8 / 18
第1章 魔法陣を抜けると、異世界であった
7. サンタクロース現象とナイフ
しおりを挟む
チュンチュン、と小鳥が軽やかに鳴く声が聞こえてきた。
(どこの世界でも鳥の鳴き声で目を覚ますのは共通なのね)
はだけたブランケットを整えて、エリーズは体を起こした。
(結局朝まで寝てしまった)
手紙が届くまで待つつもりだったのに、見事に『サンタクロースが来るまで起きているつもりだったのに寝てしまったクリスマスの子供現象』が起きたのだ。
今まで夜の八時に寝て、朝七時に起きてるという"超"健康的な生活をしていたものだから、仕方ないと言えば仕方ないけれど。
(さて、今日は一体何が書かれてるんだ?)
昨日のようにベッドサイドテーブルに置いてある手紙を手に取る。表には『親愛なるエリーズ嬢へ』の文字が相変わらず。
エリーズ はこれまた変わらずシーリングスタンプで丁寧に留めてある手紙の封を切った。
(あれ、何か入ってる?)
手に当たったものを取り出してみると、それはナイフよりも少し刃渡りの長いナイフだった。
(物騒だなぁ)
柄の部分には小さな青い宝石が一つだけ埋め込まれている。全体的に青っぽい造りで、どうやらエリーズのイメージに寄せているらしい。
(これで闘えってことか。いやでも手紙読まないと分かんないな)
エリーズはゆっくりと同封されている手紙を開いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
親愛なるエリーズ嬢へ
こんにちは。神様です。昨日はそこそこ上手くやったようですね。良かった良かった。
ところで、貴女が今疑問に思っているのは、同封したナイフのことでしょう?
無理もありませんね。こんな物騒なもの、くらいに思っているかもしれない。
さて、そのナイフについてですが、それは貴女の護身用のものです。
前にも言ったように、ここは乙女ゲームの世界。昨日のフラグはどうにか叩き折ったものの、これから先まだまだバッドエンドフラグがあります。
ネタバレはしたくないので、言うつもりはありませんが、1週間後、早速それを使う機会があるくらいです。
その時のことは、今までと同じように朝の手紙で指示しますね。
とりあえず今日のことを、と言いたいですが、今日は特に何もありません。
聡い貴女ならきっと、軽いフラグくらいは回避してみせるでしょう。
では、ご機嫌よう
神様より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(何かまた面倒くさそうなのきた)
エリーズは小さく溜息を吐いた。仕方ない。何かすごい話が進んでる気がするし、ついでに剣術使うことになっているのだ。
(神様に遊ばれているような気がしているのは、私だけなんだろうか?)
神様、もはや楽しんでるんじゃないんだろうか。ネタバレはしたくない、てなんなんだ。
エリーズはもう一度溜息をついた。
先程からすごくいい匂いがしてきている。どうやらそろそろ朝食の準備ができるようだ。
パタリと手紙を閉じると、エリーズはベッドから立ち上がった。
(どこの世界でも鳥の鳴き声で目を覚ますのは共通なのね)
はだけたブランケットを整えて、エリーズは体を起こした。
(結局朝まで寝てしまった)
手紙が届くまで待つつもりだったのに、見事に『サンタクロースが来るまで起きているつもりだったのに寝てしまったクリスマスの子供現象』が起きたのだ。
今まで夜の八時に寝て、朝七時に起きてるという"超"健康的な生活をしていたものだから、仕方ないと言えば仕方ないけれど。
(さて、今日は一体何が書かれてるんだ?)
昨日のようにベッドサイドテーブルに置いてある手紙を手に取る。表には『親愛なるエリーズ嬢へ』の文字が相変わらず。
エリーズ はこれまた変わらずシーリングスタンプで丁寧に留めてある手紙の封を切った。
(あれ、何か入ってる?)
手に当たったものを取り出してみると、それはナイフよりも少し刃渡りの長いナイフだった。
(物騒だなぁ)
柄の部分には小さな青い宝石が一つだけ埋め込まれている。全体的に青っぽい造りで、どうやらエリーズのイメージに寄せているらしい。
(これで闘えってことか。いやでも手紙読まないと分かんないな)
エリーズはゆっくりと同封されている手紙を開いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
親愛なるエリーズ嬢へ
こんにちは。神様です。昨日はそこそこ上手くやったようですね。良かった良かった。
ところで、貴女が今疑問に思っているのは、同封したナイフのことでしょう?
無理もありませんね。こんな物騒なもの、くらいに思っているかもしれない。
さて、そのナイフについてですが、それは貴女の護身用のものです。
前にも言ったように、ここは乙女ゲームの世界。昨日のフラグはどうにか叩き折ったものの、これから先まだまだバッドエンドフラグがあります。
ネタバレはしたくないので、言うつもりはありませんが、1週間後、早速それを使う機会があるくらいです。
その時のことは、今までと同じように朝の手紙で指示しますね。
とりあえず今日のことを、と言いたいですが、今日は特に何もありません。
聡い貴女ならきっと、軽いフラグくらいは回避してみせるでしょう。
では、ご機嫌よう
神様より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(何かまた面倒くさそうなのきた)
エリーズは小さく溜息を吐いた。仕方ない。何かすごい話が進んでる気がするし、ついでに剣術使うことになっているのだ。
(神様に遊ばれているような気がしているのは、私だけなんだろうか?)
神様、もはや楽しんでるんじゃないんだろうか。ネタバレはしたくない、てなんなんだ。
エリーズはもう一度溜息をついた。
先程からすごくいい匂いがしてきている。どうやらそろそろ朝食の準備ができるようだ。
パタリと手紙を閉じると、エリーズはベッドから立ち上がった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
誰もがその聖女はニセモノだと気づいたが、これでも本人はうまく騙せているつもり。
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・クズ聖女・ざまぁ系・溺愛系・ハピエン】
グルーバー公爵家のリーアンナは王太子の元婚約者。
「元」というのは、いきなり「聖女」が現れて王太子の婚約者が変更になったからだ。
リーアンナは絶望したけれど、しかしすぐに受け入れた。
気になる男性が現れたので。
そんなリーアンナが慎ましやかな日々を送っていたある日、リーアンナの気になる男性が王宮で刺されてしまう。
命は取り留めたものの、どうやらこの傷害事件には「聖女」が関わっているもよう。
できるだけ「聖女」とは関わりたくなかったリーアンナだったが、刺された彼が心配で居ても立っても居られない。
リーアンナは、これまで隠していた能力を使って事件を明らかにしていく。
しかし、事件に首を突っ込んだリーアンナは、事件解決のために幼馴染の公爵令息にむりやり婚約を結ばされてしまい――?
異世界恋愛・10万字ほどの長編です。完結まで予約投稿済み!
クズ聖女を書きたくて、こんな話になりました(笑)
いろいろゆるゆるかとは思いますが、よろしくお願いいたします!

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
追放された令嬢は記憶を失ったまま恋をする……わけにはいかないでしょうか?
ツルカ
恋愛
前世を思い出したら、婚約破棄の現場でした。あれよあれよというまに国外追放。
日本人の記憶しかないまま異世界での放浪生活をはじめたものの、あれ、何の問題もなく毎日楽しい!
拾った傭兵に恋をして、生きることが楽しくて、なのに、令嬢の記憶……思い出さなくちゃ、駄目ですか?
出会った男は訳ありの能力者。私も魔法が使えるみたい。
悪役令嬢であることが思い出せない少女の異世界転生恋愛譚

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる