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第九章 陰謀うずまき、かめ走る
ご褒美はかめなのです
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大勢の観客の前であたしを『ご褒美』に指名するなんて、どういう神経してるのよッ⁉
そして、ざわざわと色めきたつ人々を背に、新一は胸に手を当てお上を仰いだ。
「私は半年間、かめのすけさまの教育係でした。
ですが、東宮御所に出仕されて以降は一度もお目通りが許されていないので、かめのすけさまの身を案じていたところにございます。」
新一は大蒼を意味ありげに一瞥してから、切なそうに眉根を寄せたの。
「風の噂では、少しばかり懐郷病の気もあるとのこと。
機会を頂けるのならお力になりたいと思っています。」
わーん。
あたし、懐郷病になっていたのね!
って、嘘八百もいいところ!
よくもお上と観客を前にして、ツラっと嘘を並べられるものね‼
あたしは呆れて新一の後ろ姿を凝視した。
新一って、二枚舌どころか三枚も四枚も舌がありそう!
「待ちなさい。」
大蒼は感情を押し殺した声でゆっくりと、でも威圧感のある話し方で新一を睨んだ。
「それはどこぞの輩が吹いたホラ話なのか知らないが、心配には及ばない。
かめのすけは皇妃候補だ。
この私自らが責任を持って対処する。」
新一は不敵な笑みを返すと、妖艶な瞳であたしを射抜いた。
「どちらを選ぶかは、かめのすけさまに決めて頂きましょうか。」
わーっと!責任転嫁‼
あたしにまるっと丸投げしたわ⁉
青天の霹靂、寝耳に水、鼻から西瓜!
どっち? どっちを選ぶのが正解?
脆弱な頭が故障しそうなほど悩んだあたしは、バターになって溶けてしまいそうだった。
その時、皇后さまが大蒼の肩に優しく手を置いた。
「東宮、ここは新一に任せてはどうですか?」
「しかし・・・。」
「わたくしも初めて皇室に参内した折には懐郷病を患いましたの。
なので、かめのすけの気持ちがよくわかります。
知らない場所で知らない人たちと暮らすということが、どれほど心に負担がかかることなのか・・・。
東宮たるもの、人の心に寄り添うことを第一にしてほしいと願います。」
穏やかな口調の中にもどこか大蒼を叱責するような意図がある。
大蒼は叱られた子犬のような顔をして、自分の前髪をクシャリと掴んだ。
皇后さまはあたしに向き直ると、上品に微笑んだ。
「新一がかめのすけの手助けになるのならば、皇后宮でお話できる場を設けましょう。
夕刻めがけて皇后宮の紅葉庭園にいらっしゃい。」
女神様の降臨よッ!
この修羅場をすんなりまとめてくれるなんて、恐れ多くも有り難い‼
ともかくあたしは奇をてらわずに新一と話ができることになったのよ。
ずっと押し黙って不満顔の大蒼には申し訳ないけど、これで目的は果たせそう。
でも、この邂逅が、まさかあんな事件を引き起こすとは思いもよらなかったの・・・。
※
夕刻になり、洋服から着物に着替えたあたしは新一との待ち合わせ場所に向かった。
皇居といえば松並木だけど、皇后宮に向かう並木道には紅葉の木が空高く枝を伸ばしていて、薄墨色のグラデーションにクッキリと浮かび上がる紅葉の葉の、鮮やかな赤色がとても印象的だった。
小高い丘に向かう階段を登りきると小さな壁のない東屋があり、中には休憩を取るための木製の長椅子と机もある。
長椅子に腰掛けると、ちょうど今通った場所を上から見下ろせたわ。
街燈に照らされた紅葉が、まるで敷き詰められた絨毯のように延々とお濠まで延びていて、壮大な景色に心が震えた。
いつも思うのだけど、こういう景色を設計された人の頭の中身ってどうなっているのかしら?
あたしが感動に酔いしれていると、背の高い男性の姿が階段下に見えたの。
新一が来たわ。
あたしは着物の帯を締めなおして座を正した。
※
「お上や皇后さまにまで嘘をついて、一体どういうつもり?」
あたしは東屋の下で2人きりになると、新一の浅はかな行動を責めた。
「あたしの繊細なハンカチ作戦が台無しじゃないの。」
新一は柱に背を預けて腕を組んで立っている。
結城紬の着流しの襟合わせが緩すぎて、白い肩甲骨から胸元までの色気が漏れ出ているのが気になるわ。
思わずそこに視線が釘付けになるから、色男は中に立襟のシャツを着こんだ方が目に優しいと思うの。
短く小さなため息を吐くと、新一はこう言った。
「どうもこうも、お前が稚拙な文章を書くからだ。」
え?
「あれはなんだ?
前に教えた隠し言葉のつもりか?」
そのつもりだったけど?
「ハンカチーフに『どこかで落ち合おう』ということを書いたつもりだろうが、その場所を提示する詩が解読不可で意味不明。
おまけに、丸めてぶつけてきたよな。
お前は俺に恨みでもあるのか?」
わーん、それは誤解なのよ!
「仕方なく、俺が大会に優勝すればお前に会うことくらいはできると思ったが、東宮は鷹狩が得意だから、半分賭けのようなものだったんだぞ。
皇后のおかげで助かったけどな。」
そうだったのね!
ごめんなさいね、こんな稚拙な脳みそでッ‼
新一に、あたしは頭を下げた。
「あの、前に髪の結い方を教えてもらっていたのに、勝手に文通を止めてしまったから謝りたかったの。」
新一は少し驚いた顔であたしを見た。
「なんだ、そんなことか。」
「そんなことじゃないわよ!
あたしには大事な話だったけど、大蒼に止められてしょうがなく・・・。」
「久しぶりに2人きりなのに、もっと俺に言いたいことは無いのか?」
新一は優雅に組んでいた腕をほどくと、長い前髪をかき上げた。
「例えば・・・会えて嬉しいとか。」
あたしは耳まで真っ赤になった。
「何を言いだすのよ。バッカじゃない⁉」
「俺はお前に会いたかった。」
新一はいつの間にかあたしの隣に座ると、小さくしゃっくりをした。
「アンタ、酔ってるわよね?」
甘くて熟した果実のような香りが新一の身体から漂ってきて、あたしはつい鼻をヒクヒクと近づけてしまった。
「酔わなきゃ、やってられない時もあるよ。」
近くでよく見ると、白い顔が赤く上気していて、目元もトロンとしているみたい。
「そんなにお酒って美味しいの?」
「いや。
甘すぎるものや苦いものや辛いものもある。
美味いから飲むというよりは、酔いたいから飲むんだ。俺はね。」
変なの。
あたしは美味しくないものは飲みたくないわよ。
「ただ、酔うと気分が高揚して、雲の上を歩いているようになる。
一時の快楽を楽しむための手段さ。」
ほんのりと頬を赤らめた新一は、まるで化粧を施した天女のようにクルリと舞った。
「久しぶりに踊ろうか。」
あたしは妙なテンションの新一に誘われるまま、月の光に照らされた芝生の上でステップを踏んだ。
ワルツ、ワンステップ、ジルバ・・・新一の鼻歌に合わせて、次々とスタイルを変えて踊る。
自然と笑顔になり、どちらともなく笑い声が弾ける。
とても、楽しいひと時だった。
舞踏会の時もそうだったのだけど、新一とのダンスはしっくりくるの。
新一と手を繋ぐと、走馬燈のように新一と過ごした日々が駆け巡る。
初めて洗髪をしてもらった時、茶話会で助けられた時、車で胸を貸してもらった時、映画を見た時、バイクの後ろに乗った時・・・。
ああ。
あたしは泣きそうになった。
あたしはちゃんと新一のことが好き。
一緒に居ることが自然すぎて、気づけなかった。
人を好きになるのは、こんなにも苦しいことだなんて。
あたしは不意に足を止めて、思ったことを口に出した。
「あのね、もしも本当に・・・あたしをどこかに連れ去ってとお願いしたら、新一はどうする?」
「いいよ。」
細い月を背景に、新一が優しく微笑んだ。
「お前が望むなら、この世の果てまで連れて行くよ。」
か、簡単に言うわね・・・。
いつもの皮肉がないと、何だか調子が狂うわ。
「今夜の新一は本当に変ね。
そんなこと、誰にでも軽々しく言うことじゃないわ。
それは将来、本当に好きな女性ができたら言ってあげてね。」
「本当に好きな女性だから、言ったんだ。」
な、何を企んでいるの?
あたしはその言葉をすぐに真に受けることができなかった。
「信じられない・・・。」
「どうしたら信じる?」
あたしの腰を引いて向き合うと、新一は小首を傾げた。
わっ、美しい顔が目の前に!
あたしはドキドキしながら、とんでもないことを口にした。
「好きなら、あたしに接吻ができる?」
わーん、ごめんなさい、ごめんなさい!
間違えたし、調子に乗りすぎました‼
今の発言は頭の消しゴムで消してくださーい!
「接吻はお互いが好きな者同士じゃないと、気持ちよくならないだろう。」
グサッ。
ド正論が胸を刺す。
もうイヤッ!
こんな頭のおかしい提案をしたあたしを、いっそ殺して!
あたしの様子を見て、新一は悪戯にニヤリと笑った。
「ただ、俺はお前を好きだけど、もしお前も同じ気持ちなら、お前から俺に口づけができるんじゃないの?」
わーん、加虐趣味め!!
これがいつもの新一よ!
完全にあたしで遊び始めたわね。
それにしても、あたしから接吻しろと?
どど、どうやって?
あたしは真剣に悩んだわ。
だって、真正面からいったら鼻がぶつかるわよね。
唇を突き出して顔を近づけたらタコみたいで笑われそうだし・・・。
いつも大蒼に唇を奪われるときは、目をつぶってしまうから、あたしにはキスのお作法が分からないのよ~!
待って。
そもそも、淑女はこんなことをしてもいいの?
だ、誰か今すぐあたしに、上品かつ正しい接吻の方法を伝授して‼
そして、ざわざわと色めきたつ人々を背に、新一は胸に手を当てお上を仰いだ。
「私は半年間、かめのすけさまの教育係でした。
ですが、東宮御所に出仕されて以降は一度もお目通りが許されていないので、かめのすけさまの身を案じていたところにございます。」
新一は大蒼を意味ありげに一瞥してから、切なそうに眉根を寄せたの。
「風の噂では、少しばかり懐郷病の気もあるとのこと。
機会を頂けるのならお力になりたいと思っています。」
わーん。
あたし、懐郷病になっていたのね!
って、嘘八百もいいところ!
よくもお上と観客を前にして、ツラっと嘘を並べられるものね‼
あたしは呆れて新一の後ろ姿を凝視した。
新一って、二枚舌どころか三枚も四枚も舌がありそう!
「待ちなさい。」
大蒼は感情を押し殺した声でゆっくりと、でも威圧感のある話し方で新一を睨んだ。
「それはどこぞの輩が吹いたホラ話なのか知らないが、心配には及ばない。
かめのすけは皇妃候補だ。
この私自らが責任を持って対処する。」
新一は不敵な笑みを返すと、妖艶な瞳であたしを射抜いた。
「どちらを選ぶかは、かめのすけさまに決めて頂きましょうか。」
わーっと!責任転嫁‼
あたしにまるっと丸投げしたわ⁉
青天の霹靂、寝耳に水、鼻から西瓜!
どっち? どっちを選ぶのが正解?
脆弱な頭が故障しそうなほど悩んだあたしは、バターになって溶けてしまいそうだった。
その時、皇后さまが大蒼の肩に優しく手を置いた。
「東宮、ここは新一に任せてはどうですか?」
「しかし・・・。」
「わたくしも初めて皇室に参内した折には懐郷病を患いましたの。
なので、かめのすけの気持ちがよくわかります。
知らない場所で知らない人たちと暮らすということが、どれほど心に負担がかかることなのか・・・。
東宮たるもの、人の心に寄り添うことを第一にしてほしいと願います。」
穏やかな口調の中にもどこか大蒼を叱責するような意図がある。
大蒼は叱られた子犬のような顔をして、自分の前髪をクシャリと掴んだ。
皇后さまはあたしに向き直ると、上品に微笑んだ。
「新一がかめのすけの手助けになるのならば、皇后宮でお話できる場を設けましょう。
夕刻めがけて皇后宮の紅葉庭園にいらっしゃい。」
女神様の降臨よッ!
この修羅場をすんなりまとめてくれるなんて、恐れ多くも有り難い‼
ともかくあたしは奇をてらわずに新一と話ができることになったのよ。
ずっと押し黙って不満顔の大蒼には申し訳ないけど、これで目的は果たせそう。
でも、この邂逅が、まさかあんな事件を引き起こすとは思いもよらなかったの・・・。
※
夕刻になり、洋服から着物に着替えたあたしは新一との待ち合わせ場所に向かった。
皇居といえば松並木だけど、皇后宮に向かう並木道には紅葉の木が空高く枝を伸ばしていて、薄墨色のグラデーションにクッキリと浮かび上がる紅葉の葉の、鮮やかな赤色がとても印象的だった。
小高い丘に向かう階段を登りきると小さな壁のない東屋があり、中には休憩を取るための木製の長椅子と机もある。
長椅子に腰掛けると、ちょうど今通った場所を上から見下ろせたわ。
街燈に照らされた紅葉が、まるで敷き詰められた絨毯のように延々とお濠まで延びていて、壮大な景色に心が震えた。
いつも思うのだけど、こういう景色を設計された人の頭の中身ってどうなっているのかしら?
あたしが感動に酔いしれていると、背の高い男性の姿が階段下に見えたの。
新一が来たわ。
あたしは着物の帯を締めなおして座を正した。
※
「お上や皇后さまにまで嘘をついて、一体どういうつもり?」
あたしは東屋の下で2人きりになると、新一の浅はかな行動を責めた。
「あたしの繊細なハンカチ作戦が台無しじゃないの。」
新一は柱に背を預けて腕を組んで立っている。
結城紬の着流しの襟合わせが緩すぎて、白い肩甲骨から胸元までの色気が漏れ出ているのが気になるわ。
思わずそこに視線が釘付けになるから、色男は中に立襟のシャツを着こんだ方が目に優しいと思うの。
短く小さなため息を吐くと、新一はこう言った。
「どうもこうも、お前が稚拙な文章を書くからだ。」
え?
「あれはなんだ?
前に教えた隠し言葉のつもりか?」
そのつもりだったけど?
「ハンカチーフに『どこかで落ち合おう』ということを書いたつもりだろうが、その場所を提示する詩が解読不可で意味不明。
おまけに、丸めてぶつけてきたよな。
お前は俺に恨みでもあるのか?」
わーん、それは誤解なのよ!
「仕方なく、俺が大会に優勝すればお前に会うことくらいはできると思ったが、東宮は鷹狩が得意だから、半分賭けのようなものだったんだぞ。
皇后のおかげで助かったけどな。」
そうだったのね!
ごめんなさいね、こんな稚拙な脳みそでッ‼
新一に、あたしは頭を下げた。
「あの、前に髪の結い方を教えてもらっていたのに、勝手に文通を止めてしまったから謝りたかったの。」
新一は少し驚いた顔であたしを見た。
「なんだ、そんなことか。」
「そんなことじゃないわよ!
