに、上水流さんは僕と異なり、『索敵』の上位スキルである『偵察』を習得済みなので、敵兵の数なども察知できる。僕も、スキルポイント・・・・・・面倒だからこれからはSPと呼ぶことにするか・・・・・・に余裕があれば習得したいんだけど、今後パーティーが危機に陥ったときに、生存率を飛躍的に上げる『テレポート』『リザレクション』『エヴァキュエイト』の魔法を最優先で習得したいので、少なくとも当面の間、『偵察』はもえちゃんに任せることになりそうだ。
ちなみに、ドラ○エシリーズに詳しい人なら、『テレポート』はルーラ、『リザレクション』はザオラル、『エヴァキュエイト』はリレミトに相当する魔法だと理解して頂いて差し支えない。
盗賊団を蹴散らし、フナバシ・タウンに戻った僕たちは、住民や兵士たちから大きな歓声をもって出迎えられた。
「おお、これがジェノサイド・キヨタカ・・・・・・。まさにアマツの英雄だ」
「なんという強さ・・・・・・。ノブナガ公の再来という噂は本当だったのか」
「キヨタカ様! サインください!」
「・・・・・・え? これは一体何事?」
あまりの熱烈歓迎ぶりに、出迎えられた僕たちの方が困惑してしまった。
そしてノダ町長も、僕たちの戦いぶりを手放しで絶賛した。
「村上君、そして上水流君、栗林君、山中君。皆、私の予想を遙かに上回る、見事な戦いぶりであった! 正直、私もこの目で見てみるまでは半信半疑だったが、君たちなら数千の敵をまとめて倒すことなど、確かに造作もないことだろう! 村上君と上水流君の武勇も凄かったが、栗林君と山中君も、前方の二人を魔法で上手くサポートし、『ヘイスト』で二人の戦闘力を最大限に引き出すと共に、二人が打ち漏らした敵を攻撃魔法で倒し、敵に立ち直る隙を与えなかった。これほど上手く連携が取れている冒険者のパーティーは、私もこれまで見たことがないくらいだよ」
「おお、貴殿はなかなか見所があるな。この賢き魔眼の女王、バロール様の実力を即座に見抜くとは」
「こら瑞穂、褒められたからって調子に乗らない!」
「まあまあ、村上君。山中君も賢いとは言え、まだ子供だ。そういうお遊びをしたい年頃なんだろう」
「どうもすみません、ノダ町長」
瑞穂の中二病発言にここまで寛容な姿勢を示してくれたのは、ノダ町長が初めてだった。
ノダ町長の取りなしもあって何とか騒ぎが収まった後、僕たちが屋敷に戻ると、町長の奥さんも僕たちを出迎えてくれた。
「皆さん、ご苦労様です。私は家を守っていたので見ていませんでしたけど、凄い戦いぶりだったそうですね。今はフナバシ・タウンの町中、皆さんの噂で持ちきりですよ」
「一体何で、あんな雑魚どもを蹴散らしただけで、あんな騒ぎになるのかしらね?」
「上水流さん。このフナバシ・タウンでは、これまで盗賊団たちの群れに挑発されても、ひたすら城門の中に閉じこもって耐えているしかなかったんですよ。その盗賊団を、たった4人でほぼ全滅させたなんて話を聞いたら、みんな大喜びするのは当然ではありませんか」
奥さんの説明を聞いて、ようやく僕は状況が飲み込めてきた。
「そういえば、僕たちの戦いぶりを大勢の人に直接見てもらったのって、今回が初めてだったね。僕たちとすれば、もうあんな光景は当たり前のようになってしまったけど、初めてみた人からすれば、凄い戦いぶりだったのかも」
「・・・・・・皆さん、いつもそのような戦い方をされているんですか?」
「そうよ。タマキ先生が見張りに付いているときや、他のパーティーに連れてもらっていたときは、あたしも思うように実力が出せなかったけど、この4人で戦うようになってからは、あたしも思う存分暴れられるようになったわ」
