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闇-25
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メイドにより最強トリオを呼ばれてしまったのは今後のことからして問題はないが、心が複雑骨折をしているアレックスには耐えられない。
「アルフレッド様がまたいらっしゃるなんて…とても光栄です…これはわたくしとの運命でございますでしょうか…」
妹のミリアンが頬を赤く染めながら俯き加減…でもチラッチラッとアレックスの様子を見ながら運命を語る。
片やメリーアンが「わたくしは、このようなことが起きればと想いを深めておりましたの…そうしてこの愛の詩が完成して…『おぉ。運命の女神よ!輝く太陽の僕に与えた新たな太陽が輝きを共に…以下略』」と呪詛のような詩を朗読する【この蜘蛛の巣だらけの暖炉から長い黒髪で白い服を着た女の魔物なんて出てこねぇよな…】
アレックスは変な汗をかきながらも「さ、さすがお嬢様お2人は大変優秀ですねぇ…ははは!これは素晴らしい!【あーあーあーあー聞こえなーい!!】」パチパチと笑顔で拍手をする。
「いいえ、とんでもないですわぁ!!私に似たのか見目もよく、才女と褒められておりまして…おほほほほほ!!あら、お茶が冷めてしまいますわ。どうぞ、お召し上がりくださいませ」
「ははは…では、一口…【笑ってはいけないのだろうか。笑ったら薬草茶を飲む…そういう罰とか…】」
とりあえず紅茶らしきものの感想は何も言わずに誤魔化したアレックスに希望の光か、応接室の扉がコンコンと叩かれてからマルセルが「アルフレッド様、お待たせをして申し訳ございません」と一礼をして入ってきた。
「マルセルさん、今夜も突然失礼して申し訳ありません。たまたま近くを通ったのでご挨拶をと思いまして…【マルセル様ー!親父様ー!助けてー!帰りたいけど帰れないー】」
「あんた!アルフレッド様をお待たせするなんて!もう、うちの主人がご無礼なことをして…お恥ずかしいですわ。なにとぞ、ご容赦を…おほほ…」
マリアンナがバチバチと扇子で長椅子を叩く。先日のは壊れたのか今日は違う扇子になっている。
「先日マルセルさんが馬がお好きとお聞きして。実は私も馬が好きで…気が合うところは何か皆さんとご縁があるのでしょうか…。
そうだ、この間お話しされていたコ=チョウラン侯爵の競走馬の良さについて早速ご教示していただきたいですね【助けてー!親父さん、助けてー!!!もう無理ー】」
「まぁ!アルフレッド様は馬にご興味がっ?!素敵なご趣味ですわね!」
マリアンナは手元のメモに『馬がお好き』と書いた【おい!馬臭いって言ったのは誰だ?!】
「また狭いですが書斎で馬の新しい情報を仕入れたのでお話しませんか」
「さすが情報が早いですね!【神様、仏様、マルセル様ーー!】」
アレックスは人生?で一番というくらい感謝をして、応接室を後にして書斎へ籠った。
アレックスはそっと静寂の結界を張った。
音は人間には漏れないものの前回よりやたらめったらブ厚くコッテリとベッタリと張って、元の姿に戻った。
「お騒がせして申し訳ないです。アレックスさん…」
「いや、いいぜ。何よりも立派な親父として顔を見せてやってほしいからな」
「まだ道半ばで大変ですが頑張りますよ!…そうだ。この間、シウクの繊維を糸として紡いだ中で特にいいのが5束できたので参考に持って行ってください」
飴色に磨かれた机の引出しから金を細く細く撚ったら黄金色に輝く糸になった…ような繊細な…繊細な糸を取り出した。
「これが、シウクの糸か…確かにこれが布になったら…とんでもないのができるな」
アレックスは受け取ると手の上に糸の重さを感じないくらいの軽さと美しさに目を奪われた。
「しかし…見てください…」
失敗作の糸をマルセルがほんの少し引くだけで簡単に切れた。
「こんなに弱い…けど美しさはきっと何よりも素晴らしく、そして布になれば強いと思っています。娘のように…」
アレックスは一枚の紙を広げた。
「懸案の織機のことをツキヨに聞いたぜ…さすがあんたの娘だよ。織機のことや織り方をある程度覚えていて今はそれを元に織機の試作品を作っている」
広げた紙をマルセルに見せた。
「これはツキヨが描いたのですか?これだ!あぁ…私が考えていたのと…ここが違うのか。あ、でもアレックスさん。ここの調整する木の位置が違いますね。あとはこの辺りに…」
マルセルは机から紙を出して描き始めた。
「紙を見て思い出したことがあるので試作機の参考にしてもらえませんか」
「今は少しでも情報があると助かるぜ。これでもっと前進するかもしれないしな」
インクの乾いたマルセルの紙とツキヨの紙をポケットに大事にしまった。
心なしか紙から熱や力を感じる。
「ツキヨって父親似なのかもな。頭がいい」
「それは一体?私は特に取り柄もなく、ただ父から爵位と領地を継いだ田舎貴族ですが…」
「いや、そうじゃない。
糸が布にすることができて…織る人を雇うなら帝国の弱者や貧しい人に優先的に雇うのはどうかと。家計も潤えば子供を学校に入って勉強もできる。その子供は大きくなったら世のため、人のために頑張る子になるだろうってな」
少し自慢げにアレックスがツキヨの提案を説明をする…とマルセルは、アレックスより少し自慢げに語る。
「実はマリアンナ名義になってしまった農作物の加工所で領地の老人を多く雇っていたのですが、それはツキヨの提案なのです。
領地に小さい女子学校と男子学校を作って、領民の子も娘も分け隔てなく学んだのですがその時に『おじいちゃんが腰を悪くして畑が耕せなくなってから元気がなくなってしまった』とツキヨが友達から聞いたのがきっかけなんです。まさに…うぅ…それの再現で…うっく…うぅ…うう…ツキヨが…うう…」
「そうか、そんなのがあったのか…うっぅうぅぅ…ツキヨってやつは…うううぅぅ…」
…お互いのツキヨ自慢が気がついたら、ただただツキヨの幸せを思いあう同士の語り合いになっていた。
いつしか2人はおぃおぃと泣いてハンカチを濡らした。
「アルフレッド様がまたいらっしゃるなんて…とても光栄です…これはわたくしとの運命でございますでしょうか…」
妹のミリアンが頬を赤く染めながら俯き加減…でもチラッチラッとアレックスの様子を見ながら運命を語る。
片やメリーアンが「わたくしは、このようなことが起きればと想いを深めておりましたの…そうしてこの愛の詩が完成して…『おぉ。運命の女神よ!輝く太陽の僕に与えた新たな太陽が輝きを共に…以下略』」と呪詛のような詩を朗読する【この蜘蛛の巣だらけの暖炉から長い黒髪で白い服を着た女の魔物なんて出てこねぇよな…】
アレックスは変な汗をかきながらも「さ、さすがお嬢様お2人は大変優秀ですねぇ…ははは!これは素晴らしい!【あーあーあーあー聞こえなーい!!】」パチパチと笑顔で拍手をする。
「いいえ、とんでもないですわぁ!!私に似たのか見目もよく、才女と褒められておりまして…おほほほほほ!!あら、お茶が冷めてしまいますわ。どうぞ、お召し上がりくださいませ」
「ははは…では、一口…【笑ってはいけないのだろうか。笑ったら薬草茶を飲む…そういう罰とか…】」
とりあえず紅茶らしきものの感想は何も言わずに誤魔化したアレックスに希望の光か、応接室の扉がコンコンと叩かれてからマルセルが「アルフレッド様、お待たせをして申し訳ございません」と一礼をして入ってきた。
「マルセルさん、今夜も突然失礼して申し訳ありません。たまたま近くを通ったのでご挨拶をと思いまして…【マルセル様ー!親父様ー!助けてー!帰りたいけど帰れないー】」
「あんた!アルフレッド様をお待たせするなんて!もう、うちの主人がご無礼なことをして…お恥ずかしいですわ。なにとぞ、ご容赦を…おほほ…」
マリアンナがバチバチと扇子で長椅子を叩く。先日のは壊れたのか今日は違う扇子になっている。
「先日マルセルさんが馬がお好きとお聞きして。実は私も馬が好きで…気が合うところは何か皆さんとご縁があるのでしょうか…。
そうだ、この間お話しされていたコ=チョウラン侯爵の競走馬の良さについて早速ご教示していただきたいですね【助けてー!親父さん、助けてー!!!もう無理ー】」
「まぁ!アルフレッド様は馬にご興味がっ?!素敵なご趣味ですわね!」
マリアンナは手元のメモに『馬がお好き』と書いた【おい!馬臭いって言ったのは誰だ?!】
「また狭いですが書斎で馬の新しい情報を仕入れたのでお話しませんか」
「さすが情報が早いですね!【神様、仏様、マルセル様ーー!】」
アレックスは人生?で一番というくらい感謝をして、応接室を後にして書斎へ籠った。
アレックスはそっと静寂の結界を張った。
音は人間には漏れないものの前回よりやたらめったらブ厚くコッテリとベッタリと張って、元の姿に戻った。
「お騒がせして申し訳ないです。アレックスさん…」
「いや、いいぜ。何よりも立派な親父として顔を見せてやってほしいからな」
「まだ道半ばで大変ですが頑張りますよ!…そうだ。この間、シウクの繊維を糸として紡いだ中で特にいいのが5束できたので参考に持って行ってください」
飴色に磨かれた机の引出しから金を細く細く撚ったら黄金色に輝く糸になった…ような繊細な…繊細な糸を取り出した。
「これが、シウクの糸か…確かにこれが布になったら…とんでもないのができるな」
アレックスは受け取ると手の上に糸の重さを感じないくらいの軽さと美しさに目を奪われた。
「しかし…見てください…」
失敗作の糸をマルセルがほんの少し引くだけで簡単に切れた。
「こんなに弱い…けど美しさはきっと何よりも素晴らしく、そして布になれば強いと思っています。娘のように…」
アレックスは一枚の紙を広げた。
「懸案の織機のことをツキヨに聞いたぜ…さすがあんたの娘だよ。織機のことや織り方をある程度覚えていて今はそれを元に織機の試作品を作っている」
広げた紙をマルセルに見せた。
「これはツキヨが描いたのですか?これだ!あぁ…私が考えていたのと…ここが違うのか。あ、でもアレックスさん。ここの調整する木の位置が違いますね。あとはこの辺りに…」
マルセルは机から紙を出して描き始めた。
「紙を見て思い出したことがあるので試作機の参考にしてもらえませんか」
「今は少しでも情報があると助かるぜ。これでもっと前進するかもしれないしな」
インクの乾いたマルセルの紙とツキヨの紙をポケットに大事にしまった。
心なしか紙から熱や力を感じる。
「ツキヨって父親似なのかもな。頭がいい」
「それは一体?私は特に取り柄もなく、ただ父から爵位と領地を継いだ田舎貴族ですが…」
「いや、そうじゃない。
糸が布にすることができて…織る人を雇うなら帝国の弱者や貧しい人に優先的に雇うのはどうかと。家計も潤えば子供を学校に入って勉強もできる。その子供は大きくなったら世のため、人のために頑張る子になるだろうってな」
少し自慢げにアレックスがツキヨの提案を説明をする…とマルセルは、アレックスより少し自慢げに語る。
「実はマリアンナ名義になってしまった農作物の加工所で領地の老人を多く雇っていたのですが、それはツキヨの提案なのです。
領地に小さい女子学校と男子学校を作って、領民の子も娘も分け隔てなく学んだのですがその時に『おじいちゃんが腰を悪くして畑が耕せなくなってから元気がなくなってしまった』とツキヨが友達から聞いたのがきっかけなんです。まさに…うぅ…それの再現で…うっく…うぅ…うう…ツキヨが…うう…」
「そうか、そんなのがあったのか…うっぅうぅぅ…ツキヨってやつは…うううぅぅ…」
…お互いのツキヨ自慢が気がついたら、ただただツキヨの幸せを思いあう同士の語り合いになっていた。
いつしか2人はおぃおぃと泣いてハンカチを濡らした。
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