エロサーガ 童貞と処女の歌

鍋雪平

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第二章「童貞の子」

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 人里離れた山奥の森の中に、古びた礼拝所がある。
 赤茶けたレンガをモルタルで塗り固めた瓦屋根の建物だ。かつて暖炉だったと思われる場所に、崩れた煙突の残骸が散らばっている。
 今はもう朽ち果てているが、扉や階段には合板が使われ、窓にはガラスがはめられていた。
 緻密に計算された高度な建築技術もさることながら、驚くべきは錆びや腐りを防ぐ塗料だろう。
 当時の人々は芸術にも秀でていて、自然の草花や鉱物の元素を混ぜ合わせることで、陶器や織物などの工芸品を美しく染めることができた。
 処女信仰の敬虔な教徒だったフローディアも、こうした場所で自給自足の修道生活を送るかたわら、副業として薬草採りや染め物にいそしんでいたと思われる。
 北方山脈には、真っ白な雪景色にゆらゆらと湯けむりが立ちのぼる温泉がある。原初の炎をあがめる人々にとって、大地から湧き上がる熱湯はまさに天の恵みだった。
「これが、男の子のおちんちん……?」
 クライオは、裸のままつかまり立ちをして抱っこをせがんだ。すってん転んで尻餅をつきそうになり、脱衣を済ませたフローディアが慌てて追いかける。
「べつに恥ずかしいことじゃないわ。きちんと綺麗に洗ってあげなくちゃ」
 クライオ王子は、当時にしては珍しく割礼を行っていない。生後間もなく森の中に捨てられた野生児と言われる所以だ。
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