9 / 150
闇-9
しおりを挟む
アレックスとレオのフンガー!というやり取りを一日一回は見て、美味しい食事で栄養をとり、医師に怪我の往診をしてもらいながらも、女性がいないと不便だろうとレオの実家からツキヨと年齢が近いメイドを雇い、連れてきた。
「私はフロリナ・カペラと申します。レアンドロ様のご実家のリゲル公爵邸のメイド長として私の母が長年勤めており、私も母と一緒に勤めていましたが、今回レアンドロ様よりツキヨ様付のメイドとしてお世話をさせていただくこととなりました。よろしくお願いいたします」
フロリナは静かに礼をする。きれいに結びあげた濃紺の髪と水色の瞳で利発そうな雰囲気を持ち、ツキヨも同年齢のくらい女性がいることに安心をする。しかし、治ったら帝国でメイドなどとして働くことを考えていたため、一度アレックスにどこかのお屋敷とか紹介してもらえないか相談もすることにした。
「ツキヨ・ドゥ・カトレアと言います。エストシテ王国から攫われたところをアレックス様に助けていただいてここに滞在をしています。私こそよろしくお願いします」とベッドから起き上がってはいるが礼はできないので同じく静かに、そして笑顔で礼をする。
「おう、フロリナ、ツキヨと仲良くしてくれな。それと、あとでツキヨに茶を出してやってくれ。わかんねぇことは下にいるレオに聞けば教えてくれるから、頼むな」
長椅子にだらんと座るアレックスが指示をするとフロリナは「かしこまりました。では、ご用意をしてお持ちいたします」と一礼をして部屋を出た。
ツキヨはふぅっと息を吸い「アレックス様…私、完治したら住み込みでどこかのお屋敷でメイドとかで働くことを考えていたのですが…」とダラダラしているアレックスに聞く。
「ん?なんでだよ。別にここは俺以外は住んでねぇし、そのまんま暮らし続ければいいだろうが。そんな細くて小さいのに出ていくことなんてないだろう。俺ん家に留学とかしてるとか考えりゃいいじゃねぇか。
それに残念だが、人間のツキヨなんてまた攫われるのがオチだ。交流はあるけどよ、今も人間は少ないからな。良い意味でも悪い意味でも目立つんだ」
アレックスは頭をポリポリとしながら、説得気味にツキヨが長く滞在するように話す。
「私は…本当は、ご迷惑をかけてはいないですか。レオさん、いえレオ様も公爵家の方とも知らずに…」
「レオ?あいつは気にすんなよ。リゲルんとこの三男坊で大したことねぇんだから。あんなの心配すんなら自分のことを心配しろ」
アレックスはツカツカとツキヨに近づいて頭を撫でる…いや、グシャグシャとする。
「しっかしよぅ、その髪の毛。短いのはいいとしても先っちょがバラバラだな。フロリナに今度整えてもらえよ」
「これは、継母…まぁ、実際は父の後妻ですが…彼女にバサッと切られてからは自分で切っ…」「はぁ?!おふくろって思っていたらオヤジの後添えだとぅ?!
『はは』っていうから俺はてっきり本当のおふくろがツキヨを売ったのかと…くそ、何だその女!胸糞悪い!」近くの椅子にプリプリ怒りながらドスンとアレックスが座る。
とんとん…「お茶のご用意ができました」とドアの向こう側からフロリナが声をかけてきたのを不機嫌そうにアレックスが応じるとワゴンを押し入室する。
ベッドサイドのローテーブルにワゴンを押して近づくと「あとは俺がやるから、フロリナは下がっていいぜ」アレックスがワゴンを取り上げてしまう。
フロリナは慌てて「お館様、私がお淹れいたしますが…」と言うが「ツキヨの茶を淹れるのは俺がやってるんだ。結構面白いもんでよ、壊さないから安心しろよ」と菫色の瞳で砂時計を見つめる。
「か、かしこまりました。また、ご用の際はお呼びくださいませ」
フロリナは一礼をして部屋を出た。
タイミングを見てアレックスは長身を屈めながらポットから可愛い桃色の花模様のティーカップへ紅茶を注ぎ、砂糖1個とミルクを多めにいれてかき混ぜる。
アレックスも最初はタイミングが分からなかったり、溢してしまったりとあったが、今はすっかり慣れてツキヨの好みも把握してしまった。このささやかな時間がツキヨの楽しみにもなっていた。
しかし、今日のアレックスは少し違った。
「ツキヨの本当のおふくろとオヤジの後添えの女ってどうなってんだ?」
ティーソーサーに乗せた紅茶をツキヨに渡す。
「ありがとうございます」と受け取り、一口飲む。甘い優しい味がする。
「今、私は17才ですが、私の実の母は病気で4年前に亡くなりました。
しかし、父は寂しさに耐えられず2年前にマリアンナ・ドゥ・アイリスという2人の娘がいる子爵家の未亡人と再婚をしました。
再婚前に全員で数回会っていますが特に何もなく、その後3人でやってきましたが普通でした」とアレックスの元へ来るまでの経緯を話した。
一通り話してからツキヨは少し温くなった紅茶を飲んだ。
ふと、アレックスが静かなので少し俯いた顔を見る…と憤怒の顔がそこにあった。
鬼神そのものだった。
「私はフロリナ・カペラと申します。レアンドロ様のご実家のリゲル公爵邸のメイド長として私の母が長年勤めており、私も母と一緒に勤めていましたが、今回レアンドロ様よりツキヨ様付のメイドとしてお世話をさせていただくこととなりました。よろしくお願いいたします」
フロリナは静かに礼をする。きれいに結びあげた濃紺の髪と水色の瞳で利発そうな雰囲気を持ち、ツキヨも同年齢のくらい女性がいることに安心をする。しかし、治ったら帝国でメイドなどとして働くことを考えていたため、一度アレックスにどこかのお屋敷とか紹介してもらえないか相談もすることにした。
「ツキヨ・ドゥ・カトレアと言います。エストシテ王国から攫われたところをアレックス様に助けていただいてここに滞在をしています。私こそよろしくお願いします」とベッドから起き上がってはいるが礼はできないので同じく静かに、そして笑顔で礼をする。
「おう、フロリナ、ツキヨと仲良くしてくれな。それと、あとでツキヨに茶を出してやってくれ。わかんねぇことは下にいるレオに聞けば教えてくれるから、頼むな」
長椅子にだらんと座るアレックスが指示をするとフロリナは「かしこまりました。では、ご用意をしてお持ちいたします」と一礼をして部屋を出た。
ツキヨはふぅっと息を吸い「アレックス様…私、完治したら住み込みでどこかのお屋敷でメイドとかで働くことを考えていたのですが…」とダラダラしているアレックスに聞く。
「ん?なんでだよ。別にここは俺以外は住んでねぇし、そのまんま暮らし続ければいいだろうが。そんな細くて小さいのに出ていくことなんてないだろう。俺ん家に留学とかしてるとか考えりゃいいじゃねぇか。
それに残念だが、人間のツキヨなんてまた攫われるのがオチだ。交流はあるけどよ、今も人間は少ないからな。良い意味でも悪い意味でも目立つんだ」
アレックスは頭をポリポリとしながら、説得気味にツキヨが長く滞在するように話す。
「私は…本当は、ご迷惑をかけてはいないですか。レオさん、いえレオ様も公爵家の方とも知らずに…」
「レオ?あいつは気にすんなよ。リゲルんとこの三男坊で大したことねぇんだから。あんなの心配すんなら自分のことを心配しろ」
アレックスはツカツカとツキヨに近づいて頭を撫でる…いや、グシャグシャとする。
「しっかしよぅ、その髪の毛。短いのはいいとしても先っちょがバラバラだな。フロリナに今度整えてもらえよ」
「これは、継母…まぁ、実際は父の後妻ですが…彼女にバサッと切られてからは自分で切っ…」「はぁ?!おふくろって思っていたらオヤジの後添えだとぅ?!
『はは』っていうから俺はてっきり本当のおふくろがツキヨを売ったのかと…くそ、何だその女!胸糞悪い!」近くの椅子にプリプリ怒りながらドスンとアレックスが座る。
とんとん…「お茶のご用意ができました」とドアの向こう側からフロリナが声をかけてきたのを不機嫌そうにアレックスが応じるとワゴンを押し入室する。
ベッドサイドのローテーブルにワゴンを押して近づくと「あとは俺がやるから、フロリナは下がっていいぜ」アレックスがワゴンを取り上げてしまう。
フロリナは慌てて「お館様、私がお淹れいたしますが…」と言うが「ツキヨの茶を淹れるのは俺がやってるんだ。結構面白いもんでよ、壊さないから安心しろよ」と菫色の瞳で砂時計を見つめる。
「か、かしこまりました。また、ご用の際はお呼びくださいませ」
フロリナは一礼をして部屋を出た。
タイミングを見てアレックスは長身を屈めながらポットから可愛い桃色の花模様のティーカップへ紅茶を注ぎ、砂糖1個とミルクを多めにいれてかき混ぜる。
アレックスも最初はタイミングが分からなかったり、溢してしまったりとあったが、今はすっかり慣れてツキヨの好みも把握してしまった。このささやかな時間がツキヨの楽しみにもなっていた。
しかし、今日のアレックスは少し違った。
「ツキヨの本当のおふくろとオヤジの後添えの女ってどうなってんだ?」
ティーソーサーに乗せた紅茶をツキヨに渡す。
「ありがとうございます」と受け取り、一口飲む。甘い優しい味がする。
「今、私は17才ですが、私の実の母は病気で4年前に亡くなりました。
しかし、父は寂しさに耐えられず2年前にマリアンナ・ドゥ・アイリスという2人の娘がいる子爵家の未亡人と再婚をしました。
再婚前に全員で数回会っていますが特に何もなく、その後3人でやってきましたが普通でした」とアレックスの元へ来るまでの経緯を話した。
一通り話してからツキヨは少し温くなった紅茶を飲んだ。
ふと、アレックスが静かなので少し俯いた顔を見る…と憤怒の顔がそこにあった。
鬼神そのものだった。
0
お気に入りに追加
157
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる