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閑話 薔薇の育てかた 前編
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前回の閑話同様、時系列は無視して庭師のオジーとレオの黒薔薇の育てかたについてあれこれなお話です。実は黒薔薇はこんな育成方法だったのです。
長くなったので前編後編に分かれますー。
育て方を知りたかった人は必読です(?)
***
「こんな老いぼれにお声をかけていただけるなんて…こちらこそ大変光栄なお話でございます。まさに嬢ちゃまのお導きかと思うと…」
日に焼けて笑い皺の深い、白髪の男が周囲を憚ることもなくホロホロと涙を零す。
「ツキヨ様のご縁もありますが、一庭師としてその腕、知識、経験を是非我が国で存分に振るっていただきたいのです」
「そのような言葉を…庭師冥利につきます。ましてや庭師なら一度でいいから育てたい思う黒薔薇の研究ができるとは思いませなんだ…。
レオ様、このしがない庭師が嬢ちゃまたちのお役に立てれば貴国へご一緒させていただきます」
日に焼けてごつごつとした職人の手が色白のレオの手を取り、頭を下げた。
老いぼれと口にする男の名前はカトレア男爵家の元専属庭師のオジー。
ツキヨの父マルセルの後妻のマリアンナの理不尽な怒りにふれて追い出されるように屋敷を出て、その後は他領地の屋敷の庭師として雇われていたところ評判が広まり多忙な日々を過ごしていた矢先にレオが一流庭師として高い技術力を持つオジーを探し帝国の城屋敷の専属庭師、黒薔薇の育成研究者として勧誘をしたのだった。
*
オジーは王国内のある伯爵家の屋敷の庭の手入れが終わったが、当主は専属庭師として幾らでも給金を払うと頭を下げて引き止めたが、それを丁重に断った。
伯爵家の庭は古くから名庭園として歴史教科書にも載っていて現代の庭とは違い、静謐な雰囲気に包まれ、余計なものはなく何時間でも眺めていても飽きることのない庭であった。
棘の葉が生え曲がりくねった珍しい古木が植えられ、絶妙な配置がされた庭石にもう手に入らないとされている白い玉砂利の敷き詰められた一部の庭は特に丁寧に手入れをしていたため、最終日は一抹の寂しさを覚えた。
*
道具箱一式と衣類や生活必需品だけの荷物をレオの手配した馬車に載せオジーは数日かけてゴドリバー帝国の帝都サイドービの城に到着をするとレオが馬車止まりまで迎えに出てきていた。
馬車から降りると恐縮しながら「わざわざご丁寧に恐れ多いこったで…」と頭を下げる。
「いやいや、遠方から来ていただいたのです。薔薇の研究の大先輩として当然です」
レオが敬意を示すと使用人たちもオジーの少ない荷物を下ろし運び出すが、道具箱一式は決して運ばせようとはしなかった。
「荷物を運んだあと皇帝と謁見を…」「そそそそそそんな!こんな庭師如きに?!服も…」と蒼褪める。
「あ、大丈夫です。気にする性格ではないので…はははっ」
さらっとレオはいうがオジーは気が気ではなかった。
「ここがオジーさんの私室です。何か足りないものがあったら用意をしますので遠慮なく言ってください」
庭師として何度も貴族の屋敷に滞在したが部屋は寝台と収納がある程度であった…が、案内された部屋は家具は一目で分るほど上等品で広さも倍以上、尚且つ汗をかいたり汚れて大変だろうと洗面所と浴室もある部屋であった。
貴族の客室以上の待遇でオジーは「ひぃぃぃぃ」と叫んで固辞をするがレオが聞き入れることはなく、結局そこで荷を解くことになった。
とんでもないことになった…と皇帝に謁見するために洗面所で顔を洗い髭を剃り、鏡を見つめた…白髪頭の日焼けを顔が見つめ返してくる―――レオも皇帝も魔族である。肥料の仕入れやマルセルの商会で魔族の貴族と関わったことは何度もあり、恐怖心や差別的なものはない。しかし、今『魔族の国』の中心にいることが信じられなかった。
『今、嬢ちゃまが皇帝陛下の婚約者として幸せに暮らしている』ということが心の支えだった。
洗いざらしではあるが服も着替え、レオに声をかけると「では、早速…」と部屋を出て皇帝陛下の謁見の間へ向かった。
*
【いねぇよ…おぉい、どこにいんだよ…】
レオは謁見室に入った途端、姿のない皇帝陛下()に言霊で声をかける。
「お忙しいのでしたらあとでも…」「お、おお!すまん!待たせて、悪かった!!」とどたばたと銀髪のおっさんが駆け込んできた。
居眠り中だったのか口の横に涎の跡が見えたが、皇帝の椅子にどかりとアレックスは座る。
「…悪かった。俺は…ゴドリバー帝国皇帝アレクサンダーだ。そして、知っての通りツキヨの彼氏だ」
「か、彼氏…」
背も高く誰もが振り向くような偉丈夫が庭師に謝罪をしたうえ、赤子の頃から見守ってきたお嬢様の『彼氏』と軽々しく名乗る男―――それが皇帝と名乗った。
「おい、もうちょっと…こう…なんかあるだろうがっ!」
「いいじゃねぇか…堅苦しぃもんでもねぇだろう…」
ヒソヒソ話が丸聞こえだが一応本物の皇帝らしい。
「ゴドリバー帝国皇帝アレクサンダー・トゥルナ・シリウスだ。そして、聞き及んでいるとは思うがエストシテ王国のマルセル・ドゥ・カトレア男爵が令嬢ツキヨ・ドゥ・カトレア嬢の婚約者である。
宰相レアンドロ・トゥルナ・リゲルより既に報告は受けているがオジー・ワニスルードを本日より帝国内の城及び屋敷の庭、他植生の栽培研究の一員として召抱える、以上だ」
レオもオジーも皇帝らしい威厳にあふれた声を聞いてやっと安心をするとオジーは跪く。
「有難き幸せでございます。一庭師として最高の技術を提供することをお誓いいたします!!」
張りのある声で精一杯オジーは応えた。
「…うむ。期待させてもらおう…」と徐にアレックスは玉座から立ち上がり跪くオジーのそばにウン○座りをする。
「おう…聞きてぇことがある」
ドスの利いた声でオジーに聞く姿は完全にアレにしか見えない。
「ははっ。ど、どのようなことでございましょうか…」
「…ツキヨの小さい頃の思い出とか逸話とかどんな子だったとか…全て教えろ」
「んなこと話さなくてもいいからー!」とレオは言うが、ついオジーは気迫に押されて思い出を語った。
「雇用契約は成立だ…ククク…」
アレックスは悪い笑顔でオジーに微笑んだ。
「オジーさんもお気づきだと思いますが皇帝陛下とはいえ残念な人なので、もう諦めてくださーい。俺もとっくに諦めてるので!」
「俺のツキヨ愛はハンパねぇし!オジーもよろしくな!しばらくはビックリさせるためツキヨに内緒だからみつからねぇように気をつけてくれよ」
バンバンとアレックスはオジーの筋肉質な肩を「やっぱりいい肩してるな!!」と叩いた。
「あ、ありがとうございます。嬢ちゃまのためにと思って頑張ります…」
気難しい貴族と気安い皇帝…よく分からなくなったオジーだった。
*
翌日。
庭師の朝は早く日が昇る頃に目を覚まして仕事着に着替え、道具箱を抱えて作業小屋へ向かう。誰もおらずしばらく佇んでいると「おはようございます、遅くなってすいません」とレオが挨拶をした。
「いえいえ!早起き以外特技もありませなんで…」
貴族から頭を下げられることはなかったが、帝国では皇帝も宰相も庭師に頭を下げる。
「誰かに見習わせたい…さて、今朝は黒薔薇の飼育施設をご案内します」
施設は城の敷地の片隅にある…とはいうが自然の要塞として森林を放ったらかしにしている一部に建てられている。森は希少な生物や植物が育ちつつあったため、たまの手入れ以外はそのままにしていた。
森の獣道をがさがさと歩むと大岩が現れた…レオは大岩に向け装飾品のようなものをかざす…と、何もなかった所に温室と二階建ての建物が現れた。
「国家機密なので…オジーさんにも鍵をあとで渡しますね」
驚いて声の出ないオジーを連れ、レオは建物の扉に装飾品をかざして開錠した。
一階は化学、生物などを研究するような機材が置かれ、何かを育てているような小さな植木鉢や小皿が日付けごとに何皿もあった。本棚や収納には肥料や資材、標本、研究書や論文、専門書が詰め込まれていた。
「私は直接庭に携わるもんなんで本などを読んで理解ができるかとなると…」
「いいえ、我々は書物を読んでいるためつい頭で考えてしまうのです…しかしオジーさんの持つ長年の経験や勘が今は必要と思うのです」
ばさり…とレオの字で書かれた黒薔薇についての日々の記録が目の前に置かれるとオジーは失礼といい手に取る。
温度、湿度、天気、高さ…毎日事細かに記録されているが、それは普通の植物の成長記録であったがそこに見慣れない『芽全長』『芽分岐数』といった項目があった。
「『芽』?これは何ですかね?」
「それは…この黒薔薇最大の特徴であり、謎なのです。オジーさんがご存知のようなバラとは違い、苗から蕾をつけるまでは生物なのです」
「成長するまでは生物?!」
「黒薔薇の原種は野生の黒味の強い赤いバラが自然交雑をして黒味が強くなりました。
数百年前、繁殖地でそこの魔族総出の戦がありバラは絶滅…ところが一部のバラは戦の中、魔族の生血を浴びたことで新たな交配、生を受け魔族の血を持つ薔薇として絶滅を免れました。実際は魔物というほうが正しいのですが蕾をつけ花が咲くと魔物として死んで、ただの黒薔薇として花を咲かすだけとなり害も何もありません」
レオは、温室に続く扉を開錠し中に入ると、温度は高くはないが高湿度のむわっとした空気が呼吸をするたびに肺に入る。
「元の繁殖地は湿地に近いところで今までの研究でも湿度は高めを好むことが分っています」
棚に鉢が並んでいる中でレオが一つ取り、オジーに見せると初めて見る黒薔薇に思わず感嘆の声を上げるが、レオによると種を撒いて約半年のものであるが僅か10センチ程度しか育っていないことにオジーは驚く。
「苗や接木では育ちません。たまに種ができるのでそれを撒いて育てるしかありませんが、それも全て育つことはありません。せいぜい2割育てばいいほうです」
鉢をそばの台に置く。オジーには小さい苗木に見えるが本当に魔物みたいな姿になるのかとじっと見つめる。
「これはうまく育ったもので…もう少ししたら『芽』と呼んでいる魔物の姿を出してきますが何も害はありません」
じっと見つめるオジーの目線に気がついたように二又に分かれた細い枝の先端が突然、にゅるん!と5センチほどの細い2匹のヘビのようになった。
『芽』は枝についたままで、色も枝と同じ緑色なので子ヘビのようでもある。目はないのか、全身で辺りを確認するようにうねうねと動き回っている。
「ま、まさか…黒薔薇がこんな…」
「ですから、帝国の門外不出の黒薔薇なのです」
レオは芽に手を出すとにょろりと手に絡みつく。
「触れても大丈夫なのですか」
「ええ、毒もありませんし攻撃をすることはありません。むしろ、だんだん我侭な可愛いものと思えてきますよ」
そっともう片方の芽にオジーは恐る恐る手を出してみると、ぬるんと手に纏わりつく。
湿気を好むせいか、芽もやや水気を帯びておりしっとりとして触り心地もよく、ついオジーは動物を可愛がるように頭らしい先端を撫でてやると嬉しそうに手に甘えてくる。
「これでやっと半年であれば花が咲くなんて一体どれほど時間がかかるのですか」
「早くて約3年、平均で4年半から5年くらいですかね…いろいろ試してはいるのです。水、肥料、土、環境…どれも決め手がありません。多種多様な魔物の血も与えてもみてもお好みではないようで…」
「頑固もんですなぁ…」
芽をオジーは突くとぷいと不機嫌そうに反対を向いてしまった。
レオとオジーは鉢を棚に戻して、むしむしする温室を出て建物の一階に戻った。
「気難しい黒薔薇ですが是非、智恵をお貸しいただきたいのです。今日中にはここの鍵をお渡ししますのでいつでも自由に入っても結構です。むしろ、どんどん入って研究でも実験でもしてください!」
「あの黒薔薇に携われるだけで庭師として感激です。レオ様の言うようにしっかり研究をしてみますよ」
その後は、レオが設備の使い方などを教えてから二人は建物をあとにした。
*
オジーは城内の庭の手入れを行ったそのあとに黒薔薇の建物に行く…というのが日課となった。
時折、時間を変えて水遣りをしたり、様子を確認をすることもあったが日が経つにつれオジーも黒薔薇の成長の難しさに頭を抱えていた。
王国では庭にバラを植えるのが多く、バラの栽培の経験は嫌というほどあった。
種類によってどういった環境や肥料を好むかなど熟知していたが、黒薔薇は水以外嫌いなものが多い。
「黒薔薇の好むものか…」
広い私室で庭師として長年庭木の手入れの仕方などを書き溜めた古い帳面をパラパラと開いたり閉じたりしていた。
*
その日、オジーは温室で黒薔薇に新しく配合した肥料を与えていた。
庶民や田舎のほうではよく使われていて、オジーも貴族の屋敷の庭でもしばしば使用をしていたが、その肥料の配合や素材を聞かれると尾籠な話となり嫌がられるため、なぁなぁに答えていた。
実際に使用する頃には原料がわからないくらいになっているうえ、肥料としても優秀だったがレオの肥料の記録には使用した形跡がなかった。
レオにその肥料を使いたいと説明をしたとき渋い顔をして「それは帝国内では流通してないもの」と言われたため、エストシテ王国から取り寄せることとなった。
肥料を与えて一週間程は特に変化はなかったが、十日後にレオがオジーに最初に見せた二又の黒薔薇の枝部が突然、倍くらいの太さになり伸びていた。
芽もにょろんと姿を現すとオジーに甘えるように手に絡み付いてきた。
「この肥料がいいのかい?」
ついオジーは話しかけたが芽は何も答えることはなく、にょろにょろと成長した姿で戯れていた。
二又以外の黒薔薇も通常よりも枝が太くなり、伸びていたことが分かるとレオと二人で温室内で大声を上げて喜んだ。
しかし、この肥料が与えた恩恵は半月ほどで終わり、また成長が鈍くなった。何度も大量に肥料を与えると枯れてしまうためごく少量ずつ与えたものの特に変わらなかった。
ただ、レオとオジーはこの肥料の成分が成長に影響をしているということだけは確信をしていた。
レオは成分の解析を始め、オジーは新たに肥料を取り寄せて配合についてあれこれと模索する日々がしばらく続いた。
*
解析をして、肥料を配合をして与える…ことを何度も繰り返したが決定打になるものはできなかった。
その日は庭の手入れの前に先に温室の様子を見に行こうとオジーは着替えていた。
「あの肥料の系統が黒薔薇が好むものか…もう少し原材料を増やしてみるとか…うーむ」
部屋で独りごちてから温室へ向かった。
温室へ入り、太く成長した二又を手に取るが特に変わりはなく台に置いて記録帳に書き込む…今日は天気がよく温室内は湿度も高いためいつもより汗をかいたオジーはポケットから手巾を取り、額の汗を拭おうとした瞬間、しゅるん!!と二又の芽が通常よりも長く伸び、持っていた手巾をにゅっと巻き取り奪い取った。
「えっ!?」
二又の二つの芽は大事そうに手巾に巻きつきオジーが引っ張っても取ることはできなかった。
「そんなのは栄養にもならないだろう…急に取るなんて一体なんなんだ…」
全く想像していなかった事態にオジーはレオを呼んだ。
温室に来たレオにオジーは説明をした。
「今までもそんな攻撃的なことなんて一切なかったのに…急にこの手巾だけにこんな行動をするとは…」
レオも手巾を抱え込んだ二又をよく観察をする…とあることに気がついた。
「オジーさん…この手巾には何か刺繍のようなものがありますか?」
芽が大事そうに巻きついている手巾の一部に色糸が僅かに見えた。
「その手巾は実はツキヨ嬢ちゃまが二年前の私の誕生日に刺繍をして贈ってくれたもんです」
「ツキヨちゃんの刺繍…例の肥料…」
レオがボソと呟く…「ちょっと、城へ行ってきます」と言い残してレオは戻った。
「え…まさか…」
なんとなく黒薔薇の好みに不安になりつつあるオジーだった。
「お待たせしました!」
レオが手に何かを持って戻ってきた。
「これは…」
「えぇ、城の若い女性の使用人の私物の手巾をもらってきました」
オジーの不安が的中した…が、レオと鉢の数分に切って温室の黒薔薇にぴょいっと切った手巾を置いた瞬間、芽はがばっと切った手巾を巻き取った。
他の鉢も同様だった。
「レオ様…これはもしやのもしやですが…尾籠なもの…特に女性のものに反応しているのかと思うのですが…」
「そうですね、ほぼ確実だと思いますよ…手巾に染み付いた女性の匂いや汗、肥料の原料の………とかに反応をしたのが答えかと」
黒薔薇たちは嬉しそうに手巾を握り締めていたが、レオとオジーはなんとも複雑な気分だった。
そして、数日後手巾から養分をたっぷりとった黒薔薇は、一回り大きく育っていた。
オジーは肥料について深く考え始めた。
もっと効率的に黒薔薇の好むものを与える方法を…。
長くなったので前編後編に分かれますー。
育て方を知りたかった人は必読です(?)
***
「こんな老いぼれにお声をかけていただけるなんて…こちらこそ大変光栄なお話でございます。まさに嬢ちゃまのお導きかと思うと…」
日に焼けて笑い皺の深い、白髪の男が周囲を憚ることもなくホロホロと涙を零す。
「ツキヨ様のご縁もありますが、一庭師としてその腕、知識、経験を是非我が国で存分に振るっていただきたいのです」
「そのような言葉を…庭師冥利につきます。ましてや庭師なら一度でいいから育てたい思う黒薔薇の研究ができるとは思いませなんだ…。
レオ様、このしがない庭師が嬢ちゃまたちのお役に立てれば貴国へご一緒させていただきます」
日に焼けてごつごつとした職人の手が色白のレオの手を取り、頭を下げた。
老いぼれと口にする男の名前はカトレア男爵家の元専属庭師のオジー。
ツキヨの父マルセルの後妻のマリアンナの理不尽な怒りにふれて追い出されるように屋敷を出て、その後は他領地の屋敷の庭師として雇われていたところ評判が広まり多忙な日々を過ごしていた矢先にレオが一流庭師として高い技術力を持つオジーを探し帝国の城屋敷の専属庭師、黒薔薇の育成研究者として勧誘をしたのだった。
*
オジーは王国内のある伯爵家の屋敷の庭の手入れが終わったが、当主は専属庭師として幾らでも給金を払うと頭を下げて引き止めたが、それを丁重に断った。
伯爵家の庭は古くから名庭園として歴史教科書にも載っていて現代の庭とは違い、静謐な雰囲気に包まれ、余計なものはなく何時間でも眺めていても飽きることのない庭であった。
棘の葉が生え曲がりくねった珍しい古木が植えられ、絶妙な配置がされた庭石にもう手に入らないとされている白い玉砂利の敷き詰められた一部の庭は特に丁寧に手入れをしていたため、最終日は一抹の寂しさを覚えた。
*
道具箱一式と衣類や生活必需品だけの荷物をレオの手配した馬車に載せオジーは数日かけてゴドリバー帝国の帝都サイドービの城に到着をするとレオが馬車止まりまで迎えに出てきていた。
馬車から降りると恐縮しながら「わざわざご丁寧に恐れ多いこったで…」と頭を下げる。
「いやいや、遠方から来ていただいたのです。薔薇の研究の大先輩として当然です」
レオが敬意を示すと使用人たちもオジーの少ない荷物を下ろし運び出すが、道具箱一式は決して運ばせようとはしなかった。
「荷物を運んだあと皇帝と謁見を…」「そそそそそそんな!こんな庭師如きに?!服も…」と蒼褪める。
「あ、大丈夫です。気にする性格ではないので…はははっ」
さらっとレオはいうがオジーは気が気ではなかった。
「ここがオジーさんの私室です。何か足りないものがあったら用意をしますので遠慮なく言ってください」
庭師として何度も貴族の屋敷に滞在したが部屋は寝台と収納がある程度であった…が、案内された部屋は家具は一目で分るほど上等品で広さも倍以上、尚且つ汗をかいたり汚れて大変だろうと洗面所と浴室もある部屋であった。
貴族の客室以上の待遇でオジーは「ひぃぃぃぃ」と叫んで固辞をするがレオが聞き入れることはなく、結局そこで荷を解くことになった。
とんでもないことになった…と皇帝に謁見するために洗面所で顔を洗い髭を剃り、鏡を見つめた…白髪頭の日焼けを顔が見つめ返してくる―――レオも皇帝も魔族である。肥料の仕入れやマルセルの商会で魔族の貴族と関わったことは何度もあり、恐怖心や差別的なものはない。しかし、今『魔族の国』の中心にいることが信じられなかった。
『今、嬢ちゃまが皇帝陛下の婚約者として幸せに暮らしている』ということが心の支えだった。
洗いざらしではあるが服も着替え、レオに声をかけると「では、早速…」と部屋を出て皇帝陛下の謁見の間へ向かった。
*
【いねぇよ…おぉい、どこにいんだよ…】
レオは謁見室に入った途端、姿のない皇帝陛下()に言霊で声をかける。
「お忙しいのでしたらあとでも…」「お、おお!すまん!待たせて、悪かった!!」とどたばたと銀髪のおっさんが駆け込んできた。
居眠り中だったのか口の横に涎の跡が見えたが、皇帝の椅子にどかりとアレックスは座る。
「…悪かった。俺は…ゴドリバー帝国皇帝アレクサンダーだ。そして、知っての通りツキヨの彼氏だ」
「か、彼氏…」
背も高く誰もが振り向くような偉丈夫が庭師に謝罪をしたうえ、赤子の頃から見守ってきたお嬢様の『彼氏』と軽々しく名乗る男―――それが皇帝と名乗った。
「おい、もうちょっと…こう…なんかあるだろうがっ!」
「いいじゃねぇか…堅苦しぃもんでもねぇだろう…」
ヒソヒソ話が丸聞こえだが一応本物の皇帝らしい。
「ゴドリバー帝国皇帝アレクサンダー・トゥルナ・シリウスだ。そして、聞き及んでいるとは思うがエストシテ王国のマルセル・ドゥ・カトレア男爵が令嬢ツキヨ・ドゥ・カトレア嬢の婚約者である。
宰相レアンドロ・トゥルナ・リゲルより既に報告は受けているがオジー・ワニスルードを本日より帝国内の城及び屋敷の庭、他植生の栽培研究の一員として召抱える、以上だ」
レオもオジーも皇帝らしい威厳にあふれた声を聞いてやっと安心をするとオジーは跪く。
「有難き幸せでございます。一庭師として最高の技術を提供することをお誓いいたします!!」
張りのある声で精一杯オジーは応えた。
「…うむ。期待させてもらおう…」と徐にアレックスは玉座から立ち上がり跪くオジーのそばにウン○座りをする。
「おう…聞きてぇことがある」
ドスの利いた声でオジーに聞く姿は完全にアレにしか見えない。
「ははっ。ど、どのようなことでございましょうか…」
「…ツキヨの小さい頃の思い出とか逸話とかどんな子だったとか…全て教えろ」
「んなこと話さなくてもいいからー!」とレオは言うが、ついオジーは気迫に押されて思い出を語った。
「雇用契約は成立だ…ククク…」
アレックスは悪い笑顔でオジーに微笑んだ。
「オジーさんもお気づきだと思いますが皇帝陛下とはいえ残念な人なので、もう諦めてくださーい。俺もとっくに諦めてるので!」
「俺のツキヨ愛はハンパねぇし!オジーもよろしくな!しばらくはビックリさせるためツキヨに内緒だからみつからねぇように気をつけてくれよ」
バンバンとアレックスはオジーの筋肉質な肩を「やっぱりいい肩してるな!!」と叩いた。
「あ、ありがとうございます。嬢ちゃまのためにと思って頑張ります…」
気難しい貴族と気安い皇帝…よく分からなくなったオジーだった。
*
翌日。
庭師の朝は早く日が昇る頃に目を覚まして仕事着に着替え、道具箱を抱えて作業小屋へ向かう。誰もおらずしばらく佇んでいると「おはようございます、遅くなってすいません」とレオが挨拶をした。
「いえいえ!早起き以外特技もありませなんで…」
貴族から頭を下げられることはなかったが、帝国では皇帝も宰相も庭師に頭を下げる。
「誰かに見習わせたい…さて、今朝は黒薔薇の飼育施設をご案内します」
施設は城の敷地の片隅にある…とはいうが自然の要塞として森林を放ったらかしにしている一部に建てられている。森は希少な生物や植物が育ちつつあったため、たまの手入れ以外はそのままにしていた。
森の獣道をがさがさと歩むと大岩が現れた…レオは大岩に向け装飾品のようなものをかざす…と、何もなかった所に温室と二階建ての建物が現れた。
「国家機密なので…オジーさんにも鍵をあとで渡しますね」
驚いて声の出ないオジーを連れ、レオは建物の扉に装飾品をかざして開錠した。
一階は化学、生物などを研究するような機材が置かれ、何かを育てているような小さな植木鉢や小皿が日付けごとに何皿もあった。本棚や収納には肥料や資材、標本、研究書や論文、専門書が詰め込まれていた。
「私は直接庭に携わるもんなんで本などを読んで理解ができるかとなると…」
「いいえ、我々は書物を読んでいるためつい頭で考えてしまうのです…しかしオジーさんの持つ長年の経験や勘が今は必要と思うのです」
ばさり…とレオの字で書かれた黒薔薇についての日々の記録が目の前に置かれるとオジーは失礼といい手に取る。
温度、湿度、天気、高さ…毎日事細かに記録されているが、それは普通の植物の成長記録であったがそこに見慣れない『芽全長』『芽分岐数』といった項目があった。
「『芽』?これは何ですかね?」
「それは…この黒薔薇最大の特徴であり、謎なのです。オジーさんがご存知のようなバラとは違い、苗から蕾をつけるまでは生物なのです」
「成長するまでは生物?!」
「黒薔薇の原種は野生の黒味の強い赤いバラが自然交雑をして黒味が強くなりました。
数百年前、繁殖地でそこの魔族総出の戦がありバラは絶滅…ところが一部のバラは戦の中、魔族の生血を浴びたことで新たな交配、生を受け魔族の血を持つ薔薇として絶滅を免れました。実際は魔物というほうが正しいのですが蕾をつけ花が咲くと魔物として死んで、ただの黒薔薇として花を咲かすだけとなり害も何もありません」
レオは、温室に続く扉を開錠し中に入ると、温度は高くはないが高湿度のむわっとした空気が呼吸をするたびに肺に入る。
「元の繁殖地は湿地に近いところで今までの研究でも湿度は高めを好むことが分っています」
棚に鉢が並んでいる中でレオが一つ取り、オジーに見せると初めて見る黒薔薇に思わず感嘆の声を上げるが、レオによると種を撒いて約半年のものであるが僅か10センチ程度しか育っていないことにオジーは驚く。
「苗や接木では育ちません。たまに種ができるのでそれを撒いて育てるしかありませんが、それも全て育つことはありません。せいぜい2割育てばいいほうです」
鉢をそばの台に置く。オジーには小さい苗木に見えるが本当に魔物みたいな姿になるのかとじっと見つめる。
「これはうまく育ったもので…もう少ししたら『芽』と呼んでいる魔物の姿を出してきますが何も害はありません」
じっと見つめるオジーの目線に気がついたように二又に分かれた細い枝の先端が突然、にゅるん!と5センチほどの細い2匹のヘビのようになった。
『芽』は枝についたままで、色も枝と同じ緑色なので子ヘビのようでもある。目はないのか、全身で辺りを確認するようにうねうねと動き回っている。
「ま、まさか…黒薔薇がこんな…」
「ですから、帝国の門外不出の黒薔薇なのです」
レオは芽に手を出すとにょろりと手に絡みつく。
「触れても大丈夫なのですか」
「ええ、毒もありませんし攻撃をすることはありません。むしろ、だんだん我侭な可愛いものと思えてきますよ」
そっともう片方の芽にオジーは恐る恐る手を出してみると、ぬるんと手に纏わりつく。
湿気を好むせいか、芽もやや水気を帯びておりしっとりとして触り心地もよく、ついオジーは動物を可愛がるように頭らしい先端を撫でてやると嬉しそうに手に甘えてくる。
「これでやっと半年であれば花が咲くなんて一体どれほど時間がかかるのですか」
「早くて約3年、平均で4年半から5年くらいですかね…いろいろ試してはいるのです。水、肥料、土、環境…どれも決め手がありません。多種多様な魔物の血も与えてもみてもお好みではないようで…」
「頑固もんですなぁ…」
芽をオジーは突くとぷいと不機嫌そうに反対を向いてしまった。
レオとオジーは鉢を棚に戻して、むしむしする温室を出て建物の一階に戻った。
「気難しい黒薔薇ですが是非、智恵をお貸しいただきたいのです。今日中にはここの鍵をお渡ししますのでいつでも自由に入っても結構です。むしろ、どんどん入って研究でも実験でもしてください!」
「あの黒薔薇に携われるだけで庭師として感激です。レオ様の言うようにしっかり研究をしてみますよ」
その後は、レオが設備の使い方などを教えてから二人は建物をあとにした。
*
オジーは城内の庭の手入れを行ったそのあとに黒薔薇の建物に行く…というのが日課となった。
時折、時間を変えて水遣りをしたり、様子を確認をすることもあったが日が経つにつれオジーも黒薔薇の成長の難しさに頭を抱えていた。
王国では庭にバラを植えるのが多く、バラの栽培の経験は嫌というほどあった。
種類によってどういった環境や肥料を好むかなど熟知していたが、黒薔薇は水以外嫌いなものが多い。
「黒薔薇の好むものか…」
広い私室で庭師として長年庭木の手入れの仕方などを書き溜めた古い帳面をパラパラと開いたり閉じたりしていた。
*
その日、オジーは温室で黒薔薇に新しく配合した肥料を与えていた。
庶民や田舎のほうではよく使われていて、オジーも貴族の屋敷の庭でもしばしば使用をしていたが、その肥料の配合や素材を聞かれると尾籠な話となり嫌がられるため、なぁなぁに答えていた。
実際に使用する頃には原料がわからないくらいになっているうえ、肥料としても優秀だったがレオの肥料の記録には使用した形跡がなかった。
レオにその肥料を使いたいと説明をしたとき渋い顔をして「それは帝国内では流通してないもの」と言われたため、エストシテ王国から取り寄せることとなった。
肥料を与えて一週間程は特に変化はなかったが、十日後にレオがオジーに最初に見せた二又の黒薔薇の枝部が突然、倍くらいの太さになり伸びていた。
芽もにょろんと姿を現すとオジーに甘えるように手に絡み付いてきた。
「この肥料がいいのかい?」
ついオジーは話しかけたが芽は何も答えることはなく、にょろにょろと成長した姿で戯れていた。
二又以外の黒薔薇も通常よりも枝が太くなり、伸びていたことが分かるとレオと二人で温室内で大声を上げて喜んだ。
しかし、この肥料が与えた恩恵は半月ほどで終わり、また成長が鈍くなった。何度も大量に肥料を与えると枯れてしまうためごく少量ずつ与えたものの特に変わらなかった。
ただ、レオとオジーはこの肥料の成分が成長に影響をしているということだけは確信をしていた。
レオは成分の解析を始め、オジーは新たに肥料を取り寄せて配合についてあれこれと模索する日々がしばらく続いた。
*
解析をして、肥料を配合をして与える…ことを何度も繰り返したが決定打になるものはできなかった。
その日は庭の手入れの前に先に温室の様子を見に行こうとオジーは着替えていた。
「あの肥料の系統が黒薔薇が好むものか…もう少し原材料を増やしてみるとか…うーむ」
部屋で独りごちてから温室へ向かった。
温室へ入り、太く成長した二又を手に取るが特に変わりはなく台に置いて記録帳に書き込む…今日は天気がよく温室内は湿度も高いためいつもより汗をかいたオジーはポケットから手巾を取り、額の汗を拭おうとした瞬間、しゅるん!!と二又の芽が通常よりも長く伸び、持っていた手巾をにゅっと巻き取り奪い取った。
「えっ!?」
二又の二つの芽は大事そうに手巾に巻きつきオジーが引っ張っても取ることはできなかった。
「そんなのは栄養にもならないだろう…急に取るなんて一体なんなんだ…」
全く想像していなかった事態にオジーはレオを呼んだ。
温室に来たレオにオジーは説明をした。
「今までもそんな攻撃的なことなんて一切なかったのに…急にこの手巾だけにこんな行動をするとは…」
レオも手巾を抱え込んだ二又をよく観察をする…とあることに気がついた。
「オジーさん…この手巾には何か刺繍のようなものがありますか?」
芽が大事そうに巻きついている手巾の一部に色糸が僅かに見えた。
「その手巾は実はツキヨ嬢ちゃまが二年前の私の誕生日に刺繍をして贈ってくれたもんです」
「ツキヨちゃんの刺繍…例の肥料…」
レオがボソと呟く…「ちょっと、城へ行ってきます」と言い残してレオは戻った。
「え…まさか…」
なんとなく黒薔薇の好みに不安になりつつあるオジーだった。
「お待たせしました!」
レオが手に何かを持って戻ってきた。
「これは…」
「えぇ、城の若い女性の使用人の私物の手巾をもらってきました」
オジーの不安が的中した…が、レオと鉢の数分に切って温室の黒薔薇にぴょいっと切った手巾を置いた瞬間、芽はがばっと切った手巾を巻き取った。
他の鉢も同様だった。
「レオ様…これはもしやのもしやですが…尾籠なもの…特に女性のものに反応しているのかと思うのですが…」
「そうですね、ほぼ確実だと思いますよ…手巾に染み付いた女性の匂いや汗、肥料の原料の………とかに反応をしたのが答えかと」
黒薔薇たちは嬉しそうに手巾を握り締めていたが、レオとオジーはなんとも複雑な気分だった。
そして、数日後手巾から養分をたっぷりとった黒薔薇は、一回り大きく育っていた。
オジーは肥料について深く考え始めた。
もっと効率的に黒薔薇の好むものを与える方法を…。
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