28 / 42
第七章 かめ、浅草を闊歩する
もつれる糸と捜査線
しおりを挟む
「ききき、きくこおじょーさまァ⁉」
不用意な言葉を吐き出すと、あたしの大声は裏返ってしまい、周囲の人々が次々に振り返った。
でも、肝心の振り向いてほしい相手はというと、一度足を止めたのだけど隣の連れに促されて小走りに駆けだしたの。
逃げるなんて怪しすぎる!
「待って!」
すぐに追いかけようとしたあたしは、新一の手を引っ張った。
あ、ゴメン。
手をつないでいたのよね。
「あれが菊子様なのか?」
新一は疑問の念があるようだ。
確かに今の女性は、公爵令嬢には見えない。
出で立ちはまさに流行のモダンガ―ルだ。
「帽子に隠れていたから顔はほんの一瞬しか見ていないわ。
でも、大丈夫よ。信じて。」
「ふむ。信者の目は誤魔化せないか。」
妙な納得の仕方をした新一と、そんな新一に納得がいかないあたし。
ムム・・・まあいいわ。
あたしたちは怪しい2人を追いかけて、全速力で走り出した。
「あの人が脇を通った時に、あたしが作った松の精油が香ったの。
それに見て。小指を立てて左右に手を振りながら走る様は、間違いなくあたしの菊子様よ!」
人が多い浅草の街を人波をかいくぐって駆け抜ける。
怪しい2人も人が邪魔で思うように逃げられず、あたしたちはすぐに彼女らを見つけた。
ハア、ハア。あたしは脚に力を込めて地を蹴った。
毎日、毎日、屋敷内を1時間走っていたのが役に立ったわ!
ついに声をかけられる距離まで近づいた時、辺りに耳をつんざくブレーキ音が響いたの。
「危ない!」新一に制止されたあたしは足を止めた。
幌付きのタクシーがあたしたちを分断するように乱暴に横付けされて、それに2人が乗り込んだのよ。
キャア! 嘘でしょ?
車が歩道に乗り上げるなんて!
「どうしよう!」
騒然とする人々を嘲笑うかのようにタクシーは急発進して、大通りを颯爽と走り去る。黒く煙る車の排気ガスを見送りながら、あたしはパニックになった。
せっかく菊子様を見つけたのに・・・!
「これで追いかけるぞ。後ろに乗れ。」
声に振り向くと、大型二輪車に新一が跨っている姿だった。
「えっ? そんなの、いつの間に用意したのよ。」
「今、借りた。」
大型二輪車の持ち主の男は、新一に渡された紙幣の枚数を数えてにやけている。
時は金なりとはよく言うけれど、ホントに世の中って金なのね~。
あたしが後部座席に跨ると、新一があたしの手をグイッと自分の腰に誘導した。
キャッ! 腰が逞しい‼
「振り落とされないように、ここにしっかり掴まって。足も、ブラブラさせずにステップから降ろすな。
何かあったら声は聞こえにくいから、肩を叩いてから喋ってくれ。」
あたしは言われた通りに新一の腰に腕を回してしっかりとしがみつく。
こんなときなのに、密着した頬に新一の背中の温かさが感じられて、涎をつけてしまわないか気がかりだわ。
新一がフットペダルを数回蹴り上げると、爆音とともにエンジンがかかり細かな振動が四肢を揺らした。
そしてスロットルを回して二輪車が車道を走り出した時、あたしは本音を吐露した。
「二輪車に同乗するのは初めてなの。よろしくね。」
「俺も人を乗せるのは初めてだ。よろしく。」
※
大型二輪車は流星のように大通りを駆け抜けた。
牛車や馬車、自転車や自動車が忙しく走り回る道路の、隙間をぬって上手くすり抜けていく。
「新一、いま、何哩で走っているの⁉」
あたしは精一杯大きい声で聞いたけど、風に流されて新一の耳には届いていない。
二輪車って四輪車に乗るよりも風をまともに受けるせいか、めちゃくちゃ速く感じるのよ・・・。
公道は確か二十五哩で走るきまりなのに、追いかけているタクシーもこの大型二輪車もグングン周りの車を追い抜いているから、それ以上は疾走している。
(あとで聞いたら五十哩も出していたそうよ!)
ついに大型二輪車がタクシーに並走したタイミングで、新一が脇に抱えていたステッキを思い切りタクシーの右前輪に突き刺した。
タクシーはハンドルを制御できずに右に流れて勢いよく回転し、反対車線に飛び出すと後ろを向いて止まったの。
対向車が居たらと思うとゾッとしたわ。
「手荒すぎるわ! 菊子様が乗ってらっしゃるのに‼」
新一はブレーキをかけると、冷たく微笑んだ。
「止まる気がないものを止めるには足枷が必要だ。」
ドSめ。
新一で冷凍庫を作ったらどうかしら。よく冷えて売れそう。
あたしが新一に抗議している間に、タクシーのドアが開いて小柄な影が飛び出した。
あっ、大変! 逃げちゃうわ‼
影が路地に逃げ込んだのを確認すると、二輪車から飛び降りたあたしは夢中で追いかけた。
※
「待ってください!」
袋小路まで影を追いつめたあたしは、悲痛な叫びを上げた。
肩でそろえられた髪を揺らして逃げていた女性が、気まずそうに振り向いた。
「ごめんなさい・・・。」
間違いない。
目の前に居るこの人は徳川公爵家令嬢でありあたしの推し、菊子様だ。どんなに髪型や服装が変わっても、お慕いしている女神は目を奪われるほど美しい。
もう逃げた理由とか、駆け落ちしたとかはどうでも良くなった。
あたしは半年間の鬱積していた気持ちを巴投げして、菊子様を愛でたの。
美少女って、最強よ。
「会いとうございました・・・!」
ほとばしる涙と嗚咽であたしはその場に崩れ落ちた。
そんなあたしに菊子様はそっと寄り添い、頭を撫でてくれたの。
「かめ、泣かないで。」
「ずっと、安否が分からず心配でした・・・。でも、菊子様がお変わりなくて何よりです。」
ひしと菊子様をこの腕に抱きしめたあたしは、色んな言葉を思い浮かべては頭の消しゴムで消した。
この再会にはいかなる言葉も無粋で、ただ、菊子様の実体を感じているこの一瞬がいとおしいから。
事情は分からなくても、菊子様が今、この場に居ることがなによりの喜びなのよ。
「かめ、あなたはずい分変わったわね。」
あたしの涙をハンカチーフで拭いながら、菊子様がそう言った。
「今はとても素敵な淑女ね。もしかしたら、恋でもしているの?」
こ、恋?
その単語にあたしはドキッとした。
確かに恋は人を美しくするというけれど、最近ときめいたといえば・・・。
・・・うーん・・・。ときめきがありすぎて悩むあたしを責めないで!
色男が多いのが悪いのよ‼
「お嬢様の影武者を葛丸様に任じられて、皇室お抱えの髪結いに改造されている最中なんです。」
「お兄様が、かめを?」
菊子様は途端に顔色を変えた。明らかに動揺されているようだ。
「私・・・そんなの聞いていないわ。
てっきり、かめは公爵家を解雇されたあと報奨金を貰って、髪結いの専門学校に通っていると思っていたのに。」
どういうこと?
菊子様は使用人が全員解雇されるのを知っていた?
「ああ、ああ・・・かめ。
本当にごめんなさい。大好きなあなたを巻き込むつもりはなかったの。」
菊子様の混乱ぶりがよく分かる。あたしから離れた菊子様は、身震いを抑えるように自分を抱えた。
「菊子様、落ち着いて。
一体、何を言ってらっしゃるの? 菊子様はエドと駆け落ちしたんですよね?」
菊子様はバツが悪そうに俯くと、やがて決心したように顔をあげた。
「そういうことにしているのね。
詳細はわたくしの口からは絶対に言えないの。
でも、あなたを守るために一つだけ言います。
髪結いは信用してはなりません。」
その瞬間、菊子様の美しい顔が苦悶に歪んだ。
あたしは後ろから何者かに鼻と口を布で塞がれ、悶絶した。
やだ、変な匂い・・・。
目の前が真っ暗になる前にずっと探し続けていた金色の腕毛が見えた気がしたけど、あたしは最後の晩餐に菊子様の像を脳裏に焼き付けながら倒れた。
※
気がついたあたしは、路地で目を覚ました。
「大丈夫か?」
新一の声に立ち上がろうとすると軽いめまいがして、よろけてしまう。
薬を盛られたみたい。
「菊子様は?」
「俺が近くの交番に通報してからここに来た時には、お前だけが倒れていた。
薄々気づいてはいたが、菊子様の逃亡を手伝っている輩が複数人いるようだな。」
悔しがる新一。
あたしは菊子様の残した言葉が頭に引っかかって、新一と目を合わせられなかったの。
『髪結いを信用するな』って、どういう意味?
菊子様は何を隠していらっしゃるの?
不用意な言葉を吐き出すと、あたしの大声は裏返ってしまい、周囲の人々が次々に振り返った。
でも、肝心の振り向いてほしい相手はというと、一度足を止めたのだけど隣の連れに促されて小走りに駆けだしたの。
逃げるなんて怪しすぎる!
「待って!」
すぐに追いかけようとしたあたしは、新一の手を引っ張った。
あ、ゴメン。
手をつないでいたのよね。
「あれが菊子様なのか?」
新一は疑問の念があるようだ。
確かに今の女性は、公爵令嬢には見えない。
出で立ちはまさに流行のモダンガ―ルだ。
「帽子に隠れていたから顔はほんの一瞬しか見ていないわ。
でも、大丈夫よ。信じて。」
「ふむ。信者の目は誤魔化せないか。」
妙な納得の仕方をした新一と、そんな新一に納得がいかないあたし。
ムム・・・まあいいわ。
あたしたちは怪しい2人を追いかけて、全速力で走り出した。
「あの人が脇を通った時に、あたしが作った松の精油が香ったの。
それに見て。小指を立てて左右に手を振りながら走る様は、間違いなくあたしの菊子様よ!」
人が多い浅草の街を人波をかいくぐって駆け抜ける。
怪しい2人も人が邪魔で思うように逃げられず、あたしたちはすぐに彼女らを見つけた。
ハア、ハア。あたしは脚に力を込めて地を蹴った。
毎日、毎日、屋敷内を1時間走っていたのが役に立ったわ!
ついに声をかけられる距離まで近づいた時、辺りに耳をつんざくブレーキ音が響いたの。
「危ない!」新一に制止されたあたしは足を止めた。
幌付きのタクシーがあたしたちを分断するように乱暴に横付けされて、それに2人が乗り込んだのよ。
キャア! 嘘でしょ?
車が歩道に乗り上げるなんて!
「どうしよう!」
騒然とする人々を嘲笑うかのようにタクシーは急発進して、大通りを颯爽と走り去る。黒く煙る車の排気ガスを見送りながら、あたしはパニックになった。
せっかく菊子様を見つけたのに・・・!
「これで追いかけるぞ。後ろに乗れ。」
声に振り向くと、大型二輪車に新一が跨っている姿だった。
「えっ? そんなの、いつの間に用意したのよ。」
「今、借りた。」
大型二輪車の持ち主の男は、新一に渡された紙幣の枚数を数えてにやけている。
時は金なりとはよく言うけれど、ホントに世の中って金なのね~。
あたしが後部座席に跨ると、新一があたしの手をグイッと自分の腰に誘導した。
キャッ! 腰が逞しい‼
「振り落とされないように、ここにしっかり掴まって。足も、ブラブラさせずにステップから降ろすな。
何かあったら声は聞こえにくいから、肩を叩いてから喋ってくれ。」
あたしは言われた通りに新一の腰に腕を回してしっかりとしがみつく。
こんなときなのに、密着した頬に新一の背中の温かさが感じられて、涎をつけてしまわないか気がかりだわ。
新一がフットペダルを数回蹴り上げると、爆音とともにエンジンがかかり細かな振動が四肢を揺らした。
そしてスロットルを回して二輪車が車道を走り出した時、あたしは本音を吐露した。
「二輪車に同乗するのは初めてなの。よろしくね。」
「俺も人を乗せるのは初めてだ。よろしく。」
※
大型二輪車は流星のように大通りを駆け抜けた。
牛車や馬車、自転車や自動車が忙しく走り回る道路の、隙間をぬって上手くすり抜けていく。
「新一、いま、何哩で走っているの⁉」
あたしは精一杯大きい声で聞いたけど、風に流されて新一の耳には届いていない。
二輪車って四輪車に乗るよりも風をまともに受けるせいか、めちゃくちゃ速く感じるのよ・・・。
公道は確か二十五哩で走るきまりなのに、追いかけているタクシーもこの大型二輪車もグングン周りの車を追い抜いているから、それ以上は疾走している。
(あとで聞いたら五十哩も出していたそうよ!)
ついに大型二輪車がタクシーに並走したタイミングで、新一が脇に抱えていたステッキを思い切りタクシーの右前輪に突き刺した。
タクシーはハンドルを制御できずに右に流れて勢いよく回転し、反対車線に飛び出すと後ろを向いて止まったの。
対向車が居たらと思うとゾッとしたわ。
「手荒すぎるわ! 菊子様が乗ってらっしゃるのに‼」
新一はブレーキをかけると、冷たく微笑んだ。
「止まる気がないものを止めるには足枷が必要だ。」
ドSめ。
新一で冷凍庫を作ったらどうかしら。よく冷えて売れそう。
あたしが新一に抗議している間に、タクシーのドアが開いて小柄な影が飛び出した。
あっ、大変! 逃げちゃうわ‼
影が路地に逃げ込んだのを確認すると、二輪車から飛び降りたあたしは夢中で追いかけた。
※
「待ってください!」
袋小路まで影を追いつめたあたしは、悲痛な叫びを上げた。
肩でそろえられた髪を揺らして逃げていた女性が、気まずそうに振り向いた。
「ごめんなさい・・・。」
間違いない。
目の前に居るこの人は徳川公爵家令嬢でありあたしの推し、菊子様だ。どんなに髪型や服装が変わっても、お慕いしている女神は目を奪われるほど美しい。
もう逃げた理由とか、駆け落ちしたとかはどうでも良くなった。
あたしは半年間の鬱積していた気持ちを巴投げして、菊子様を愛でたの。
美少女って、最強よ。
「会いとうございました・・・!」
ほとばしる涙と嗚咽であたしはその場に崩れ落ちた。
そんなあたしに菊子様はそっと寄り添い、頭を撫でてくれたの。
「かめ、泣かないで。」
「ずっと、安否が分からず心配でした・・・。でも、菊子様がお変わりなくて何よりです。」
ひしと菊子様をこの腕に抱きしめたあたしは、色んな言葉を思い浮かべては頭の消しゴムで消した。
この再会にはいかなる言葉も無粋で、ただ、菊子様の実体を感じているこの一瞬がいとおしいから。
事情は分からなくても、菊子様が今、この場に居ることがなによりの喜びなのよ。
「かめ、あなたはずい分変わったわね。」
あたしの涙をハンカチーフで拭いながら、菊子様がそう言った。
「今はとても素敵な淑女ね。もしかしたら、恋でもしているの?」
こ、恋?
その単語にあたしはドキッとした。
確かに恋は人を美しくするというけれど、最近ときめいたといえば・・・。
・・・うーん・・・。ときめきがありすぎて悩むあたしを責めないで!
色男が多いのが悪いのよ‼
「お嬢様の影武者を葛丸様に任じられて、皇室お抱えの髪結いに改造されている最中なんです。」
「お兄様が、かめを?」
菊子様は途端に顔色を変えた。明らかに動揺されているようだ。
「私・・・そんなの聞いていないわ。
てっきり、かめは公爵家を解雇されたあと報奨金を貰って、髪結いの専門学校に通っていると思っていたのに。」
どういうこと?
菊子様は使用人が全員解雇されるのを知っていた?
「ああ、ああ・・・かめ。
本当にごめんなさい。大好きなあなたを巻き込むつもりはなかったの。」
菊子様の混乱ぶりがよく分かる。あたしから離れた菊子様は、身震いを抑えるように自分を抱えた。
「菊子様、落ち着いて。
一体、何を言ってらっしゃるの? 菊子様はエドと駆け落ちしたんですよね?」
菊子様はバツが悪そうに俯くと、やがて決心したように顔をあげた。
「そういうことにしているのね。
詳細はわたくしの口からは絶対に言えないの。
でも、あなたを守るために一つだけ言います。
髪結いは信用してはなりません。」
その瞬間、菊子様の美しい顔が苦悶に歪んだ。
あたしは後ろから何者かに鼻と口を布で塞がれ、悶絶した。
やだ、変な匂い・・・。
目の前が真っ暗になる前にずっと探し続けていた金色の腕毛が見えた気がしたけど、あたしは最後の晩餐に菊子様の像を脳裏に焼き付けながら倒れた。
※
気がついたあたしは、路地で目を覚ました。
「大丈夫か?」
新一の声に立ち上がろうとすると軽いめまいがして、よろけてしまう。
薬を盛られたみたい。
「菊子様は?」
「俺が近くの交番に通報してからここに来た時には、お前だけが倒れていた。
薄々気づいてはいたが、菊子様の逃亡を手伝っている輩が複数人いるようだな。」
悔しがる新一。
あたしは菊子様の残した言葉が頭に引っかかって、新一と目を合わせられなかったの。
『髪結いを信用するな』って、どういう意味?
菊子様は何を隠していらっしゃるの?
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる