31 / 42
第八章 かめ、ついに出仕する
これが恋といふもの
しおりを挟む
東宮御所は皇居の東方一角に位置していて、敷地内の4対ある門の一つ【春門】から入ると、いくつも曲がりくねった道の先にあるの。
東京にこんな場所があったのかと驚くくらいの緑地帯が広がっていて、その奥の浮世から隔離された森の中には、最新の建築技術の粋が集められた二階建ての御所が鎮座していたわ。
それは家というよりも立派な美術館のような佇まいで、【御所】というものを初めて見たあたしは、想像をはるかに凌駕する美しくて大きな建造物に圧倒された。
おそらく、普通の一軒家が50軒はすっぽり入る気がする。
ここには一体、何百人の使用人がいて、何時間奉仕をしているのかしら。
思わずこの景観を維持するための労力を考えた、心の貧しいあたしを責めないで!
運転手の車田さんに別れを惜しみながら降車し、御車寄から内部に入ると、【鶴戯】という大きな屏風を展示した玄関があって、幅の広い吹き抜けの階段が出迎えてくれた。
その天井の高さに気圧されながら階段を登ると、【日月邂逅】という太陽と月がモチーフの壁画が素敵な広間に出るの。
公爵家も広いけど、上には上があるものなのね!
ポカーンと乾くまで口を開けて待っていると、ほどなくして官吏の制服を着た男性が現れた。
「はじめまして、菊子様。
あたくしは従侍長の赤坂でございます。」
明らかに男性なのに女性のように柔らかく話す赤坂は、クネクネとお辞儀をした。
「本日より典侍になられる菊子様のサポートをさせていただきますので、お見知りおきを!」
「あの、新・・・じゃなくて、犬養さんたちがあたしの教育係では?」
あたしは想定外の言葉に動揺したわ。
犬養三兄弟は、公爵家で迎えの車に荷物を運んでくれたのを最後に見ていない。
「ああ、公爵家では当主とのご縁があり教育係をさせていただいたみたいですが、彼らは髪結いの仕事が本業なのですわ。
部署が違うので、女官職を承った菊子様には、今後一切関わらないはずです。」
「そう・・・なんですか。」
胸にポッカリ穴が開いたような気持ちがした。
新一が部屋を出る前に言ったひと言が、まだ耳の奥に一滴残っている。
『俺ではお前を幸せにできない』
何よ、何よ。
これじゃあ、告白する前にフラれたみたいじゃない。
というか、あたしも別に新一のことを好きだなんて言ってないし。
勝手にあっちが勘違いして予防線張ってるし。
モヤモヤする! モヤモヤする!
後から聞いた話なんだけど、新一に復讐することばかり妄想していたあたしは、侍従長に各部屋を案内されている間、下を向いてブツブツと独り言を言っていたみたい。
侍従長の第一印象は最悪だったわね。
わーん。
これもみんな新一のせいよ!
※
「で、ここが東宮様の執務室ですわ。
菊子様が到着され次第、ご案内するように仰せつかっております。」
東宮ということは、ここに大蒼が居るのね。
あたしは気を引き締めた。
侍従長がノックを4回すると、聞きなれたハスキーボイスが返事した。
「かめ・・・菊子さん⁉」
あたしを認めるや否や、着物姿の大蒼が勢いよく肘掛け椅子から立ち上がった。
でも、その勢いが良すぎて太腿を机の引き出しに強打したみたい。
足を押さえながら美しい顔に苦悶の表情を浮かべる大蒼。
「大丈夫?」と声をかけると、涙目で恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「今の、見なかったことにして‼」
あー、もう。
尊い・・・。(泣き)
みんなも、ドジっこ色男の想定外の行動には気を付けてよね。
即死よ即死。
誰か、無意識にあざとい色男を取り締まる法律の整備をして!
「赤坂、あとで呼ぶからいったん人払いをしてくれ。」
一礼して侍従長が扉を閉めた途端、大蒼はあたしの手をうやうやしく引き寄せると、手の甲に口づけた。
「待っていたよ。」
どどど、どんだけ~!
待って、いきなり接吻は逮捕案件だからね!
「な、習っていないわ。
皇室では、あいさつ代わりに手に接吻するの⁉」
「かめにだけだよ。
本当はね、その可愛らしい唇に挨拶をしたいのだけど、手の甲で我慢しているんだ。」
ぐっはぁ‼
キラキラした純粋な言葉の追加攻撃に、あたしはあらゆる思考をストップさせた。
っ、夢・・・?