「まあ、こういう戦い方を始めたのは、1週間くらい前の最終模擬クエストのときで、昨日なんかはミスもありましたけど、みんな戦うたびに連携が上手くなって、今では僕がいちいち指示しなくても、ほとんど阿吽の呼吸で動いてくれるようになりました」
「はい! きよたかさんの指導もありまして、今では私や瑞穂ちゃんも、戦いになれば自然と身体が動くようになりました! ちょうど今の戦いで、一昨日のクエスト開始から倒した敵の数は、ええと、30,502匹になりましたね」
「はあ・・・・・・。それは凄いですね・・・・・・」
喜ぶみなみちゃんから、僕たちが倒した敵の数を知らされた奥さんは、あまりのことに掛ける言葉が見つからないという様子だった。
◇◇◇◇◇◇
その後、僕はフナバシ・タウンの住民たちに、タマキ先生からもらった例のマジックオルガンで『地上の星』や『糸』の演奏を披露したり、サインを書いてあげたりと、一種の胃ファンサービス(?)みたいなことをしていたのだが、それも一段落付いた夕方頃になると、僕は深刻な心と下半身の葛藤にに苦しんでいた。
うう・・・・・・。今夜も、もえちゃんとえっちしたい・・・・・・。でも、さすがに2日連続でもえちゃんとえっちしたら、さすがにみなみちゃんや瑞穂が怒るだろうから、今夜は我慢しないと・・・・・・。でも、気持ち良すぎるもえちゃんのおま○こを味わってしまった今、もう素股では満足できる気がしない・・・・・・。どうしよう・・・・・・。
僕が、そんなことを考えながら悩んでいると、もえちゃんが声を掛けてきた。
「あれ? きよたん、何を悩んでるの?」
「い、いや、別に。大したことじゃ無いよ」
「そう? それで、今夜もあたしとえっちする?」
「え、えーと・・・・・・」
ま、まずい。今夜はさすがに断らないと。一昨日が瑞穂で、昨日がもえちゃんだったから、順番的に今日はみなみちゃんにしないと。・・・・・・でも、みなみちゃんのあそこはまだ小さくて、今夜挿入できるかどうかは分からないし、仮に挿入できても、もえちゃんみたいに満足できるまでえっちできるとは思えないし・・・・・・。
「どうしたのよ、きよたん? きよたんのおちん○んは、あたしとえっちしたいって必死に訴えてるわよ。もっと、自分に正直になりなさいよ」
もえちゃんに指摘されたとおり、僕の愚息は、明らかにもえちゃんとのえっちを強く望んでいた。
「きよたん、あと5秒以内に返事しないと、今夜はえっちしてあげないわよ。5・・・、4・・・、3・・・、2・・・、1・・・」
「こ、今夜もお願いします!」
「良く言えました、きよたん」
僕の答えを聞いたもえちゃんが、ニッコリと微笑んだ。
一方の僕は、自分の理性が性欲にあっさり負けてしまったことに、強い罪悪感と敗北感を覚えていた。
夕食を終えた後、僕はもえちゃんの部屋に行き、当然のようにえっちを開始。もえちゃんの方も期待していたようで、最初のうちはすぐに挿入して、ひたすら腰を振って性欲をぶつけるだけのえっちを続けていたのだが、5回くらい連続で射精してひとまず休憩に入った後、僕はもえちゃんに、挨拶代わりの軽いキスをしただけで、まともな前戯をろくにやっていないことに気がついた。
「・・・・・・もえちゃん」
「なあに、きよたん? またしたくなっちゃった?」
「いや、まだそれは余裕があるんだけど、これまでもえちゃんに、前戯をろくにやってこなかったから、こんな挿入するだけのえっちだと、もえちゃんが満足出来ないんじゃ無いかと思って」
「・・・・・・前戯って何よ?」
「だから、お互いに舌を入れてディープキスをしたり、もえちゃんの首筋や髪を撫でたり、胸を触ったりとか」
「・・・・・・別に、あたしにはそんなことしなくて良いわよ。きよたんがあたしに挿れて腰を振って、ビューって何度も射精するだけで、あたしとしては十分気持ち良いから」
「もえちゃんは、キスしたり胸を触られたりするのって、嫌いなの?」
「嫌いっていうか、そういうことをされると・・・・・・、昔の嫌なことを思い出しちゃうのよ」
「嫌なこと?」
「うーん、このことは、タマキ先生なんかにも話したこと無かったんだけど、きよたんになら話してもいいかな」
そう前置きして、もえちゃんは自分の過去について話し始めた。
◇◇◇◇◇◇
「あたし、日本ではまともな恋愛なんかしたこと無かったけど、えっちはしたことあるってことは、きよたんも知ってるでしょ?」
「うん。そういう話は聞いた覚えがあるけど、実際にもえちゃんとえっちしてみると、たぶん1度や2度じゃなくて、まだ16歳なのにかなり経験しちゃってるって感じだった。でも、もえちゃんの性格からして、日本で中学生の頃から男遊びをしていたとは思えないし、どうしてそんなにえっちに慣れてるのか、不思議に思ってたんだけど」
「あたしは、日本ではボクシング一筋で、彼氏を作ったり男遊びをしたりなんてことは、一切してないわよ。でもね、顧問の教師に、色々とされちゃってたの」
「中学の先生に?」
「女子ボクシング部の、顧問の教師よ。あたしが中1の頃、お前の悩みを解消してやるとか言って、あたしの胸を触ってきたりするくらいだったけど、やることがどんどんエスカレートして、最後までされるようになっちゃって、そんなことがずっと続いてたのよ」
「・・・・・・それって、明らかに性的虐待じゃない! 両親には相談しなかったの!?」
「あたしも、次第にこんなことされるのはおかしいって思い始めて、両親には相談したわよ。でも、その教師はボクシングの世界では結構有名な人で、その人のスキャンダルが発覚すると、ボクシング業界全体が大変なことになって、ボクシングの選手たちが東京オリンピックに出場できなくなるかも知れないし、あたしのボクシング人生も台無しになっちゃうから、我慢しなさいって言われるだけで・・・・・・」
「何!? そのひどい親! 僕のお父さんだったら、たぶん話を聞いた途端に怒り狂ってすぐに訴訟を起こすよ!」
「きよたんのお父さんがどういう人かは知らないけど、うちのお父さんは元々ボクシングをやっていて、あたしにボクシングを教えてくれたのもお父さんなんだけど、目上の人には絶対服従っていう性格だったのよ。あたしのお母さんも、事なかれ主義って感じの人だったわ。それに、あたしはスポーツは得意だったけど勉強がダメダメだったから、高校に入るにはスポーツ推薦で入れてもらうしかなくて、それもあの教師に逆らえなかった理由の一つなんだけど」
「・・・・・・」
「それで、無事推薦をもらって高校に進学して、これでやっとあの教師とも縁が切れると思ったら、高校に入った後も度々呼び出されてえっちされて・・・・・・。結局、ようやくあの教師と縁が切れたのは、あたしが死んでこの世界に転生したときだったのよ」
「・・・・・・もえちゃん、ごめん。もう、掛ける言葉が思いつかない」
「でもね、この世界に転生して、これからは戦いに専念しようと思っていたけど、あたしの身体はえっちがしたくなって疼いちゃって・・・・・・。特にきよたんが来てからは、きよたんとえっちすることばかり考えるようになっちゃって・・・・・・。あたしって、元々そういうダメな女の子だから、あの教師に良いように弄ばれちゃったのかなって。でも、あの教師にされていたみたいに、キスされたり胸を触られたりすると、あの頃の嫌な思い出が蘇ってきちゃって・・・・・・」
「それは、別にもえちゃんが悪いわけじゃないと思うよ」
「え?」
「これは、僕のお父さんから聞いた話なんだけど、女の子の身体っていうのは、えっちなことをされればされるほど、身体がえっちに慣れてきちゃって、特に若い頃からえっちなことをされ続けていると、えっち無しではいられない身体になっちゃうんだって。それは、相手が自分の好きな人でも、嫌いな人でも基本的には変わらないみたいで、例えばもえちゃんと似たような感じで、学校の教師とか、あるいは自分の父親とかに性的虐待を受け続けてきたような女の子は、やっとのことでそんな悪い男から逃げ出せても、身体は自然とえっちを求めちゃうんだって。でも、僕みたいな男の子は、成長すると自分の意思とは関係なく性欲がどんどん高まってきて、自然と心と身体は別なんだって割り切るようになるけど、女の子はそういう風には考えないみたいで、そういう性的虐待を受け続けてきた女の子は、心ではもうえっちなんかしたくないのに、身体がえっちを求めてしまうのは、自分が悪い子だからだって勝手に思い込んで、一人で悩みを抱えこんじゃう例が多いんだって。話を聞かせてもらった僕から見れば、悪いのはもえちゃんをえっちな身体にしちゃったその酷い教師で、もえちゃん自身は何も悪くないと思うよ」
「・・・・・・そうなんだ。でも、きよたんって、そういう心と身体の違いに悩んだことってあるの?」
「あるどころか、今でも悩んでるよ! 僕は、もともとえっちなことばかり考えず、真面目に生きようって思っているのに、特にこの世界へ転生してからは、性欲ばかりがどんどん高まってきちゃって、1日に何度も射精しないと収まりが付かなくなっちゃったし、可愛い女の子をみたら、節操なく股間が疼いてきて、えっちなことしか考えられなくなっちゃうし、女の子とえっちなことをする快感を覚えてしまったら、もう女の子無しではいられない身体になっちゃうし! 本当は、こんなスケベな男になんてなりたくないし、そんな男だと思われるのは嫌なのに・・・・・・」
僕が思わず本音をぶちまけると、もえちゃんはクスクスと笑い出した。
「きよたんって、自分のことそんな風に思ってたんだ。ある意味、あたしと似たようなものね。おかげで、あたしもいくらか気が晴れたわ」
「まあ、少しでも僕が役に立てたならいいんだけど、ちょっと気になることがあって」
「何? あたし、あの教師ときよたん以外の男とは、えっちしたことないわよ」
「そういう話じゃ無くて。もえちゃん、たしか僕と同い年って言ってたよね?」
「確かに言ったわよ」
「まあ、以前ステータス画面を見たときは、僕ももえちゃんも16歳だったから、そうかなって思ってたんだけど、もえちゃんって高校1年生のときに事故で亡くなって、その後このアマツで半年以上も訓練生をしていたわけだから、もし日本で生きていれば、高校2年生になってたわけだよね? そうだとしたら、僕よりもえちゃんの方が、1学年上になると思うんだけど」
「確かにそうだけど、あたし、4月1日生まれなのよ」
「ああ、極端な早生まれなんだ」
「そうなのよ。あたしが小学校に入学するとき、両親がてっきり4月1日生まれから新しい学年になるのかと思ってたら、実は4月2日生まれから新しい学年になるってことが分かって、思ってたより1年早く、小学校に入学することになっちゃったのよ! あたしが勉強苦手だったのは、きっとそのせいだわ!」
「・・・・・・いや、さすがに高校生にもなって九九の存在自体も覚えてないっていうのは、それ以前の問題じゃ無いかって気がするけど」
しかし、もえちゃんは僕の突っ込みに耳を貸さず、さらにまくし立てた。
「そもそも、どうして3月31日生まれと4月1日生まれの間じゃ無くて、4月1日生まれと4月2日生まれの間で学年が分かれるのよ!? あまりにも分かりにくいし、理不尽じゃ無いの!」
「もえちゃん、日本には『年齢計算に関する法律』ってものがあって、年齢の計算にあたっては出生の初日から計算することになっているから、法律上は誕生日の前日に、年齢が1歳加算されるんだよ。だから、4月1日生まれのもえちゃんは、毎年3月31日に法律上の年齢が1つ増えるから、早生まれになるわけ」
「だから、なんでそういう分かりにくい法律になってるのかって聞いてるのよ!」
「それはね、毎年の誕生日に年齢が1つ増えるという仕組みにしてしまうと、閏年の2月29日に生まれた人は、4年に1度しか年齢が増えないってことになっちゃうじゃない。その問題を解決するために、2月29日生まれの人も2月28日に年齢が増えるという制度を採用したから、必然的にみんな、誕生日の前日に年齢が増えるという形になっちゃったみたいなんだけど。
ちなみに、アマツでは日本と違って、年齢の計算方法については『法例』っていう法律の中に規定があって、年齢の計算にあたっては出生の翌日から計算することになっているから、法律上の年齢も誕生日に加算される。ただし、日本からの転生者については、原則としては転生時の年齢をベースにして、その人の日本における誕生日に該当する日に法律上の年齢が加算されるだけど、アマツの暦は1ヶ月が全部30日で、1月31日とか10月31日とかいう日付はないから、そういう日に生まれた人は、前日の30日に年齢が加算されることになっているんだって」
「・・・・・・きよたん、なんか妙に詳しいわね。ちなみに、きよたんの誕生日はいつなの?」
「4月2日生まれ」
「ずるい! あたしと1日しか違わなくて、何気に美味しいポジション占めてるじゃないの!」
「・・・・・・実を言うと、僕が生まれたのは4月1日の深夜くらいで、4月1日生まれか2日生まれか微妙な時間帯でね。それで、僕のお父さんは弁護士やってたから、『年齢計算に関する法律』のことも当然のように知っていて、4月1日生まれだと学校に上がったとき不利になるから、4月2日生まれってことにして出生届を出しちゃったんだ」
「悪知恵にも程があるわよ! ほんとにもう、あたしは運に恵まれない子供だったんだわ。あのエロ教師といい、親といい、誕生日といい、名前といい・・・・・・」
「もえちゃん、名前にも何かあるの?」
「あるのよ。あたしの『もえ』って名前、漢字で書くとなんか違和感が無い?」
「そう言われれば、『萌音』って書いて、どうして『もえ』って読ませるのか、いまいち何を考えているのか分からない名前の付け方だね。『もね』ならまだ分かるけど」
「そのとおり、もともとあたしの名前は、『もね』になる予定だったのよ。ところが、あたしが生まれる直前くらいになって、あたしのおばあちゃんが、『もね』だといまいち呼びにくい、『もえ』の方がいいって言い出したらしくて、結局お父さんは、漢字の方はそのままにして、呼び方だけ『もえ』に変えて出生届を出しちゃったのよ」
「ありゃまあ」
「そういう変な名前のせいで、あたしはしょっちゅう名前を読み間違えられて迷惑してるのに、その話を聞いたお父さんは、『もえ』って名前にするんだったら、漢字の方も『おと』の字を『え』に変えて『萌絵』とかにしとけばよかったなあなんて、まるで他人事みたいに・・・・・・」
「まあ、それを言うなら、僕の名前もちょっといわく付きだから」
「どんな?」
「お父さんが僕の名前を決めるとき、将来総理大臣になってもおかしくない立派な名前を付けようって考えて、それでお父さんの名前が『智隆』で、ちょうど第2代の内閣総理大臣に黒田清隆って人がいたから、その人から取って僕の名前は『清隆』になったんだけど」
「立派な名前じゃないの。その名前のどこがいわく付きなのよ?」
「それで、僕が小学生のとき、僕の名前の由来になった黒田清隆ってどんな人だったんだろうと思って調べてみたら、黒田清隆は明治政府の重鎮で、人身掌握術には長けていたと言われているんだけど、政策立案能力はイマイチで、総理大臣としては目立った業績を残せなかった人なんだ。それだけじゃなく、黒田清隆は酒を飲むと大暴れする酒乱の癖があって、船に乗っていたとき酔った勢いで大砲を誤射して住民を殺してしまったり、酒の席で暴れて木戸孝允に取り押さえられ、全身を毛布と紐で縛られて簀巻きにされたまま自宅へ送り返されたり、自分が推進した条約改正案に反対した井上馨という人物が気に食わず、酒に酔ったまま井上邸内に侵入する事件を起こし、結局それが原因で総理大臣を辞任することになったり、さらには酒に酔った勢いで自分の奥さんを殺してしまったという疑いもあって、仲間の人がそれを強引にもみ消したり・・・・・・」
「・・・・・・確かに、ちょっとお手本にはしたくない人ね」
「それでお父さんに、なんで僕にそんな人の名前を付けたのって問い詰めたら、『すまん。そこまで深く調べてなかった』って答えが返ってきて・・・・・・。仕方ないから、僕は大人になっても、生涯お酒は一切飲まないって決めたんだ。もし、僕が酒に酔って暴れるような人間だったら、『やっぱり名前は争えない』とか色々言われそうだから」
「ふふっ。きよたんも優等生のように見えて、裏では結構苦労してるのね」
「まあね。僕のお父さんも、普段は優しい感じだけど、怒り出すと雷のように怖い人になって、僕もお母さんも手が付けられないくらいになっちゃうんだよ。以前、テレビでどこかの元事務次官が、自ら出来損ないの息子を殺して自首したっていうニュースを観たとき、僕に向かって『間違っても、清隆はあんな、父親の肩書きを笠に着て威張り散らすような大人にになるな! もし清隆があんな大人になってしまったら、私はこの手で清隆を殺し、私も死ぬ!』って言われちゃって」
「なんか、きよたんのお父さんって、まさしくきよたんそっくりじゃないの。きよたんも、普段は大人しそうに見えるけど、実はすっごく正義感が強くて、気性も激しくて、しかも法律にやたら詳しくて。きよたんと最初に会ったときは、きよたんがあたしと一緒になって、モンスターや盗賊たちを殺しまくるような子になるなんて、想像もしてなかったわよ」
「・・・・・・そう?」
もえちゃんの感想に、僕は若干心外だと思ったものの、当のもえちゃんがクスクス笑いながら話しているので、強く反論する気にもなれなかった。
◇◇◇◇◇◇
「ところできよたん、そろそろえっちの続きがしたくなったんじゃない? おちん○んがまた大きくなって、ビクンビクンしてるわよ」
「・・・・・・うん」
雑談で話が盛り上がっていたが、今は僕ももえちゃんも素っ裸。おまけにもえちゃんは、大事なところを隠そうともしないので、僕の目線はどうしても、もえちゃんのえっちな花弁に向いてしまうのだ。
「じゃあ、そろそろえっちの続き、始める?」
「うん。でも、えっちで嫌な思い出が蘇って来ちゃうんなら、やり方を変えてみない?」
「やり方? どんな風に変えるのよ?」
「たとえば、僕が下になって、もえちゃんが上から僕にまたがってえっちするとか。その悪い教師にやられたのと違うやり方のえっちなら、嫌な記憶が蘇ることも無いかも」
「確かに、そういうえっちはあたしもやったこと無いけど・・・・・・。じゃあ、試してみよっか?」
こうして、僕がベッドの上に横たわり、もえちゃんが上から僕のおちん○んを挿入するという、いわゆる騎乗位のえっちを試してみることになった。
「ううん、こ、これ、上手くいくかしら・・・・・・?」
当のもえちゃんは、最初のうちこそ戸惑っていたものの、しばらくするとコツを掴み、自分から腰を激しく動かし始めた。
「こ、これ、いい・・・・・・。まるであたしが、きよたんを犯してるみたい」
「もえちゃん、そ、そんなに激しくされたら、すぐにイっちゃう・・・・・・、はうっ!」
びゅるるるるるるるっ!!
「ああん、きよたんの熱いのがあたしの中に入ってくる・・・・・・。きよたんをイカせるのって気持ち良いわ・・・・・・」
もえちゃんは、艶めかしい声でそんなことを呟きながら、休むこと無くなおも腰を振り続ける。提案したのは僕だけど、この騎乗位プレイは、僕にとってかなりきつかった。
正常位で僕が腰を振っていたときは、イクのを我慢するために腰を振る速度を若干緩めたり、射精した直後はペースダウンするなど、自分の都合でえっちのペース配分をすることが出来たけど、騎乗位でもえちゃんに腰を振らせると、僕の都合などお構いなしに、僕が射精した直後で刺激に弱くなっているときでも、全力で腰を振り続ける。
僕が日本にいたときもそうだったように、通常の男性であれば、射精して性欲を満足させればおちん○んは小さくなり、それ以上えっちを続けられなくなると思うのだが、このアマツに転生してから、特に例のオナニー防止ポーションを飲まされてからは、僕の愚息は何回射精してもあまり小さくならず、抜かずにそのまま挿入えっちを続けようと思えば出来てしまう。
もえちゃんはそれを良いことに、僕のおちん○んを玩具にして好き放題に挿入えっちを楽しんでいるみたいだけど、僕の方としては、射精直後の強すぎる刺激から逃れる方法が無く、強制的に連続でイカされてしまう。挿入えっちもここまで来ると、もはや気持ち良いを通り越して、一種の拷問になってしまう。
「も、もえちゃん。これ以上は、もう、やめて・・・・・・」
僕は、何とか声を絞り出したものの、当のもえちゃんは騎乗位えっちの快感で夢中になってしまい、僕の声など聞こえていない様子だった。
どうしよう。このまま、もえちゃんからされるがままになっていると、僕の身体が持たない。幸い、騎乗位だと僕の両手を自由に使えるから、このえっち地獄から解放されるには、両手を使ってもえちゃんをイカせるしかない!
そう心に決めた僕は、もえちゃんが腰を振るのに夢中になっている隙を突いて、両手でもえちゃんの乳首を触り始めた。
「ひあああああああああああああんっ!?」
突然の刺激に、もえちゃんが言葉になっていない嬌声のような悲鳴を上げる。今まで触ったことは無かったが、どうやらもえちゃんは、胸への刺激には意外と弱いらしい。
僕は両手の指を使って、乳首だけではなく、乳房周辺の敏感そうなところにも愛撫を始めた。
「いやあああああん! きよたん、そこ、らめえええええ・・・・・・」
胸への愛撫は、みなみちゃんや瑞穂を相手に結構やってきたが、もえちゃんにも有効らしい。もえちゃんの態度から、みるみる余裕が無くなっていく。
僕は、もえちゃんに何度もイカされて、もはや射精しようにも出すものが無いほど空っぽになっていたが、最後の力を振り絞って腰を振り、下からもえちゃんを突き上げる。
「あああああああああああああああああっ!」
もえちゃんが、これまでに無いくらい大きな喘ぎ声を上げ、全身を激しく震わせた。この夜、もえちゃんは既に3回ほどイッたはずだが、今回はこれまでとは比較にならないほどの絶頂に達したようだ。
それでも、僕は手や腰の動きを止めることなく、今度は左手を使って、もえちゃんのクリトリスに触ってみた。
「いやあああああ! 今イッてるから、らめええええ!」
もえちゃんの、何とか言葉を紡ぎ出したという感じの哀願を敢えて無視し、僕がもえちゃんを責め続けると、間もなくもえちゃんは、再びの絶頂を迎えた。
もえちゃんが、イキ過ぎて身体がクタッとなった頃合いを見計らって、
「もえちゃん。そろそろ終わりにしようか?」
「・・・・・・うん」
僕の言葉に頷いたもえちゃんは、何とか腰を上げて僕の愚息を引き抜くと、そのまま力尽きたように、僕の横へ倒れ込んでしまった。
やっと終わった・・・・・・。
僕は、内心で安堵したものの、地獄えっちで僕の身体も疲れ果てていたため、倒れ込んだもえちゃんに声を掛ける余裕も無く、そのまま眠りに就いてしまった。
(第20話に続く)
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そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。
ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか…
if分岐の続編として、
「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
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クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
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考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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