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第2章 トーキョー編 目指せ! モンスター・ゼロ!
第16話 いざ、フナバシ・タウンへ!
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第16話 いざ、フナバシ・タウンへ!
卒業式の日から数えて、4日目。
僕たちは、普段より早く起きて、早朝の6時に冒険者人材育成センターを出発し、フナバシ・タウンに向かうことになった。
タマキ先生から、野宿は大変だからできる限り早く出発して、野宿する日数を少なくした方が良いとアドバイスされたため、早朝出発で可能な限り距離を稼ぐことにしたのである。
出発の前日までに、リハビリ中のエイルやフライヤ、それとアデレードさんなど訓練生の協力もあり、野宿用に使うテントの修復は無事に終わった。僕たちは、タマキ先生からテントの使い方や、野宿に必要な道具の使い方などを教わった。ドンキに注文していた装備品も、僕の『当世具足』以外は、遅れること無くセンターに届けられた。
そして、僕は出発の2日前、僕はカーヒラ君に騎乗しての戦闘訓練も試してみたのだが、片手剣モードのアテナイス・ソードでは、短すぎて馬上からの攻撃が敵に届かないし、馬上突撃も出来ない。
僕は暫し考え、アテナイス・ソードの形態を変えることにした。
「方天画戟になーれ、方天画戟になーれ」
「ちょっと、ホウテンガゲキって何よ!?」
アテナイスさんの声が聞こえた。どうやら、アテナイスさんは方天画戟という武器を知らないらしい。
「アテナイスさん、方天画戟というのは、地球の中国で使われていた武器で、槍のように突くことも出来るし、横刃で斬りつけることも出来るし、側面で叩き打撃攻撃をすることも出来るし、回転を加えてねじ込むことも出来るし、回して敵の攻撃を防ぐことも出来る攻防一体の便利な武器なんで、騎乗で戦うときは、そのモードにしたいんですけど。何とかなりませんか?」
「そ、そう言われても、あたしそんな武器なんて見たことも聞いたことも無いし・・・・・・」
「アテナイス様。キヨタカ殿の言う方天画戟とは、このような武器でございます」
今度は、天使アズリエルさんの声が聞こえた。どうやら、自分で情報を収集してくれたらしい。ちなみに日本では、方天画戟は『三国志演義』の呂布が使っていた武器として知られているけど、史実の方天画戟は宋代以降に使われるようになった武器であり、呂布が活躍していた後漢末期の時代には、そもそも方天画戟という武器は存在しなかったらしい。明代に成立したとされる『三国志演義』は、所詮歴史物の娯楽小説であり、そうした時代考証を完全に無視している作品なのである。
「結構複雑な形状なのね。まあ、でも形状さえ分かれば、変えられるわよ。これでいい?」
アテナイスさんの声が聞こえ、同時に僕のアテナイス・ソードも、僕の知っている方天画戟の形態に変わった。
「ありがとうございます、これで大丈夫です。それと、アテナイスさん」
「まだ何かあるの?」
「形態の変え方なんですけど、『片手剣になーれ、片手剣になーれ』って喋るのは、ちょっと格好悪いんで、『片手剣モード!』とか『方天画戟モード!』とかでも良いですか?」
「まあ、意味さえ分かれば何でも構わないわよ」
「分かりました。じゃあ、これからはそのやり方で行きますね」
結果的に僕の要望どおりにはなったものの、アテナイスさんって本当に、適当すぎる性格の女神だなあ・・・・・・。
それはともかく、方天画戟の力を最大限に活用するには、『棍棒』スキルも取っておいた方が良いので、スキルポイント1を消費して『棍棒』スキルを習得し、訓練用の棍棒でヨッシー君2号を叩きまくって、スキルレベルを急いで10まで上げた。
そして、上水流さんは馬の世話の練習で、みなみちゃんと瑞穂は野外料理の練習などで忙しいので、僕はカーヒラ君に乗って、単騎でトーキョー・シティーの西門から出撃し、現れたゴブリンなどのモンスターを倒しまくって方天画戟の使い心地を試し、怪力とHPの高さで知られるトロールを馬上突撃で瞬殺し、ちょうど良く襲いかかってきたキラータイガーを一撃で仕留め、戦利品としてキラータイガーの死体を持ち帰り、意気揚々とセンターに戻ってきた。カーヒラ君はスタミナがあり足も速いので、2時間くらいで帰ってこれた。
「おかえり、きよたん。カーヒラ君に乗って、何をやって来たの?」
僕を出迎えたタマキ先生が尋ねてきた。
「カーヒラ君と、この方天画戟モードに変えてもらったアテナイス・ソードの使い心地を試すために、ちょっと西門近くで腕試しをしてきました」
「西門って、確かにセンターからは近いけど、結構危ないわよ。トロールとかキラータイガーとか出なかった?」
「どちらも出ましたけど、どちらも一撃で仕留めました。あのくらいのモンスターなら楽勝ですよ。じゃあ、ちょっとこのキラータイガーを、かわたさんに売ってくるので」
「・・・・・・私、一応騎士のレベル15なんだけど、今のきよたんと戦ったら勝てる気がしないわ」
タマキ先生の愚痴をよそに、僕はそのままカーヒラ君に乗って、馴染みのかわたさんの家へ行き、キラータイガーを買い取ってもらった。買取価格は、前回より少し下がって23万アマツ円になったものの、単なる腕試しのついでに狩ってきたものなので、別に異存は無い。
もっとも、こうしたモンスターの死体は、そのままでは保存が利かないので、僕はかわたさんに、モンスターや動物の皮を剥いて塩漬けにする、かわた業の初歩的なノウハウを教えてもらった。既に、初心者スキルの『かわた』を習得しており、その日のうちに『かわた』のスキルはレベル10まで上がった。
そして、瑞穂の『ホーリーカッター』は余裕で、上水流さんの『馬丁』も何とか、スキルを10まで上げられたので、これで出発の準備は整った。
もっとも、タマキ先生から遠征の際に多額の現金を持ち歩くのは危険だと忠告され、行き先がフナバシ・タウンであれば、路銀は銅貨中心で1万アマツ円、多くても2万アマツ円くらいあれば十分ということなので、僕は出発の前日、路銀として2万アマツ円余りを手元に残し、残りの資金はトーキョー・シティーのシブサワ銀行に預金した。
一連の買い物を終えて、手元に残っていた現金が38万アマツ円余り。翌日、例の救出作戦で入手した宝石などの売却代金38万6千アマツ円が入り、さらに前日狩ったキラータイガーで23万アマツ円が入り、所持金合計は99万6千アマツ円余りにまで増えていたので、シブサワ銀行に僕名義の口座を作り、97万6千アマツ円を預けた。
シブサワ銀行では、冒険者が口座を開設した場合、紙の通帳は発行されず、ステータス画面に預金残高、取引履歴などの情報が記録される。各地の町にあるシブサワ銀行の支店やその提携銀行に行くと、冒険者カードさえあれば預金を引き出すことが出来る。日本の銀行と異なり、通帳やキャッシュカードの紛失や盗難を恐れる必要が無いので、シブサワ銀行は冒険者御用達の銀行として人気を集めている。
もっとも、トーキョー・シティーでは、シブサワ銀行以外の銀行は既に潰れてしまったので、他に選択肢は無いのだけれど。
こうして、昨日のうちに準備を済ませ、全員新しい装備に着替え、早朝だけど意気揚々と出発の準備を整えた僕たちに、タマキ先生が言葉を掛けてきた。
「きよたん。トーキョー・シティーの気象台から、今日は一日中晴れが続く見込みだけど、明日には爆弾低気圧がトーキョーに接近する可能性が高いという情報が来ているから、できる限り今日中には、アラ川まで辿り着いてね」
「この世界って、爆弾低気圧が発生するんですか?」
「最近、時々発生するようになったのよ。台風は昔からあったらしいんだけど、最近は台風以外でも、従来ではあり得ないくらいの豪雨が降ることも多くてね。爆弾低気圧が接近したら、アラ川はたぶん氾濫するから、しばらく渡れなく成っちゃうわよ」
「たぶんって、治水工事とかはやっていないんですか?」
「昔はやっていたらしいんだけど、最近は工事が追いつかなくなっちゃってね。アラ川のほとりにあったイチカワ・タウンは、度重なるモンスターの襲撃とアラ川の氾濫に悩まされた挙げ句、5年くらい前に放棄されて、イチカワ・タウンやその周辺の住民たちはトーキョーに疎開してきたわ。昔は農耕地帯として栄えていたらしいアラ川の周辺も、今は無人の地になっちゃってるのよ。そんな状態だから、アラ川が氾濫しても、今更誰も驚かないわ」
「そんな状態だと、アラ川に橋は架かってないんですよね?」
「もちろん。昔はあったらしいんだけど、今は流されて、無くなっちゃってるわよ」
「今回、荷物が多くなるということで、チュニスとアルジェには荷馬車を牽いてもらうことになりましたけど、橋も架かってないアラ川を、荷馬車で渡れるんですか?」
「それは大丈夫よ。今回センターで用意した四輪の荷馬車は、見てのとおり車輪がかなり大きくなっていて、悪路でも通れる構造になっているから、水深が低いところを選んで渡れば大丈夫よ。実際、隊商さんたちはそのくらいの荷馬車で、アラ川を渡ってチバ・シティーの方まで行ってるみたいだから。ちょうど、以前に橋が架かっていて、街道が途切れているあたりの場所は、水深が浅くて渡りやすいみたいね」
「タマキ先生、アドバイスありがとうございます。では行ってきます」
「気をつけてね。あんまり無茶したらダメよ」
僕たちは、タマキ先生の言葉に一抹の不安を感じつつ、センターを出発した。
◇◇◇◇◇◇
「予定どおり、朝8時にトーキョー・シティーの東門を出られたね」
「あたし、東門には初めて来たけど、トーキョー・シティーって、無駄に広いのね。センターから東門まで、歩いて2時間くらいかかるとは聞いてたけど、東門付近なんて、ほとんど田園地帯じゃないの」
「上水流さん、今のトーキョー・シティーは、せいぜい人口10万人くらいしかいない都市だけど、最盛期には100万人を超える人口がいたんだって。東門の近くに住んでいる人たちの大半は、イチカワ・タウンやその周辺の村落を放棄して、無駄に多かった空き家を解体して、城内の空き地を開拓して、従来と同じような農作業や家畜の放牧を営んでいる人たちらしいよ」
「なんで、自分たちの町や村を捨てて、引っ越してきたりするのよ?」
「このアマツ世界は、人類同士の内戦のほか、魔軍やモンスターの襲撃で人類の勢力が衰退していて、氾濫しやすいアラ川の治水工事をやる余裕も無くなり、度重なるモンスターの襲撃にも悩まされて、何とか生き残った人たちも、城壁に囲まれて安全なトーキョー・シティーに逃げ込まざるを得なくなったらしいよ」
「きよたかさん、そうするとこれから通るトーキョー・シティーの東側は、かなりの危険地帯ってことですか?」
「そうみたい。比較的治安を維持できている北部と違って、モンスターもゴブリンだけじゃなくて、暴れ猿とかグリフォンとか、トロールという怪力のモンスターも出るみたい。旅人や隊商なんかを狙う盗賊団なんかもいるらしいよ」
「ふっ。我、偉大なる魔眼の女王、バロール様の手に掛かれば、トロールなど敵に非ず!蹴散らしてくれようぞ」
「瑞穂、一般的なトロールは、推奨レベルが中級職のレベル5だからね。僕と上水流さんがいれば大丈夫だけど、今の瑞穂じゃまだ勝ち目はないからね」
「えっ!? お、お兄ちゃん、瑞穂がピンチになったら、ちゃんと助けてくれる?」
「大丈夫だよ。やばいモンスターが来たら、僕の後ろに隠れて、魔法で僕や上水流さんを援護してくれればいいから。それと、今回のクエストでは氷魔法を使うから、瑞穂もみなみちゃんも、道中での攻撃魔法は『フリーズ』を中心にガンガン使ってね。MPの消費は気にしなくて良いから」
東への街道を進みながらそんな雑談をしているうち、早くも敵を察知した。
「きよたん、どうやら最初のお客さんみたいね」
「敵はモンスターじゃ無くて、人間みたいだね。人数は20人前後かな。みなみちゃんと瑞穂は、念のため僕の後ろに隠れて、僕と上水流さんに『ヘイスト』掛けて」
「分かりました」
「委細承知。バロール様の力を見せてくれよう」
相手は、どうやら盗賊団らしい。僕たちを取り囲みながら、リーダーとおぼしき女盗賊が、お決まりの台詞で僕たちを脅迫してきた。
「あんたたち、待ちな。ここはただでは通さないよ。ここを通りたければ、金目の物を全部置いて・・・・・・」
僕は、その女盗賊が台詞を言い終わる前に、方天画戟モードになったアテナイス・ソードを一振りし、その女盗賊と取り巻き二人を、まとめて斬り殺した。
それに合わせて、上水流さんも他の盗賊たちを手当たり次第に倒していき、残りは、ブルブル震えている魔道士らしき女だけになった。
「おい、そこの女。お前たちのアジトの場所を教えろ。正直に吐けば、命だけは助けてやる」
僕は、敢えてドスの利いた口調で、その女に告げた。もちろん、言うことを聞かなければ即座に殺すという脅しである。
「は、はい。向こうの林の中にあります」
「分かった、案内してもらおう。あと、こいつらから金目のものをすべて奪い荷馬車に積み込んで。残った死体は瑞穂、蘇生できないように『ファイア』で焼いちゃって」
「お兄ちゃん、一体どっちが盗賊なの・・・・・・?」
呆気にとられた瑞穂が、中二病モードになることも忘れて何か呟いているが、先に因縁を付けてきたのは盗賊団の方だ。
魔道士の女に道案内をさせ、盗賊団のアジトらしき場所に辿り着いた。
「・・・・・・ここです」
「よし。お前はここで待機していろ。留守番中に余計なことをしたら、どうなるか分かっているな?」
「は、はい! 大人しくしています!」
「・・・・・・きよたかさん、今から何をするんですか?」
「みなみちゃん、今更言うまでも無いだろう。この盗賊団を皆殺しにしてやるんだよ」
「きよたん、早く行きましょ。悪は成敗しなきゃね」
「・・・・・・」
何か言いたそうな顔をしていたみなみちゃんも、僕の命令には素直に従い、僕たち4人は、盗賊団のアジトに殴り込みを掛けた。盗賊団のボスは、予想に反しあまり強くなかったので、戦いはあっけないほど簡単に終わったが、最近隊商を襲ったばかりなのか、中には10人以上もの捕虜らしき女性たちがいた。
「救出できたのは良いけど、結構人数が多いな・・・・・・」
アジトの建物には、ところどころに罠が仕掛けられていたので、僕がそれを発見しては破壊しながら内部を探索していると、盗賊団の生き残りと思われる連中が隠れていた。
「こ、降伏します! 何でもしますから、どうか命だけはお助けください! 俺は、もともとは日本から来たまっとうな冒険者だったんですが、ここの盗賊団に捕まって、やむなく盗賊団の一員になってしまっただけなんです!」
生き残りの1人である、見た目20歳過ぎくらいの男が、頭を下げて必死に懇願してきた。別に殺しても良いのだが、元は日本人の冒険者と聞いて、僕もさすがに、殺すのはちょっと可哀想になった。
「僕は、キヨタカ・ムラカミ。騎士のレベル7だ。お前の名を聞こうか」
「は、はい! 俺は、タカヒロ・アラキ、日本人としては荒木貴広と言います! レベル22の戦士です! このアマツには、2年ほど前にやって来ました」
「アラキ君か。同郷のよしみで、君たちの命は助けてあげるよ。その代わり、しばらく僕たちに協力してね」
「は、はい! 何でも協力は惜しみません!」
アジトの中には、結構な量の財物と、チュニスやアルジェには劣るが2頭の輸送馬、そして輸送用の荷馬車があったので、アラキ君や投降させた他の連中に手伝わせて、ありったけの財物を荷馬車に積み込んだ。救出した捕虜の女性は11人、投降した盗賊団の構成員は、アラキ君と先ほどの魔道士を含めて6人。アマツでも盗賊団も男性不足なのか、生き残った男はアラキ君だけだった。さっき殺したボスは男だったけど。
◇◇◇◇◇◇
捕虜になっていた女性たちを『ヒール』と『キュア』で治療して、僕たちは街道へ戻り、そのままアラ川の方向へ向かった。
「きよたん、こんなにたくさんの人たちを引き連れてどうするのよ? 足手まといになっちゃわよ」
「殺すわけにもいかないし、この先でも同じように捕虜になった人たちがいるような気がするから、救出の手伝いをしてもらう。あと、アラキ君には、アラ川あたりまで道案内をしてもらう。この先、どんなのが出るか分からないから」
「承知いたしました! このアラキ、ムラカミ様のために尽力させて頂きます!」
アラキ君に案内をさせて街道を進むと、案の定次々とモンスターが出てきた。しかし、道中で一番強かったモンスターは、お馴染みのキラータイガー。僕は二頭を倒し、上水流さんも一頭を、カウンター攻撃で喉笛を切り裂いて見事に仕留めた。トロールが5体まとめて出てきたこともあったが、パワーがあっても動きが遅いトロールは、僕や上水流さんの敵では無かった。
空から僕たちを襲ってきたグリフォンの群れは、弓矢や魔法攻撃の練習台になっただけだった。なお、上水流さんが使っている弓や、みなみちゃんと瑞穂が使っているクロスボウは、訓練生時代に使っているものと同じだが、ドンキで買える高級品は装飾等が豪華で長持ちするというだけで、武器としての威力は特に変わらないということなので、敢えて買わなかった。
「何よ。モンスターは確かにたくさん出てくるけど、雑魚ばかりじゃないの。もうちょっと骨のある相手と戦いたいわ」
「上水流さん。そういう骨のある相手と戦える高難度のクエストを引き受けるには、みなみちゃんと瑞穂もクラスチェンジさせる必要があるから、しばらくは我慢して。それに、雑魚相手でも戦い続ければ、少しずつだけど経験値も貯まるし、各スキルの熟練度は、雑魚が相手でもそれなりに上がるみたいだし」
ちなみに、上水流さんのスキルポイントは、卒業時点で14ポイント残っており、モンクを除く各上級職の固有スキルを一通り確認したところ、上水流さんに比較的向いているスキルは、レベル1で習得できる『偵察』(消費スキルポイント4、「索敵」の上位互換スキル)、レベル30で習得できる『防御力大上昇』(消費スキルポイント6)、レベル45で習得できる『命中率上昇』(消費スキルポイント6)、『絶対防御』(消費スキルポイント10)くらいしか無かった。
一方、上級職、神界の正式名称では中級職以上の冒険者なら、レベルを問わず習得できる「中級スキル」が結構あり、消費スキルポイントはどれも大体2ポイントのようだったので、上水流さんには上記『偵察』スキルのほか、「パンチ系攻撃威力上昇」「キック系攻撃威力上昇」「体術系威力上昇」「STR上昇」「AGI上昇」の5つを習得させた。
STR上昇とAGI上昇は、レベルアップ時の能力値上昇に補正がかかるというスキルで、戦いなどを続けていれば自然と熟練度レベルが上がり、高いほど補正効果が大きくなる。これらと同様に、「VIT上昇」「DEX上昇」「INT上昇」「LUK上昇」といった中級スキルも存在する。、他の3つは文字どおりの意味で、戦い続けてこれらの熟練度レベルが上がれば、冒険者レベル自体は上がらなくても、上水流さんの攻撃力はさらにアップする。
これらの中級スキルは、冒険者としての戦闘能力などを大きく底上げしてくれるので、可能であれば僕も早い段階で取っておきたいんだけど、上水流さんと違ってINT、DEXなどの値も高い僕には、もう少しレベルが上がったら最優先で習得しておきたいスキルが結構あるので、中級スキルまで手が回らないのだ。
「あの、トロールやキラータイガーが雑魚・・・・・・?」
アラキ君や他の女性たちが、僕と上水流さんの会話を聞いて戦慄していたが、僕たちは構うこと無く、東への旅を続けた。
案の定、ゴブリンたちや別の盗賊団も現れたので、僕たちはこれまでと同様に、盗賊団やゴブリンたちのアジトを潰して回った。あくまで、最優先すべきはフナバシ・シティーへの移動なので、街道からかなり離れているらしいアジトへの襲撃は断念したが、アラキ君の情報で街道の近くにあると判明したアジトは容赦なく潰し、その結果盗賊団のアジトをもう1つ、ゴブリンたちのアジトを3つ潰し、その結果男性2人、女性16人の救出に成功した。救出者の中には、盗賊団に捕まってその一味に加わってしまったという者もいるが、面倒なので全員救出者として扱うことにした。
エイルやフライヤたちを救出したときと異なり、今回は作業に使える人手が多い上に、このあたりの地理に詳しいアラキ君が道案内をしてくれたので、アジトの破壊や財宝の搬出、生存者の捜索といった作業にあまり時間を掛けること無く、効率的に事を進めることが出来た。殺したモンスターや盗賊の数は、僕の感覚では4人合計でおそらく2万を超えたと思うが、どうせ雑魚なので、細かいことはどうでもいい。
もっとも、経験値自体はそれなりに稼げたらしく、僕は騎士のレベル7から8へ、上水流さんはモンクのレベル8から9へ、みなみちゃんと瑞穂はレベル17から18へ、それぞれレベルアップした。特に、上水流さんは冒険者レベルだけでなく、取らせたばかりの中級スキルも結構レベルアップしているので、攻撃力は凶悪的なまでに上がっている。
一緒に戦っていた僕も、上水流さん得意のパンチがますます強力になり、連続パンチで数十匹のゴブリンをまとめて吹っ飛ばす光景を見たときには、さすがに怖くなった。このまま上水流さんが成長を続け、武闘家系の最上級職として名前だけ知られている『拳聖』にクラスチェンジする日が来たら、トーキョー・シティーの堅固な城壁をも一撃で破壊してしまう、魔軍以上に凶悪なゴリラと化してしまうのではなかろうか。
◇◇◇◇◇◇
僕が、上水流さんの将来を案じながら、カーヒラ君に乗って旅を続けていると、
「ムラカミ様、これがアラ川でございます!」
アラキ君が、そう報告してきた。アラ川の水流は、現在のところそれほど多くないが、川の周囲は沼地になっているところが多く、これまで何度も氾濫を繰り返してきたことが容易に想像できる。太陽の位置からして、時間的には午後の3時か4時くらいだろうか。
「ご苦労。アラキ君のおかげで、結構はかどったよ。今夜は、ここで野営する」
「分かりました。きよたかさん、これから夕飯の準備を始めますね」
「みなみちゃん、よろしくお願いするね。人数が多くなったから、瑞穂や他の女性たちにも手伝わせちゃっていいから。後で、僕から食材として肉を送るから」
「きよたん、あたしは?」
「上水流さんは、料理は苦手だろうから、馬たちに餌と水を飲ませてやって。あと、料理を作るときに力仕事が必要になったら、手伝ってあげて」
「分かったわ」
「キヨタカ様! 俺たちは、これからどうすればいいんですか?」
「アラキ君は、僕たちと一緒に夕食を作って食べた後、僕たち4人以外のみんなを連れて、トーキョー・シティーに戻って欲しい。『ライト』を使える魔道士や、他の女性冒険者も数人いるみたいだし、夕食後直ちに出発すれば、たぶん夜が明ける前までには、トーキョー・シティーに辿り着けるんじゃ無いかな。モンスターは僕たちが狩り尽くしたから、今夜中ならそんなに出ないだろうし」
「それは構いませんが、なんで俺たちは今夜出発なんですか? 明日の早朝出発でも良いと思うんですが」
「いや、明日はトーキョー・シティーに爆弾低気圧が接近するとの予報が入っているんで、明日にするとかえって危険なんだよ。みんな疲れて大変だとは思うけど、夕食でキラータイガーの肉を食べて精を付け、何とか全員、トーキョーまで生還させてあげて。後で、冒険者人材育成センターのタマキ所長宛に手紙を書いておくから、それを門番の兵士に渡せば、あとはタマキ所長が対応してくれると思う」
「え!? さっき倒して荷馬車に積んでいた、あのキラータイガーの肉を食わせてくれるんですか!? あれって、たしかトーキョーでは最高級の食材ですよ!?」
「知ってるけど、早く処理しないと腐っちゃうし、キラータイガー3体分の肉を運んで行くのは、ちょっと重すぎるんで。これから、キラータイガーを解体して、皮は毛皮の原料として塩漬け加工し、後日トーキョーへ戻ったときに売るけど、肉はみんなで食べちゃおう。僕も、キラータイガーを倒してかわたさんに売ったことはあるけど、肉を食べたことはないから、どんな味なのか興味があるし。そんなわけで、アラキ君たちは、解体作業を手伝ってね」
僕は、かわたさんに習ったとおり、キラータイガーの死体から血を抜いて、片手県モードにしたアテナイス・ソードで、手際よく皮膚を剥がしていった。なお、保存用の塩漬けに必要な道具一式は、ドンキで雑貨として購入済みだ。
「はい、一体皮剥ぎ完了。あとは、アラキ君たちで肉を切り取って、女の子たちのところへ運んであげて」
「・・・・・・キヨタカ様、キラータイガーの皮剥ぎ、なんかお上手ですね」
「一昨日、本職のかわたさんに習ったから。『かわた』スキルも取ったし、僕が狩ったキラータイガーで実習もさせてもらったし」
「・・・・・・俺は、そんなスキルがあるということ自体、初めて知りましたけど」
「まあ、冒険者であまり取る人はいないと思うけど、キラータイガーの皮は、高級毛皮の材料として、とても高く売れるんだよ。余計な傷を付けずに上手く仕留めれば、10万円以上で売れるかな。他にも、毛並みが良い鹿やそれに類するモンスターを狩って売れば、キラータイガーほどでは無いにせよ、そこそこ高く売れるはず。レベル22戦士のアラキ君くらいなら、クエストをこなして報酬を得る以外にも、そういう稼ぎ方も出来ると思うよ」
「キヨタカ様、ありがとうございます! 今後の参考にさせて頂きます!」
「ところでアラキ君、この辺の盗賊団とゴブリンたちって、提携でもしてるの? アラキ君、ゴブリンたちのアジトの場所も知っているみたいだったけど」
「はい。実は、このあたりの盗賊団をまとめている、ユッキーナという女の頭領がおりまして・・・・・・」
「ユッキーナ? 初めて聞く名前だけど」
「ユッキーナは、カツシカ村出身の元冒険者兼アイドルで、2年前くらいまでは人気があったらしいんですけど、タピオカ屋に務めていた姉が何かの件で店長と揉めたことを知ると、自らその店長に怒鳴り込んで『いい年こいたババア、アタイを舐めてんのか!? 事務所総出でやってやんよ!』などと怒鳴りつけたんだそうです。
そのことが後日問題になって芸能活動を自粛し、昨年くらいの裁判で、タピオカ屋の店長に対する40万円の賠償を命じられ、冒険者の資格も剥奪されたんですけど、自分は2人の娘を育てるため、アイドルしかやれることが無いって泣きながら謝って、自分のファンクラブを創設したらしいんですけど、当然ながらそんな女のファンクラブに入る奴は誰もいなくて、生活に困った挙げ句、ある盗賊団の親玉に、奴隷女同然の身分で買われちゃったんです。
ところが、盗賊団の世界は、もともとまともな女がほとんどいないところで、ユッキーナの荒っぽい性格も逆に受けて、たちまち盗賊団たちのアイドルになっちまったんです。さらに、冒険者時代は商人だったので、冒険者時代のスキルを生かしてゴブリンたちとも提携関係を結び、今ではトーキョー・シティーの東側界隈における、盗賊団やゴブリンたちの総元締めみたいな存在になっているんです」
アラキ君の話を聞いて、僕は思わず頭を抱えた。初めて聞いたはずの話なのに、途中まではどこかで聞いたような感が漂っている。ちなみに、アマツ世界のトーキョー・シティーにもタピオカ屋はあり、買い物の途中で僕たちも、みんなでタピオカを食べた。日本では食べたことがなかったので比較はできないけど、結構美味しかった。
あと、アラキ君のいう40万円とは、日本の40万円では無く40万アマツ円、日本円換算で約4000万円相当になる。アマツの法律は、日本の法律と異なり極端な厳罰主義で、刑事罰のみならず民事上の損害賠償請求でも、実際に被った損害の補填では無く加害者への制裁という観点が重視され、特に故意の不法行為に対しては、加害者がほとんど全財産を失うほど、高額の賠償を命じられることが多い。
「キヨタカ様、大丈夫ですか? なんか、頭を抱えていらっしゃいますけど」
「いや、大丈夫。貴重な情報ありがとう」
そのユッキーナとやらについては、後日タマキ先生に報告し対応を考えるとして、今はさっさとキラータイガーの死体処理を済ませてしまおう。
◇◇◇◇◇◇
「「「ごちそうさまでした!」」」
僕たちは、合計39人の大所帯で、キラータイガーの肉料理を見事完食した。料理を指揮したみなみちゃんは、キラータイガーの肉を料理したのは今回が初めてなので自信が無いと言っていたが、少なくとも僕の感想としては、十分過ぎるくらいに美味しかった。野生モンスターの肉なので固いけど、非常に食べ応えがあるし、何より食べると元気が出るような気がする。キラータイガーの肉には、滋養強壮の効果があると聞いているので、たぶんそのせいだろう。
キラータイガーの皮は、現在塩に漬けているところなので、それ以外の戦利品のうち、金貨や銀貨は自分の財布袋にしまい込み、かなり高額で売れそうな宝石や装飾品の類はチュニスの荷馬車に入れた。それ以外の戦利品は、それほど高額では売れないしかさばるということで、盗賊団から分捕った荷馬車に積み込んである。なお、戦利品の中には、盗賊団やゴブリンから奪ったもののほか、高級羽毛布団の材料として需要のある、グリフォンの羽根も含まれている。
「それじゃあアラキ君、タマキ先生宛の手紙を書いておいたから、トーキョー・シティーの東門に着いたら、これを門番の兵士さんに渡して。後は、タマキ先生が何とかしてくれると思うから」
「すみません、キヨタカ様。お手紙の内容を、少しお伺いしてもよろしいですか?」
「簡単に説明すると、アラキ君ほか5名の元冒険者は、クエスト中に盗賊団の捕虜となり、やむを得ず盗賊団の一味に加わっていた人たちです。
アマツの法律に照らせば、本来死刑を含む厳罰もやむを得ないところですが、この6名は僕に降伏した後、僕たちの行軍に随行し、他の盗賊団やゴブリンたちに捕らえられていた一般人18名の解放に寄与し、この方面における盗賊団等の実態について僕に重要な情報を提供し、さらに僕たちが解放した一般人合計29名を、トーキョー・シティーに送り届けるという重要な役割を果たしてくれましたので、これらの情状を斟酌した上で、アラキ君ほか元冒険者に対する処分は、寛大なものに留めるよう働きかけをお願いします。
そして、アラキ君の一行に随行している荷馬車が積んでいる戦利品の処分は、すべてタマキ先生に一任しますので、売却代金はアラキ君ほかの元冒険者や、解放した一般人のうち生活に困窮している人への救済資金に充ててください、という趣旨のことが書いてあるよ。まあ、少々リップサービスも入っているけどね」
「キヨタカ様、何から何まで、本当にありがとうございます! 俺はこのご恩、一生忘れません!」
「お礼はいいから、何とか頑張って全員を、無事トーキョー・シティーに帰還させてね。解放した一般人の中には、10歳以下の子供もいるから、疲れて歩けそうになかったら荷馬車に乗せてあげて」
「承知いたしました! このタカヒロ・アラキ、全力を尽くします!」
こうして、アラキ君たちの一行は、2台の荷馬車を連れ、僕たちと別れてトーキョー・シティーへと旅立っていった。
なお、今日の戦いで僕たちは、金貨と銀貨だけでも60万アマツ円、それにキラータイガー3体分の皮と、相当量の高価な宝石等を入手している。売却金額は、トーキョーに戻って売ってみないと分からないが、おそらく今日一日の稼ぎは、100万アマツ円を下らないだろう。あの荷馬車に乗せた戦利品がいくらで売れるか分からないけど、仮に数十万アマツ円といった金額になったとしても、アラキ君たちは戦利品を運ぶための労働力としても結構役に立ってくれたので、報酬としてはむしろ安い方だ。
まあ、そんながめつい打算は、僕の脳裏だけにしまっておけば十分だけど。
アラキ君たちを含めた夕食は、アラ川の西岸で取ったが、僕たちが眠るためのテントは、念のためアラ川の東岸に設置している。懸念していた荷馬車の渡河も、さしたる困難もなく無事に終わった。
夜間にモンスターたちが襲撃してくることが無いよう、テントの周辺には『モンスター来ないアース』という、センターからもらったマジックアイテムが置いてあり、これに特濃マナポーションを規定量まで注ぐと、約8時間にわたり『セーフティゾーン』という魔法が自動的に発動し、周囲にモンスターが近寄ってこなくなる。
『セーフティゾーン』は、アークウィザードの固有スキルであり、瑞穂がアークウィザードにクラスチェンジしてレベル4に上がれば自動的に習得するが、それまではこのアイテムが必須になるだろう。かなり強力な効果がある分、値段もドンキで買うと6万アマツ円くらいかかってしまい、通常の駆け出し冒険者には手の出ない高級品だが。
軍馬のカーヒラ君、輸送馬のチュニスとアルジェも、今は安全地帯の中で、重い荷馬車や装備を置いて、横になってぐっすりと眠っている。3頭とも頭の良い馬なので、安全地帯の中では警戒の必要が無いと分かっているようだ。
「みなみちゃん、今日はお疲れ様。ご飯も美味しかったよ」
「ありがとうございます、きよたかさん。もうすぐ、後片付けが終わりますから」
「まあ、後片付けは翌朝の出発前にやればいいから、今夜は最低限のことだけ済んだら、もうテントの中で寝ちゃって良いよ。疲れたでしょ?」
「いえ、私よりむしろ瑞穂ちゃんの方が、疲れて眠っちゃいそうなんですけど・・・・・・」
みなみちゃんに指摘されて、僕が瑞穂の方を見ると、確かに瑞穂は、かなり眠そうな顔をしていた。
「瑞穂、大丈夫? 疲れたのなら、もう眠っても良いよ」
「・・・・・・ううん、でもお兄ちゃん、瑞穂とえっちしなくて大丈夫? 今日は瑞穂の日だから、みなみお姉ちゃんとするのはダメだよ」
「えっと・・・・・・、多分、大丈夫じゃない」
実のところ、今日は早朝出発で朝えっちが出来なかったので、僕の性欲はかなり溜まっている。瑞穂が眠そうにしていなかったら、今すぐにでも瑞穂の服を脱がせて、えっちなことをしたい気分なのだ。しかも、先ほどキラータイガーの肉を食べた
「お兄ちゃん、したくなったときに、もし瑞穂が眠っちゃってたら、眠ってる瑞穂に、好きなだけえっちなことしていいよ・・・・・・」
瑞穂はそれだけ言って、間もなくスヤスヤと眠りに就いてしまった。
「そういえば、上水流さんはどこへ行ったの?」
「もえさんなら、先ほどアラ川で水浴びをしてくると言って、下流の方へ行きましたけど」
「それにしては長いね。ちょっと、様子を見てこようか」
「お願いします。私はもう疲れたので、先にお休みしますね」
◇◇◇◇◇◇
こうした事情で、僕は戻ってこない上水流さんを探しに、アラ川の下流へと歩いて行ったのだが、間もなく上水流さんの声が聞こえてきた。
「きよたん、きよたん・・・・・・」
いつもの上水流さんとは違う、ずいぶん悩ましい感じの声だ。
「きよたん、きよたん、早く挿れてよう・・・・・・。あたし、ずっときよたんの大きなおちん○ん、挿れて欲しいっていつも待ってるのに、きよたんはどうして意地悪するの・・・・・・? きよたん、あたしを助けてよ・・・・・・」
どうやら、上水流さんはお取り込み中のようだった。このまま進んだら、間違いなく全裸でオナニー中の上水流さんを見てしまうことになるが、こんな状態で上水流さんのあられもない姿を見てしまったら、僕の理性の糸は切れてしまうだろう。
・・・・・・というか、上水流さんのえっちな声を聞いただけで、以前見た上水流さんの姿を思い出してしまい、既にギンギン状態になっている僕の愚息が反応してしまっている。
やばい。急いで引き返さないと!
こうして、僕はテントのある安全地帯まで戻ってきたのだが、オナニー防止ポーションのせいで、一人で発散することは出来ない。
しかし、テントに戻ると、みなみちゃんも瑞穂も、既に眠ってしまっている。だが時間は無い。我慢のし過ぎで、とうとう射精ストッパーが発動してしまい、僕の愚息が痛がって悲鳴を上げている。
・・・・・・こうなった以上は、もはや瑞穂のお言葉に甘えて、眠っている瑞穂にえっちなことをするしかない。
僕は大急ぎで、ドンキで買った例のえっちグッズ一式を荷馬車から取り出し、マジックポンプを使ってマットを膨らませた。そして、急いで鎧を脱ぎ、ズボンとパンツを脱いで下半身だけ裸になり、その姿のまま、寝間着の浴衣に着替えることも忘れて眠っている瑞穂を抱きかかえ、そのまま瑞穂を運んでマットの上に寝かせ、衣服を脱がせてマットの上に置き、全裸状態にしてしまった。
瑞穂の裸は、もう何度も見ているけど、瑞穂はえっちなことをするたびに、何となく身体が色気を帯びてきて、もう裸を見ているだけで射精してしまいそうだ。でも、これまでの瑞穂とのえっちは、瑞穂が起きているときに合意の上でやってきたことであり、眠っている瑞穂に、僕の性欲を満たす目的でえっちなことをしてしまうのは、今回が初めてだ。
僕の心の中で、もの凄い罪悪感がこみ上げてくる一方、なぜか僕の性的興奮も異常に高まってしまっている。
「瑞穂、ごめんなさい・・・・・・」
僕は、眠っている瑞穂に謝りながら、瑞穂の両足を開き、瑞穂の大事なところに、射精できずに苦しんでいる僕の愚息を当てた。
ぶるっ! びゅるるるるるっ!! びしゃあああああっ!!
瑞穂の肌に触れたことで射精ストッパーが外れ、それだけで僕は、瑞穂の身体を大量の白濁液で穢してしまった。しかし、こういう緊急時の場合、僕の性欲は一発では収まらない。
僕はそのまま、愚息を瑞穂の大事なところに擦り付け、一心不乱で腰を振り続け、間もなく2回目の射精をした。これで、何とか緊急事態は収まったものの、たった2回では全然足りない。しかし、これまでのえっちと違って、瑞穂はえっちな声も上げてくれないし、股間からえっちな愛液がこぼれてくるわけでもない。このまま、眠っている瑞穂にぶっかけるだけでは、いまいち満足できないような気がした。
「・・・・・・アレを使ってみるか」
僕は、上着も脱いで全裸になり、先に脱ぎ捨てた鎧とズボン、パンツをテントの中に置き、脱がせた瑞穂の衣装もテントの中に移した。そして、夕食の際に使ったたき火の薪がまだ残っていたので、僕は料理用の大鍋に川の水を汲み、火打ち石で再び火を付けて、適度に暖まった頃を見計らって、湯桶でお湯を汲み、瑞穂の身体に掛かっている僕の白濁液を、軽く洗い流した。
そして、僕は再び湯桶でお湯を汲み、その中に適量の海藻ローションを入れ、手でかき混ぜた。お湯が熱くなりすぎると困るので、火は一旦消した。準備に手間取っているうちに、再び射精したくなってきたので、暖かいローションを瑞穂の股間に軽く塗ってみたところ、
「ぴゃあああああああっ!?」
突然、瑞穂が可愛らしい悲鳴を上げた。どうやら、起きてしまったようだ。
「・・・・・・お、お兄ちゃん?」
瑞穂が、どういう状況なのか分からないといった具合で、目をキョロキョロさせながら僕に問いかけてくる。もっとも、僕も瑞穂も全裸で、しかも僕が瑞穂の股間を触っていたのだから、弁解する余地はない。
「ごめん、瑞穂。えっちを我慢できなくなって、つい眠っている瑞穂にいろんな悪戯を・・・・・・」
「あ、そうだったんだ。えっちをするのは良いけど、このヌルヌルしたものは何?」
「ドンキでこっそり買ってきた、えっちが気持ちよくなるという海藻ローションだけど、気持ちよくなかった?」
「ううん、気持ちよいっていうより、ぴゃあってなっちゃう感じ」
「『ぴゃあ』って?」
「上手く言えないけど、お兄ちゃんに初めて触られたときみたいな・・・・・・」
「感じるけど、刺激が強すぎるってこと?」
「うん」
「それじゃあ、できる限り優しくするね」
僕と瑞穂は、普段のえっちでいつもやっているように、ディープキスをして瑞穂の頭をなでなでしてあげたものの、色々準備に時間をかけたせいか、もう3発目を我慢できなくなってきた。
「お兄ちゃん、もう出したい?」
「・・・・・・うん」
「じゃあ、瑞穂が手でしてあげるね」
瑞穂は、僕が用意したローションを少量手に取り、僕の愚息に塗った。もともと、瑞穂の手技はかなり上手で、僕の気持ちよいところを良く分かっているのだが、ローションを塗って擦られると気持ちよさの程度が違う。
ぶるっ! ぎゅるるるるるるっ! びしゃああああああああっ!
「あれ、お兄ちゃん、お手々だけでもう出しちゃったの?」
「うん。このローション、確かに気持ちよすぎる」
僕は、お返しとばかりに、手にローションを塗って、瑞穂の胸や敏感なところを優しく触り始めた。瑞穂は、最初のうちこそ「ぴゃああああああ!?」などと悲鳴を上げていたが、次第にえっちな甘い声を上げるようになり、ついには胸の刺激だけでイッてしまった。
瑞穂とは、これまで挿入なしのえっちを何度もしてきたけど、クリトリスを触ること無く、胸だけで瑞穂をイカせたのは、これが初めてだった。
「おにいちゃああん、いつものところも触って・・・・・・」
「いいよ」
瑞穂のおねだりに応え、僕は瑞穂のクリトリスを舌で舐めながら、将来の挿入に備えて膣口に指を入れる。瑞穂は、よほどこの刺激を待ちわびていたのか、僕に少しクリトリスを舐められただけで、あっという間に再びイッてしまい、膣口からは愛液が溢れ出てきた。瑞穂のクリトリスを満足させた後は、ローション素股で一緒に気持ちよくなり、何度も射精した。
僕の愚息もようやく満足し、瑞穂もえっちの快感でぽやんとした顔をしていた。センターの自室でえっちしていたときは、このまま裸で一緒に眠っても問題なかったが、ここではそういうわけには行かない。僕と瑞穂は、眠気を堪えながらも、一緒にアラ川で身体とマットを洗い、浴布でお互いの身体を拭き、浴衣を着て用具一式を荷馬車に戻し、眠るためにテントに入った。
「・・・・・・お兄ちゃん、今夜は一緒に寝ないの?」
「みなみちゃんや上水流さんもいる中で、さすがにそれはまずいよ。今夜は別々に寝よう」
「はあい」
瑞穂は、若干不満そうな声を上げながらも、自分のスペースに寝転がり、間もなく再び眠りに就いた。
僕も寝ようとしたとき、テントの中にはいつの間にか、みなみちゃんだけでなく上水流さんもいて、既に寝息を立てていた。瑞穂とのえっちに夢中になっていたせいか、上水流さんがいつ戻ってきたのか、僕は全く気付かなかった。
一人でオナニーをして帰ってきた上水流さんは、僕と瑞穂がイチャイチャしているのを見て、一体どう思ったのだろうか。たぶん、明日はみなみちゃんと似たようなことをするわけだし、上水流さんだけ置いてけぼりにするのも可哀想な気がする。上水流さんが、僕のことをどう思っているのかはよく分からないが、少なくとも強い性欲を持て余していることだけは確かなのだから。
・・・・・・みなみちゃんと無事初体験を済ませたら、上水流さんにも僕からえっちに誘ってみようか。
そんなことを思いつつ、僕は間もなく眠りに就いた。
(第17話に続く)
卒業式の日から数えて、4日目。
僕たちは、普段より早く起きて、早朝の6時に冒険者人材育成センターを出発し、フナバシ・タウンに向かうことになった。
タマキ先生から、野宿は大変だからできる限り早く出発して、野宿する日数を少なくした方が良いとアドバイスされたため、早朝出発で可能な限り距離を稼ぐことにしたのである。
出発の前日までに、リハビリ中のエイルやフライヤ、それとアデレードさんなど訓練生の協力もあり、野宿用に使うテントの修復は無事に終わった。僕たちは、タマキ先生からテントの使い方や、野宿に必要な道具の使い方などを教わった。ドンキに注文していた装備品も、僕の『当世具足』以外は、遅れること無くセンターに届けられた。
そして、僕は出発の2日前、僕はカーヒラ君に騎乗しての戦闘訓練も試してみたのだが、片手剣モードのアテナイス・ソードでは、短すぎて馬上からの攻撃が敵に届かないし、馬上突撃も出来ない。
僕は暫し考え、アテナイス・ソードの形態を変えることにした。
「方天画戟になーれ、方天画戟になーれ」
「ちょっと、ホウテンガゲキって何よ!?」
アテナイスさんの声が聞こえた。どうやら、アテナイスさんは方天画戟という武器を知らないらしい。
「アテナイスさん、方天画戟というのは、地球の中国で使われていた武器で、槍のように突くことも出来るし、横刃で斬りつけることも出来るし、側面で叩き打撃攻撃をすることも出来るし、回転を加えてねじ込むことも出来るし、回して敵の攻撃を防ぐことも出来る攻防一体の便利な武器なんで、騎乗で戦うときは、そのモードにしたいんですけど。何とかなりませんか?」
「そ、そう言われても、あたしそんな武器なんて見たことも聞いたことも無いし・・・・・・」
「アテナイス様。キヨタカ殿の言う方天画戟とは、このような武器でございます」
今度は、天使アズリエルさんの声が聞こえた。どうやら、自分で情報を収集してくれたらしい。ちなみに日本では、方天画戟は『三国志演義』の呂布が使っていた武器として知られているけど、史実の方天画戟は宋代以降に使われるようになった武器であり、呂布が活躍していた後漢末期の時代には、そもそも方天画戟という武器は存在しなかったらしい。明代に成立したとされる『三国志演義』は、所詮歴史物の娯楽小説であり、そうした時代考証を完全に無視している作品なのである。
「結構複雑な形状なのね。まあ、でも形状さえ分かれば、変えられるわよ。これでいい?」
アテナイスさんの声が聞こえ、同時に僕のアテナイス・ソードも、僕の知っている方天画戟の形態に変わった。
「ありがとうございます、これで大丈夫です。それと、アテナイスさん」
「まだ何かあるの?」
「形態の変え方なんですけど、『片手剣になーれ、片手剣になーれ』って喋るのは、ちょっと格好悪いんで、『片手剣モード!』とか『方天画戟モード!』とかでも良いですか?」
「まあ、意味さえ分かれば何でも構わないわよ」
「分かりました。じゃあ、これからはそのやり方で行きますね」
結果的に僕の要望どおりにはなったものの、アテナイスさんって本当に、適当すぎる性格の女神だなあ・・・・・・。
それはともかく、方天画戟の力を最大限に活用するには、『棍棒』スキルも取っておいた方が良いので、スキルポイント1を消費して『棍棒』スキルを習得し、訓練用の棍棒でヨッシー君2号を叩きまくって、スキルレベルを急いで10まで上げた。
そして、上水流さんは馬の世話の練習で、みなみちゃんと瑞穂は野外料理の練習などで忙しいので、僕はカーヒラ君に乗って、単騎でトーキョー・シティーの西門から出撃し、現れたゴブリンなどのモンスターを倒しまくって方天画戟の使い心地を試し、怪力とHPの高さで知られるトロールを馬上突撃で瞬殺し、ちょうど良く襲いかかってきたキラータイガーを一撃で仕留め、戦利品としてキラータイガーの死体を持ち帰り、意気揚々とセンターに戻ってきた。カーヒラ君はスタミナがあり足も速いので、2時間くらいで帰ってこれた。
「おかえり、きよたん。カーヒラ君に乗って、何をやって来たの?」
僕を出迎えたタマキ先生が尋ねてきた。
「カーヒラ君と、この方天画戟モードに変えてもらったアテナイス・ソードの使い心地を試すために、ちょっと西門近くで腕試しをしてきました」
「西門って、確かにセンターからは近いけど、結構危ないわよ。トロールとかキラータイガーとか出なかった?」
「どちらも出ましたけど、どちらも一撃で仕留めました。あのくらいのモンスターなら楽勝ですよ。じゃあ、ちょっとこのキラータイガーを、かわたさんに売ってくるので」
「・・・・・・私、一応騎士のレベル15なんだけど、今のきよたんと戦ったら勝てる気がしないわ」
タマキ先生の愚痴をよそに、僕はそのままカーヒラ君に乗って、馴染みのかわたさんの家へ行き、キラータイガーを買い取ってもらった。買取価格は、前回より少し下がって23万アマツ円になったものの、単なる腕試しのついでに狩ってきたものなので、別に異存は無い。
もっとも、こうしたモンスターの死体は、そのままでは保存が利かないので、僕はかわたさんに、モンスターや動物の皮を剥いて塩漬けにする、かわた業の初歩的なノウハウを教えてもらった。既に、初心者スキルの『かわた』を習得しており、その日のうちに『かわた』のスキルはレベル10まで上がった。
そして、瑞穂の『ホーリーカッター』は余裕で、上水流さんの『馬丁』も何とか、スキルを10まで上げられたので、これで出発の準備は整った。
もっとも、タマキ先生から遠征の際に多額の現金を持ち歩くのは危険だと忠告され、行き先がフナバシ・タウンであれば、路銀は銅貨中心で1万アマツ円、多くても2万アマツ円くらいあれば十分ということなので、僕は出発の前日、路銀として2万アマツ円余りを手元に残し、残りの資金はトーキョー・シティーのシブサワ銀行に預金した。
一連の買い物を終えて、手元に残っていた現金が38万アマツ円余り。翌日、例の救出作戦で入手した宝石などの売却代金38万6千アマツ円が入り、さらに前日狩ったキラータイガーで23万アマツ円が入り、所持金合計は99万6千アマツ円余りにまで増えていたので、シブサワ銀行に僕名義の口座を作り、97万6千アマツ円を預けた。
シブサワ銀行では、冒険者が口座を開設した場合、紙の通帳は発行されず、ステータス画面に預金残高、取引履歴などの情報が記録される。各地の町にあるシブサワ銀行の支店やその提携銀行に行くと、冒険者カードさえあれば預金を引き出すことが出来る。日本の銀行と異なり、通帳やキャッシュカードの紛失や盗難を恐れる必要が無いので、シブサワ銀行は冒険者御用達の銀行として人気を集めている。
もっとも、トーキョー・シティーでは、シブサワ銀行以外の銀行は既に潰れてしまったので、他に選択肢は無いのだけれど。
こうして、昨日のうちに準備を済ませ、全員新しい装備に着替え、早朝だけど意気揚々と出発の準備を整えた僕たちに、タマキ先生が言葉を掛けてきた。
「きよたん。トーキョー・シティーの気象台から、今日は一日中晴れが続く見込みだけど、明日には爆弾低気圧がトーキョーに接近する可能性が高いという情報が来ているから、できる限り今日中には、アラ川まで辿り着いてね」
「この世界って、爆弾低気圧が発生するんですか?」
「最近、時々発生するようになったのよ。台風は昔からあったらしいんだけど、最近は台風以外でも、従来ではあり得ないくらいの豪雨が降ることも多くてね。爆弾低気圧が接近したら、アラ川はたぶん氾濫するから、しばらく渡れなく成っちゃうわよ」
「たぶんって、治水工事とかはやっていないんですか?」
「昔はやっていたらしいんだけど、最近は工事が追いつかなくなっちゃってね。アラ川のほとりにあったイチカワ・タウンは、度重なるモンスターの襲撃とアラ川の氾濫に悩まされた挙げ句、5年くらい前に放棄されて、イチカワ・タウンやその周辺の住民たちはトーキョーに疎開してきたわ。昔は農耕地帯として栄えていたらしいアラ川の周辺も、今は無人の地になっちゃってるのよ。そんな状態だから、アラ川が氾濫しても、今更誰も驚かないわ」
「そんな状態だと、アラ川に橋は架かってないんですよね?」
「もちろん。昔はあったらしいんだけど、今は流されて、無くなっちゃってるわよ」
「今回、荷物が多くなるということで、チュニスとアルジェには荷馬車を牽いてもらうことになりましたけど、橋も架かってないアラ川を、荷馬車で渡れるんですか?」
「それは大丈夫よ。今回センターで用意した四輪の荷馬車は、見てのとおり車輪がかなり大きくなっていて、悪路でも通れる構造になっているから、水深が低いところを選んで渡れば大丈夫よ。実際、隊商さんたちはそのくらいの荷馬車で、アラ川を渡ってチバ・シティーの方まで行ってるみたいだから。ちょうど、以前に橋が架かっていて、街道が途切れているあたりの場所は、水深が浅くて渡りやすいみたいね」
「タマキ先生、アドバイスありがとうございます。では行ってきます」
「気をつけてね。あんまり無茶したらダメよ」
僕たちは、タマキ先生の言葉に一抹の不安を感じつつ、センターを出発した。
◇◇◇◇◇◇
「予定どおり、朝8時にトーキョー・シティーの東門を出られたね」
「あたし、東門には初めて来たけど、トーキョー・シティーって、無駄に広いのね。センターから東門まで、歩いて2時間くらいかかるとは聞いてたけど、東門付近なんて、ほとんど田園地帯じゃないの」
「上水流さん、今のトーキョー・シティーは、せいぜい人口10万人くらいしかいない都市だけど、最盛期には100万人を超える人口がいたんだって。東門の近くに住んでいる人たちの大半は、イチカワ・タウンやその周辺の村落を放棄して、無駄に多かった空き家を解体して、城内の空き地を開拓して、従来と同じような農作業や家畜の放牧を営んでいる人たちらしいよ」
「なんで、自分たちの町や村を捨てて、引っ越してきたりするのよ?」
「このアマツ世界は、人類同士の内戦のほか、魔軍やモンスターの襲撃で人類の勢力が衰退していて、氾濫しやすいアラ川の治水工事をやる余裕も無くなり、度重なるモンスターの襲撃にも悩まされて、何とか生き残った人たちも、城壁に囲まれて安全なトーキョー・シティーに逃げ込まざるを得なくなったらしいよ」
「きよたかさん、そうするとこれから通るトーキョー・シティーの東側は、かなりの危険地帯ってことですか?」
「そうみたい。比較的治安を維持できている北部と違って、モンスターもゴブリンだけじゃなくて、暴れ猿とかグリフォンとか、トロールという怪力のモンスターも出るみたい。旅人や隊商なんかを狙う盗賊団なんかもいるらしいよ」
「ふっ。我、偉大なる魔眼の女王、バロール様の手に掛かれば、トロールなど敵に非ず!蹴散らしてくれようぞ」
「瑞穂、一般的なトロールは、推奨レベルが中級職のレベル5だからね。僕と上水流さんがいれば大丈夫だけど、今の瑞穂じゃまだ勝ち目はないからね」
「えっ!? お、お兄ちゃん、瑞穂がピンチになったら、ちゃんと助けてくれる?」
「大丈夫だよ。やばいモンスターが来たら、僕の後ろに隠れて、魔法で僕や上水流さんを援護してくれればいいから。それと、今回のクエストでは氷魔法を使うから、瑞穂もみなみちゃんも、道中での攻撃魔法は『フリーズ』を中心にガンガン使ってね。MPの消費は気にしなくて良いから」
東への街道を進みながらそんな雑談をしているうち、早くも敵を察知した。
「きよたん、どうやら最初のお客さんみたいね」
「敵はモンスターじゃ無くて、人間みたいだね。人数は20人前後かな。みなみちゃんと瑞穂は、念のため僕の後ろに隠れて、僕と上水流さんに『ヘイスト』掛けて」
「分かりました」
「委細承知。バロール様の力を見せてくれよう」
相手は、どうやら盗賊団らしい。僕たちを取り囲みながら、リーダーとおぼしき女盗賊が、お決まりの台詞で僕たちを脅迫してきた。
「あんたたち、待ちな。ここはただでは通さないよ。ここを通りたければ、金目の物を全部置いて・・・・・・」
僕は、その女盗賊が台詞を言い終わる前に、方天画戟モードになったアテナイス・ソードを一振りし、その女盗賊と取り巻き二人を、まとめて斬り殺した。
それに合わせて、上水流さんも他の盗賊たちを手当たり次第に倒していき、残りは、ブルブル震えている魔道士らしき女だけになった。
「おい、そこの女。お前たちのアジトの場所を教えろ。正直に吐けば、命だけは助けてやる」
僕は、敢えてドスの利いた口調で、その女に告げた。もちろん、言うことを聞かなければ即座に殺すという脅しである。
「は、はい。向こうの林の中にあります」
「分かった、案内してもらおう。あと、こいつらから金目のものをすべて奪い荷馬車に積み込んで。残った死体は瑞穂、蘇生できないように『ファイア』で焼いちゃって」
「お兄ちゃん、一体どっちが盗賊なの・・・・・・?」
呆気にとられた瑞穂が、中二病モードになることも忘れて何か呟いているが、先に因縁を付けてきたのは盗賊団の方だ。
魔道士の女に道案内をさせ、盗賊団のアジトらしき場所に辿り着いた。
「・・・・・・ここです」
「よし。お前はここで待機していろ。留守番中に余計なことをしたら、どうなるか分かっているな?」
「は、はい! 大人しくしています!」
「・・・・・・きよたかさん、今から何をするんですか?」
「みなみちゃん、今更言うまでも無いだろう。この盗賊団を皆殺しにしてやるんだよ」
「きよたん、早く行きましょ。悪は成敗しなきゃね」
「・・・・・・」
何か言いたそうな顔をしていたみなみちゃんも、僕の命令には素直に従い、僕たち4人は、盗賊団のアジトに殴り込みを掛けた。盗賊団のボスは、予想に反しあまり強くなかったので、戦いはあっけないほど簡単に終わったが、最近隊商を襲ったばかりなのか、中には10人以上もの捕虜らしき女性たちがいた。
「救出できたのは良いけど、結構人数が多いな・・・・・・」
アジトの建物には、ところどころに罠が仕掛けられていたので、僕がそれを発見しては破壊しながら内部を探索していると、盗賊団の生き残りと思われる連中が隠れていた。
「こ、降伏します! 何でもしますから、どうか命だけはお助けください! 俺は、もともとは日本から来たまっとうな冒険者だったんですが、ここの盗賊団に捕まって、やむなく盗賊団の一員になってしまっただけなんです!」
生き残りの1人である、見た目20歳過ぎくらいの男が、頭を下げて必死に懇願してきた。別に殺しても良いのだが、元は日本人の冒険者と聞いて、僕もさすがに、殺すのはちょっと可哀想になった。
「僕は、キヨタカ・ムラカミ。騎士のレベル7だ。お前の名を聞こうか」
「は、はい! 俺は、タカヒロ・アラキ、日本人としては荒木貴広と言います! レベル22の戦士です! このアマツには、2年ほど前にやって来ました」
「アラキ君か。同郷のよしみで、君たちの命は助けてあげるよ。その代わり、しばらく僕たちに協力してね」
「は、はい! 何でも協力は惜しみません!」
アジトの中には、結構な量の財物と、チュニスやアルジェには劣るが2頭の輸送馬、そして輸送用の荷馬車があったので、アラキ君や投降させた他の連中に手伝わせて、ありったけの財物を荷馬車に積み込んだ。救出した捕虜の女性は11人、投降した盗賊団の構成員は、アラキ君と先ほどの魔道士を含めて6人。アマツでも盗賊団も男性不足なのか、生き残った男はアラキ君だけだった。さっき殺したボスは男だったけど。
◇◇◇◇◇◇
捕虜になっていた女性たちを『ヒール』と『キュア』で治療して、僕たちは街道へ戻り、そのままアラ川の方向へ向かった。
「きよたん、こんなにたくさんの人たちを引き連れてどうするのよ? 足手まといになっちゃわよ」
「殺すわけにもいかないし、この先でも同じように捕虜になった人たちがいるような気がするから、救出の手伝いをしてもらう。あと、アラキ君には、アラ川あたりまで道案内をしてもらう。この先、どんなのが出るか分からないから」
「承知いたしました! このアラキ、ムラカミ様のために尽力させて頂きます!」
アラキ君に案内をさせて街道を進むと、案の定次々とモンスターが出てきた。しかし、道中で一番強かったモンスターは、お馴染みのキラータイガー。僕は二頭を倒し、上水流さんも一頭を、カウンター攻撃で喉笛を切り裂いて見事に仕留めた。トロールが5体まとめて出てきたこともあったが、パワーがあっても動きが遅いトロールは、僕や上水流さんの敵では無かった。
空から僕たちを襲ってきたグリフォンの群れは、弓矢や魔法攻撃の練習台になっただけだった。なお、上水流さんが使っている弓や、みなみちゃんと瑞穂が使っているクロスボウは、訓練生時代に使っているものと同じだが、ドンキで買える高級品は装飾等が豪華で長持ちするというだけで、武器としての威力は特に変わらないということなので、敢えて買わなかった。
「何よ。モンスターは確かにたくさん出てくるけど、雑魚ばかりじゃないの。もうちょっと骨のある相手と戦いたいわ」
「上水流さん。そういう骨のある相手と戦える高難度のクエストを引き受けるには、みなみちゃんと瑞穂もクラスチェンジさせる必要があるから、しばらくは我慢して。それに、雑魚相手でも戦い続ければ、少しずつだけど経験値も貯まるし、各スキルの熟練度は、雑魚が相手でもそれなりに上がるみたいだし」
ちなみに、上水流さんのスキルポイントは、卒業時点で14ポイント残っており、モンクを除く各上級職の固有スキルを一通り確認したところ、上水流さんに比較的向いているスキルは、レベル1で習得できる『偵察』(消費スキルポイント4、「索敵」の上位互換スキル)、レベル30で習得できる『防御力大上昇』(消費スキルポイント6)、レベル45で習得できる『命中率上昇』(消費スキルポイント6)、『絶対防御』(消費スキルポイント10)くらいしか無かった。
一方、上級職、神界の正式名称では中級職以上の冒険者なら、レベルを問わず習得できる「中級スキル」が結構あり、消費スキルポイントはどれも大体2ポイントのようだったので、上水流さんには上記『偵察』スキルのほか、「パンチ系攻撃威力上昇」「キック系攻撃威力上昇」「体術系威力上昇」「STR上昇」「AGI上昇」の5つを習得させた。
STR上昇とAGI上昇は、レベルアップ時の能力値上昇に補正がかかるというスキルで、戦いなどを続けていれば自然と熟練度レベルが上がり、高いほど補正効果が大きくなる。これらと同様に、「VIT上昇」「DEX上昇」「INT上昇」「LUK上昇」といった中級スキルも存在する。、他の3つは文字どおりの意味で、戦い続けてこれらの熟練度レベルが上がれば、冒険者レベル自体は上がらなくても、上水流さんの攻撃力はさらにアップする。
これらの中級スキルは、冒険者としての戦闘能力などを大きく底上げしてくれるので、可能であれば僕も早い段階で取っておきたいんだけど、上水流さんと違ってINT、DEXなどの値も高い僕には、もう少しレベルが上がったら最優先で習得しておきたいスキルが結構あるので、中級スキルまで手が回らないのだ。
「あの、トロールやキラータイガーが雑魚・・・・・・?」
アラキ君や他の女性たちが、僕と上水流さんの会話を聞いて戦慄していたが、僕たちは構うこと無く、東への旅を続けた。
案の定、ゴブリンたちや別の盗賊団も現れたので、僕たちはこれまでと同様に、盗賊団やゴブリンたちのアジトを潰して回った。あくまで、最優先すべきはフナバシ・シティーへの移動なので、街道からかなり離れているらしいアジトへの襲撃は断念したが、アラキ君の情報で街道の近くにあると判明したアジトは容赦なく潰し、その結果盗賊団のアジトをもう1つ、ゴブリンたちのアジトを3つ潰し、その結果男性2人、女性16人の救出に成功した。救出者の中には、盗賊団に捕まってその一味に加わってしまったという者もいるが、面倒なので全員救出者として扱うことにした。
エイルやフライヤたちを救出したときと異なり、今回は作業に使える人手が多い上に、このあたりの地理に詳しいアラキ君が道案内をしてくれたので、アジトの破壊や財宝の搬出、生存者の捜索といった作業にあまり時間を掛けること無く、効率的に事を進めることが出来た。殺したモンスターや盗賊の数は、僕の感覚では4人合計でおそらく2万を超えたと思うが、どうせ雑魚なので、細かいことはどうでもいい。
もっとも、経験値自体はそれなりに稼げたらしく、僕は騎士のレベル7から8へ、上水流さんはモンクのレベル8から9へ、みなみちゃんと瑞穂はレベル17から18へ、それぞれレベルアップした。特に、上水流さんは冒険者レベルだけでなく、取らせたばかりの中級スキルも結構レベルアップしているので、攻撃力は凶悪的なまでに上がっている。
一緒に戦っていた僕も、上水流さん得意のパンチがますます強力になり、連続パンチで数十匹のゴブリンをまとめて吹っ飛ばす光景を見たときには、さすがに怖くなった。このまま上水流さんが成長を続け、武闘家系の最上級職として名前だけ知られている『拳聖』にクラスチェンジする日が来たら、トーキョー・シティーの堅固な城壁をも一撃で破壊してしまう、魔軍以上に凶悪なゴリラと化してしまうのではなかろうか。
◇◇◇◇◇◇
僕が、上水流さんの将来を案じながら、カーヒラ君に乗って旅を続けていると、
「ムラカミ様、これがアラ川でございます!」
アラキ君が、そう報告してきた。アラ川の水流は、現在のところそれほど多くないが、川の周囲は沼地になっているところが多く、これまで何度も氾濫を繰り返してきたことが容易に想像できる。太陽の位置からして、時間的には午後の3時か4時くらいだろうか。
「ご苦労。アラキ君のおかげで、結構はかどったよ。今夜は、ここで野営する」
「分かりました。きよたかさん、これから夕飯の準備を始めますね」
「みなみちゃん、よろしくお願いするね。人数が多くなったから、瑞穂や他の女性たちにも手伝わせちゃっていいから。後で、僕から食材として肉を送るから」
「きよたん、あたしは?」
「上水流さんは、料理は苦手だろうから、馬たちに餌と水を飲ませてやって。あと、料理を作るときに力仕事が必要になったら、手伝ってあげて」
「分かったわ」
「キヨタカ様! 俺たちは、これからどうすればいいんですか?」
「アラキ君は、僕たちと一緒に夕食を作って食べた後、僕たち4人以外のみんなを連れて、トーキョー・シティーに戻って欲しい。『ライト』を使える魔道士や、他の女性冒険者も数人いるみたいだし、夕食後直ちに出発すれば、たぶん夜が明ける前までには、トーキョー・シティーに辿り着けるんじゃ無いかな。モンスターは僕たちが狩り尽くしたから、今夜中ならそんなに出ないだろうし」
「それは構いませんが、なんで俺たちは今夜出発なんですか? 明日の早朝出発でも良いと思うんですが」
「いや、明日はトーキョー・シティーに爆弾低気圧が接近するとの予報が入っているんで、明日にするとかえって危険なんだよ。みんな疲れて大変だとは思うけど、夕食でキラータイガーの肉を食べて精を付け、何とか全員、トーキョーまで生還させてあげて。後で、冒険者人材育成センターのタマキ所長宛に手紙を書いておくから、それを門番の兵士に渡せば、あとはタマキ所長が対応してくれると思う」
「え!? さっき倒して荷馬車に積んでいた、あのキラータイガーの肉を食わせてくれるんですか!? あれって、たしかトーキョーでは最高級の食材ですよ!?」
「知ってるけど、早く処理しないと腐っちゃうし、キラータイガー3体分の肉を運んで行くのは、ちょっと重すぎるんで。これから、キラータイガーを解体して、皮は毛皮の原料として塩漬け加工し、後日トーキョーへ戻ったときに売るけど、肉はみんなで食べちゃおう。僕も、キラータイガーを倒してかわたさんに売ったことはあるけど、肉を食べたことはないから、どんな味なのか興味があるし。そんなわけで、アラキ君たちは、解体作業を手伝ってね」
僕は、かわたさんに習ったとおり、キラータイガーの死体から血を抜いて、片手県モードにしたアテナイス・ソードで、手際よく皮膚を剥がしていった。なお、保存用の塩漬けに必要な道具一式は、ドンキで雑貨として購入済みだ。
「はい、一体皮剥ぎ完了。あとは、アラキ君たちで肉を切り取って、女の子たちのところへ運んであげて」
「・・・・・・キヨタカ様、キラータイガーの皮剥ぎ、なんかお上手ですね」
「一昨日、本職のかわたさんに習ったから。『かわた』スキルも取ったし、僕が狩ったキラータイガーで実習もさせてもらったし」
「・・・・・・俺は、そんなスキルがあるということ自体、初めて知りましたけど」
「まあ、冒険者であまり取る人はいないと思うけど、キラータイガーの皮は、高級毛皮の材料として、とても高く売れるんだよ。余計な傷を付けずに上手く仕留めれば、10万円以上で売れるかな。他にも、毛並みが良い鹿やそれに類するモンスターを狩って売れば、キラータイガーほどでは無いにせよ、そこそこ高く売れるはず。レベル22戦士のアラキ君くらいなら、クエストをこなして報酬を得る以外にも、そういう稼ぎ方も出来ると思うよ」
「キヨタカ様、ありがとうございます! 今後の参考にさせて頂きます!」
「ところでアラキ君、この辺の盗賊団とゴブリンたちって、提携でもしてるの? アラキ君、ゴブリンたちのアジトの場所も知っているみたいだったけど」
「はい。実は、このあたりの盗賊団をまとめている、ユッキーナという女の頭領がおりまして・・・・・・」
「ユッキーナ? 初めて聞く名前だけど」
「ユッキーナは、カツシカ村出身の元冒険者兼アイドルで、2年前くらいまでは人気があったらしいんですけど、タピオカ屋に務めていた姉が何かの件で店長と揉めたことを知ると、自らその店長に怒鳴り込んで『いい年こいたババア、アタイを舐めてんのか!? 事務所総出でやってやんよ!』などと怒鳴りつけたんだそうです。
そのことが後日問題になって芸能活動を自粛し、昨年くらいの裁判で、タピオカ屋の店長に対する40万円の賠償を命じられ、冒険者の資格も剥奪されたんですけど、自分は2人の娘を育てるため、アイドルしかやれることが無いって泣きながら謝って、自分のファンクラブを創設したらしいんですけど、当然ながらそんな女のファンクラブに入る奴は誰もいなくて、生活に困った挙げ句、ある盗賊団の親玉に、奴隷女同然の身分で買われちゃったんです。
ところが、盗賊団の世界は、もともとまともな女がほとんどいないところで、ユッキーナの荒っぽい性格も逆に受けて、たちまち盗賊団たちのアイドルになっちまったんです。さらに、冒険者時代は商人だったので、冒険者時代のスキルを生かしてゴブリンたちとも提携関係を結び、今ではトーキョー・シティーの東側界隈における、盗賊団やゴブリンたちの総元締めみたいな存在になっているんです」
アラキ君の話を聞いて、僕は思わず頭を抱えた。初めて聞いたはずの話なのに、途中まではどこかで聞いたような感が漂っている。ちなみに、アマツ世界のトーキョー・シティーにもタピオカ屋はあり、買い物の途中で僕たちも、みんなでタピオカを食べた。日本では食べたことがなかったので比較はできないけど、結構美味しかった。
あと、アラキ君のいう40万円とは、日本の40万円では無く40万アマツ円、日本円換算で約4000万円相当になる。アマツの法律は、日本の法律と異なり極端な厳罰主義で、刑事罰のみならず民事上の損害賠償請求でも、実際に被った損害の補填では無く加害者への制裁という観点が重視され、特に故意の不法行為に対しては、加害者がほとんど全財産を失うほど、高額の賠償を命じられることが多い。
「キヨタカ様、大丈夫ですか? なんか、頭を抱えていらっしゃいますけど」
「いや、大丈夫。貴重な情報ありがとう」
そのユッキーナとやらについては、後日タマキ先生に報告し対応を考えるとして、今はさっさとキラータイガーの死体処理を済ませてしまおう。
◇◇◇◇◇◇
「「「ごちそうさまでした!」」」
僕たちは、合計39人の大所帯で、キラータイガーの肉料理を見事完食した。料理を指揮したみなみちゃんは、キラータイガーの肉を料理したのは今回が初めてなので自信が無いと言っていたが、少なくとも僕の感想としては、十分過ぎるくらいに美味しかった。野生モンスターの肉なので固いけど、非常に食べ応えがあるし、何より食べると元気が出るような気がする。キラータイガーの肉には、滋養強壮の効果があると聞いているので、たぶんそのせいだろう。
キラータイガーの皮は、現在塩に漬けているところなので、それ以外の戦利品のうち、金貨や銀貨は自分の財布袋にしまい込み、かなり高額で売れそうな宝石や装飾品の類はチュニスの荷馬車に入れた。それ以外の戦利品は、それほど高額では売れないしかさばるということで、盗賊団から分捕った荷馬車に積み込んである。なお、戦利品の中には、盗賊団やゴブリンから奪ったもののほか、高級羽毛布団の材料として需要のある、グリフォンの羽根も含まれている。
「それじゃあアラキ君、タマキ先生宛の手紙を書いておいたから、トーキョー・シティーの東門に着いたら、これを門番の兵士さんに渡して。後は、タマキ先生が何とかしてくれると思うから」
「すみません、キヨタカ様。お手紙の内容を、少しお伺いしてもよろしいですか?」
「簡単に説明すると、アラキ君ほか5名の元冒険者は、クエスト中に盗賊団の捕虜となり、やむを得ず盗賊団の一味に加わっていた人たちです。
アマツの法律に照らせば、本来死刑を含む厳罰もやむを得ないところですが、この6名は僕に降伏した後、僕たちの行軍に随行し、他の盗賊団やゴブリンたちに捕らえられていた一般人18名の解放に寄与し、この方面における盗賊団等の実態について僕に重要な情報を提供し、さらに僕たちが解放した一般人合計29名を、トーキョー・シティーに送り届けるという重要な役割を果たしてくれましたので、これらの情状を斟酌した上で、アラキ君ほか元冒険者に対する処分は、寛大なものに留めるよう働きかけをお願いします。
そして、アラキ君の一行に随行している荷馬車が積んでいる戦利品の処分は、すべてタマキ先生に一任しますので、売却代金はアラキ君ほかの元冒険者や、解放した一般人のうち生活に困窮している人への救済資金に充ててください、という趣旨のことが書いてあるよ。まあ、少々リップサービスも入っているけどね」
「キヨタカ様、何から何まで、本当にありがとうございます! 俺はこのご恩、一生忘れません!」
「お礼はいいから、何とか頑張って全員を、無事トーキョー・シティーに帰還させてね。解放した一般人の中には、10歳以下の子供もいるから、疲れて歩けそうになかったら荷馬車に乗せてあげて」
「承知いたしました! このタカヒロ・アラキ、全力を尽くします!」
こうして、アラキ君たちの一行は、2台の荷馬車を連れ、僕たちと別れてトーキョー・シティーへと旅立っていった。
なお、今日の戦いで僕たちは、金貨と銀貨だけでも60万アマツ円、それにキラータイガー3体分の皮と、相当量の高価な宝石等を入手している。売却金額は、トーキョーに戻って売ってみないと分からないが、おそらく今日一日の稼ぎは、100万アマツ円を下らないだろう。あの荷馬車に乗せた戦利品がいくらで売れるか分からないけど、仮に数十万アマツ円といった金額になったとしても、アラキ君たちは戦利品を運ぶための労働力としても結構役に立ってくれたので、報酬としてはむしろ安い方だ。
まあ、そんながめつい打算は、僕の脳裏だけにしまっておけば十分だけど。
アラキ君たちを含めた夕食は、アラ川の西岸で取ったが、僕たちが眠るためのテントは、念のためアラ川の東岸に設置している。懸念していた荷馬車の渡河も、さしたる困難もなく無事に終わった。
夜間にモンスターたちが襲撃してくることが無いよう、テントの周辺には『モンスター来ないアース』という、センターからもらったマジックアイテムが置いてあり、これに特濃マナポーションを規定量まで注ぐと、約8時間にわたり『セーフティゾーン』という魔法が自動的に発動し、周囲にモンスターが近寄ってこなくなる。
『セーフティゾーン』は、アークウィザードの固有スキルであり、瑞穂がアークウィザードにクラスチェンジしてレベル4に上がれば自動的に習得するが、それまではこのアイテムが必須になるだろう。かなり強力な効果がある分、値段もドンキで買うと6万アマツ円くらいかかってしまい、通常の駆け出し冒険者には手の出ない高級品だが。
軍馬のカーヒラ君、輸送馬のチュニスとアルジェも、今は安全地帯の中で、重い荷馬車や装備を置いて、横になってぐっすりと眠っている。3頭とも頭の良い馬なので、安全地帯の中では警戒の必要が無いと分かっているようだ。
「みなみちゃん、今日はお疲れ様。ご飯も美味しかったよ」
「ありがとうございます、きよたかさん。もうすぐ、後片付けが終わりますから」
「まあ、後片付けは翌朝の出発前にやればいいから、今夜は最低限のことだけ済んだら、もうテントの中で寝ちゃって良いよ。疲れたでしょ?」
「いえ、私よりむしろ瑞穂ちゃんの方が、疲れて眠っちゃいそうなんですけど・・・・・・」
みなみちゃんに指摘されて、僕が瑞穂の方を見ると、確かに瑞穂は、かなり眠そうな顔をしていた。
「瑞穂、大丈夫? 疲れたのなら、もう眠っても良いよ」
「・・・・・・ううん、でもお兄ちゃん、瑞穂とえっちしなくて大丈夫? 今日は瑞穂の日だから、みなみお姉ちゃんとするのはダメだよ」
「えっと・・・・・・、多分、大丈夫じゃない」
実のところ、今日は早朝出発で朝えっちが出来なかったので、僕の性欲はかなり溜まっている。瑞穂が眠そうにしていなかったら、今すぐにでも瑞穂の服を脱がせて、えっちなことをしたい気分なのだ。しかも、先ほどキラータイガーの肉を食べた
「お兄ちゃん、したくなったときに、もし瑞穂が眠っちゃってたら、眠ってる瑞穂に、好きなだけえっちなことしていいよ・・・・・・」
瑞穂はそれだけ言って、間もなくスヤスヤと眠りに就いてしまった。
「そういえば、上水流さんはどこへ行ったの?」
「もえさんなら、先ほどアラ川で水浴びをしてくると言って、下流の方へ行きましたけど」
「それにしては長いね。ちょっと、様子を見てこようか」
「お願いします。私はもう疲れたので、先にお休みしますね」
◇◇◇◇◇◇
こうした事情で、僕は戻ってこない上水流さんを探しに、アラ川の下流へと歩いて行ったのだが、間もなく上水流さんの声が聞こえてきた。
「きよたん、きよたん・・・・・・」
いつもの上水流さんとは違う、ずいぶん悩ましい感じの声だ。
「きよたん、きよたん、早く挿れてよう・・・・・・。あたし、ずっときよたんの大きなおちん○ん、挿れて欲しいっていつも待ってるのに、きよたんはどうして意地悪するの・・・・・・? きよたん、あたしを助けてよ・・・・・・」
どうやら、上水流さんはお取り込み中のようだった。このまま進んだら、間違いなく全裸でオナニー中の上水流さんを見てしまうことになるが、こんな状態で上水流さんのあられもない姿を見てしまったら、僕の理性の糸は切れてしまうだろう。
・・・・・・というか、上水流さんのえっちな声を聞いただけで、以前見た上水流さんの姿を思い出してしまい、既にギンギン状態になっている僕の愚息が反応してしまっている。
やばい。急いで引き返さないと!
こうして、僕はテントのある安全地帯まで戻ってきたのだが、オナニー防止ポーションのせいで、一人で発散することは出来ない。
しかし、テントに戻ると、みなみちゃんも瑞穂も、既に眠ってしまっている。だが時間は無い。我慢のし過ぎで、とうとう射精ストッパーが発動してしまい、僕の愚息が痛がって悲鳴を上げている。
・・・・・・こうなった以上は、もはや瑞穂のお言葉に甘えて、眠っている瑞穂にえっちなことをするしかない。
僕は大急ぎで、ドンキで買った例のえっちグッズ一式を荷馬車から取り出し、マジックポンプを使ってマットを膨らませた。そして、急いで鎧を脱ぎ、ズボンとパンツを脱いで下半身だけ裸になり、その姿のまま、寝間着の浴衣に着替えることも忘れて眠っている瑞穂を抱きかかえ、そのまま瑞穂を運んでマットの上に寝かせ、衣服を脱がせてマットの上に置き、全裸状態にしてしまった。
瑞穂の裸は、もう何度も見ているけど、瑞穂はえっちなことをするたびに、何となく身体が色気を帯びてきて、もう裸を見ているだけで射精してしまいそうだ。でも、これまでの瑞穂とのえっちは、瑞穂が起きているときに合意の上でやってきたことであり、眠っている瑞穂に、僕の性欲を満たす目的でえっちなことをしてしまうのは、今回が初めてだ。
僕の心の中で、もの凄い罪悪感がこみ上げてくる一方、なぜか僕の性的興奮も異常に高まってしまっている。
「瑞穂、ごめんなさい・・・・・・」
僕は、眠っている瑞穂に謝りながら、瑞穂の両足を開き、瑞穂の大事なところに、射精できずに苦しんでいる僕の愚息を当てた。
ぶるっ! びゅるるるるるっ!! びしゃあああああっ!!
瑞穂の肌に触れたことで射精ストッパーが外れ、それだけで僕は、瑞穂の身体を大量の白濁液で穢してしまった。しかし、こういう緊急時の場合、僕の性欲は一発では収まらない。
僕はそのまま、愚息を瑞穂の大事なところに擦り付け、一心不乱で腰を振り続け、間もなく2回目の射精をした。これで、何とか緊急事態は収まったものの、たった2回では全然足りない。しかし、これまでのえっちと違って、瑞穂はえっちな声も上げてくれないし、股間からえっちな愛液がこぼれてくるわけでもない。このまま、眠っている瑞穂にぶっかけるだけでは、いまいち満足できないような気がした。
「・・・・・・アレを使ってみるか」
僕は、上着も脱いで全裸になり、先に脱ぎ捨てた鎧とズボン、パンツをテントの中に置き、脱がせた瑞穂の衣装もテントの中に移した。そして、夕食の際に使ったたき火の薪がまだ残っていたので、僕は料理用の大鍋に川の水を汲み、火打ち石で再び火を付けて、適度に暖まった頃を見計らって、湯桶でお湯を汲み、瑞穂の身体に掛かっている僕の白濁液を、軽く洗い流した。
そして、僕は再び湯桶でお湯を汲み、その中に適量の海藻ローションを入れ、手でかき混ぜた。お湯が熱くなりすぎると困るので、火は一旦消した。準備に手間取っているうちに、再び射精したくなってきたので、暖かいローションを瑞穂の股間に軽く塗ってみたところ、
「ぴゃあああああああっ!?」
突然、瑞穂が可愛らしい悲鳴を上げた。どうやら、起きてしまったようだ。
「・・・・・・お、お兄ちゃん?」
瑞穂が、どういう状況なのか分からないといった具合で、目をキョロキョロさせながら僕に問いかけてくる。もっとも、僕も瑞穂も全裸で、しかも僕が瑞穂の股間を触っていたのだから、弁解する余地はない。
「ごめん、瑞穂。えっちを我慢できなくなって、つい眠っている瑞穂にいろんな悪戯を・・・・・・」
「あ、そうだったんだ。えっちをするのは良いけど、このヌルヌルしたものは何?」
「ドンキでこっそり買ってきた、えっちが気持ちよくなるという海藻ローションだけど、気持ちよくなかった?」
「ううん、気持ちよいっていうより、ぴゃあってなっちゃう感じ」
「『ぴゃあ』って?」
「上手く言えないけど、お兄ちゃんに初めて触られたときみたいな・・・・・・」
「感じるけど、刺激が強すぎるってこと?」
「うん」
「それじゃあ、できる限り優しくするね」
僕と瑞穂は、普段のえっちでいつもやっているように、ディープキスをして瑞穂の頭をなでなでしてあげたものの、色々準備に時間をかけたせいか、もう3発目を我慢できなくなってきた。
「お兄ちゃん、もう出したい?」
「・・・・・・うん」
「じゃあ、瑞穂が手でしてあげるね」
瑞穂は、僕が用意したローションを少量手に取り、僕の愚息に塗った。もともと、瑞穂の手技はかなり上手で、僕の気持ちよいところを良く分かっているのだが、ローションを塗って擦られると気持ちよさの程度が違う。
ぶるっ! ぎゅるるるるるるっ! びしゃああああああああっ!
「あれ、お兄ちゃん、お手々だけでもう出しちゃったの?」
「うん。このローション、確かに気持ちよすぎる」
僕は、お返しとばかりに、手にローションを塗って、瑞穂の胸や敏感なところを優しく触り始めた。瑞穂は、最初のうちこそ「ぴゃああああああ!?」などと悲鳴を上げていたが、次第にえっちな甘い声を上げるようになり、ついには胸の刺激だけでイッてしまった。
瑞穂とは、これまで挿入なしのえっちを何度もしてきたけど、クリトリスを触ること無く、胸だけで瑞穂をイカせたのは、これが初めてだった。
「おにいちゃああん、いつものところも触って・・・・・・」
「いいよ」
瑞穂のおねだりに応え、僕は瑞穂のクリトリスを舌で舐めながら、将来の挿入に備えて膣口に指を入れる。瑞穂は、よほどこの刺激を待ちわびていたのか、僕に少しクリトリスを舐められただけで、あっという間に再びイッてしまい、膣口からは愛液が溢れ出てきた。瑞穂のクリトリスを満足させた後は、ローション素股で一緒に気持ちよくなり、何度も射精した。
僕の愚息もようやく満足し、瑞穂もえっちの快感でぽやんとした顔をしていた。センターの自室でえっちしていたときは、このまま裸で一緒に眠っても問題なかったが、ここではそういうわけには行かない。僕と瑞穂は、眠気を堪えながらも、一緒にアラ川で身体とマットを洗い、浴布でお互いの身体を拭き、浴衣を着て用具一式を荷馬車に戻し、眠るためにテントに入った。
「・・・・・・お兄ちゃん、今夜は一緒に寝ないの?」
「みなみちゃんや上水流さんもいる中で、さすがにそれはまずいよ。今夜は別々に寝よう」
「はあい」
瑞穂は、若干不満そうな声を上げながらも、自分のスペースに寝転がり、間もなく再び眠りに就いた。
僕も寝ようとしたとき、テントの中にはいつの間にか、みなみちゃんだけでなく上水流さんもいて、既に寝息を立てていた。瑞穂とのえっちに夢中になっていたせいか、上水流さんがいつ戻ってきたのか、僕は全く気付かなかった。
一人でオナニーをして帰ってきた上水流さんは、僕と瑞穂がイチャイチャしているのを見て、一体どう思ったのだろうか。たぶん、明日はみなみちゃんと似たようなことをするわけだし、上水流さんだけ置いてけぼりにするのも可哀想な気がする。上水流さんが、僕のことをどう思っているのかはよく分からないが、少なくとも強い性欲を持て余していることだけは確かなのだから。
・・・・・・みなみちゃんと無事初体験を済ませたら、上水流さんにも僕からえっちに誘ってみようか。
そんなことを思いつつ、僕は間もなく眠りに就いた。
(第17話に続く)
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