これは夢なの?
あたしの女中人生に、こんな展開が待っているなんて。
貧乏でも芋虫でも、腐らずに生きていて良かった!
「あの、初めて来たけど東宮御所は素敵なところね。
都会にあるとは思えないほど、緑も豊かでお城みたいな住まいだし。
こんなところで働けるなんて、嬉しいわ。」
「良かった。気に入ってくれて。」
あたしの手を握ったまま、大蒼ははにかんだ。
「素敵なだけじゃなく面倒なことも多いんだ。
正式な皇妃として参内して心が折れたら可哀想だから、何かしら皇室に関わっておけば少しは慣れるかなと思って・・・。」
大蒼って優しい!
大蒼でテニスのボールを作ったら、体に当たっても痛くないわね。
「あたしのために?ありがとう。」
「お礼なんて言わないで。
勉強のためというのは口実で、少しでも早くかめと一緒に居る時間を作りたくて、画策してしまったんだ。
自分勝手でごめん。こんな私に幻滅する?」
幻滅どころか、加点しかできないわ。
あたしは直球の剛速球を胸のストライクゾーンに投げ込まれたかのように身もだえた。
「今はここにある書類に全部に目を通して判を押さなくてはならないんだ。
急いで片づけてから奥の御所を案内するから、ここで待っていてくれる?」
ええ、いいわよ。来年の今日まで待てるわ!
って言いたくなったけど、いやいや、頭がおかしいと思われるからやめましょう。
あたしは淑女、あたしは公爵令嬢。
仕事のお邪魔にならないよう、あたしは静かに近くにある長椅子に腰掛けた。
公爵家で会った時の紳士の雰囲気とは違い、黙々と仕事をしている大蒼は漢らしい。
黙って見ていると強い意志を感じるその黒い瞳に、吸い込まれそうになるわ。
やっぱりあたし、大蒼に恋をしているのかな?
ちょっとした言動にドキドキしたり、仕草にキュンキュンするのは、恋をしているからよね?
でもそう意識すると、いつも頭の隅に新一の端麗な顔が出てくるの。
新一は憎たらしいけど、本当にあたしをドキドキさせる天才。
それは恋と呼べるのかしら?
大蒼を見ているのに、何故か新一について自問自答していると、あたしはいつのまにか寝てしまった。
※
夢の中に居たあたしは、大きくて温かいものに包まれていた。
何だろう、これ。
寝台にしては温かすぎるけど、柔かくて心地が良い。
包まれているものに頬をスリスリしながら寝返りを打つと、頭を優しく触れられる感触があった。
くすぐったい!
ハッと目を覚ますと大蒼の太腿が目の前にッ!
なんと、あたしは大蒼に膝枕されて寝ていたのよ。
「重かったでしょ、ごめんなさい!」
跳ね起きたあたしは長椅子の上に正座した。
「眠る姿が可愛すぎて・・・、ちょっかいを出してごめんね。」
大蒼は解かれていたあたしの髪を、手櫛で梳いた。
「さらさらだね。結った髪もいいけど、自然な髪の君も素敵だ。」
半年前までは虱だらけだったことは、墓場まで持って行こう!
「あの、奥の御所を案内してくれるんでしょ?」
あたしは必死に止まった思考を回転させた。
「明日でもいいよ。かめの体調の方が大事なんだ。それに・・・。」
あたしのおでこにかかる前髪をよけて、大蒼があたしを甘く見つめた。
「君の寝顔を、ここでずっと見ていたい。」
「いつまで?」
「朝までずっと。」
そ、それは賛同できないわ!
だって夕餉はどうするの?
あたしは慌てて立ち上がった。
「ありがたい申し出だけど、どうしても無理という時以外は、人間は三食しっかりと食べるのが理想的だと思うの。
貴方は特に大切なお身体なのだから、健康管理は大事にしてねッ‼」
大蒼は額に手を当て、俯いた。
まずいわ。
もしかして傷つけてしまったのかしら?
それとも、食いしんぼうすぎて呆れたとか?
おろおろするあたしに、大蒼は満面の笑顔を見せた。
「君の寝顔も素敵だけど食べる姿も可愛いから、どちらにしようか悩んでしまったんだ。」
ああああ・・・神様。
これが、これが恋といふものなのですね。
東京にこんな場所があったのかと驚くくらいの緑地帯が広がっていて、その奥の浮世から隔離された森の中には、最新の建築技術の粋が集められた二階建ての御所が鎮座していたわ。
それは家というよりも立派な美術館のような佇まいで、【御所】というものを初めて見たあたしは、想像をはるかに凌駕する美しくて大きな建造物に圧倒された。
おそらく、普通の一軒家が50軒はすっぽり入る気がする。
ここには一体、何百人の使用人がいて、何時間奉仕をしているのかしら。
思わずこの景観を維持するための労力を考えた、心の貧しいあたしを責めないで!
運転手の車田さんに別れを惜しみながら降車し、御車寄から内部に入ると、【鶴戯】という大きな屏風を展示した玄関があって、幅の広い吹き抜けの階段が出迎えてくれた。
その天井の高さに気圧されながら階段を登ると、【日月邂逅】という太陽と月がモチーフの壁画が素敵な広間に出るの。
公爵家も広いけど、上には上があるものなのね!
ポカーンと乾くまで口を開けて待っていると、ほどなくして官吏の制服を着た男性が現れた。
「はじめまして、菊子様。
あたくしは従侍長の赤坂でございます。」
明らかに男性なのに女性のように柔らかく話す赤坂は、クネクネとお辞儀をした。
「本日より典侍になられる菊子様のサポートをさせていただきますので、お見知りおきを!」
「あの、新・・・じゃなくて、犬養さんたちがあたしの教育係では?」
あたしは想定外の言葉に動揺したわ。
犬養三兄弟は、公爵家で迎えの車に荷物を運んでくれたのを最後に見ていない。
「ああ、公爵家では当主とのご縁があり教育係をさせていただいたみたいですが、彼らは髪結いの仕事が本業なのですわ。
部署が違うので、女官職を承った菊子様には、今後一切関わらないはずです。」
「そう・・・なんですか。」
胸にポッカリ穴が開いたような気持ちがした。
新一が部屋を出る前に言ったひと言が、まだ耳の奥に一滴残っている。
『俺ではお前を幸せにできない』
何よ、何よ。
これじゃあ、告白する前にフラれたみたいじゃない。
というか、あたしも別に新一のことを好きだなんて言ってないし。
勝手にあっちが勘違いして予防線張ってるし。
モヤモヤする! モヤモヤする!
後から聞いた話なんだけど、新一に復讐することばかり妄想していたあたしは、侍従長に各部屋を案内されている間、下を向いてブツブツと独り言を言っていたみたい。
侍従長の第一印象は最悪だったわね。
わーん。
これもみんな新一のせいよ!
※
「で、ここが東宮様の執務室ですわ。
菊子様が到着され次第、ご案内するように仰せつかっております。」
東宮ということは、ここに大蒼が居るのね。
あたしは気を引き締めた。
侍従長がノックを4回すると、聞きなれたハスキーボイスが返事した。
「かめ・・・菊子さん⁉」
あたしを認めるや否や、着物姿の大蒼が勢いよく肘掛け椅子から立ち上がった。
でも、その勢いが良すぎて太腿を机の引き出しに強打したみたい。
足を押さえながら美しい顔に苦悶の表情を浮かべる大蒼。
「大丈夫?」と声をかけると、涙目で恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「今の、見なかったことにして‼」
あー、もう。
尊い・・・。(泣き)
みんなも、ドジっこ色男の想定外の行動には気を付けてよね。
即死よ即死。
誰か、無意識にあざとい色男を取り締まる法律の整備をして!
「赤坂、あとで呼ぶからいったん人払いをしてくれ。」
一礼して侍従長が扉を閉めた途端、大蒼はあたしの手をうやうやしく引き寄せると、手の甲に口づけた。
「待っていたよ。」
どどど、どんだけ~!
待って、いきなり接吻は逮捕案件だからね!
「な、習っていないわ。
皇室では、あいさつ代わりに手に接吻するの⁉」
「かめにだけだよ。
本当はね、その可愛らしい唇に挨拶をしたいのだけど、手の甲で我慢しているんだ。」
ぐっはぁ‼
キラキラした純粋な言葉の追加攻撃に、あたしはあらゆる思考をストップさせた。
っ、夢・・・?
