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闇-75
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「キャー!助けてー!」
「やっぱり魔族は襲うために来たんだ!逃げろ!」
「落ち着いてください!」
「どけ!俺を誰だと思ってるんだ!」
「慌てないで!大丈夫ですから!」
近衛兵や衛兵も落ち着かすように声を張り上げるが一気に混乱状態となった人々は恐怖の言葉を口々にしながら逃げ惑う。
ユージスたちも人々に声をかけるが国王の声も届かないほど混乱しているほうが危険だと騎士団長が判断してユージスは一度、壇上の後ろへ退避をさせた。
「退避など…私も騎士の一人だ!」
ユージスは騎士団長へ抗議をする。
「最初は一つの恐怖だったのが残念なことに二つに増えたのです!我々はまず、ここの人を『王として』まずは落ち着かすべきです!今、皇帝陛下は『魔物』と罵られても身を呈して王国民を守るため敵陣へ向かうことを忘れてはいけませんぞ!
ユージス様の『王という立場』が皇帝陛下を守ることに繋がるのです!」
「…アレクサンダー皇帝陛下を守ること…王として…よし。わかった…」
手にした剣を剣帯の鞘に戻して混乱する人々の前に『王として』ユージスは立った。
***
「クソ!フロリナ!庭全体に気配がある!思ったより多いぞ!俺は庭へ出るから後方援護を頼んだぞ!!ツキヨはフロリナから離れるな!」
ツキヨはフロリナのいる頑丈な机の裏に隠れるのを確認をしてからアレックスは鞘から黒い刀身をすらぁっと抜いて騒ぐ人ごみの中―――魔気をまといごぉっと神速で走り抜けた―――誰にもぶつからず庭に出て言霊をレオに飛ばす。
【レオ!庭から襲撃されている!訓練をされているようなやつらだが数が多い!魔気でドカン!とやったら狭い庭ごと吹っ飛ぶから一匹ずつ叩き潰すしかねぇ!】
【了解!庭へ移動する!】
アレックスが庭に出ると二人の近衛兵に無紋の鎧を装備した兵士が襲いかかっていた。
「近衛兵!お前らは庭と会場の間の入口を守れ!庭は俺がやる!早く行け!!
このクソガキどもがぁぁぁっ!!五体満足で幸せにあの世に逝けると思うなあぁぁぁぁ!!!がぁぁぁぁああっ!!!」
獣の咆哮のような怒声が響くのと同時に黒い刃が鉄製の鎧をキィン!と切り裂き、腹からぼとりぼとりと血と血みどろのものが流れ落ち、どうと無言で倒れる。その後ろから別の兵士がアレックスにめがけて右手に持つブ厚い戦斧を振り下ろして襲いかかるとキン!とアレックスは細身の黒い刃の鍔の辺りで受けると刀が折れるのを兵士は見る…はずだったのが何故かひび一つ入らない黒い刃に一瞬たじろぐ。
「そんなチャチなもんでこいつが折れるかぁぁぁぁ!ばぁぁぁぁぁか!!彼岸で死んだご先祖様と遊んでろぉぉ!」
ぐぅっとアレックスの筋肉が黒い刀を手助けをする…力押しで一歩踏み込んで斧と持ち手の繋ぎ目をバキリ!と切り落とすとブ厚い斧の刃の尖端がそのまま兵士の右足の甲のどっと落ち、標本のように芝生に打ち止められると、黒い刃が肩当てと胸当ての僅かな隙間にばざぁ!とアレックスに切り込まれて持ち手を持ったままの右手がぼどんと手入れのされた芝生へ落ちた。
緑の芝生に真っ赤な血が垂れ流れる。
「う…ぁ…ぁ…」
股間の辺りからじょろじょろと尿を漏らして立ったまま絶命をした。
「汚いなぁ…!」
影からずるりとレオが姿を現した。
「遅い!!」
ブン!とアレックスは刃をレオに向ける。
「うるせぇ!こっちにも色んなもんが手に入って大変だったんだ!!」
「んなもん、あとにしろ!こっちは叩き潰してお前より大変だったんだ!」
「俺の方が大変だ!」
「んぁあ?!こっちが血生臭くてしょんべん臭くて大変なんだぞ!」
「俺の…!」
「俺が…!」
言い争う二人の足元に魔気を含んだ金属片が着弾した。
【一撃であの世に逝くのと百撃であの世に逝くの、どちらがいいですか?】
【フロリナ様!すいません!】
【ごめんなさい!フロリナ様!!】
レオが加わってアレックスは再び襲いかかる兵士の相手を始めた。
***
フロリナは机に身を潜めるツキヨを確認してから大きな窓の向こうの庭の木に隠れる相手を捕える…バン!と壇上の下に魔気を含む金属片が着弾をする。
小さく丸くなったツキヨがビクリと震える。
「ご安心ください。このフロリナが身を呈してツキヨ様をお守りいたしますわ」
【同族ですか…しかも、同じものを持つ…けど…】
「ツキヨ様。私を狙って打ったのに随分外れた壇上の下に打ち抜いたということは…相手はヘタクソということです。何も問題ございません」
バン!と今度は壇上の机にいるフロリナの左後の花瓶が割れる。
「相手は本当にヘタクソなご様子です」
「はい…」
その言葉に納得をしたツキヨは返事をした。
「基本は一撃必殺です。外れてもその場から移動しにくい木の上ならば自らの位置を知らせるようなもの…ありがとうございます。感謝いたします」
筒状のものを覗き、魔気を込める…ぽわ…と先端が光ると小さな金具を人差し指でそっと引く…バスン!と発射音とパリン!と窓ガラスを撃ち破る音が響く―――場内はまた叫び声に包まれる―――とフロリナの耳には木の上からドサリと何かが落ちた音が聞こえた。
「やっぱり魔族は襲うために来たんだ!逃げろ!」
「落ち着いてください!」
「どけ!俺を誰だと思ってるんだ!」
「慌てないで!大丈夫ですから!」
近衛兵や衛兵も落ち着かすように声を張り上げるが一気に混乱状態となった人々は恐怖の言葉を口々にしながら逃げ惑う。
ユージスたちも人々に声をかけるが国王の声も届かないほど混乱しているほうが危険だと騎士団長が判断してユージスは一度、壇上の後ろへ退避をさせた。
「退避など…私も騎士の一人だ!」
ユージスは騎士団長へ抗議をする。
「最初は一つの恐怖だったのが残念なことに二つに増えたのです!我々はまず、ここの人を『王として』まずは落ち着かすべきです!今、皇帝陛下は『魔物』と罵られても身を呈して王国民を守るため敵陣へ向かうことを忘れてはいけませんぞ!
ユージス様の『王という立場』が皇帝陛下を守ることに繋がるのです!」
「…アレクサンダー皇帝陛下を守ること…王として…よし。わかった…」
手にした剣を剣帯の鞘に戻して混乱する人々の前に『王として』ユージスは立った。
***
「クソ!フロリナ!庭全体に気配がある!思ったより多いぞ!俺は庭へ出るから後方援護を頼んだぞ!!ツキヨはフロリナから離れるな!」
ツキヨはフロリナのいる頑丈な机の裏に隠れるのを確認をしてからアレックスは鞘から黒い刀身をすらぁっと抜いて騒ぐ人ごみの中―――魔気をまといごぉっと神速で走り抜けた―――誰にもぶつからず庭に出て言霊をレオに飛ばす。
【レオ!庭から襲撃されている!訓練をされているようなやつらだが数が多い!魔気でドカン!とやったら狭い庭ごと吹っ飛ぶから一匹ずつ叩き潰すしかねぇ!】
【了解!庭へ移動する!】
アレックスが庭に出ると二人の近衛兵に無紋の鎧を装備した兵士が襲いかかっていた。
「近衛兵!お前らは庭と会場の間の入口を守れ!庭は俺がやる!早く行け!!
このクソガキどもがぁぁぁっ!!五体満足で幸せにあの世に逝けると思うなあぁぁぁぁ!!!がぁぁぁぁああっ!!!」
獣の咆哮のような怒声が響くのと同時に黒い刃が鉄製の鎧をキィン!と切り裂き、腹からぼとりぼとりと血と血みどろのものが流れ落ち、どうと無言で倒れる。その後ろから別の兵士がアレックスにめがけて右手に持つブ厚い戦斧を振り下ろして襲いかかるとキン!とアレックスは細身の黒い刃の鍔の辺りで受けると刀が折れるのを兵士は見る…はずだったのが何故かひび一つ入らない黒い刃に一瞬たじろぐ。
「そんなチャチなもんでこいつが折れるかぁぁぁぁ!ばぁぁぁぁぁか!!彼岸で死んだご先祖様と遊んでろぉぉ!」
ぐぅっとアレックスの筋肉が黒い刀を手助けをする…力押しで一歩踏み込んで斧と持ち手の繋ぎ目をバキリ!と切り落とすとブ厚い斧の刃の尖端がそのまま兵士の右足の甲のどっと落ち、標本のように芝生に打ち止められると、黒い刃が肩当てと胸当ての僅かな隙間にばざぁ!とアレックスに切り込まれて持ち手を持ったままの右手がぼどんと手入れのされた芝生へ落ちた。
緑の芝生に真っ赤な血が垂れ流れる。
「う…ぁ…ぁ…」
股間の辺りからじょろじょろと尿を漏らして立ったまま絶命をした。
「汚いなぁ…!」
影からずるりとレオが姿を現した。
「遅い!!」
ブン!とアレックスは刃をレオに向ける。
「うるせぇ!こっちにも色んなもんが手に入って大変だったんだ!!」
「んなもん、あとにしろ!こっちは叩き潰してお前より大変だったんだ!」
「俺の方が大変だ!」
「んぁあ?!こっちが血生臭くてしょんべん臭くて大変なんだぞ!」
「俺の…!」
「俺が…!」
言い争う二人の足元に魔気を含んだ金属片が着弾した。
【一撃であの世に逝くのと百撃であの世に逝くの、どちらがいいですか?】
【フロリナ様!すいません!】
【ごめんなさい!フロリナ様!!】
レオが加わってアレックスは再び襲いかかる兵士の相手を始めた。
***
フロリナは机に身を潜めるツキヨを確認してから大きな窓の向こうの庭の木に隠れる相手を捕える…バン!と壇上の下に魔気を含む金属片が着弾をする。
小さく丸くなったツキヨがビクリと震える。
「ご安心ください。このフロリナが身を呈してツキヨ様をお守りいたしますわ」
【同族ですか…しかも、同じものを持つ…けど…】
「ツキヨ様。私を狙って打ったのに随分外れた壇上の下に打ち抜いたということは…相手はヘタクソということです。何も問題ございません」
バン!と今度は壇上の机にいるフロリナの左後の花瓶が割れる。
「相手は本当にヘタクソなご様子です」
「はい…」
その言葉に納得をしたツキヨは返事をした。
「基本は一撃必殺です。外れてもその場から移動しにくい木の上ならば自らの位置を知らせるようなもの…ありがとうございます。感謝いたします」
筒状のものを覗き、魔気を込める…ぽわ…と先端が光ると小さな金具を人差し指でそっと引く…バスン!と発射音とパリン!と窓ガラスを撃ち破る音が響く―――場内はまた叫び声に包まれる―――とフロリナの耳には木の上からドサリと何かが落ちた音が聞こえた。
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