夢で逢えたら

逢瀬

6

「君が喫茶店でトイレに行ったとき、鞄に入っていた身分証を見ただけ」

「…………」

「さっきの写真を見せながら、はるくんがゲイだってことをお友達に教えたら、さぞかし信ぴょう性が増すだろうね」

　絶望のさまを顔色で表した青年を、高橋は下卑た笑みを浮かべて見下ろした。

「調教はまだはじまったばかりなんだから、楽しまなきゃ。お互い、気持ちいいコトするんだしさ」

　高橋の言葉に、青年の口元が僅かに動いた。だがそれは言葉にならず、空を切って終わる。

「俺好みの男にしてあげる。手取り足取り、いろいろ教えるからね。いいコにしていないと、どうなるか分かるだろ？」

「掲示板に……写真をバラまく」

　青年は眉根を寄せて心底嫌そうな顔をしながら、震える声で渋々告げてきた。

　うまい具合に足枷を取りつけることに成功した高橋は、青年の思考を思い描いた。喫茶店で見事に流され自分について来たことを、今になって激しく後悔しているかもしれないと。

「察しが良くて助かるよ。それじゃあまずは俺のを、はるくんの口で綺麗にしてもらおうかな。さっき俺がしたみたいに、やってみてごらん」

　青年の心のダメージが倍増させることを、高橋は優しい口調で告げた。ダメージが大きくなればなるほどに、なにも考えられなくなり、どんな要求でも飲み込んでくれるから。

　卑猥な写真という物理的な強迫と精神的な苦痛を与え続け、自分に縛りつけて離れないようにする。高橋の飽きがくるまで、延々と繰り返されるのだった。