これは夢なの?
あたしの女中人生に、こんな展開が待っているなんて。
貧乏でも芋虫でも、腐らずに生きていて良かった!
「あの、初めて来たけど東宮御所は素敵なところね。
都会にあるとは思えないほど、緑も豊かでお城みたいな住まいだし。
こんなところで働けるなんて、嬉しいわ。」
「良かった。気に入ってくれて。」
あたしの手を握ったまま、大蒼ははにかんだ。
「素敵なだけじゃなく面倒なことも多いんだ。
正式な皇妃として参内して心が折れたら可哀想だから、何かしら皇室に関わっておけば少しは慣れるかなと思って・・・。」
大蒼って優しい!
大蒼でテニスのボールを作ったら、体に当たっても痛くないわね。
「あたしのために?ありがとう。」
「お礼なんて言わないで。
勉強のためというのは口実で、少しでも早くかめと一緒に居る時間を作りたくて、画策してしまったんだ。
自分勝手でごめん。こんな私に幻滅する?」
幻滅どころか、加点しかできないわ。
あたしは直球の剛速球を胸のストライクゾーンに投げ込まれたかのように身もだえた。
「今はここにある書類に全部に目を通して判を押さなくてはならないんだ。
急いで片づけてから奥の御所を案内するから、ここで待っていてくれる?」
ええ、いいわよ。来年の今日まで待てるわ!
って言いたくなったけど、いやいや、頭がおかしいと思われるからやめましょう。
あたしは淑女、あたしは公爵令嬢。
仕事のお邪魔にならないよう、あたしは静かに近くにある長椅子に腰掛けた。
公爵家で会った時の紳士の雰囲気とは違い、黙々と仕事をしている大蒼は漢らしい。
黙って見ていると強い意志を感じるその黒い瞳に、吸い込まれそうになるわ。
やっぱりあたし、大蒼に恋をしているのかな?
ちょっとした言動にドキドキしたり、仕草にキュンキュンするのは、恋をしているからよね?
でもそう意識すると、いつも頭の隅に新一の端麗な顔が出てくるの。
新一は憎たらしいけど、本当にあたしをドキドキさせる天才。
それは恋と呼べるのかしら?
大蒼を見ているのに、何故か新一について自問自答していると、あたしはいつのまにか寝てしまった。
※
夢の中に居たあたしは、大きくて温かいものに包まれていた。
何だろう、これ。
寝台にしては温かすぎるけど、柔かくて心地が良い。
包まれているものに頬をスリスリしながら寝返りを打つと、頭を優しく触れられる感触があった。
くすぐったい!
ハッと目を覚ますと大蒼の太腿が目の前にッ!
なんと、あたしは大蒼に膝枕されて寝ていたのよ。
「重かったでしょ、ごめんなさい!」
跳ね起きたあたしは長椅子の上に正座した。
「眠る姿が可愛すぎて・・・、ちょっかいを出してごめんね。」
大蒼は解かれていたあたしの髪を、手櫛で梳いた。
「さらさらだね。結った髪もいいけど、自然な髪の君も素敵だ。」
半年前までは虱だらけだったことは、墓場まで持って行こう!
「あの、奥の御所を案内してくれるんでしょ?」
あたしは必死に止まった思考を回転させた。
「明日でもいいよ。かめの体調の方が大事なんだ。それに・・・。」
あたしのおでこにかかる前髪をよけて、大蒼があたしを甘く見つめた。
「君の寝顔を、ここでずっと見ていたい。」
「いつまで?」
「朝までずっと。」
そ、それは賛同できないわ!
だって夕餉はどうするの?
あたしは慌てて立ち上がった。
「ありがたい申し出だけど、どうしても無理という時以外は、人間は三食しっかりと食べるのが理想的だと思うの。
貴方は特に大切なお身体なのだから、健康管理は大事にしてねッ‼」
大蒼は額に手を当て、俯いた。
まずいわ。
もしかして傷つけてしまったのかしら?
それとも、食いしんぼうすぎて呆れたとか?
おろおろするあたしに、大蒼は満面の笑顔を見せた。
「君の寝顔も素敵だけど食べる姿も可愛いから、どちらにしようか悩んでしまったんだ。」
ああああ・・・神様。
これが、これが恋といふものなのですね。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる