僕の転生した世界があまりにも生々しい件

灯水汲火

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第2章 トーキョー編 目指せ! モンスター・ゼロ!

第17話 きよたんの初体験

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第17話 きよたんの初体験


 アラ川を渡って一泊した翌日。
 僕たちは、朝6時くらいに起きて、みなみちゃんが作った朝食を食べると、速やかにテントを荷馬車に収納して野宿の後始末を済ませ、フナバシ・タウンへの旅に向かうことになった。
「きよたかさん。アラキ君たち、無事トーキョーにたどり着けたでしょうか・・・・・・?」
「みなみちゃん、どうやら無事たどり着けたみたい。タマキ先生から、僕宛てにメッセージが届いてる」
「どんなメッセージが来たのよ?」
 上水流さんも聞いてきたので、僕はステータス画面に表示された、タマキ先生からのメッセージを読み上げた。

『きよたん、一体何考えてるのよ!? きよたんのせいで、あたし真夜中にたたき起こされた挙げ句、急に35人ものお世話やら、大変な仕事を押しつけられて!? しかも、今度は一体何が起こったんだって問い合わせも殺到してるし、これじゃあ寝る暇もないじゃないの!』

「・・・・・・タマキ先生、かなりご立腹らしいわね」
「それ以前に、一体如何なる方法で、我が眷属へメッセージを送ってきたのだ? 偉大なる叡智の持ち主たる、魔眼の女王バロール様を持ってしても、見当が付かぬぞ」
「どうやら、冒険者カードにメッセージの送受信機能が付いているみたい。僕も初めて知ったけど」
「それで、きよたんは返信出したの?」
「とりあえず、『すみません。道の途中で盗賊団に出くわして、その盗賊団を返り討ちにしてついでにアジトを潰したところ、思いがけない数の捕虜たちがいたので、他に良い方法が思いつかなかったんです』って返事しておいた。ちなみに、メッセージの入力方法は、音声入力と文字入力のどちらでも使えるみたい。まあ、タマキ先生には迷惑を掛けてしまったけど、人数がちょうど35人ということは、全員無事に到着出来たってことだね」
「それじゃあ、あの子たちのことは心配しないで済みそうね。確か、今日は爆弾低気圧が来るんでしょ? 先を急がないと」
「そうだね。昨日は行きがけに盗賊団やゴブリンのアジトを叩き潰して回ったけど、今日は基本的にやらず、邪魔をする盗賊団やモンスターは返り討ちにするけど、それ以外は無視する方向で」


 もっとも、アラ川を渡った後も、結構な数の盗賊団やゴブリン、その他のモンスターが僕たちの前に出現した。
「きよたかさん。この辺は治安が悪いとは聞いていましたけど、今日も結構な数の盗賊さんやゴブリンさんたちが出てきますね。この様子だと、捕らえられている人も結構いるんじゃないんでしょうか・・・・・・?」
「みなみちゃん。今日ばかりは、奴らに構っている余裕は無い。クエスト達成の帰りにでも立ち寄って、まとめて叩き潰そう。盗賊団もゴブリンたちも、むやみに捕虜の人間を殺すということはまず無いみたいだから」
「ふっ。雑魚共がいくら現れようとも、我が魔眼の前に、敵無し!!」
「瑞穂、調子に乗ってると、またゴブリンたちの標的にされるよ。ちゃんと、僕の後ろで支援に徹してね。こんなところで瑞穂が死んじゃったら、急いでヤスクニ神社へ遺体を持ち帰ったとしても、たぶん蘇生は間に合わないよ! 後衛のみなみちゃんと瑞穂は、HPも防御力も低いんだから、安全第一で行動して!」
「このがきんちょ、先頭に立って戦おうなんて百年早いわよ!」
「ううう、ごめんなさい、お兄ちゃん、もえお姉ちゃん・・・・・・」
 僕と上水流さんに怒られて、瑞穂は半泣きになって謝った。
 先ほど、瑞穂はゴブリンたちの群れに遭遇したとき、調子に乗って先頭に飛び出し、魔法で先制攻撃を仕掛けようとしたところ、ゴブリンたちによる弓矢の一斉射撃の標的にされてしまい、泣きながら僕の後ろへ逃げ帰った来たのである。念のため、瑞穂には『シールドバリア』を張らせていたものの、それでも僕の『かばう』が一瞬遅かったら、瑞穂は危うく死ぬところだった。
 ちなみに、冒険者の仲間が死んでしまった場合、概ね24時間以内に遺体をトーキョー・シティーのヤスクニ神社へ運ぶことが出来れば、神社のアークプリーストが『リザレクション』で蘇生させてくれるが、冒険者の収入に応じたお布施が必要なので、たぶん僕たちのパーティーが蘇生を依頼したら、結構高額のお布施を取られる。また、日帰りでは終わらないクエストの場合、『リザレクション』を持っている仲間がいないと、蘇生は事実上不可能になる。タマキ先生によると、これも日帰りでは終わらないクエストの受注者が少ない原因の一つなのだそうだ。
 パーティーの中で最も生存能力の高い僕がもう少しレベルを上げ、トーキョーなどの行ったことのある町に瞬間移動できる『テレポート』と、死者を蘇生できる『リザレクション』を習得できれば、こうした危険もいくらか減少させることが出来るのだが、それまではみなみちゃんや瑞穂に途中で死なれたら、僕としても打つ手が無い。瑞穂には猛省してもらいたい。

◇◇◇◇◇◇

 現れる敵を倒しつつ、瑞穂にそんな説教をしながら道を進んでいくと、僕たちはこれまで見たことの無い種類の敵に遭遇した。黄色っぽい不定形の生き物が何体か蠢いて、ゆっくりとこちらに向かってくる。
「ああ、あれ、何でしょうか・・・・・・? 気持ち悪いです・・・・・・」
「スライム、推奨レベル基本職レベル25、物理攻撃無効。みなみちゃん、瑞穂、僕と上水流さんに、『エンチャント』で氷属性付けて。後は、スライムと十分な距離を取って、『フリーズ』で魔法攻撃をしてくれれば、絶対大丈夫! 僕たちなら勝てる!」
「は、はい!」
 僕の『鼓舞』で、怖がっていたみなみちゃんもやる気を取り戻し、僕たちはスライムに立ち向かった。スライムたちは、みなみちゃんと瑞穂の「フリーズ」で氷漬けにされ、僕と上水流さんの攻撃で、バラバラに砕け散って行った。
「こ、これ、死んでるんでしょうか・・・・・・? 氷が溶けたら、また生き返ったりしないでしょうか・・・・・・?」
「僕の『鑑定』スキルで、明らかにロストを確認できたから、その心配は無いよ。スライムは不定形の生き物で、表面を斬ったり殴ったりしてもダメージを与えることは出来ないけど、魔法などで中核を破壊されると、生命機能を維持できないらしい」
「お兄ちゃん、もえお姉ちゃんがいないよ。逃げていくスライムを、一人で追いかけて行っちゃったみたい」
「えっ!?」
 瑞穂の指摘で、僕は上水流さんがいなくなっていることに気付いた。それと同時に、「待ちなさーい!」などと叫んでいる、上水流さんの声が聞こえた。
「まったく、瑞穂のみならず、上水流さんまで調子に乗って・・・・・・」
「きよたかさん、どうします?」
「上水流さんのことだから、簡単には死なないと思うけど、『エンチャント』の効果が切れたら、魔法の使えない上水流さんだけでは、スライムに対抗出来なくなる。僕は、カーヒラ君に乗って上水流さんの後を追いかけるから、みなみちゃんと瑞穂は、チュニスとアルジェを連れて後を追いかけてきて」
「分かりました!」
「委細承知。この魔眼の女王、バロール様にお任せあれ」
 自信満々の瑞穂が一番心配なんだけど・・・・・・と内心思いつつ、僕はカーヒラ君を飛ばして、上水流さんの後を追いかけた。カーヒラ君も空気を読んで、僕が何も言わなくても全力疾走してくれた。この世界の馬は本当に便利だ。


「上水流さん、結構遠くまで行っちゃったな・・・・・・。まだ姿が見えない」
 僕が、全力疾走するカーヒラ君の馬上でそう呟いたとき、上水流さんの悲鳴らしき大きな声が聞こえた。
「あそこだ! 上水流さんがピンチらしい、急いで!」
 僕を乗せたカーヒラ君がもう一走りすると、平原の上でスライムたちに襲われている上水流さんを発見した。案の定、『エンチャント』の効果が切れてスライムへの有効な攻撃手段を失った上水流さんは、反撃に転じたスライムたちに対抗できず、やられっぱなしになってしまったらしい。
「アテナイス・ソード、片手剣モード! 喰らえ、『ホーリーカッター』!」
 僕は、カーヒラ君から降り、アテナイス・ソードを馬上用の方天画戟モードから徒歩用の片手剣モードに切り替え、上水流さんを襲っているスライムたちに『ホーリーカッター』を連発した。
 『ホーリーカッター』は、スライムの弱点属性である氷属性では無いので、さすがに一撃で倒すことは出来なかったが、それでもスライムたちの戦意を挫くには十分だったようで、間もなく上水流さんを襲っていたスライムたちは逃げていった。スライムたちは、不定形の生き物である割には、異様に逃げ足が速かった。
 ・・・・・・まあ、この際スライムたちはどうでもいい。早く、上水流さんを助けないと。
 そう思い直して、上水流さんの方を向いた僕は、思わず言葉を失った。

 上水流さんは、スライムたちに戦闘服のところどころを溶かされ半裸状態になっており、特に胸や大事なところは丸見えになっていた。そして上水流さんは、スライムたちにイカされる寸前だったのか、物欲しそうに腰を動かしながら、手を自らの股間に差し入れ、オナニーを始めていた。

 やばい。エロ過ぎる・・・・・・。
 いけないと思いつつも、僕の股間は上水流さんのあられもない姿を見て、激しく反応してしまっていた。このままでは、射精ストッパーが発動してしまうのも時間の問題である。
「上水流さん、大丈夫・・・・・・?」
 それでも、何とか僕が上水流さんに声を掛けると、上水流さんはようやく僕の存在に気付いた。僕に恥ずかしい格好を見られて、またいつかのように何事もなかった振りをするのかと思いきや、僕の姿を見た上水流さんの口から発せされたのは、思いもよらない言葉だった。
「・・・・・・挿れなさいよ」
「え?」
「きよたん、あたしの中に挿れたいんでしょ!? さっさと、ズボンとパンツを脱いで、その猛り狂った大きなおちん○んを、あたしの膣内へぶち込みなさいよ!」
「で、でも・・・・・・」
 僕の初めては、みなみちゃんとするつもりなのに・・・・・・と言いかけたそのとき、
「何度言わせるのよ! さっさとしないと、殴るわよ!」
「は、はい!!」
 上水流さんの有無を言わせぬ物言いに、僕は言われるがまま、急いで自分のズボンとパンツを脱ぎ、滾っている僕の愚息を上水流さんの濡れた花弁にあてがったものの、その先が上手くいかない。
 どうしよう。このままじゃ、挿入するまで保たずに射精しちゃうかも・・・・・・。
「きよたん、ひょっとして、どこに挿れたらいいか分からないの?」
「う、うん」
 僕の返事を聞いた上水流さんは、なぜか笑みを浮かべた様子で、
「きよたん、ここよ。ここに挿れるのよ」
 そう言って、自分の手で僕の愚息を大事なところへ導いてくれた。上水流さんの手に導かれて、僕の愚息が上水流さんの膣内へと入っていった瞬間、
「はうっ!!????」
 ぶるっ!! びゅるるるるるるるるるっ!!
 僕の股間に、今まで経験したことの無い強烈な快感が襲い、僕は思わず変な声を上げてしまった。そして、それとほぼ同時に、僕は上水流さんの膣内に、思い切り射精してしまった。

「・・・・・・きよたん、もうイッちゃったの?」
「ご、ごめん・・・・・・。あまりにも気持ち良すぎて・・・・・・」
 僕は、その場で上水流さんに謝って、上水流さんの膣内から愚息を引き抜こうとしたところ、上水流さんに止められた。
「待って、きよたん。まだ抜かないで」
「で、でも・・・・・・」
「きよたんのことだから、まさか一発で終わりなんてことはないでしょ? あたしが満足するまで続けなさいよ。何回でも出していいから」
「う、うん・・・・・・」
 僕は、上水流さんに言われたとおり、愚息を引き抜くこと無く、上水流さんに向かって腰を振り始めたが、上水流さんの膣内はとても熱く、とても柔らかくヌルヌルしていて、それでいて僕の愚息をきつく締め付けてくる。あまりの快感に、僕のおちん○んがというより、僕の身体が溶けてしまいそうな錯覚に陥ってしまう。
「か、上水流さん、また出ちゃうっ!」
 ぶるっ! びゅるるるるるるるるるるるるっ!
 腰を振り始めてから、まだ1分もしないうちに、僕は2発目を上水流さんの膣内に射精してしまった。
「もう2発目? きよたんは本当に早いわね~」
「・・・・・・ご、ごめんなさい」
「でも、きよたんのおちん○ん、大きくて太くて元気で、膣内にびゅーっと出されると気持ちいいわ。あたしはまだ平気だから、そのまま続けなさいよ」
「う、うん。分かった」
 僕は、2発目の射精から一呼吸置いた後、おちん○んを引き抜くこと無く、ゆっくりと再び腰を振り始めた。

「きよたん、腰の振り方が遅いわよ」
「で、でも、上水流さんの膣内、気持ち良すぎて、思い切り腰を振ると、またすぐに出しちゃいそうで・・・・・・」
「そんなこと気にしなくていいから、もっと思い切り腰を振りなさいよ。そうしないと、あたしが気持ち良くなれないじゃない」
「わ、分かった。思い切り腰を振ればいいんだね」
「ああん、きよたんも分かってきたじゃない。ううん、いいわよ。そのまま続けて、全部あたしの膣内に出しちゃいなさい」
 上水流さんに言われたとおり、僕は思い切り腰を振って、ほとばしる性衝動を上水流さんに叩きつけた。でも、上水流さんの膣内はあまりに気持ち良くて、僕は射精衝動を堪えきれない。
 ぶるっ! びゅるるるるるるるっ!
「ごめん、また出しちゃった・・・・・・」
「気にしないで、そのまま休まずに続けて。あたし、もう少しでイケそうだから」
「う、うん」
 僕は、少し休んで射精後の快感に浸りたいのを我慢して、そのまま上水流さんに向かって、がむしゃらに腰を振り続けた。もう3発も射精した後だというのに、僕の愚息は一向に収まる気配がない。射精語の軽い倦怠感から立ち直ると、僕はむしろ、このまま上水流さんとのえっちを続けたい、上水流さんの膣内に何度も出したい、という衝動に駆られていた。
「ああ、ああ、きよたん、いい、いいわ・・・・・・」
 上水流さんの声が、次第に気持ちよさそうな嬌声に変わってくる。まさかこんなことになるとは思っていなかったけど、僕が気持ち良くなるだけでは申し訳ない。何とか頑張って、上水流さんにも気持ち良くなってもらわないと。
「ああ、きよたん、だめ、あああ、らめえええ~!」
 今更ダメと言われても、僕の腰は止められない。そのまま、上水流さんの膣内を突き続ける。
「あああああああああああ~~っっ!!」
 ぶるっ! びゅるるるるるるっ!
 上水流さんが、一際大きな喘ぎ声を上げて、全身をブルブルっと震わせた。それと同時に、上水流さんの膣がきつく締まり、僕の愚息にさらなる射精を促す。僕はたまらず、上水流さんの膣内に、間もなく4回目の射精をした。

「はあはあ・・・・・・、きよたん、なかなかやるわね・・・・・・。もう4回目なのに、こんなに出せるなんて・・・・・・」
「う、うん・・・・・・。自分でも、びっくりするくらいよく出ちゃう・・・・・・」
「きよたかさん、もえさん、そろそろよろしいでしょうか?」
「「ひゃああああああああああっ!?」」
 突然、みなみちゃんから声を掛けられ、驚く僕と上水流さんの声がハモった。

◇◇◇◇◇◇

 みなみちゃんと瑞穂に、上水流さんとの挿入えっちをバッチリ見られてしまい、僕は気まずい思いをしつつも、まだえっちの続きをしたがっている愚息を何とかパンツの中にしまい込み、ズボンを穿いて普段の服装に戻った。上水流さんは、戦闘服をスライムに溶かされ使い物にならなくなってしまったので、みなみちゃんに代わりの服を持ってきてもらい、何とか服装を整えた。
「・・・・・・それにしても、あんたたちいつから見てたのよ?」
「もえさんが、きよたかさんのおちん○んのことを、大きくて太くて元気で、びゅーっと出されると気持ちいいとか言っていたあたりからです」
「みなみちゃん、そこまで正確にリピートしなくていいわよ!」
「でも、きよたかさんも、もえちゃんも、結局瑞穂ちゃんのことを叱れる立場じゃないですね」
「え?」
「私たちは、きよたかさんがカーヒラ君に乗って、もの凄い勢いで走って行ってしまったので、普通に歩いていたら追いつけないと思い、瑞穂ちゃんのアイデアでお互いに『ヘイスト』を掛け合い、チュニスちゃんとアルジェちゃんにも『ヘイスト』を掛けて、全速力で走って、きよたかさんたちを追いかけてきたんです。それで、やっと追いついたかと思ったら、なぜかきよたかさんともえさんが、挿入えっちの真っ最中で、私たちが見ているのも気付かずに、挿入えっちに夢中になっちゃって・・・・・・。その間にモンスターでも現れたら、どうするつもりだったんですか?」
「・・・・・・無限なる叡智の持ち主バロール様も、さすがに今回ばかりは、あまりのことに掛ける言葉が見つからなかったぞ」
「私は、そろそろ終わるかなあと思いながら見ていたんですけど、二人の様子を見ていると、放っておいたらいつまでも続けそうなので、ちょうどもえさんがイッたタイミングを見計らって、声を掛けたんです。イク寸前で止めるのは、さすがにもえさんが可哀想ですから」
「・・・・・・何というか、ご配慮ありがとう。ああそれと、上水流さん」
「何よ、きよたん?」
「僕も、上水流さんの誘いに乗ってえっちしちゃったから怒れる立場じゃ無いけど、いくら上水流さんでも、さっきみたいに一人で突っ走ったら本当に危ないからね。特にこれからは、物理攻撃の効かないスライムも出てくるわけだし、『武闘家の服』も今回の件で一着ダメにしちゃったから、今度同じミスを繰り返したら、上水流さんの着る戦闘服が無くなっちゃうし、スライムたちに陵辱されている間に他のモンスターに殺されたり、盗賊たちに拉致される可能性だってあるんだからね」
「分かったわよ。これからは、きよたんたちからあまり離れないように気をつければいいんでしょ」
「やーいやーい、ゴリラがお兄ちゃんに怒られた~」
「何ですって!? このがきんちょ!」
「瑞穂、上水流さんをいちいち煽らない! また説教されたいの?」
「・・・・・・うう、ごめんなさい、お兄ちゃん」
「きよたかさん。もえさんや瑞穂ちゃんの件はともかく、そろそろ空が曇って来ましたよ。先を急いだ方が良いんじゃないでしょうか」
「そうだね。何とか爆弾低気圧が来る前に、フナバシ・タウンへ着かないと」


 その後、僕たちはみなみちゃんと瑞穂の『ヘイスト』を活用して先を急いだものの、相変わらず盗賊やモンスターたちが次々と現れては、僕たちの邪魔をしてくる。
 しかも、途中から雨が降ってきてしまい、風も強くなってきた。僕たちは、あらかじめ用意していた雨よけの油衣、日本で言う雨合羽みたいな服をそれぞれ着込んで、さらに先を急いだ。
 雨が降り出してからは、盗賊やモンスターの姿も見かけなくなったのがせめてもの救いだったが、雨や風は次第に強くなるばかり。空も次第に暗くなって、そろそろやばいかと思い始めたそのとき、堅固な城壁らしきものが見えてきた。
「あれだ! たぶん、あれがフナバシ・タウンだ!」
 僕たちは、急いでフナバシ・タウンの城門まで辿り着いたが、この悪天候なので城門も閉められており、城門を守る衛兵さんの姿も見当たらない。
「すみません! トーキョー・シティーから派遣された、冒険者のキヨタカ・ムラカミです! 誰かいたら、城門を開けてください!」
 僕が、必死になって城門の扉を叩きながらそう叫ぶと、城門の上から声が聞こえた。
「一体何者だ、こんな天候のときに」
「だから、僕たちはこのフナバシ・タウンへの救援に、トーキョー・シティーから派遣されてきた、冒険者のキヨタカ・ムラカミです! お願いですから、城門の中に入れてください! 町長宛の書状も持参しています!」
「そんな話は聞いていないな・・・・・・。悪いが、お前たちを入れて良いかどうか、ノダ町長に確認を取ってくる。それまで少し、そこで待っていなさい」
「・・・・・・分かりました。できる限り早くお願いします」
 どうやら、城門の上に衛兵さんたちの詰所があるらしく、そこから一人の兵士さんたちが、町の方に馬を走らせていく音が聞こえた。
「そこの若いの、キヨタカ・ムラカミとか言ったな。悪いが、このフナバシ・タウンは周辺の治安がかなり悪くて、盗賊たちが一般人に紛れて町に侵入を試みることも少なくないから、身元の分からない者については、ノダ町長の許可が無ければ城門内に入れてはいけない決まりになっているんだよ」
 門番らしい壮年の衛兵さんが、僕にそう教えてくれた。
「・・・・・・そういう決まりなら仕方ありませんけど、町長さんの許可はもらえるでしょうか・・・・・・? 一応、僕たちが来るってことは、事前に冒険者人材育成センターから連絡が行っているはずなんですけど」
「分からんねえ・・・・・・。一応、トーキョー・シティーから救援の冒険者パーティーが来るらしいという話は聞いているが、名前までは聞いていないし、到着は早くて2日後くらいではないかと聞いているし」
「僕たちがそのパーティーなんですけど、到着予定日に余裕を持たせたのが、かえって仇になっちゃったか・・・・・・」
 僕が、衛兵さんとそんな話をしている間に、馬に乗った兵士さんが戻ってきた。

「待たせたね、ノダ町長からの許可が出た。今城門を開けるから、入りなさい」
「ありがとうございます!」
 ようやく、門番の兵士さんに城門を開けてもらい、僕たち一行は城門の中に入ることが出来た。
「パーティーのメンバーは男1人、女3人か。念のため、他のメンバーの名前も聞かせてもらえるかな?」
「あたしは、モエ・カミズルよ」
「ミナミ・クリバヤシです」
 上水流さんとみなみちゃんが、それぞれアマツ流で自分の名前を告げた。
「ふっ。我こそは偉大なる魔眼の・・・・・・」
「瑞穂、こんなときにまでふざけるのは止めて!」
「・・・・・・ミズホ・ヤマナカです」
 僕に怒られてしょんぼりしつつ、瑞穂も自分の名前を兵士さんに告げた。
「うむ、トーキョー・シティーから連絡のあった名前と完全に一致している。どうやら救援の冒険者一行で間違いなさそうだ。待たせて悪かったね、ただいま町長さんの屋敷でお迎えの準備をしているところだから、とりあえず屋敷に入って、雨で冷えた身体を温めさせてもらいなさい」
「ありがとうございます」

 僕たちは、フナバシ・タウンの兵士さんに先導されて、町長さんの屋敷に辿り着き、そこで用意してもらった普段着に着替え、ようやく一息つくことが出来た。
「初めまして、ノダの家内でございます。皆様方、この悪天候のところを、よくおいでくださいました。主人との面会は、皆様方が落ち着いてからで結構でございますので、ひとまずこの屋敷でくつろいで、旅の疲れを癒やしてくださいませ」
 僕たちを出迎えてくれたノダ町長の奥さんは、見た感じ40代くらいで、落ち着いた様子の女性だった。
「ありがとうございます。奥さん、トーキョー・シティーの冒険者人材育成センターから、この書状を預かっていますので、町長さんにお渡し頂けますか?」
「かしこまりました。直ちに、主人に渡しましょう」
 町長の奥さんは、そう言って書状を受け取り、すぐにその場を立ち去った。


「はああーっ、一時はどうなるかと思ったけど、これでようやく一息つけたわねー」
 安堵の声を漏らす上水流さん。
「本当に、危ないところでした。こんなことになると分かっていたら、今朝はもう少し早く出発すべきだったかも知れませんね」
「ふっ。この、偉大なる魔眼の女王バロール様も、今宵は危うく暴風雨に巻き込まれて死ぬかと思うたぞ」
「暴風雨に巻き込まれて死ぬ魔眼の女王って、いまいちサマにならないわねー」
 上水流さんの突っ込みに、瑞穂を除く一同から笑いの声が漏れた。
 
◇◇◇◇◇◇

 こうして、僕たちは色々あったものの、何とか全員無事にフナバシ・タウンへ辿り着くことが出来た。
 そして、僕の挿入えっち初体験は、上水流さんを相手に、思いがけない事故のような形で済ませることになってしまった。僕の想像とは全く異なり、全くロマンチックではなく、とても格好悪く、他人に知られたら笑われてしまうような初体験だったけど。
 それでも、初めての挿入えっちは、僕が想像していたのをはるかに超えるほど、気持ち良かった。
 今日の初体験は、おそらく良くも悪くも、僕にとって一生の思い出として残ることになるだろう。

(第18話に続く)
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