あたしには大事な話だったけど、大蒼に止められてしょうがなく・・・。」
「久しぶりに2人きりなのに、もっと俺に言いたいことは無いのか?」
新一は優雅に組んでいた腕をほどくと、長い前髪をかき上げた。
「例えば・・・会えて嬉しいとか。」
あたしは耳まで真っ赤になった。
「何を言いだすのよ。バッカじゃない⁉」
「俺はお前に会いたかった。」
新一はいつの間にかあたしの隣に座ると、小さくしゃっくりをした。
「アンタ、酔ってるわよね?」
甘くて熟した果実のような香りが新一の身体から漂ってきて、あたしはつい鼻をヒクヒクと近づけてしまった。
「酔わなきゃ、やってられない時もあるよ。」
近くでよく見ると、白い顔が赤く上気していて、目元もトロンとしているみたい。
「そんなにお酒って美味しいの?」
「いや。
甘すぎるものや苦いものや辛いものもある。
美味いから飲むというよりは、酔いたいから飲むんだ。俺はね。」
変なの。
あたしは美味しくないものは飲みたくないわよ。
「ただ、酔うと気分が高揚して、雲の上を歩いているようになる。
一時の快楽を楽しむための手段さ。」
ほんのりと頬を赤らめた新一は、まるで化粧を施した天女のようにクルリと舞った。
「久しぶりに踊ろうか。」
あたしは妙なテンションの新一に誘われるまま、月の光に照らされた芝生の上でステップを踏んだ。
ワルツ、ワンステップ、ジルバ・・・新一の鼻歌に合わせて、次々とスタイルを変えて踊る。
自然と笑顔になり、どちらともなく笑い声が弾ける。
とても、楽しいひと時だった。
舞踏会の時もそうだったのだけど、新一とのダンスはしっくりくるの。
新一と手を繋ぐと、走馬燈のように新一と過ごした日々が駆け巡る。
初めて洗髪をしてもらった時、茶話会で助けられた時、車で胸を貸してもらった時、映画を見た時、バイクの後ろに乗った時・・・。
ああ。
あたしは泣きそうになった。
あたしはちゃんと新一のことが好き。
一緒に居ることが自然すぎて、気づけなかった。
人を好きになるのは、こんなにも苦しいことだなんて。
あたしは不意に足を止めて、思ったことを口に出した。
「あのね、もしも本当に・・・あたしをどこかに連れ去ってとお願いしたら、新一はどうする?」
「いいよ。」
細い月を背景に、新一が優しく微笑んだ。
「お前が望むなら、この世の果てまで連れて行くよ。」
か、簡単に言うわね・・・。
いつもの皮肉がないと、何だか調子が狂うわ。
「今夜の新一は本当に変ね。
そんなこと、誰にでも軽々しく言うことじゃないわ。
それは将来、本当に好きな女性ができたら言ってあげてね。」
「本当に好きな女性だから、言ったんだ。」
な、何を企んでいるの?
あたしはその言葉をすぐに真に受けることができなかった。
「信じられない・・・。」
「どうしたら信じる?」
あたしの腰を引いて向き合うと、新一は小首を傾げた。
わっ、美しい顔が目の前に!
あたしはドキドキしながら、とんでもないことを口にした。
「好きなら、あたしに接吻ができる?」
わーん、ごめんなさい、ごめんなさい!
間違えたし、調子に乗りすぎました‼
今の発言は頭の消しゴムで消してくださーい!
「接吻はお互いが好きな者同士じゃないと、気持ちよくならないだろう。」
グサッ。
ド正論が胸を刺す。
もうイヤッ!
こんな頭のおかしい提案をしたあたしを、いっそ殺して!
あたしの様子を見て、新一は悪戯にニヤリと笑った。
「ただ、俺はお前を好きだけど、もしお前も同じ気持ちなら、お前から俺に口づけができるんじゃないの?」
わーん、加虐趣味め!!
これがいつもの新一よ!
完全にあたしで遊び始めたわね。
それにしても、あたしから接吻しろと?
どど、どうやって?
あたしは真剣に悩んだわ。
だって、真正面からいったら鼻がぶつかるわよね。
唇を突き出して顔を近づけたらタコみたいで笑われそうだし・・・。
いつも大蒼に唇を奪われるときは、目をつぶってしまうから、あたしにはキスのお作法が分からないのよ~!
待って。
そもそも、淑女はこんなことをしてもいいの?
だ、誰か今すぐあたしに、上品かつ正しい接吻の方法を伝授して‼
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