夢で逢えたら

逢瀬

5

「な、んか変……あっ、そこっ！」

「気持ちいいだろ。俺のでたくさん感じさせてあげるからね」

　散々出し挿れしていた指を抜いて、高橋自身を入り口にあてがう。はじめてはつらいだろうからと一気に挿入せず、躰が受け入れやすいように少しずつ挿れていった。

「ううっ、あ、ああぁっ」

　他にも中の締まり具合を確認しつつ、指先で感じた部分を狙って押し進めた。行為に及ぶ、高橋の楽しみのひとつでもある。

「くるし、い……も、ダメ……ンンッ」

「奥歯を噛み締めないで、口を開けっ放しにしたら少しは楽になる。ほら、もうすぐ全部挿いるよ」

「はあはぁ、あっ……ぁあっ！」

　高橋の両手を青年の腰に添えつつ、一気に奥まで貫いてやった。その衝撃で青年のモノから滴っていた雫が、布団の上に音を立てて零れた。

　肩で息をするように呼吸し、がっくりと首が垂れる姿を嘲笑いながら背後から眺め、高橋の先端を使ってイイトコロを突っついてみる。

「ぬ、抜い……いっ、んんっ。そこっ、やだっ……いやだっ！」

　もたげていた青年の頭が上がり、必死になって首を振って拒否されたが高橋は無視を貫き、更に擦り続けた。ひとえに、嫌だという言葉を変えるために――。

「ぁっ、いやだぁっ、いっ石川さんっ……いっ、いやなのにっ……は、っ……あぁ、くっ……」

「ははっ、すごく感じるだろ。その可愛さに免じて、はるくんをイカせてあげるね」

　片手は躰を抱きしめ、空いた手を使って青年の下半身を扱きはじめながら、ぱんぱん音を立てて激しく腰を振る。

「うぁあぁっ、あっ、あっああっ、イクぅっ!!」

　青年は大きな声で言うなり、どくどくと白濁を布団の上にまき散らした。我慢させた分だけ、止めどなく溢れ出る感じだった。

　すべてを出し切った途端に、ベッドに突き立てていた青年の両腕が折れ、上半身だけベッドの上に突っ伏してひれ伏す。

「はるくん、休んでる場合じゃないよ。俺はまだイってないんだからね。ほら、しっかり腕を踏ん張ってくれよ」

　高橋の呼びかけに青年はふらつきながら躰を起こし、ほどなくして積極的に自ら激しく腰を振った。こんな行為を、早く終わらせてやろうというのがあからさまに分かったが、あえて何も言わずにされるがままでいてやる。

　イった後の気だるさを抱えているだろうに、躰を揺すって高橋を感じさせる姿に、頃合いを計って声をかけた。

「そんなふうに感じさせてくれて嬉しいよ。熱いのをはるくんの中に、たくさん注いであげるからね」

　優しく告げた途端に、青年は喘ぐ呼吸をしながら必死になって腰を振る。力を入れて動くお蔭で絡みつくように中が締まり、高橋のモノをこれでもかと感じさせた。

「ああ、いい。すごくいいよ。もう我慢できないっ、くうっ!!」

「あぁあっ……はあはぁ、んっ」

　青年の上半身を両手でぎゅっと抱きしめ、最奥に欲を放つ。あまりの気持ちよさに、一瞬意識が飛びそうになった高橋だったが、極上の躰を縛りつける枷を取りつけるために、疲れ果てて動けずにいる青年から繋がっていたモノを抜き取り、力任せにベッドの上へと仰向けに押し倒した。

「なっ!?」

　なにが起こったのか、まったく分からなかったのだろう。仰向けのまま固まる青年に高橋は颯爽と跨り、枕の下に隠していたスマホを取り出してカメラを起動させ、唖然とした表情を浮かべている顔と一緒に半裸を撮影してやった。

「はるくんとの、はじめての記念に写しちゃった」

「や……消してください」

「消すわけないだろ。せっかくの記念なんだし、それに――」

　起き上がってスマホを奪おうとした青年の手を笑いながら叩き落とし、フラッシュを焚いてふたたび写真を撮った。

「この写真を掲示板に晒されたくなければ、俺の言うことを聞くんだ。いいね？」

「そんな……」

「とりあえず今のは写りが悪いから削除して、スマホをロック。これでよし！」

　鼻歌混じりにスマホを操作してサイドテーブルに置く高橋を、青年は呆然とした表情をありありと浮かべて見つめた。驚いた顔をしているのに、瞳は次の一手を考えようとしているのか、妙な輝きを宿していることに違和感を覚える。

（奥の手を潰して拘束し、自分に縛りつけてやろうか――）

「これを壊そうなんて考えないほうがいい。江藤正晴くん」

「どうして、名前を――」

　本名を口にした途端に、青年の顔色が青ざめていった。その効果のほどに、高橋は笑い出しそうになるのを必死になって堪える。